なぜ、いまヘイト・スピーチなのか
そして、とても重要な事態が、教育現場でも起こっている。 https://www.change.org/ja/キャンペーン/すべての教育関係者-教育現場における民族差別-ヘイトクライムを危惧する教育関係者の声明 「2013年12月13日、立命館大学の授業内で、学生有志が朝鮮学校を高校無償化の対象とするよう求める「文部科学省宛てのメッセージカード」を配布したことに対し、一ヶ月近く経った2014年1月10日、 立命館大学の学生と思われる者が、カードへの記入が強制であったかのような誤情報をツイッター上で流しました。その内容はインターネット上で広がり、便乗 した差別主義者が担当教員への誹謗中傷、ヘイトスピーチを 拡散するという事件が起こりました。」 強制だと感じるような指導であったのかどうか、これだけではわかりませんが、「社会的ビクビク人間度」が高い人であれば、強制だと受け止めるでしょうね。 ==================== なぜ、いまヘイト・スピーチなのか –差別、暴力、脅迫、迫害- 前田朗編、三一書房、2013 2163冊目 京都朝鮮学校襲撃事件 高校無償化からの朝鮮学校排除 水平社博物館差別街宣 アイヌ民族差別 沖縄に対する憎悪犯罪 この本に紹介されている事例だ。これを見ているとうんざりする。 しかも日本政府は、これらの差別を見過ごすことで助長しているだけではない。高校無償化からの特定の校種を北朝鮮拉致問題にひっかけて排除するなどというのは、教育を受ける権利を政治的な取引に利用する卑劣な態度であり、許されることではない。日本政府は自らが差別に加担しているのだ。日本政府のとっている民族差別政策を許してはならない。 さらには、子どもは、自分たちの文化的ルーツについての教育を受ける権利があることは、誰が考えても認めざるを得ないだろう。だからこそ、子どもの権利条約(児童の権利条約)にも明記されることになったのだ。条約を根拠に論陣を張るのもよいが、順番を間違ってはならない。主張がなされていたから条約に取り込まれたのであって、その逆などでは決してない。 確かに、教育は「適応」と「社会化」のために行うのであるから、特定の社会において教育内容が均質化することは教育が教育である以上、避けられない。しかし、その社会において、一人ひとりが生きるとき、その個人がどのような存在であるのかについてのアイデンティティは重要である。それは在日、沖縄、アイヌ、部落などのマイノリティにとって、より一層求められる。 アイヌ民族に対するヘイト・クライムについて阿部ユポさんは、言う。104 アイヌ民族に対する同化圧力の歴史を知らず、「アイヌは日本国民に同化したんでしょ?」と真顔が言う人がいるという。ヘイト・スピーチのほとんどが無知の羅列だ。 「学校の教育では、小中高、大学、教師になった先生もアイヌ民族の歴史は教えられていない。本当の歴史を教えるのは国家の責任です。 歴史を歪曲し、事実を伝えないのは犯罪です。」105 日本は単一民族社会ではありません。社会に存在するマイノリティについて、その歴史を教えることが共生のためには必要です。無知は、不当な蔑視や扱いを助長します。 不平等な条件にあるマイノリティを、平等に扱うだけでは、結果は不平等である。だからこそ、人種差別撤廃運動、女性差別撤廃運動は、積極的差別是正措置(アフーマティブ・アクション)を求めたのです。 その知恵は、人種や性以外のマイノリティに対しても、応用されるべきなのではないでしょうか。 沖縄の人たちが、オスプレイ配備に反対する行動を東京で行った時に、在特会、在特連、片山さつきが最高顧問である「尖閣諸島を守る会」なども含め、ヘイト・スピーチをプラカードにかかげて、集会を妨害しました。110-112 ヘイト・スピーチとは「売国奴は出て行け」「東京湾に沈めろ」などの攻撃的な表現のことです。議論不可能性と、恐怖による威嚇が含まれます。 そして、それは民主主義の社会にとっては犯罪であるはずです。 「憎悪と偏見と嘘に満ちた言説を支え、滋養を与え続け、唆しているのは、日本社会そのもの」30 他の国における憎悪犯罪についての法的規制が詳細に紹介されている。 権力の側が、都合良く踊らせていると思っていた勢力に、民主主義社会の根幹が食い散らかされていく。それはとりもなおさず、民主主義の劣化なのである。 ■ヘイトスピーチ 表現の自由はどこまで認められるか エリック・ブライシュ、明石書店、2014 特に、表現の自由、結社の自由と、規制との関係について、アメリカ、フランスなどの取り組みを紹介したもの。
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| 2014-02-17 18:01
| ■週5プロジェクト13
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