日本の国際協力に武力はどこまで必要か
伊勢崎賢治編著、播磨益夫、デズモンド・マロイ、グンナール・レークビィック、高文研、2008
2169冊目
「日本は、日本国憲法の<前文>と第9条を組み合わせることによって、日本は「軍事大国」ではなく、「外交大国」になることができる。日本は紛争解決への戦略的プロセスを形作るのに、第9条がもたらす道徳的卓越性をもとに稀有の外交力を発揮することができると思う。」198
グンナール・レークビィック、ノルウェーの研究者が見る日本である。
残念ながら、いまのヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの状況は、雑駁な、しかし破壊的な、「問答無用」の誹謗中傷でしかない言語による攻撃にみるように、成熟した市民社会としてはかなり課題を抱えていると言わざるを得ない。
外交とは、歴史認識と共生の価値観、そしてコミュニケーションによって支えられているものだ。市民社会がしっかりと外交に信頼を寄せ、支援することなしに、外交力を発揮し続けることは難しいだろう。この本は、まさしく、そのことに対する問題提起である。
国連憲章に基づく「集団的措置」と「集団的自衛権」というのは、消防署員が火消しに行くのと、自分たちのまちの火消しをするというぐらい異なる概念である。そのことについての理解が、日本社会に欠けていると、播磨益夫さんは指摘する。
国連を通して、協力するのか、それとも米国の要請に従って派兵するのか。
あなたはどっち?