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日本軍慰安婦問題 不可逆的な解決 備忘録

安倍首相が「おわび」したのは、「未来の子どもたちに謝り続ける」ことをさせないためであることはあきらか。
もう一つは、東アジアにおける日韓米の協力体制をどうしてもすすめたい米国の思惑。

「最終的で不可逆的」な解決は、決して「記憶喪失」を意味しないことを、安倍政権はずっと突きつけられ続けることだろう。

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■「軍の関与」「総理も心から反省」慰安婦問題で一転して配慮の姿勢を示した安倍政権!その裏にまたしても対米従属政権としての本質が!?

 おはようございます!10代の頃、ネット、特に2ちゃんねるの影響をもろに受けて、思想的に右方向に「半グレ」していた、「元ネトウヨ」の佐々木隼也です。今はすっかり更生してIWJで記者をしています。T-nsSOWLが眩しいです。

 これが、「画期的で不可逆的」な和解となるのでしょうか--昨日、韓国・ソウルで行われた日韓外相会談で、慰安婦問題をめぐり、日韓両政府は韓国政府が設置する財団に日本政府の予算から10億円の資金を拠出し、元慰安婦の「名誉と尊厳の回復、心の傷を癒す」ための支援事業を行うことで合意しました。両政府は、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認しました。

 驚いたのは、会談後に行われた記者会見での、岸田外務大臣の言葉です。

 「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」

 「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」

※日韓外相会談 慰安婦問題で最終的解決を確認(2015年12月28日 NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151228/k10010355451000.html

 岸田外相は、はっきりと「軍の関与」「日本政府は責任を痛感」「安倍総理も心からおわびと反省の気持ちを表明」と口にしました。

 かつては慰安婦問題を取り上げようとしたNHKの番組に介入し、内容を変えさせたり、今年8月14日に発表した「戦後70年談話」でも頑として「慰安婦問題」についてのお詫びも反省も拒否した安倍総理とは思えない、配慮姿勢です。

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※安倍総理の過去のNHK番組改変事件についてはこちら!

・【スピーチ全文掲載】「NHKよ、安倍さんがそんなに怖いのか!」――元NHKプロデューサー永田浩三氏が渋谷・NHK前で魂の訴え!かつて安倍総理の介入で慰安婦番組をねじ曲げられた過去を暴露!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/259892
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※「慰安婦問題」について一切の謝罪も反省も拒否した「安倍談話」の中身についてはこちら!

・【岩上安身のニュースのトリセツ】安倍談話はやはり村山談話の否定だった!浮かび上がる「積極的平和主義」と「TPP」の正体~単なる米国の「属国宣言」に過ぎないという本質と本音
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/258098
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 …安倍総理やその支持者、ネトウヨ界隈、「幸福の科学」などのカルト宗教の信者からはこれまで、「旧日本軍による慰安婦の強制連行はなかった」という旗印のもと、さも「軍の関与はなかった」、果ては「慰安婦は高給だった」「志願してやってきた女性だった」などという言説まで飛び出していました。

 稲田朋美・政調会長などは会見でIWJの質問に対し、「慰安婦は当時合法だった」などという、とんでもない事実誤認発言を繰り出していました。

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・2013/05/24 稲田大臣、従軍慰安婦制度について「戦時中、合法であったことは事実」 ~稲田朋美行政改革担当大臣 定例会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/81090

・2013/06/24 (再掲)【岩上安身のニュースのトリセツ】「慰安婦は合法」の詭弁!安倍内閣閣僚の歴史認識を問う
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/86615
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※「軍の関与なかった」「慰安婦は合法だった」論がいかに事実誤認・デマであるかは、能川元一さんが以下の寄稿や岩上さんによるインタビューで、一次史料を基に徹底的に喝破しているので、ぜひご覧下さい!

・【IWJブログ・特別寄稿】日本軍「慰安所」制度と朝日の「慰安婦」報道検証について(能川元一・大学非常勤講師)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/207052

・2014/02/28 「慰安婦問題はレイシズムとセクシズムと歴史修正主義の三位一体」 ~岩上安身による能川元一氏インタビュー 第二部
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/127859

・2014/08/15 慰安婦問題、朝日「誤報」で高揚する「右派メディア」の主張を徹底論破~岩上安身による哲学者・能川元一氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/161862
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 …しかしそれが、一体どういう風の吹き回しでしょうか?

 「2ちゃんねる」などを見てみると、当のネトウヨや安倍総理支持者も、困惑しているようです。田母神俊雄氏などは、以下のように彼らの本音を代弁しています。

 「慰安婦問題解決のためにと言って韓国は我が国に20億円の拠出を求めて来たとか。また韓国外相は慰安婦問題は未解決だと言っている。あの国に対しては情けは無用だ。経済的に困窮しているようだが決して助けてはだめだ。」

 「韓国に何かを与えてはいけない。韓国が騒いだ分だけ得をすることになるからだ。騒ぐと損を知らしめるべき。」

 こうした安倍総理支持者の声に反して、ここまで韓国に配慮の姿勢を見せた理由を考えるうえで、岸田外相の、会見での注目すべき以下の発言があります。

 「日韓関係は未来志向の新時代に発展すると考える。日米韓と安全保障協力が前進する素地ができた」

 自らの支持層の反発・困惑も顧みずに得ようとしている「日米韓の安全保障協力の前進」。これは実は、米国が日本に求め続けていたものでした。

 2012年8月15日に発表された日本への指令書「第3次アーミテージレポート」には、日米韓の安全保障体制の強化のために、「日本が、韓国との関係を悪化させ続けている歴史問題に向き合うことが不可欠である」と書かれています。

 さらには、「米国地方公務員に対して慰安婦の記念碑を建立しないよう働きかける日本政府のロビー活動のような政治的な動きは、感情を刺激するばかりで、日韓の指導者や国民が共有し、行動の基準としなければならないより大きな戦略的優先事項に目が向かなくなるだけである」とまで、踏み込んだ「指示」がなされているのです。

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・(再掲)2013/02/03 【IWJブログ】CSIS「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226
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 …つまりは、米軍の下請けとして、日本と韓国がより機能的に働けるように、歴史認識問題では韓国に配慮し、仲良くなれ!という指示なんですね。今回の安倍政権による配慮姿勢は、こうした米国の意向に沿ったものなのではないでしょうか。

 安倍総理の頭のなかで、憲法よりも米国との約束が上位に来る(安保法制)ように、自身の歴史修正主義的野望よりも、米国からの指示が上位に来るのでしょう。

 だからと言って、安倍政権の面々の歴史修正主義的な野望が、封印されたわけではないでしょう。「慰安婦は合法」と言い切った稲田氏は、過去の歴史認識を見直す「歴史を学び未来を考える本部」を立ち上げ、今月22日には初会合を開きました。今後は、南京事件や慰安婦問題についても取り上げていく予定です。

 今回の合意が「不可逆的だ」との韓国政府からのお墨付きを得たことから、「もう文句を言われる筋合いはない」とばかりに、こうした会合で再度、「慰安婦問題否認論」を繰り出す発言が出る可能性は十分にあります。

 韓国とは「手打ち」にしておいて、国内では歴史修正主義的思想を広げる。まさに、「ファシズム」よりもさらにたちの悪い、「米国の属国下のファシズム」が、安倍政権の「道」なのではないでしょうか。

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※慰安婦問題の「本質」については、以下の関連記事をご覧下さい!

・【IWJブログ】慰安婦問題・朝日の吉田証言訂正への反応を概観する ~女性の意思に反して、性行為を強要した「広義の強制性」は消えない
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/161720

・【IWJ追跡検証レポート】国連の自由権規約委員会で、「慰安婦は性奴隷」と発言した女性委員を吊るし上げ、非難を浴びせた日本人グループとは何者か!?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/161793
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【以下、挺対協声明】
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日本軍「慰安婦」問題解決のための日韓外相会談合意に対する挺対協の立場

今日、日本軍「慰安婦」問題解決のための日韓外相会談が開催され、その合意案が発表された。日本軍「慰安婦」被害者と国民は、光復70年を数日残して開かれた今回の会談が、正しく速やかな日本軍「慰安婦」問題解決に至るよう切に願ってきた。

今回の会談の発表によると、1「慰安婦」問題に対し日本政府が責任を痛感、2安倍首相の内閣総理大臣としてのお詫びの表明、3韓国政府が設立する被害者支援のための財団に日本政府が資金を一括拠出し、その後両国が協力して事業を行うというものだ。

やっと日本政府が責任を痛感したと明らかにはしたが、日本軍「慰安婦」犯罪が日本政府および軍によって組織的に行われた犯罪だという点を、今回の合意から見出すことは難しい。関与レベルではなく日本政府が犯罪の主体だという事実と、「慰安婦」犯罪の不法性を明白にしなかった。また、安倍首相が日本政府を代表し内閣総理大臣として直に謝罪しなければならないにもかかわらず、「代読お詫び」に留まり、お詫びの対象もあまりにあいまいで「誠意のこもった謝罪」だとは受け入れ難い。

また今回の発表では、日本政府が加害者として日本軍「慰安婦」犯罪に対する責任認定と賠償などの後続措置事業を積極的に履行しなければならないにもかかわらず、財団を設立することでその義務を被害国政府に放り投げて手を引こうという意図が見える。そして、今回の合意は日本内ですべき日本軍「慰安婦」犯罪に対する真相究明と歴史教育などの再発防止措置に対しては全く言及しなかった。

何よりこのあいまいで不完全な合意を得るため韓国政府が交わした約束は衝撃的である。韓国政府は、日本政府が表明した措置を着実に実施するということを前提に、今回の発表を通じて日本政府とともにこの問題が最終的および不可逆的に解決することを確認し、在韓日本大使館前の平和の碑について公館の安寧/威厳の維持のため解決方法を探り、互いに国際社会で非難/批判を控えるというものだ。小を得るため大を渡してしまった韓国政府の外交は、あまりにも屈辱的である。

日本軍「慰安婦」問題解決のための合意に臨みながら、平和の碑の撤去というあきれた条件を出し、その真意に疑問を抱かせた日本政府の要求を、結局受け入れるだけでは足りず、今後日本軍「慰安婦」問題を口にしないという韓国政府の姿に心底から恥ずかしく失望した。

平和の碑は、いかなる合意の条件や手段にすることができないことは明白である。平和の碑は、被害者と市民社会が1000回を越える水曜日を見守り日本軍「慰安婦」問題解決と平和を叫んできた水曜デモの精神を称えた、生きた歴史の象徴物であり公共の財産である。このような平和の碑に対し、韓国政府が撤去および移転を云々したり介入することはありえないことだ。また、被害者と市民社会が受け入れることのできない今回の合意で政府が最終解決の確認をすることは、明らかに越権行為であり、光復70年を数日残したこの重要な時期に被害者を再び大きな苦痛に追いやる所業だ。

この間、日本軍「慰安婦」被害者と支援団体、そして国民の要望は、日本政府が日本軍「慰安婦」犯罪に対し国家的で法的な責任を明確に認定し、それに従って責任を履行することで、被害者の名誉と人権を回復し、再び同じ悲劇が再発しないようにせよというものだった。しかし、今日の日韓両国政府が持ち出した合意は、日本軍「慰安婦」問題に対する被害者たちの、そして国民のこのような願いを徹底的に裏切った外交的談合に他ならない。

日本軍「慰安婦」問題は、日韓間の真の友好と平和のため解決せねばならず、被害者が一人でも多く生きているうちに解決すべき優先課題であるが、決して原則と常識を欠いてはならず、時間に追われてかたをつけるような問題ではないことを重ねて強調する。

2014年の第12回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議で各国被害者の思いを込めて採択した日本政府への提言、すなわち日本政府の国家的法的責任履行が必ず実現されるよう、私たちは今後も日本軍「慰安婦」被害者とともに、国内外市民社会とともに正しい問題解決のための努力をより一層傾けていくことを明らかにする。

2015年12月28日
by eric-blog | 2015-12-29 08:21 | ◇ブログ&プロフィール
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