戦争はペテンだ バトラー将軍にみる沖縄と日米地位協定
吉田健正、七つ森書店、2005
2440冊目
第一章 戦争はいかがわしい商売だ
バトラーが1933年に行った講演の内容を小冊子にしたものの翻訳。
War is a Racket
第一次世界大戦では11000人の億万長者が生まれた。
ツケを払うのは一般大衆だ。新しくたてられる墓石、遺体、心、失われた家族、税金。
国家の財政赤字。戦時国債。
ツケを払わされるのは兵隊だ。
ほかより少し多めの給料は額面だけ。家族への仕送り、そして強制的な国債の買い取り。手元に来るのはほとんどゼロだ。
そして、戦争プロパガンダには宗教者ですら協力する。「殺せ、殺せ、殺せ」と。
美辞麗句にかざられた戦争の大義が、兵隊をわかものを駆り立てる。
日常からひきはがされ、人を殺すことを教えられ、また日常にもどって生活しろというのがどれほど大変なことか。バトラーは言う。帰還後も彼らはツケを払い続けていると。病んだ心で。
戦争から利得を除外すること。意思決定者に戦場にいってもらうこと。であれば、戦争の決定は国民投票によること。専守防衛に徹すること。
バトラーの「戦争をとめる処方箋」だ。33
そして、いま、沖縄にはプロパガンダがあふれている。
いわく、米軍は綱紀粛正しています。いわく、「良き隣人」と『大きな輪』、外務省の追随。防衛施設庁の『はいさい』。沖縄は日本の安全に役立っています。アジアの後方支援として、平和と安全に必要不可欠です。
原発建設と同じくらいに、多くの広報費が費やされているのだ。思いやり予算以外で。
米国が地位協定に守られながら、訓練・居住・補給・通信・出撃のために日本の一部である沖縄の陸上、海域、空域のかなりの部分を選挙している事実、それが戦後60年の今日も続いている。252
バトラーと同じく、兵隊がはらうコスト、家族にふりかかる悲劇について、もっとも雄弁に語った政治家は村上誠一郎である。
彼は、「わたしの選挙区の人に、死ねとは言えない」そのことを受け入れてもらえるとは思えないと、涙ながらに語ったのである。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/209976
いま、沖縄県知事である翁長さんは思っているだろう。「これ以上、痛みを引きうけ続けてくれとは、沖縄県民に対して言えない」と。
この本の出版から10年。沖縄の運動を支援するということは、わたしたちが本土でできることをやるということだ。
辺野古ってどこ? p.181
返還される予定はどこ? p.129
軍事関連の予算を使えば、ほとんどの地球規模の問題は解決できるように思うのだが。
そのための政治的意思決定を働きかけ続けること。
世界の軍事費 p.225
軍事関連会社 p.226
武器輸出入 p.227