Learning to Care:
Education and Compassion John Fien Australian School of Environmental Studies Director, Griffith University EcoCentre Professorial Lecture 15 May 2003 http://www.griffith.edu.au/__data/assets/pdf_file/0018/314613/fien03.pdf 日本語訳は三部に分かれています。 http://ericweblog.exblog.jp/18988625/ http://ericweblog.exblog.jp/18988628/ 互いにケアすることを学ぶ: 教育と慈悲の心 ジョン・フィエン 21世紀に入って、わたしたちは、すばらしいことを生み出すことも、破滅的なことをしでかすこともできることは明らかだ。自分たち自身の人生においても、お互いの関係についても、そして、地球に対しても、である。科学者たちですら、わたしたちに、地球規模の生き残りは、わたしたちの頭脳だけでなく、わたしたちの心にかかっていると言っているではないか。 わたしたちが、学び、持続可能な生き方をし、愛することは、わたしたちが子どもたちのために、より公正で、トラブルが少なく、持続可能な世界を作ろうとする時に直面する生態系と社会的な課題に答える唯一の道である。これは『成長の限界』出版以降の21年間にわたるフォローアップ研究の結論でもありました。この研究はMITのもっとも優れたコンピュータを使い、人口増加と資源の利用および汚染との相関モデルを探ったのです。 そして発刊された『限界を越えて』において、著者らは、わたしたちが持続可能な生き方や働き方を学ぶことができるかどうかは、自然科学、生科学、社会科学から学ぶ以上のことをしなければならないと指摘します。そこにこそ、わたしたちが環境研究や環境教育についての専門性を高めてきたのです。そして、わたし自身も、社会科学や教育学の理論によって、環境教育を通した社会の変化を理解しようとしてきた張本人であるのです。 わたしたちは、互いをケアし、愛し、地球をケアし愛することを学ぶためには、人間科学、芸術、哲学、倫理にも学ばなければなりません。『限界を越えて』の著者であるメドゥズらが書いています。「持続可能な社会への移行は、・・・技術以上のものを必要とします。成熟、共感、知恵もまた必要とされるのです。」 ここで、わたしはChet Bowerの教育に対する3つの批判を心に期しています。(a)生態的な必要を無視している; (b)ホリスティックな視点を取り入れることに失敗しており、そのために「からだと心」「個人と政治」「人と自然」を分割してしまっている。(c)合理的なクリティカルな省察を通した個人のエンパワーメントを至上のものとして、「霊的」なかたちの知識や経験やエンパワメントを無視している。 1993年に、わたしはBowersの批判に、環境教育に対するクリティカルなアプローチの立場から応えました。それは、このグリフィス大学の同僚やそのネットワークが共有している立場でもありました。第一の生態系的な必要を無視しているということについては責任はないと思いました。結局のところ、環境教育は、まだつぼみであったのです。例えば、ここグリフィス大学においては、わたしたちは環境教育のマスター・コースを作り、最初の博士号の学生を迎えたばかりで、やっと昨年、150人目の環境教育修士号を得た学生を送り出し、21人が環境教育の博士号を終えようとしているところであるからです。 しかし、わたしはBowersの二つ目と三つ目についての批判には、責任があると応えました。わたしたちが環境教育において個人的な変化を無視し、構造的な変化に焦点をあてていることは事実です。そして、そのことによって、わたしたちは個人と社会と生態系の健全さの間の重要なつながりを無視してきたのです。また、わたしたちが知る事、エンパワすることの霊的な方法を無視してきたことは、まさしくその通りなのです。 わたしは、その時、わたしたちが開発しつつある環境のための教育についてのカリキュラム理論は、不完全で、「もっと理論化、省察、行動、そしてさらなる省察」が必要だろうと、結論づけました。わたしは、「わたしたちが環境教育についてこれから考えるであろうことは何かというのは、いま問われるべき重要な問いである」と、そして「環境教育を通して個人的な変革と構造的な変革を統合する方法を座来ることは、これからのわたしたちの大きな関心事になるだろう」と論じたのです。 ですから、この論文は、10年来の挑戦に応える最初の、ずいぶんと遅くなった一歩なのです。これは、わたしがこの20年来教えてきた、そして研究してきた理論的枠組みを広げるものです。しかし、Julie Davisかせ博士論文で書いたことを引用しておきます。 「持続可能性という課題は大きすぎ、また、子どもや未来の世代にとっての意味は、環境教育者にとって厳しすぎるものであるので、彼ら自身の理論や実践を変えることに臆病になっているのです。」 グリフィス大学の近くで大きくなった人、あるいは住んでいる人は、「tram terminus」をご存知でしょう。現在はMt Gravatt Centralと呼ばれています。わたしが最初に「ケアする心」と「共感」について学んだのは、このTerminusにあるCongregational Churchの裏で行われた子どもたちのサービスを観たことからでした。この教会は、まるで村の教会のように小さく、いまはPhoto Continentalになっています。わたしはよく「Deep and Wide」という歌を歌うのに参加したものです。言っておきますが、wideと言った時に、歌のふりつけのふりをして両側の男の子たちをこづけることがたのしかったからではありません。そうではなく、歌のことばが、わたしに残っているのです。それがこの論文における二つの鍵となるメッセージとなっているのです。わたしはStan van Hooftが「深いケアする心」、互いを気にかけ、人間以外の自然を気にかけ、その心がわたしたちの存在の根底まで届いた時、「共感」が生まれるのだと。 わたしは、わたしたちが「ケアする心」をより大きな輪へと広げ届けていくについても話したいと思います。わたし自身をケアするだけでなく、わたしたちの家族や友人、わたしたちの共同体や国家、さらに、地球上のすべての人々、すべての創造物についてです。 わたしたちはどのように「深く、広く」ケアすることができるのでしょうか。どのように、そのケアする心を教育を通じて推進できるのでしょうか。特に、教育が世俗的なもので、教員たちが価値観がかかわる問題を、倫理的に専門性が保証される方法で行うには、どうすればいいのでしようか。そして、どのようにすればわたしたちは他の人々や自然に対する「深く、広い」感情的な関心を「ニューエイジ」的なもの走ることなく、推進できるのでしょうか。 まさに、「ニューエイジ」的なものに対する恐れこそが、多くの環境教育者を「ケアする心」と「共感」の問題に取り組むことから遠ざけてきたのです。グリフィス大学のフェローであったデンマークのBjame Bruun Jensenが論じたように、自然体験に基盤を置く教育は、二つのレベルにおいてロマンティックに逃避的であります。一つは、自然に対するロマンティシズムであり、二つ目は、わたしたち自身に対する内政的ロマンティシズムです。それらのいずれもが環境問題を効果的に解決することはできません。論者はさらに続けて「そのような活動は・・・他の目的に対しては価値ある活動であるかもしれない・・・[しかし]それらの教育活動は、現在の世界における増大する不安と、いまも増えつつある行動paralysisのパラドックスを解消することはできない。」 JensenとJohn Huckleに加えて、わたし自身、環境教育において自然体験に基盤を置くアプローチは、人々が自身の共同体が直面する持続不可能性の根本原因に対する社会的政治的関わりとバランスされる必要がある」と述べてきました。 わたしたちは、自然体験に基盤を置いた学びは必要であるが、しかし、それだけでは、持続可能に生きることを学ぶには十分ではないと、論じてきたのです。しかしながら、わたしは、同様に、わたしたちの社会的政治的教育に強調を置くアプローチも、それだけでは十分ではないと、言いたいのです。 わたしは、このことを、持続可能な生き方のための教育の特徴をわたしがどのように教えているか、その特徴を示すことで、描写できるでしょう。わたしは、Midnight OilとWarrumpi Bandの”Black Fella, White Fella”の音楽ビデオを視聴するところから始めます。音楽を楽しんだ後、わたしは先生たちに環境教育の特徴を洗い出してもらい、次のようなリストを書き出します。 ・環境についての全体的な視点を持ち、自然と社会を結びつける。 ・人と自然の関係に関わる。 ・個人的な信念と政治的関与を含む。 これらのことはすべて真実ですが、わたしは、そこから環境教育者が彼らが説教することを実践することの大切さを強調します。それはピーター・ガレットがパーフォーマンスの仕事がないときには地域の組織のための活動を行っているようにです。しかしながら、わたしは、環境教育についての、この「必要だが十分ではない」アプローチに焦点をあてることによって、わたしはもう一方の側面を無視してきたということに気づきました。 そのために、わたしたちが環境教育が環境についての全体的ホリスティックな見方を取り入れているという時、自然と社会を統合しているという時、わたしたちが本当に意味しているのはどういうことでしょうか。環境教育が人と自然の関係にかかわることだという時、わたしたちが本当に意味しているのはどういうことでしょうか。これらの質問は、自然の特質、自然の中の一部としての人間の位置について多くの哲学的問題を提起します。そして、そのような課題は包括的な理論において、そして環境教育の実践において、どのような位置を占めているのでしょうか。 そして、わたしたちが環境教育は個人的な信念と政治的関与に関わるものだと言う時、それはどういうことを意味するのでしょうか。どのような信念? そして何に対する関与? NAAEEの前代表のボーラ・シモンズが指摘しているように、わたしたちのほとんどは「過度に単純化された視点」を環境倫理に対して持っていて、環境倫理を大切にする感性を育てると言った、「不明確な言語」で考え方やモラルを評定するために「必要とされる指導、許可、禁止」を欠いた対応をしているのです。 Nel Noddings(1984)が著書『Caring: A Feminist Approach to Ethics and Moral Education』で、環境教育のジレンマについて論じています。あるいはそれは教育そのもののジレンマかもしれません。それは、わたしたちの多くが、意識的にそして意図的に、若い人々に互いをケアし、他の生き物をケアし、自然界をケアするということを教えることに失敗しているのです。 「学校は環境問題に多少の注意を払っているが、人間をケアすることを発達させるために十分な取り組みをしてはいない。今日の学校で生徒は生態系や食物連鎖について、絶滅や生息地の保全について学びます。しかし、彼らが取り組む問題自体は、どこか遠いところに焦点を当てているのです。・・・彼らは、計測可能な変化を、時には小さな変化であろうとも、作り出すための洗練された政治的プロセスを経験することから学ぶということをしない。もし、生徒がそのやり方を知れば、小さな変化をいくつも起こして、大きな変化につなげていくプロセスを計画することもできるのです。 」 この段落で、Nel Noddingsは個人的な変革と政治的変革という環境教育の側面を何か平行する対抗軸のように見ることの誤りを指摘しています。著者は、それらが相互に関連づいていることを示しているのです。わたしたちは、行動したいと思うほどに「ケア」しなければならないのです。このことの中核には、「深く、広く」ケアする心があるのです。
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| 2013-11-18 17:47
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