持続可能な未来のための教育と人材育成の 推進に向けて
平成26年(2014年)9月 11 日 日本学術会議 フューチャー・アースの推進に関する委員会 持続可能な発展のための教育と人材育成の推進分科会 この提言は、日本学術会議 フューチャー・アースの推進に関する委員会 持続可能な発 展のための教育と人材育成の推進分科会の審議結果を取りまとめ公表するものである。 このメンバーを見て、愕然としませんか? 東京都議会のヤジ問題を笑えるのだろうか、この人たちは? ■ERIC News404 ESDツリーニュース(環境教育ニュース)第91号 2014年9月21日 ライターのUさんが、一読されて、以下のようなコメントをニュースに書いておられます。 白露。第四十五候、玄鳥去(つばめさる)。ぐずつき気味の天候も落ち着いてき たよう。隣接する小学校では運動会、少し向こうの女子高では文化祭。木立を通し てにぎやかな声が聞こえます。 つのださんから情報を頂いた学術会議提言「持続可能な未来のための教育と人材 育成の推進に向けて」を読んでみました。普段なじみない用語につっかえながらも、 生涯学習部分についての記述に注目してみました。 「持続可能な未来」に向けてのねがい、展望が防災を意識した環境問題、そして日 本に限られた領域にとどまっていること。問題解決に取り組むための人材育成に向 けての提言とはいえ、相互依存や多様性といったグローバルなの概念への広がりが みえない。そして生涯学習部分についての提言については『市民の科学』を評価し ながらも、コーディネーター、ファシリテーターの育成を地域の博物館や科学館が 担うべきという提案については大いに議論のあることと思われます。 全体は、1.作成の背景 2.現状及び問題点 3.提言 そして用語の説明、 参考文献、参考資料の全24ページからなります。 一読して、生涯学習部分についての記述から気になったところを記します。 1)「作成の背景」について 国連による「持続可能な未来のための教育の10年」の一区切りをむかえ、本提言 は、SDの実現に向けての多くの研究成果にもかかわらず、さらなる地球環境問題の 深刻化にあるという認識がまず示されます。そのもとでフューチュア・アース構想 をもとにしての研究体制の再構築、その推進に向けての現状認識と問題、そして あらたな提言を提起することにあることが記されます。 フューチュア・アース構想なるものへの理解が全く欠けていますので、論評を 差し控えますが、たぶん、防災を意識しての環境問題に焦点化されていることは、 それと関係するのでしょうが、PLTや英国のESD議論に見られる、多様性や相互依存 などへの言及がないことに疑問が残りました。 2)現状認識と問題 初等・中等教育、高等教育、生涯学習のそれぞれについて現状認識と問題点が示 されますが、生涯学習に関する認識と課題について記すこととします。 2-1 生涯学習についての現状認識と課題 「ESDは、初等、中等、高等教育はもとより社会教育まで、生涯学習としてすべ ての人々が、生涯のさまざまな段階で参加すべきもので…内容は、教科間で、… 対象者間で、相互に連携をとるべき(ながら)…連携は十分でなく…」と現状認識 が示され、(1)地域コミュニティの初等・中等教育への参画。(2)地域課題の 相互交流を通じた能力開発、(3)初等・中等教育、社会教育、高等教育の連携、 の3つの側面での問題が記されます。 (1)について、以下のようなことが記されます。 地域の課題を教育に含めることについて「総合的な学習の時間」、理科、社会、 家庭科などに広がりをもち、学術会議は学校内外のさまざまな活動と環境教育の 関連性をとりいれたカリキュラムの相互調整する専任教員、あるいはコーディネー ターの設置を提言するもののほとんど実現されていない。そして、 「地域社会は多様で豊富な人材を教えてとして、また地域自体を学習の場として 提供することができる。これは小・中学校、地域社会の双方にとって有益である。 しかし、…交流の取りまとめは本来地域の行政が担うべきであろうが、…複数の 所管にまたがる内容となっているため容易でない」。 (2)については 個々の地域における、企業CSRとしての環境教育計画、NPOによる活動、その取り まとめ役としての自治体など多くのシーズが存在するものの、一方で「…それら 取り組みの多くが、単発的で一過性になりがちで…地域に根付かないという指摘… 自己完結型となり、多様な主体との連携へ拡大していかない…」という認識。 そして地域の課題解決に向けた多様なステークホルダーによる協働の取り組みを 推進するにあたってのコーディネーター、ファシリテーターなど実践的人材の育成 が課題なるといいます。 そして(3)について 「いわゆる『市民による科学』は、主に初等・中等教育や社会教育に取り入れられ てきた。…このような子どもの科学的営みへの参加は、初等・中等教育における 『理数科離れ』に象徴される日本の科学教育の課題解決に資するとともに、児童 生徒の科学リテラシーの向上に役立つものと思われる。また、社会教育分野におい ても…地球市民を増やすうえで役立つことが期待できる」と評価されます。 生涯学習、いわゆる社会教育分野におけるESDへの取り組みの現状に関する認識 は、ほぼ共有できるものと思いました。。 3)生涯学習に関連して提言 最後に「生涯学習のための地域内連携とステークホルダーの参画の推進」として、 (1)地域コミュニティの初等・中等教育への参画の推進、(2)科学館・博物館を 活用した地域密着型の能力開発の推進、(3)生涯学習のための初等・中等教育、 社会教育、高等教育の連携、の3項目にわたっての提言が示されます。 (1)の初等・中等教育への参画の推進については、学術会議の提言として示され た専任コーディネーター教員の設置を進めること、そしてこれら人材をフュー チャー・アースの基本的理念である共同デザインに沿うものとして、協働してカリ キュラムを創り出すステークホルダーとして位置づけることを提起します。 (2)についての提言は、地域の生涯学習機関の場としての科学館や博物館の位置 づけ、そしてコーディネーターの育成と実践を担う機能としての提言がなされます。 すなわち「…地域における様々な課題解決の取り組みは、行政やNPOが推進してい る場合が多いが、環境問題や地域課題の場合、関連する多様なステークホルダーが 集まる場として、地域の科学館や博物館が果たしうる役割が大きい」として、こ れら施設の位置づけが提起されます。 さらに、ステークホルダー間の相互理解・合意形成を進める上での人材(ファ シリテーター)育成についても「科学館は本来ステークホルダー間の連携に研究者 を組み込むという機能をもっているので、それが中心となって研究機関や科学館 などのネットワークを構築しながら、ファシリテーターの育成に当たるべきであ る…」と提起されます。 博物館、科学館の生涯学習機関としての位置づけはともかくと、コーディネー ター、ファシリテーター育成という機能を担うことへの提言は、これら施設、 学芸員など担当者を思い浮かべる限り、はなはだ疑問に残るところ。ERICをはじめ、 ファシリテーター育成に関わっている団体にとっても大きな課題になるように思 いました。
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| 2014-09-22 14:16
| ○子ども支援・教育の課題
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