コリアン世界の旅
野村進、講談社文庫、2009
単行本 1996
2241冊目
1996年には考えられなかったこと。韓流ブーム、韓国名の韓国読み。
新井英一の「チョンハーへの道(清河)」48番曲が初めて歌われたのは1995年。
その年、日本レコード大賞アルバム大賞を受賞。464
在日だと名乗らないまま、多くの在日朝鮮人・韓国人が、日本社会では活躍している。それらの人々を多数取材。
そして、世界で生きるコリアンたちをたずねる旅。
阪神淡路大震災、神戸市長田区に生きるコリアンたち。そこには関東大震災のときの惨事はなかった。助け合い。
一言では語れない姿を、見せてくれる。
1965年、マルコムXの暗殺に刺激された白人と黒人の衝突は、黒人居住区から、ユダヤ人イタリア人といった「ミドルマン・マイノリティ」を去らせた。193
その空隙を、教育程度が高く、かつ資本力のあるコリアンたちが埋めた。
高史明の思想の深さに、著者は言う。
「私たち日本人の側は、この水準にまで達した思想を生み出してきたのだろうか。」と。374
『恨の心を越える心』
「忍耐する自分を忍耐する」
民族をいつか「越えるべきもの」としたとき、初めて団結や統一は良い方向にいく。
「血のつながりが人間の生存そのものを脅かしかねないようになってきている」
「民族主義」は「えな」につながるだけに根深い・・それは支えにするものではなくて、克服すべき課題。」373
同胞ではなく、同朋、と高は言う。