ワークショップ終了後、そして、いまのリフレクション
【三人での道ばた立ち話系リフレクション】 キリスト教者、中世日本文学研究者、わたしの三人で、立ち話。 中世文学を研究していることは、話の最後の方でわかったのだが、惜しいことだった。明治維新による「ローカルなもののブルドーザー撤去地均し効果」が全国津々浦々まで及んだことを考えたら、いまある地元の「伝統」やあり方を研究するだけでは、その囚われから自由であることはできない。「今昔物語」などの中世のナラティブを掘り起こすことは、民衆の姿を知るのに役立つように思う。ぜひ、共同研究させていただきたいものだ。ま、こちらにその力がないのだけれど。「ジェンダー」「力関係」「都と地方」などの描かれ方と、描いているものはどこに立っているか、再話者の立ち位置が、とても気になる。 閑話休題 ワークショップで、コルトハーヘン氏の問いが、宙にまっていたと日本文学専攻。作業になかなか取りかかれなかったと。 大学に入ってから「協同学習」的な機会は増えているというのは、グループワークで共有されていた 。協同学習はやっているが、そこに「リフレクション」はどう取り入れられているのかを質問したら、特に意識はしていない様子。なるほどね。 わたしがワークショップで「ノートテイキング」の時間を取り入れるととても新鮮に受け取られるのだけれど、それと同じような状況なのかな。 キリスト教者の方とは「対立から学ぼう」のワークショップも一緒に取り組んで来た仲間。「要望と本心」のアクティビティで「本当に満たされたいこと」をどこまで掘り下げても、「面子」しかでてこない、たまねぎの皮を剥きすぎたら、そこに何もないことに気づくことが多々あることをリフレクション。それはなぜ? 日本社会の価値観が「間人主義」でTPOでゆらぐことを共有。三隅先生は、阪大時代は知らなかったが、学長になられてからのこと。一度、同窓会会誌でインタビューを受けたとき、「三隅先生の推薦で」来たのだと言われて、印象に残った方である。間人主義は、自分で学ぶようになってから、出会った概念。ま、大学の授業で聞いても、あまりありがたみは感じなかったかもしれない。 と、書いていると、もっと議論したかったこと、それに対してどういう行動をとろうと思っているか、それともそこに適応するだけでいいのかなど、聞いてみたかったと思えて来た。そんな機会があるといいなあ。って、その程度かい。 実践に移している人だからというのが推薦の理由らしかった。 そりゃ名誉だね。実践だけで論文が書けていないのが、本人的には残念なのだが。 まあ、ということで、「対立から学ぼう」でも、イライラすることは多い。結局「あなたが大切にしたい価値観はなんなのだ?」と叫びだしたくなる。 これだから、社会がネトウヨに流されていく時、ジェンダラスさを増すときも、それに反対する動きが鈍いんだよなあ。 人権なんて「天賦人権説はとらない」とか「西洋かぶれ」みたいに言われるし。そんなわけなかろう。この国でだって、人は生き生き生きる権利をもっているし、そのように存在してきているんだから。明治の一時期の「国民国家病」のときのことを日本の伝統のように言うのは止めてほしい。 その辺りのこと、中世説話で明らかにして欲しいものだ。 キリスト者としてはどうなん? と聞くと、「そういうあいまいなのがいやだから、こっちに来たんだ」とのこと。そうだったんだ。初めてかも、その経緯を聞くのは。 ERICのファシリテーターには、キリスト教者度と関西人度が高いんだということで盛り上がり。「ファシリテーターになるためには大阪弁ができないとだめですかねぇ」と質問する人が居たりするが、本質はそこではないはずだ。 キリスト教者は、「信念と価値観」の部分で、自分が発言することに違和感を持っていない。 大阪人は、何によらず、発言することに積極的な価値を見いだしているので、自分が発言することに違和感がない。 ま、そんなようなことで、この両者が「参加型」が好きというのはあるだろうなあ。だからといって、この両者が「協同学習」がうまいわけではない。前者は、「自分の立場が固まりすぎていて、学びが柔軟ではないかもしれない」し、後者は「言うのに忙しく、またノリツッコミのタイミングをはかるのに忙しく、深まる、深めるのは苦手」かもしれない。 本質は、まずは、コミュニケーションに対する態度だろうが、コミュニケーション・スキルのトレーニングが不要というわけでは、ないのだ。 で、コルトハーヘン氏が、来日中にどのようなパターンに遭遇するであろうか、考えてみた。 ・作業の指示が腑に落ちず、作業にとりかかれない。 ・参加者の「協同学習」のスキル・トレーニングがなされていないので、ペアによって成果に大きな違いが生まれる ・大集団作業でコントロールする場合は、「学んだ人」「気づいた人」が共有してくれるので、そこから全体での学びに「巻き込んでいく」ことは可能。 ・しかし、「居心地のよいゾーン」にとどまっている9割の人々を動かすことは難しい。 ・「すべての人々が学ぶ」という学習の本質は保証できない。 と考えてみると、ワークショップ中にコルトハーヘン氏が言い、また最後にあいさつした坂田さんが「遅れて来たのだが、入って来たときの集中がすごかった」という判断、ペア作業を始めた時の「ひとみのキラキラ」やフローの感覚は、ではどこから来るのかなあ。ファシリテーターとしての快感の根拠なのだが。 つまりは、それをワークショップの成功の指標にしていてはいけないということだ。自戒自戒。 そして、そのことは、コルトハーヘン氏もレクチャーの中で指摘していた。「ALACTモデル(Action-Look back-Awareness-Creating alternative-Trial)」のAwarenessの部分でエッセンスにたどり着けない人は多いのだと。 であれば、なぜ、手だてを講じないのだろうか? 不思議である。 もう一点、このワークショップの主催者レベルでは問題なく広がったとしても、その次の段階になると、何かが変質していくだろうね。と。本質に迫ることがそんなに簡単なら、苦労はないさ。 しかし、それはどのような変化なのだろうか? いわゆるBad copy問題だが。 とそうこうするうちに、ふたたび、リフレクションは流れていく。 「三人寄れば文殊の知恵にするためには、課題設定が必要だ」ということだ。 課題にアプローチするための「分析の枠組み」があるとなお結構。 何を課題にし、どのような手だてをすれば、あの三人の立ち話から、文殊の知恵が生まれただろうか? アクティビティを考えてみた。 【アクティビティ・アイデア】 1. Japanese audience is very polite and obedient, so it is very difficult for the facilitator to see whether they really in to work or not. Categorize the participants who look like they are into the work, but not really, and discuss the additional support according to different category. 日本の(と書くのがいやで、英語にしてみた)聴衆は礼儀正しく従順なので、ファシリテーターから見て、作業に入れているのかどうか判断するのが難しい。 作業に入れ込んで居るように見えていて、実は入れていない、入っていない参加者をタイプによって分類し、それぞれの分類に対する手だてを考えよ。 2. Why dissemination involve "bad copy" problem, always? Categorize the patterns of "what causes "bad copy" and discuss the additional support for thinking. なぜ、拡散には「コピーの劣化」問題がいつも絡んでくるのか? 何が「コピーの劣化」を引き起こすか、原因をいくつかのパターンに分類し、それぞれに対する手だてを考えよ。
by eric-blog
| 2014-11-01 12:16
| ☆アクティビティ・アイデア
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