日韓の現代史と平和・民主主義に思う 両国の支配勢力の誤った歴史認識を超えて
韓勝憲、日本評論社、2013
2165冊目
多くの人が抗日しが、それ以上に親日をした人はどれほど多かったことか、と著者は嘆ずる。
「S牧師は、「天皇陛下の忠誠なる赤子として、ひたすら日本を愛せよ。日本を愛するためには帝国の国策に忠実に諄諄と協力突進しろ。これが私達朝鮮キリスト教に与えられた神様の命令だ。私はこれを確信する」5
1984年に書かれた一文である。
なるほど。
支配された側が「自主の道を守れなかった」ことをしっかり見つめようという。
「外国勢力に押され虐待を知られた痛みを考えてでも、同族同士で熱く愛を分かち合うべきだったのに、私たちは同族同士でもよほど残忍であった。」25
著者は、韓国の経験から人類が学ぶことができる普遍的な真実があると信じて、日韓同時出版に踏み切ったと述べている。
まさしく、その通りである。
国民国家という想像の共同体の、暫定的な指導者に選ばれているだけの権力者に、いのちをゆだねてはならない。自分自身のいのちも、いかなる他者のいのちも。