民主主義の学校=実践編 タウン・ウォッチング「ポスター貼りの愉楽」
すべてがコンクリートで覆い尽くされている都会に住んでいると、いったいどれほどのコンクリートが、この日本に存在するのだろうかと調べてみたくなった。もちろん、都会に限らず「軍艦島」のような近代産業遺産もコンクリートの塊なのだけれど。 計算方法は、戦後のセメント生産量の積算を出し、セメントと土砂をまぜてコンクリートにする混合率を仮定し、ボリュームを計算。日本列島の面積で割って、厚さを求めた。 結果は、約3センチ。日本列島、ありとあらゆるところを厚さ3センチほどのコンクリートで覆えるほどの量が、国土にぶちこまれているというわけだ。 今回、「民主主義の学校=実践編」として、斉藤まさしスクール「市民の党」の選挙のたたかい方を四日間限定で体験してきた。告示日前の活動の柱の一つが「ポスター貼り」。地域に入り込み、候補者に対する認知度を高めて行くための重層的に重ねられて行くいくつかの手立ての一つである。 そのポスター貼りのために地域を歩きながら思い出していたのが、先の数字だ。 というのも、今回のポスターは、布製両面テープによってプロック塀に貼るもの。大きさB2(515×728) 。縦ブロック4枚、横ブロック2枚に収まるサイズである。ブロック塀に直貼りすることで、箇所数を稼ごうという目論みである。 わたしが計算したコンクリート使用量積算に、これらのコンクリートブロックも入っていたんだあ。家を建てる土地の基礎囲いに、塀に、隣との境界線に、小屋掛けにと、多用されている。愛い奴、ブロック。 区割りされた地域を、住宅地図に従って歩き回っていると、その「ブロック塀」そのものが、地域性や地域開発の歴史を表していることが見えてくる。 最新の住宅団地開発には、ブロック塀はない。オープンカーポート方式の、塀のないレイアウト。フェンスのみで隣と仕切られている。その様を見せつけられると、急に「ブロック塀」がみすぼらしく、旧弊に見えてくる。ファッションやデザインってそんなもんだ。 さきほど言ったように、ポスターは縦4枚のブロック塀がなければ貼れない。よくあるパターンは3段積みに植え込みやフェンス。フェンスであれば、フェンスの横桟に貼る形でお願いする。植え込みはアウト。ブロック、もっとがんばれ! と言いたくなる。 しかし、暑い鹿児島で、ブロックに囲われた家は、確かに不合理だ。隣の家の風通しにも影響する。また、輻射熱量も大きい。一時流行したブロック塀が廃れているのも、宜なるかな。歩き回る方としても、よかった、これがまだ4月で。 いずれにせよ、貼れそうだなと思う家は全体の1割程度でしかない。車通り、人通りの多い好立地にあるものとなれば、さらに少ない。さらなる問題は「これぞ! ブロック塀のアートだ!」と心騒ぐ場所を見付けても、1. 人がいない。2. 断られる。のが落ちである。 800メートル×800メートルの住宅地図をくまなく歩き回って、100軒近くに声をかける。7割がた不在。20から30軒、お話しすることができて、1割から2割の人が貼ってくれる、というところ。 地図を見て、どんなところかなあと想像を働かせる。住宅地図はかなり正確で緻密なので、読みが効く。家が敷地の奥にあるところはまず無理。全区画同じ大きさのところは横並び意識も強いのか、ご近所づきあいをおもんばかってか、これも無理。 ちょっと個性的な区割り、広い屋敷。なんていうのがいい。広いとは言え、おしゃれな外観のところはNG。 まずは車通りに面したところから歩き出す。通りを眺める。見渡す。ふたたび、地図を見る。さあ、行こう!読みとカンを試すのだ! 市民による政治活動というのは、地域のしがらみ、組織のしがらみ、関係性のしがらみ、社会的びくびく人間の行動様式から、一人ひとりを解放し、「民主主義」を掘り起こす活動なのだ。ブロック塀に貼られるポスターは、心の自由を謳歌する春色ピンクなのである。
by eric-blog
| 2014-04-14 08:39
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