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日本軍に捨てられた少女たち インドネシアの「慰安婦」悲話

日本軍に捨てられた少女たち インドネシアの「慰安婦」悲話
プラムディア・アナンタ・トゥール、コモンズ、2004、増補改訂版2013
2161冊目

『人間の大地』四部作などでも知られるインドネシアの大作家による本書。それに対してノルウェー作家連盟は「自由と人間の尊厳」を表現しているとして賞を与えた。あとがきに、そのことを79才の著者が知って、涙したことが描かれている。

本人も政治犯として送られたブル島で出会った元慰安婦だった女性たち。実は、1943年に日本軍によって徴集され、連れてこられたまま、島で35年を生きてきた女性たちだったのだ。

日本軍は、巧妙に、日本に留学させるなどのうそをついて、少女たちを誘った。あるいは軍に取り入るために差し出した親や地域の有力者もあるという。

「あの苦しみを決して忘れない、そして伝えたい」と、鈴木隆史さんは言う。
「許してほしい、家に返してほしい」と相手の足にすがりつき、足に口づけしてまでお願いしたのに、その日本兵は私を蹴飛ばしたのです。」
彼女たちに、いまの日本での議論は、どのように届いているだろうか。

改訂版の出版に感謝である。

「私が集めた資料だけではまだまだ不十分ですが、将来、みなさんの努力で、よりの信憑性のある新たな資料が発掘され、日本軍の蛮行が白日の下に晒されるよう願っています。そうなれば、日本軍占領下のジャワ島で少女たちが被った不幸の元凶である日本軍の行為をみなさんが拒否する、明確な意思表示となります。みなさんは、民族の犠牲となった少女たちと同じ辛酸を味わいたくないでしょう。」p.43-44

「少女たちが味わった苦しみはさまざまです。人間の感情を激しく揺さぶるほどの苦しさ。しかし、日本軍はこの苦しみを思う感情をもってはいませんでした。」p.45-46

Transnational History さんが、かなり詳しく、史資料をまとめてくださっています。

http://d.hatena.ne.jp/dj19/touch/20121213/p1

これ以外のページも素晴らしい。
by eric-blog | 2014-02-17 08:50 | ■週5プロジェクト13
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