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ERIC NEWS 411号 主催研修/受託研修

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ERIC NEWS 411号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年11月9日
at ERIC/from ERIC 主催研修/受託研修のプログラム
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

ERICの研修やPLTファシリテーター養成研修を受講された方が、このニュースの読者であろうと思います。参加型学習の手法や参加促進の手だてをどのように活用されているでしょうか?  日々の実践のお役に立っていることを願っています。

今回の「対立から学ぼう」の研修では、スピンオフ企画と言いますか、アウトリーチと言いますか、実践編と言いますか、研修受講者とともに、連続学習会を企画することとなりました。

「犯罪・暴力弱者化社会をひらくために」
http://www.eric-net.org/news/CRext.pdf

このテーマは、主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ スキル「対立」の研修の中から生まれました。子どもへの虐待をする人や刑務所に何度も入れられている知的遅滞傾向のある人、彼らは加害者だと言われるのだけれど、自分たちの抱えている課題を「暴力」という形でしか解決できなかった「弱者」なのではないか。

そんな問題意識から、「よりよい質の教育をすべての人に、あらゆる機会に」の課題として、今回の連続講座を企画しました。

ぜひ、ご参加ください。

参加費は茶菓付きで1500円です。(ERICの茶菓、諸国名産、includingTurkey!です。)

開始時間が17時と早めですが、遅れての参加でも構いません。事前にその旨、ご連絡ください。

■□■1. ERIC主催研修 ESDファシリテーターズ・カレッジ スキル「対立」から■□■

「対立から学ぼう」という人間関係スキル・トレーニングは、対立や葛藤がある状況で、反応するからだ、激化・内在化する感情を自覚し、それにどう対処すればよいか、そして相手に対して、どのように主体的だが非攻撃的に自分の「本当に満たされたいこと」を伝えられるかを学ぶものです。

そこにはOECDの教育研究機関が「21世紀に生きるコンビテンシー」として明らかにした、そして、エンパワメント教育では、すでに共有されてきた三つのコンピテンシーがかかわっています。

http://ericweblog.exblog.jp/5514777/

カテゴリー1 相互作用的に道具を用いる
・言語、シンボル、テクスト
・知識や情報
・技術
カテゴリー2 異質な集団で交流する
・他人といい関係を作る
・協力する、チームで働く
・争いを処理し、解決する
カテゴリー3 自律的に活動する
・大きな展望の中で活動する
・人生計画や個人的プロジェクトを設計し実行する
・自らの権利、利害、限界やニーズを表明する

Empowerment Educationでは
Power Within   わたしの内からなる力
Power With    人とともに発揮する力
Power To     リソースへのアクセスや使いこなす力
と言われて来た「わたし・あなた・みんな」の力と、対応していることに気づきます。

1970年代以来、どんなに研究しても、この三つが、「生きる力」の基本だということ。そして、国際理解教育や環境教育・開発教育が取り入れて来た「参加型学習」はまさしくこれらの力、「参加の力」をつけることをめざしてきました。

自分自身に自身や確信を持つこと。
人との関係を結べること。
社会に関わること。

ERICがずっと提言している「わたし・あなた・みんな」の力。参加の力。
そして、対立を扱うにはこの三つの力・構え・技術が必要なのです。

自分自身に自信を持つこと。
自分のことを非攻撃的に主張することができること。
そして、そのための知識やスキルや問題解決のためのリソースを活用することができること。

PLT「木と学ぼう」の教授法の特徴の一つ「全体言語主義」Whole Language Approachは日本語として定着しにくい言葉ですが、「知識中心」のわかり方ではなく、行動変容につながるわかり方のためには言葉でわかる、知識を覚えるだけではだめだということを示しています。

特に、ERIC主催研修の後半の三本では、スキルの習熟をめざします。スキルとはできるようになって初めて「できた」ということになります。

頭でわかって、からだでできる。

からだ、感情、行動の背景には、価値観があります。それらの一貫性が「わたし」なのです。

自分自身の「本当に満たされたいこと」を知ることが「行動・感情・価値観」の一貫性を保つための基本です。

研修では、『対立から学ぼう- 中等教育におけるカリキュラムと教え方 -』(ウィリアム・クライドラー著、ERIC国際理解教育センター編訳)のテキストを中心に、『対立は悪くない』(ERIC国際理解教育センター編)の実践記録も踏まえて、以下の10の概念を押さえる二日間でした。

対立から学ぼう/対立は悪くない

10の基本概念
○対立は悪くない  対立は起こるものだと構えて、前向きにとらえる
○対立の扱い方   対立の扱い方にはそれぞれ特徴と限界があることを知る
○対立は激化する・内在化する 何が対立を激化させるか、内在化させるか
○対立の温度計  対立が起こった時のからだ感覚を自覚する。
○わたしメッセージ 対立の扱い方の第一歩、わたしの気持ちを伝える
○アクティブ・リスニング 相手の気持ちもしっかり聞く
○視点メガネ  それぞれの言い分の背景にあるものを理解する
○ウィンウィン型解決 「本当に満たされたいもの」が双方ともに満たされる
○要望と本心 表面的に主張している要望と、本当に満たされたいものは違う
○調停と仲裁 対立の第三段階の扱い方の技術を、少しかじっておこう。

「対立は悪くない」「対立を非暴力的に解決する」そのような価値観がしっかりと育つところから、スキルが身に付いていくのです。

プログラムの記録はこちらから
http://ericweblog.exblog.jp/20363333/

■□■2. 『対立から学ぼう』で犯罪・暴力・虐待をなくす ■□■
社会関係、人間関係のスキル・トレーニングも、そしてそういう教育を受けることができることも、「Power To」[三つのコンピテンシー分野: カテゴリー1 相互作用的に道具を用いる・言語、シンボル、テクスト・知識や情報・技術]そして、「Power With」[カテゴリー2 異質な集団で交流する・他人といい関係を作る・協力する、チームで働く・争いを処理し、解決する]の力です。
何よりも、「Power Within」[カテゴリー3 自律的に活動する・大きな展望の中で活動する・人生計画や個人的プロジェクトを設計し実行する・自らの権利、利害、限界やニーズを表明する]という自尊感情に基づく力がかけているのではないでしょうか。
http://ericweblog.exblog.jp/5514777/

暴力的な解決を選んでしまう人には、これらの三つの力がかけているのです。あるいは、それらの力を身につける機会を得てこなかったあるいは奪われて来たと考えられます。人や社会との関わりで、「暴力」を選んでしまうことは、それしか学んでこなかったからではないでしょうか。

「犯罪・暴力弱者化社会をひらく」という連続講座のタイトルは、加害者が実は社会的弱者であることに焦点をあてています。

もう一点、ぜひ考えたいことは、「密室の暴力」という課題です。

「密室で解決しよう」とするのではなく、家族に、地域に、行政にひらいていけば、別の解決もあった問題もあるのではないでしょうか。

対立を「密室」の中で解決しようとすると「暴力」に走ってしまいます。

「密室の暴力化」それには三つの原因が考えられます。

一つは、「密室」における権力関係が固定しやすく、相互に操作されやすい。力は力を付与する人がいるから、ふるうことができるのです。
一つは「視野」が狭くなってしまい、多様な選択肢から、もっとも自分らしい、そして適切な対応を考えることができない。
一つは密室であることで公共的な規範が働きにくいということです。人前で暴力を振るうことはできない人でも、密室でならばどうでしょうか? 暴力を抑止するためには、関係性をひらいていくことが重要なのです。

さまざまな意味で、「ひらいていく」力が課題解決の道なのです。

再犯防止のためには「社会とつながる力」Power Toの力を特に重視する必要があるのではないでしょうか。そのように捉えることで、課題解決を教育の課題と捉えなおすことが可能になるのです。

『反省させると犯罪者になります』
『凶悪犯罪者こそ更正します』
の著者である岡本茂樹さんは、刑務所での更正にもかかわっている方。
刑務所にいる間に「関係性」のスキルを磨いておくことの重要性を説いています。賛成です。

■□■3. 週5プロジェクトより「アクティビティ・アイデア」■□■

毎日100人近くの方々に読まれている「ESDファシリテーターズ学び舎」ブログ。すでに2000冊を超える本を紹介してきています。

最近では「アクティビティ・アイデア」を考えるということにも取り組んでいます。というのも、一冊の本は、わたしたちが考えるための「共通基盤づくり」の役目を果たしてくれるからです。また、多くの専門家は「分析の視点」も提供してくれます。

一緒に考えたい課題は、かならず「アクティビティ」にできる! 一人で本を読むだけではなく、読んだ本から「一緒に考えたい課題」を抽出し、ともに考える「ワークショップ型読書会」を実現したいですね。

「共話」体験を通して、日本語のコミュニケーションについて考える
http://ericweblog.exblog.jp/20352333/

ファシリテーターのための「フロー」していない参加者対策を考えるアクティビティ。
http://ericweblog.exblog.jp/20340692/

『男子の性教育』ポルノと親密な関係の違いが、きっとわかるようになるよ!
http://ericweblog.exblog.jp/20312711/

『ことばメガネ』身の回りのことば探しアクティビティ。この絵本を導入に。
http://ericweblog.exblog.jp/20311026/

■□■4. ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ 2014年度の日程■□■
■2014年(平成26年)6月28日29日国際理解 終了。
http://ericweblog.exblog.jp/19968319/
■2014年(平成26年)7月26日27日PLT木と学ぼう・環境 終了。
http://ericweblog.exblog.jp/20045012/
■2014年(平成26年)9月27日28日人権 終了
http://ericweblog.exblog.jp/20240973/
■2014年(平成26年)10月25日26日スキル対立から学ぼう 終了
 http://ericweblog.exblog.jp/20363333/
■2015年(平成27年)2月21日22日スキル未来を学ぼう
■2015年3月(平成27年)予定TEST教育力向上講座


◆◇◆5. ご寄付のお願い ◇◆
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。
どこにもない価値を創造し、提供していくNPOとしての活動をぜひ支えて下さい。
◆◇◆ 以下のような活動に「25周年記念」として取り組みました。◆◇◆

■アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/
■リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす
日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳
 http://focusrisk.exblog.jp/
■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」
ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定
■PLT大学生ショートプログラム
http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf
■Learning to Care
http://ericweblog.exblog.jp/18988618/
PDFはERICホームページ「新着テキスト」より

■平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp
最終的なネットでの提供は2014.3.18http://www.eric-net.org

■インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)

■ゆるキャラ「リカリン」! 

■PLT 『世界の森林』 Forest of the World
これは現在も継続中プロジェクトです。近々、ホームページで提供開始。
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ご寄付先 金融機関
ゆうちょ銀行口座: 
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  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
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  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/
  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
http://ead2011.exblog.jp/
  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp/
by eric-blog | 2014-11-09 09:20 | ERICニュース
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