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神去なあなあ日常・夜話

神去なあなあ日常・夜話
三浦しをん、徳間書店、2009、2012
2212冊目

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林業の楽しさを物語で、と見出しに言う。高校卒業と同時にとある1500ha以上の森林王が経営する林業会社に、体験入社させられてしまった青年が、体験する林業の世界、山の神様の世界を描き出している。

林業は、わたし自身も山仕事ボランティアをやってみて、いま、女性が進出しているのがよくわかる気がする。力の使い方次第なのだ。

しかし、この物語では、山仕事はもっぱら男。そして何とも酒豪な女たち。

47年に一度のオオヤマヅミさんのお祭りの描写は圧巻だ。樹齢1000年を越す巨木を、40人の男たちがその上に乗ったまま、修羅と木馬道を使って郷まで一気に滑り落ちて行くのだ。ヒャッホー!

『舟を編む』についで、この本も映画化されている。なんか、わかる気がする。人物描写よりもストーリーと関係性描写が中心だからね。

WoodJob! というタイトルがいい。予告編で見る限り、映画はずいぶん違うね

http://www.woodjob.jp/

辞書といい、神事といい、作家は「秩序」を生み出す作業が好きらしい。秩序は暴力である。秩序の生成過程で生まれる暴力に対する想像力を封じ込めてしまうのが、「よそもの」と「女」であるのが、巧妙だ。

どの家の墓石も同じ大きさであるという墓地の描写と、圧倒的に血筋で決まっているムラの秩序の現実によって、墓石の華美さの無意味さを強調しているだけだ。

でも、修羅滑りのシーンが映画にあるのなら、そしてそれがTRICKみたいなCGではなく、わたしの想像を超えるようなものなら、見てみたい。そんな金はかけていないだろうけれど。

無批判に、一生懸命に適応しようとがんばる「余所者」「若者」の、日常。結婚は地域へのパスポートだ。
by eric-blog | 2014-05-20 07:44 | ■週5プロジェクト14
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