認知症を予防することば遊び回想法

認知症を予防することば遊び回想法
ときわひろみ、雲母書房、2009
2204冊目

著者は紙芝居作家であるという。

どういうインストラクターが存在するのか知らないのだけれど、この本は「インストラクター」と呼ばれる人々に向けて書かれている。たぶん、高齢者向けのデイケアなどの活動をすすめる人のことかなと思う。

いま、時々、義母のところへお邪魔している。若干、自分が何をしようとしていたかの意図の維持が難しく、また、やろうとしていたことが混乱して、へんてこりんなサラダが出来上がったりするような、トンチンカンが起きている。

でも、兄弟姉妹の中では、わたしがもっとも年齢が近く、かつ、なんだか昔のこともよく知っているので、実は話がいちばん合うようなのだ。昭和30年生まれというのは、まだ戦前の色を親たちから受け継いでいる世代なのかもしれない。

この本は、高齢者の方との共通の話題など皆無の世代が、共通の話題を持つためのネタ本と言えば、いちばんわかりやすいか。何より、しゃべることが認知症の予防には一番で、彼らがしゃべりたがることは昔のことなのだ。いまのことを論理的に分析したり、考えたりすることは、疎くなる傾向があるのだから。

それらのネタを、筆者が高齢者の方たちとの会話から拾い出し、整理したものである。

○物語、昔ばなし
○教科書や唱歌
○子ども時代のことば遊びや替え歌
○教育勅語など、覚えさせられたもの、暗記もの

おもしろいと思うネタもあれば、こんな話題を、なんの痛痒も感じずに、共有することができる世代が、いま、介護や支援にあたっているのだなあという感慨を持つものもある。わたしは、自分の中に生まれる拒否感、反発を感じずに、文章を口にすることはできないものもある。

義母は、和菓子ぎらい、抹茶嫌い、日本的なもの嫌いが徹底している。昭和10年生まれ。

日本的なるものは、消え去りはしなかった。重層的に戦後や洋風生活様式が重なり、わたしたちのいまのライフスタイルの実態を作っただけだ。昨今の「クール・ジャパン」でリバイバルを果たした日本的なるものが、いまの安倍政権人気を支えていると考えるのはうがち過ぎだとは到底思えない。

そして、からだ感覚での反発を感じることのない世代が、無批判に、戦前の言説にさらされていく。そこから影響されることがないとは、誰も言い切れまい。教育勅語がブームになり、再評価されるのだから。

戦前、挙国一致体制、国民皆兵の実をあげられるようになったのは、道徳教育による感化の成果でもあったのだから。

いまの80代90代の回想で、20代30代の孫の世代が育てられて行く。隔世遺伝である。

そうそう、この世代の人々には「憲法前文」は出てこないようなのだ。本には収録されていない。

次の認知症予備軍世代は、何を「ことば回想法」のよすがとするだろうか。

そして、わたし自身は? 憲法前文は、覚えるようなものではなかったなあ。誰かが、「自民党の改憲案より、いまの憲法前文の方が格調高いよね」と言っていたが。そんなに読み込んでんだ。

そんなことを考えさせられた。一言で言って、「気持ち悪い」本なのである。

国民が画一的に「覚えさせられる」、学校教育で均質化され、戦争にかり出された世代の「強さ」が気持ち悪いのである。

たぶん、わたしの世代には、そのような「記憶」はないので。
そして、画一的で、一方的で、知識や暗記中心の道徳教育が復活するとしたら、その「強さ」もまた、「気持ち悪い」のである。
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by eric-blog | 2014-05-11 08:36 | ■週5プロジェクト14 | Comments(0)
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