戦い済んで日が暮れて その3
投票率が驚異的な低さの40%で終了した東京都知事選挙。歴史的な大雪の次の日であれば、仕方ないというところか。ともあれ、大雪の中でも出かけた、この層が、これからの選挙でも基盤になるということだ。 小泉劇場型効果は、少ないとみて、分析してよいのだろう。脱原発派の60%が細川陣営に投票したということは、脱原発右派がそれだけいるということだ。 今回はっきりしていることは、「確信犯的投票者」の基盤は、やはり組織票にあったということ、しかし、テーマ型コミュニティにつながる市民的投票も、つねに20%程度はあるということ。 そして、なんとも残念なのが、政党と市民活動のハイブリッドが、まだまだ弱いということ。そして、それに対する信頼感も、ないということ。K党が支持しているからUMYではなく、細川なのだと、宮台シンジさんは、はっきりと言った。 わたしは宮台シンジさんの発言をしっかり分析しなければ、これからの脱原発運動の推進はないと思う。 そのことに対するUMY陣営でのふりかえりや問題提起は、今日も、事務所で聞くことはなかった。みんな、思考がたこつぼなのだ。これでは次も勝てない。 いま、ボランティアへの感謝を口にするのは、そうだろう。 いま、追い上げてきたことを、評価するのも、いい。 前回よりも伸びたと、喜ぶのも、許そう。 しかし、その延長にトップはない。 K党ではトップを取れない。しかし、K党の貢献は大きい。そこに市民派との共闘ができない限り、UMYさんはトップを取れない。 具体的なK党の貢献とは、こうだ。 ・地域ごとの確認団体に、勝手連がなれたところもあるが、例えばK区では確認団体はK党が中核だった。 ・電話番号簿による悉皆電話掛けを個人の電話番号から行うことは、ハードルが高い。特に、女性ボランティアの場合、やってはならないことだと言うこともできる。電話をかけた時に「オレ、奥さんいるから」とか言われることのゾゾゾ感を、あなたは想像できるだろうか。確認団体の政党活動事務所が、身近な電話掛けの場になるのだ。わたしの場合は、一週間、使わせていただいた。 ・政党ごとに持っている「名簿」の存在も大きい。K党員は、みんな名簿を持っている。それぞれの党がどれほど票を固められたかの分析が出るはずだから、見てみるとよい。 ・普段から、駅前街宣を区議として、あるいは都議として行っている。それは、政治屋で通った「みんなの党」などとの大きな違いだ。 ・2/7金曜日の、一斉駅前街頭宣伝が実現したのも、K党の貢献は大きい。 自民党の強さを「義理・人情」だと分析している甘さも、ネックだ。 東京のような大都会で、なぜ自治会の会長の言う人に投票するのか? なぜ自民党から言われたからと、自治会会長が支持候補者を決め、それを自治会の人に伝え、それに従って人が投票行動をするのか? それを義理人情で説明してしまう甘さでは、そこを動かせない。 K党とKM党は、対象としている層がかぶっているという。「弱者」「地域で困っている人」に寄り添う姿勢がそうなのだろう。 両方とも、これ以上は伸びないのだ。 市民と既存政党の緊張感のある協働のかたち。それは、自立した個人の動きによってしか成立しない。 小泉さんは言った。「過ちてはすなわち、これを改めるにはばかることなかれ」と。 わたしは、小泉構造改革を、そして、靖国参拝を、そして、米国に対するあの追従を、忘れることができなかった。彼は、それらを「改める」とは一言も言わなかった。小泉・細川陣営が改めたのは原発についての姿勢だけだった。 そこを改めずに、いま、沖縄の声に答えることはできない。沖縄に向き合わずに、創造的な日本の未来像は、描けない。 湯川れい子型環境保護派がおり、宮台シンジ型市民運動カムバック派がおり、 原発を残しては死に切れないとがんばる老兵達がいる。 たばねることも、まとめることも、合意することも、できるわけがない。 UMY事務所に、火炎瓶てつさんが居た。座間宮ガレイさんがいた。勝手連がいた。たぶん、小泉・細川陣営よりは、まとまっていたのだろうと思う。100万人という票は、このまとまりが生み出しているのだ。 岡目八目、分析しているだけで気楽なものだが、脱原発のリーダー達がすべった今だからこそ、一人ひとりの市民が動こう。 甘利さんが言った。「アベノミクスは成功する。なぜなら、成功するまでやるからだ」。 市民運動に成功はない。市民として生きることこそが道であり、市民社会の実現なのだから。どっこい、東京に、100万人市民が生きているぜい。 動きましょうぞ。動かしましょうぞ。 山本太郎さんの選挙を手伝ったという人が「市民の党のやり方をもっと学ぶべきだ」と叫んでいたが、その声が選対に届くことはなかった。彼らも旧弊にまみれているだけの人たちなのだ。 次の選挙に必要なことは、確認団体や支持政党とのオープンな関係の構築だ。 ・確認団体の事務所やその他の資源を市民にオープンにする。 ・電話掛け、はがきの宛名書きなどの作業を、地域にある確認団体の事務所で、気楽にやれるようにする。 ・ポスター貼りやチラシのポスティングなど「区割り」で分担できることは、個人ボランティア参加型の祭りにする。 ポイントは、個人の動きと団体の動きのハイブリッド。 政党の側にも覚悟が必要だが、さて、それができるのだろうか。せっかくの経験値ではあるが、東京都知事選挙が4年後であれば、残念だが、UMYさんの目はないと思うのだが。 UMY事務所の仲間と、また会いたいなあ。壁の向こうの選対事務局は、知らないけれど、フッワークの軽い、協力の心が暖かい、フラットな、しがらみも、上下も感じさせない、いい感じの事務所だった。それを作っていたのは、確かに、一人ひとりであったのだ。 おーーい、支えていたみんなーーー、愛しているよおおお。 【東京都知事選挙について時系列での思い】 ・猪瀬さん、石原さんと会って、その後、辞職を決定。(退職金は1000万円) ・宇都宮さん、立候補を表明。前回97万票をとった実績に、積み上げられれば、当選すると確信。 ・共産党が支持を表明。するとツィッターに「これで民主党は乗れなくなった」というような内容が流れた。共産党の動きを批判する口ぶり。ばかばかしいと思った。市民派としての候補者であるならば、それぞれが候補者本位で支持を表明すればいいことなのに。 ・細川さんが立候補を表明。「脱原発を争点にしたい」というニュアンス。当選する気はないのだなと感じた。 ・緑茶会が、宇都宮健児さんを支持すると表明。しかし、宇都宮事務所のボランティアの間では、緑茶会などが細川支持を訴えていると聞いていると、意見が分かれる。メールで確認。支持しているというのと、分析が共有された。脱原発右派の受け皿と脱原発左派の受け皿は交わらない。と。 ・細川さんを支持することを表明する記者会見。鎌田慧さん、宮台シンジさん、湯川れい子さん、広瀬隆さん、柳田真さん、吉岡(ピースボート)さんが、それぞれの考えを表明。ばらばらだ。広瀬さんは、からだが、逃げていると感じた。湯川れい子さんは「動物的カンで、通る人」と支持の理由をいい、それを聞いて、わたしは「この人は貧乏人がきらいなんだなあ」と感じた。宮台シンジさんは、はっきりと「共産党が支持しているから支持しない」と、その理由を述べた。共産党は、自己中でうらぎる。と。その他の人は、「通る人」をと。97万票に上乗せすれば当選する候補者を踏みにじって、人気投票のようなことをするのかと、あきれた。吉岡さんは、「脱原発世界会議」の時に細川さんにも連絡したことがあって、今回も細川さん自身に「脱原発」の意思を確認したと、細川さん支持の理由を語った。 ・一本化を求める会だかなんだかが出てきたが、宇都宮健児さんと、彼を支持する政党を毛嫌いしている人々が、到底間に立って、努力するようには思えなかった。宇都宮さんに誰がどうアプローチしたのかも、わたしは知らない。誰もがしっかりと宇都宮さんに話すこともなく、記者会見を開いて細川支持を明確にしておいた上で、「一本化に同意しろ」というのはとても無礼だと思った。 ・特定秘密保護法についても宇都宮健児さんは、しっかりと動いている。鎌田慧さんが信じられない。落合恵子さんはこの段階では出ていなかったで、気になっていたが、後の記者会見では、出ていたなあ。 ・ 告示日直前まで、細川陣営からの公約は出てこなかった。準備不足はあきらか。こんな準備不足な候補者をおす人々の気が知れない。 ・告示後、街頭演説で、小泉人気が健在であることを実感。演説がうまい。細川のお殿様も、うまい。さらに、佳代子夫人。かっこ良すぎる。でも、人気投票じゃないんだ、この選挙は。市民参加による政治運動によって、政治的意思を表明することと、小泉型劇場政治は相容れない。三宅洋平さんのことばが染みる。100万倍も遠い。 ・田母神さんの街頭演説における選挙ボランティアの動きの良さについての高い評価が聞こえてくる。田母神さんの演説は、防災以外の政策は抽象的。三世代縦積み型集合住宅構想による「昔ながらのサポート」の復活はおもしろいと思った。本人もそう思ったからテレビ討論でも出したのだろうなあ。しかし、「家族主義」的な価値観の押しつけだけが残って、具体的には何もすすめられないのだろうなあと感じた。 ・宇都宮さんの演説は、華がない。選挙ボランティアには統率がない。しかし、それこそが魅力にできないものかと、思ったが、具体的にはそのことについては何もできなかったなあ。 ・その他、個人でできることをやろうと動く。 ・そういえば、細川さんの選対が馬渡さんという人だというのを聞いたときも、あきれはてたなあ。
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| 2014-02-10 08:41
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