GLOBAL NET 289号
特集 低炭素社会を実現するために IPCC 第5次評価報告書が、2014年10月27-31日に開かれた第40回IPCC総会で公表された。 http://www.jccca.org/ipcc/ 出版物の入手はこちらから http://www.ipcc.ch/publications_and_data/publications_and_data_reports.shtml また、UNFCCC気候変動に関する国際連合枠組条約の第20回締約国会議(COP20)が12月1日からペルーで開催された。 United Nations Framework Convention on Climate Change それらを踏まえた特集が表記である。 IPCCは、気温上昇を2℃未満に抑えるには、2050年までに2010年比で約40-70%の削減が必要であるとしている。 国際的には2015年が重要な年になる。 しかし、日本国内では、2009年麻生政権時に1990年比8%削減、2009年鳩山政権時に同25%削減、2012年安倍政権では同3.1%増加と、目標値を次々と変更してきた。国内の目標も計画も不在の状態。 国際的にはCO2の累積排出量を2.9兆トンに止めるために、すでに出ている1.89兆トンの残り1兆トンをカーボンバジェット(炭素予算)として定量化しようと提案している。(第5次評価報告書) 日本も、長期目標としては第4次環境基本計画が、2050年に温室効果ガス排出量(GHG)を1990年比で80%削減するとしている。 それを踏まえて、環境NGOの連合CAN-Japanは、9月に2030年までに1990年比で40-50%を削減することを提言している。 http://www.kikonet.org/info/press-release/2014-09-12/climate-target-for-2030-can-japan また、この長期目標に従った検討は以下の論文や報告に出ている。 国立環境研究所の増井利彦さんは、「技術的に実行可能である」とアジア全体での取り組みに対して日本が行っている貢献も含めて、紹介している。 http://www.nies.go.jp/event/sympo/2014/files/program_genko/2014_slide_a04.pdf 中学校でのワークショップもすばらしい。 アジアの開発を「リープフロッグ型」として、先進国型開発を経ずに、一挙に低炭素型社会へと移行する道も探られている。 これらの考え方は、日本社会にも十分有効な考え方だ。 http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/sangyougijutsu/chikyu_kankyo/yakusoku_souan_wg/pdf/001_04_01.pdf また、削減が可能であるシナリオについてはこちらに報告が出ている。 http://www-iam.nies.go.jp/aim/DDPP/index.html 国立環境研究所と地球環境戦略研究機関が開発した「低炭素社会シナリオ」を検討できるツールが「日本低炭素ナビ」です。 http://www.cger.nies.go.jp/cgernews/201412/289004.html 日本低炭素ナビは、Excel版とWeb版の2つが公表されていて、どちらも以下のWebサイトからアクセスすることができるようになっています。是非、アクセスいただき、実際に皆さんそれぞれが望ましいと思う低炭素社会シナリオを検討してみていただければと思っています。 日本低炭素ナビ:http://www.2050-low-carbon-navi.jp/ 総合情報サイト:http://www.2050-low-carbon-navi.jp/web/jp/ 4つないし5つの「努力項目」を段階的に選択、どの程度の効果がありえるかがすぐに可視化されるようになっています。 いずれにせよ、第一次安倍内閣の時に、安倍総理が発表した「Cool Earth50」ビジョン。その時の2050年で50%削減という目標は低すぎるものではあるのですが、しかし、少なくとも、その時約束した対策には取り組んでほしいものです。 http://www.enecho.meti.go.jp/category/others/for_energy_technology/001.html http://www.icef-forum.org 一方で、「日本の技術」による貢献が言われすぎたことで、国民の省エネ、省資源の意識化は、3.11以降の一時期ほどにはすすんでいないように思える。具体的に、わたしの身近でできることは何かということと、そして省エネ・省資源型の経済成長の具体的な姿が見えないように思う。 例えば、「リニア新幹線」は、決してエネルギー問題を考えた結果の導入ではない。 「数値としては,新幹線は 28 Wh/席 km, リニアは同じ時速 300 km でも新幹線の約 2 倍の 54 Wh/席 km,さらに時速 500 km では約 3.5 倍 の 99 Wh/席 km である。なお,JR リニアについ て「500 km/h での目標は 80 Wh/席 km」という 記述がある10。」阿部修治さん『科学』 https://staff.aist.go.jp/s.abe/Kagaku_201311_Abe_reprint.pdf 飛行機よりはまし(1/3程度のエネルギー消費)だ、というが、東京名古屋間を飛行機で移動する人がどれほどいるのか? あほな比較である。 約7兆7000億から9兆2000億円の建設費プラス車両コスト。 2012年から、地球温暖化対策税を徴収しながら、政府はわたしたちを裏切っていることにならないか。 四つの対策。 (1) 省エネルギーの抜本強化・導入支援 (2)再生エネルギーの大幅導入 (3)分散型エネルギーの促進 (4)革新的技術の開発・普及促進 地球温暖化対策税の税収は、初年度(平成24年度)391億円、平年度(平成28年度以降)2,623億円と見込まれています。 その使い道はこちら。 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/biz_local/subsidy/program_h26-lg.pdf すでに、3兆円も投入されているのだという指摘も、2010年当時、あった。 その効果をはかるべきだと。 http://criepi.denken.or.jp/jp/serc/discussion/download/10012dp.pdf 「仮に、2010年の排出権価 格の相場(約1500円/トンCO2)2の2倍である3000円/トンCO2と削減単価を高めに見積もって も、日本の総CO2排出量(2008年12.1億トン)3の8割に匹敵する莫大な削減が可能なはずだ。」 平成26年度地球温暖化対策関係予算案について(お知らせ) http://www.env.go.jp/press/files/jp/24064.pdf 地球温暖化対策推進大綱関連予算の評価について https://www.env.go.jp/council/16pol-ear/y162-15/mat02_5.pdf ○放射性物質対処型森林・林業復興対策実証事業(復興庁) 35億円 ってなんだ? どうやら、福島県に行っているようだが。 https://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/kikaku_chosei_honbusiryo_n10-1.pdf 岩手県では「ほだ木」などの処理事業にも使われているのか? http://www.pref.iwate.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/025/743/h26.6.3shinsai.pdf 不思議だ。地球温暖化対策費。
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| 2014-12-25 15:55
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