生活保護削減のための物価偽装を糾す! ここまでするのか!厚労省
白井康彦、森永卓郎との対談、あけび書房、2014
2369冊目
最低賃金より生活保護の方が高いとか、老齢年金よりも多いとか、弱者が弱者をたたく構図はみっともない。最低賃金はもっとあげるべきだし、老齢年金で生活できない人は生活保護を受ければいい。そもそも老齢年金はその他の収入や財産を排除していない。
しかも、この本である。
第6章で「政府のウソを見抜くための基礎学習」として物価指数のイロハが書かれている。が、一読しただけでは、まだわからんよ。しかし、総務省統計局の数字と厚労省の数字が異なっているのは、わかった。しかも、厚労省がなぜ独自の物価指数を出すかと言うと、生活保護費の減額の根拠ともするためです。
2013年1月27日「生活保護規準の切り下げ案」発表。2013年8月、2014年4月、2015年4月と三段階で減らすことに。平均すると6.5%の削減。国の予算を670億円減らせる。そのうち、580億円が物価動向を勘案して削減したもの。
あれーー? アベノミクスって、デフレ脱却のために「物価を年率2%あげる」ことを日銀の目標にさせていませんでしたか? 物価があがって、企業がもうかって、賃金があがって、という好循環をめざしてんじゃないの?
と、その難しいタイミングで「物価動向」を根拠に削減ですか。こりゃあ、ウルトラCですな。
貯蓄なし世帯比率が3割を超えた!
大学生で奨学金を利用する人の率も6割近くになっている。
生活保護費が増えている!2兆9000億円。
それは貧困が広がっているからだ。
そこをしっかりとみないと、「生活保護バッシング」に走ってしまうよ、と著者は警告する。
浜矩子さんが言うように、「ていねいな再配分による成熟した社会」をめざしたいものである。カンフル剤のような経済のてこ入れは、社会と社会のモラルを崩壊させる。