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なぜ少数派に政治が動かされるのか? 多数決民主主義の幻想

なぜ少数派に政治が動かされるのか? 多数決民主主義の幻想
平智之、ディスカバー21、2013
2160冊目

今回の東京都知事選挙であきらかなことは、投票率46%の得票率40%程度、すなわち16%の支持で、東京都知事が決まったということだ。それは、何度も言うが、衆議院選挙、参議院選挙における自民党の勝利も同様だ。

それだけでも、多数決民主主義は幻想だと言える。

それを牛耳っている少数派の正体の一つを、著者は「原発ムラ」を例にとって明らかにしている。

原発ムラは、電力会社、プラントメーカー、原子力業界団体、経済産業省、研究者、マスコミなどに、その家族を入れてみる。著者はそれを70万人と見積もっている。1億2000万人の0.6%だ。

禁原発は可能だ。立地自治体への交付金の継続+核廃棄物の処分費用+廃炉費用を試算してみる。国民一人当り1498円。原発発生直前の国民負担2496円の6割で禁原発は達成できる。27

利権というのは、限られた少数の者が富を分配する構図の上に成り立つ。その構図を守るためには彼らは全体最適など決して望まない。全国津々浦々鵜の電力会社など好まない。36

戦前には500社にも及ぶ電力会社があったが、太平洋戦争開戦直前の1941年の配電統制令で全国が9は遺伝事業体制になり、戦後1950年にそれを地域ごとに一社ずつ10社にまとめ、いわゆる9電力体制となった。37

電力業界は、いまだに戦時体制を維持している。戦時体制だからこそ、原発を54基も造れたのだ。

天下りは認めないが、出向は認めるというのでは、事態は変らない。39

2012年の衆議院選挙の投票率は59.32%。当日の有権者数は1億395万人9866人。投票したのは6166万人9473人に過ぎなかった。40

官僚は、自分たちが造った計画を政治家に説明に行く。政治家は少し質問はするかもしれないが、計画そのものを出すことはない。それに対抗するNPOや団体は、バラバラなので、説得力に欠ける。

官僚主導の政策の出来上がりである。

ベーシックインカムや地方分権型の公共政策など、具体的な提案も含まれているが、上記のような官僚主導型意思決定にはばまれることになるのだろうなあ。

それぞれの法律に「なぜ」がない。それが官僚による小手先だけの改革を助長していると思う。なんのために、というのを、制度設計に徹底させること。それを運用においても行き渡らせること。

民主主義と人権、環境。ESDの理念を点検の視点にして政策をすすめる。

そんな人材育成はできないのだろうか?
by eric-blog | 2014-02-16 07:53 | ■週5プロジェクト13
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