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学び合いで育つ未来への学力  中高一貫教育のチャレンジ

学び合いで育つ未来への学力  中高一貫教育のチャレンジ
東京大学教育学部附属中等教育学校、明石書店、2010
2437冊目

佐藤学さんが提唱する「学びの共同体」を実践している附属中高一貫校。

生徒だけでなく、教師も保護者も学び育ち合う学校であり、単なる授業づくりを超えたヴィジョンと哲学を追求するもの。196

2005年から今年は10年になるのだなあ。
授業改革が目指す方向性は、
●教師が一方的に効率よく知識を伝達し暗記させる教え込みの授業を変える。
●教科書とノートだけの学びから、仲間とともに探求し合う問題解決的な学びに転換する。

教室の机をコの字型に配列、男女4人の小グループ活動。

「授業の中で一人ひとりの生徒がいかに学んでいるか」に注目し、授業観察や授業検討会を実施。一時間の授業に対し二時間の検討会。

その実践によって、良くなった点は以下の通り。
・主体的に学ぶ姿勢がみについてきた。
・考えることや解決の過程を楽しむ生徒が増えた。
・協力して課題に取り組み、学習に集中できるようになってきた。
・授業に参加できない生徒がいなくなった。
・「こんな生徒が・・・」と思うような成績・学力の生徒でも難しい課題に取り組んでいる。
・班活動がスムーズになった。
・生徒同士の教え合いが自然にできている。
・学校が落ち着き、生徒が穏やかになった。
・授業中も、寝る生徒が減った。
・話を聞く時間と話し合いをする時間のけじめがつくようになった。
・「わかる」「わからない」が差別化になるのではなく、コミュニケーションのきっかけとして作動している。
・多様な考え方があることを生徒が知ることができる。

また、教員や授業について、良かった点としては以下。
・授業中に生徒をケアする姿勢が身につき、学習に遅れが生じる生徒が減った。
・他の教科の授業への参加がとても実りある。
・お互いの授業を見やすくなった。
・生徒のさまざまな面が見られるようになった。
・教員同士、お互いを理解し尊重するようになった。

改善が必要な点としては  200
・単元の導入で新しい用語など基本的なことを教える段階では、やりにくい。
・抽象的な内容が多い場合は不向きである。
・説明のときは、座席を前に向けて一斉授業形態とするほうがよい。
・コの字型では授業に州トュウしないことがある。
・生徒が自分で考えないで、人に聞けばいいという態度になることがある。
・その教科の得意な生徒と同じグループになりたがる。
・個人でじっくり考えて解くことも必要。
・グループへの参加が苦手な生徒への指導が必要。
・話し合うことで満足してしまうケースがある。

まとめると
1. 「先生が教えること」と「グループでの学び合い」のバランスと連携
2. 「グループや学級での学び合い」と「この学び」のバランスと連携


これまでの授業における探求型について「教えずに考えさせる授業」と批判している市川伸一さんは、「教えて考えさせる授業」を提唱する。202

学力低下論争が盛んになった2001年頃。基礎基本の習得と探求の二つの学習サイクルに関するモデル。

「詰め込み」「教え込み」に対する批判から「子ども中心」「指導より支援」「自力解決」といったフレーズが飛び交ったのが1990年代。

どちらの授業形態でも軽視されていたのが、「子どもがどれだけわかっているのか」という理解状態の把握だった。

・「教える」部分では、わかりやすい教え方。発言や対話によって理解状態をモニターする。
・「考えさせる」の第一ステップとして「教科書や教師の説明したことが理解できているか」を確認するため、子ども同士の説明活動や教え合い活動を入れる。
・「考えさせる」の第二ステップとして、いわゆる問題解決部分があるが、ここは「理解深化課題」として多くの子どもが誤解していそうな問題や、教えられたことを使って考えさせる発展的な課題を用意する。小グループによる協同的問題解決場面により、参加意識を高め、コミュニケーションを促す。
・「考えさせる」の第三ステップとして、「授業でわかったこと」「まだよくわからないこと」を記述させたり、「質問カード」によって、疑問を提出することをすすめたい。

習得と探究、教えて考えさせるが2005年以来の中教審答申でも用いられて来た。206

相互説明活動、教え合い活動も、自己評価活動
理解深化課題の設定が鍵。


2000年から中高一貫。
2-2-2で、二年ごとに担任と学級を変える。
1,2年を基礎期、「生活や学習の習慣をつくる」、総合学習入門
3,4年を充実期、「自分らしさを見つける」、課題別学習
5,6年を発展期、「自己を確立する」、卒業研究。

課題別学習は、総合学習として、教師が12-14の講座を開き、3,4年生か一年間講座ごとに学ぶ。
卒業研究は5年生でテーマを決め、一年3ヶ月かけて論文や作品を完成させる。

一学年3クラス、一クラス40人、全学年698人。

5つの力
情報の力
身体・表現の力
関係の力
論理の力
ことばの力


「学びの共同体」による学校改革  中等教育のモデル・スクールへ
佐藤学

学びの共同体は、1998年から始まった「浜之郷スタイル」で小学校で2000校以上、2002年「岳陽スタイル」で中学校は1000校以上。しかし、高校でのモデルがなかった。

学びの共同体の哲学
・公共哲学
・民主主義の哲学
・卓越性の追求


同僚性の構築による内側からの改革推進。36

社会科は地球市民としての基礎を学ぶ。43

三者協議会
「開かれた学校づくり宣言文」

行事で成長する
1年生から6年生まですべて合同。
後期生が運営の側。
実行委員会による生徒主体の活動。
by eric-blog | 2015-02-18 09:38 | ■週5プロジェクト14
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