差別の現実に学ぶ外国人教育実践

差別の現実に学ぶ外国人教育実践
公益社団法人 全国人権教育研究協議会、人権教育実践ブックレット2、2014
2226冊目

稲垣 有一さんからの寄贈本。ご本人の一文が載っている。
1. 同和教育が切り拓いた多文化教育

「同和教育実践・運動が切り拓いた大阪の《多文化教育》—大阪における《在日韓国・朝鮮人教育》実践史から--」p.8-34

歴史を知る人によるすばらしいまとめである。1970年代の同和教育実践・運動が《在日韓国・朝鮮人教育》を大きく転換させた四点について、まとめている部分を紹介する。16-

第一は、在校韓国・朝鮮人児童生徒が、韓国人・朝鮮人であることを隠さざるをえないところに根本的な問題がある。・・・差別される現実がある・・・隠そうとする姿勢から、さまざまな人間的歪み、行動の歪みがでてくる。韓国・朝鮮人という事故認知と、日本人として生きようとする志向・・・同化をすすめることは、・・・この矛盾を深めさせるばかりである。
韓国人・朝鮮人として公然として生きることの洗濯と決意を促し、励ますこと

第二は、互いに知らないことから在校韓国・朝鮮人児童生徒同士がバラバラになり、孤立してしまう。人間は、人と人とのつながりのなかで育っていくものである。・・・朝鮮文化研究会という自分たちの場

第三は、韓国人・朝鮮人としての誇りを持つことのできない教育内容が、日本の学校では支配的である。・・・韓国人・朝鮮人としての「肯定的自己概念」を育てることのてせきる教育内容の創造

第四は、「同化」を強いる日本の社会構造のなかで、在校韓国・朝鮮人の児童生徒の多くは、韓国人・朝鮮人としての生活圏や教育圏から切り離され、生活している。だから、在日韓国・朝鮮人として活動している「世界」と接する機会を多くしていくことは、在校韓国・朝鮮人児童生徒が韓国人・朝鮮人として生きるよう励ます力になる。

「教育内容」についても、見直しが求められた。ポジティブな文化体験ということで、韓国食文化に触れたとしても、「嗜好を満足させる」だけの学習になってしまう。歴史学習は、教材化についての課題を残し、現在に至っている。20

韓国・朝鮮人との関わりにおいては
・反植民地主義のために民族主義を原動力としてきたこと
・日本政府の差別的処遇、日本社会に存在する差別意識とたたかうために、民族意識が強められてきたこと

アイデンティティとは、アイデンティティの強制からも自由を求める実践でなければならない。21

自己決定する過程が軽視されてきたのではないか。

著者は、日本の学校教育は『ヒト』の国際化に失敗してきているという。「同化と差別」の歴史しかなく、「在日韓国・朝鮮人の子どもたちが姿を現した1920年代以降、日本の学校は、彼らに日本語の習得や、日本の学校文化に「慣れ」ることを強要しこそすれ、彼らが身につけていた文化に「寛容」になれなかった歴史を持っている。さらに、彼らの人権に対しても無関心であり続けた。22

トックをふるまうという実践から、著者はこういう。大賛成だ。

『ヒト』の国際化をめざした多文化学習とは、多様な暮らしぶりをしている諸民族・諸外国人も、自分たちと同じようなことに喜び、同じようなことに苦しんでいるといった人間としての普遍的なことを知り、困難を乗り切るために努力していることを知り、「人間」としての紀要痛点、普遍性を「発見」していくことではないだろうか。28

最後に、提案としてまとめられていることは
○文化並列的なカリキュラムではなく、カリキュラム全体にさまざまな文化からの視点を入れていること。
○児童生徒が資料を調べ、議論し、考え、発表する。
○学校全体の環境を通して「文化の多様性」に触れること。学校の「隠れたカリキュラム」を見直していく。
○多様な文化的背景の教職員がいること
○児童生徒の「肯定的自己認識」「対人関係能力」を育てる視点を明確にすること。


参考文献にERICの『わたし、あなた、そしてみんな』および『いっしょに学ぼう』をあげていただいており、ありがとうございます。
[PR]
by eric-blog | 2014-05-30 16:35 | ■週5プロジェクト14 | Comments(0)
<< 低線量ひばくから子どもの未来を... 八尾市人権協会「私たちには夢が... >>