政権交代を超えて 政治改革の20年
御厨貴、牧原出、佐藤信、岩波書店、2013 2198冊目 同時に読んでいた本もあるが、60代、40代、20代の政治学者らが、9人の政治家に対するインタビューと、三人の間の討論と、それぞれの論文で構成されているこの本を中心に紹介しておこう。 首相支配 – 日本製時の変貌、竹中治堅、中公新書、2006 政権交代と政党政治、飯尾潤、中央公論新社、2013 ■政党政治の混迷と政権交代、樋渡展洋、斉藤淳編、東京大学出版会、2011 http://ericweblog.exblog.jp/19709441/ ■安倍政権と日本政治の新段階 新自由主義・軍事大国化・改憲にどう対抗するか、渡辺治、旬報社、2013年5月25日 http://ericweblog.exblog.jp/19214752/ ■「戦後」と安保の60年 同時代史叢書、植村秀樹、日本経済評論社、2013 http://ericweblog.exblog.jp/19419826/ ■政権交代はなぜだめだったのか 甦る構造改革、田中直毅、東洋経済新報社、2012 http://ericweblog.exblog.jp/16964117/ 2009年の民主党政権誕生以来、2012年の自民党政権の復活をはさんで、政権交代についての議論が集約してきた感がある。それは、自民党の派閥政治という55年体制が崩壊し、2001年体制と竹中さんが言う首相支配の政治へと転換したということ。 その引き金になったのが、政党助成金と小選挙区であることは、どの本でも共通している。小選挙区によって、政党公認候補が一人しか立候補できず、その公認と政治資金の配分を決定できる党首の権限が強まったということである。 首相支配の強化によって作り出されたのが、省庁再編、郵政民営化などの流れである。しかも、その首相は、「劇場型」による国民の人気を背景にしている。 首相支配によって小泉政権が成し遂げたことは郵政民営化であったのだが、一方で財政再建のための緊縮財政を徹底した。 いま、安倍政権が首相支配力を背景にしかけている「一点突破型」政策が「戦後」からの脱却である小泉改革とは異なり、「国家イデオロギー」政治価値について、突破しようとしているのだ。しかし、首相支配が国民の人気を背景に可能であるために、安倍政権は、経済対策を飴として、人気を維持しようとしている。飴とムチというわけではないが、コインの裏表がそこにある。 御厨氏は、党内に敵なし、党外に敵なしの安倍政権が「タイムスケール」で政権運営をしていく中で、国民的人気を煽り続ける以外に道はないとする。166-168 2015年「戦後」70年 2020年 東京オリンピック、「戦後」75年、明治以来敗戦までの77年に迫る 2021年 東日本大震災後10年 一方で、若い政治学者の佐藤氏は、政治に対する期待を低くすることで、国民との距離感を縮めることが大切だと、そしてそれは政治に対するあきらめでもあるという。202 いちばん感覚が近いのは牧原氏であるが、それだけに、新たな発見感覚がない。 民主党政権時代に「東日本大震災」からの復興の遅れを攻め続けた自民党であるが、果たせるかな、福島第一原発事故の収束も、震災からの復興も遅々としてすすんではいない。 何が戦後で、どこへ回帰するのか、その評価は、これらの本を書いている学者・研究者の見方は一致していない。わたしの見方と一致している人もいない。 政権交代から、わたしたちが学ぶべきは、「もっと政治化しよう」ということである。とりあえずは。その先に、民意を反映する政治家の選び方、首相支配によって成し遂げたい政治改革とは何かがあるように思う。
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| 2014-05-05 11:42
| ■週5プロジェクト14
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