「戦争する国」許さぬ自治体の力 集団的自衛権・沖縄新基地を考える

「戦争する国」許さぬ自治体の力 集団的自衛権・沖縄新基地を考える
小林武、晴山一穂、稲嶺進、岡庭一雄編著、自治体研究社、2014
2453冊目

地方自治法は、市民性教育における必須の項目ではなかろうか。

何が国の専権事項で、何が地方自治に任されているのか。いや、「任されている」形を取りながら、実は地方自治しか把握していないことがある。

戸籍がそうである。国は、戸籍のことなんか何も知らない。

親が死んで相続する際、原戸籍をたどる必要があった。もしも、この時、相手自治体が被災していたら、原戸籍はどうなるのか? そんな事例が、大震災の時には、ぼろぼろ起こっているのではないだろうか?

戸籍の確認は、自治体へ個人が問い合わせる。国民背番号制になって、この作業は何か、楽になるのだろうか。「わたしはわたし」が簡単になるのだろうか。

壬申の戸籍も、国家事業ではあるが、「国」がすべての戸籍を収集したわけではない。

宗門帳のように寺が把握したものもある。地主や名主などの地域の有力者というのはこんな戸籍係ででもあったのか。

そう考えると、江戸時代の庶民の生活を描き出している落語に、「大家」は出てくるが、寺は出てこない。町人の人口を把握していたのか、町方とつながる大家さんか? いずれにしても「生国」とは切っても切れなかったようで。

さて、この本。

集団的自衛権の閣議決定への憂いは、戦前にもつながる。

昭和12年8月4日の閣議で「国民総動員実施要項」決定。地方自治体に戦争協力、国家への忠誠心発揚を目的とした組織つくりが求められる。翌13年『国家総動員法』制定。
部落会の制度化、隣組の組織、大政翼賛会。57

地方団体で重視された戦時業務は
1. 召集業務、出征家族・戦死者遺族援護
2. 各種物資の生産・配給統制
3. 食料、木材・水産物、松根油・木造船の増産
4. 輸送力の増強
5. 労務動員
6. 企業整理
7. 経済警察
8. 防空、人員・建物疎開、疎開の受け入れ
9. 国民運動の指導

明治以来、官僚政治を、国民の自発意思によるものへと転化させ、地方住民の手により、国の隅々まで徹底させる手段として地方制度が位置づけられて来た。58

長野県は満蒙移民をもっとも推進した県で、特に阿智村は村ごと移民が多く、2013年に「満蒙開拓平和記念館」が開設されている。59

その背景には昭和恐慌、生糸相場の暴落などがあると言われるが、経済的窮乏だけだ村をあげて移民するものではない。もっと貧困に喘いでいたであろう東北の状況がそれを示している、と。(62上条宏之)

昭和20年5月に渡満。何をかんがえているのか、といまからは思う時期である。ただただ、逃避行をするためにだけ行ったと。(63, 野中章)

東北からの徴兵が最後の半年にもっとも多かったという事実と合わせて考えると、国家総動員体制のむごさを思う。

ふたたび、地方自治体が「国家のための戦争」の一翼を担うようになる事態とは、どのようなものになるだろうか。

・自衛隊からの要請に対して、住民基本台帳の情報を提供している

このことについて、問題提起をしている人は、「自治体労働者は二度と赤紙を配らない」という思いだという。(76、コラム「女性のつながりは、平和で安心して暮らせる地域をつくる力」)

住基法が通れば、これは不要になるね。

まだ、わたしたち一人ひとりは、国と直結していない。国民とは、文字通り「想像の共同体」なのである。

にもかかわらず、なぜ地方自治とは名ばかりなのか?
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by eric-blog | 2015-03-04 09:25 | ■週5プロジェクト14 | Comments(0)
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