NWG Where do I come from?
わたしはどこから来たの? 世界のさまざまな地域で、女性は多様なライフスタイル、関心事、心配事を持っています。 【アクティビティのすすめ方】 ここに紹介している5人の女性のプロフィールは、それぞれにかなり異なる人生を描いたものです。インド、ペルー、オーストラリア、ガーナです。それぞれのプロフィールを注意深く読んでみましょう。ここまでの活動で得た知識とプロフィールから得られる情報を元に、それぞれの女性がどこの国の人か当てましょう。その内、二人は同じ国に住んでいます。どの二人がそうであるか、わかりますか? 1.ベラ ベラは芦原のヨシのように細くて、二枚の布を縫い合わせた服を着ていますが、ずっと着続けているために、元の色が何色だったかもわからなくなってしまっています。彼女は、25歳以上には見えませんが、はっきりと自分の年齢を知りません。医者の家のお手伝いとして雇われていて、1日は朝6時から始まり、真夜中より早く仕事が終わることはほとんどありません。 仕事を始める前に、ベラは自分自身の家族のために水汲みをし、食事を準備します。雇い主の家では、彼女は掃除、選択、調理、ミルク絞り、子どもを学校へ送り迎え、子守りなど、数多くの仕事をこなします。夜には、彼女はたった一間の家に戻るとそこでもたくさんの家事が山積みです。「とても疲れています」と彼女は言います。こんな仕事に対して、彼女は月々70ルピー(8オーストラリアドル)給料をもらっています。ベラにとって人生は、終わりのない大きな歯車のようなもので、それは同じような境遇にある女性たちにとっても同様です。しかし、ベラは、それでも5歳の息子のために頑張っています。 ベラは夫、ジョンは怠け者です。「彼は気が向いたときだけ働くの。気が向かなければ、あきらめるだけ」と彼女は説明します。時々、彼は臨時雇いの口を見つけます。しかし、ジョンは仕事を選ぶのです。ベラは、からだと心を一つに保ために必要な収入を得るためなら、やれることならなんでもやるのに。 「わたしたち女性はダブルシフトで働いているようなものです。」と当たり前のような口調でベラは続けます。夫は家事を手伝わないのでしょうか。彼女はくすくす笑います。「いいや、指を触れさえしないね。彼の尊厳にかかわるからね。彼の友達にも笑われてしまうよ。家事女の仕事とされているからね。」 2.ルシア わたしはここで、夫と二人の子どもと一緒に10年間住んでいます。夫は金属工場で働いていましたが、家族を養うには十分ではなかったため、わたしも仕事を探して、いま、革のジャケットを作っている工場で働きだして9年目になります。工場は家から遠くて、仕事の前に子どもたちを保育園に預けていくために、朝早く起きなければなりませんでした。子どもたちは置いていかれるのがいやで、毎日泣いてばかりでした。でも、どうすることもできないじゃないですか。 ある日、ボスが家で働かないかと言いました。少し考えました。自分でミシンを買わなきゃならないけれど、子どものそばにいられるということですよね。そこで、外注者になることにしました。 内職になってから5年です。夫が、工場から材料の包みを毎週もって帰り、そして製品を納品します。わたしはパッチワークをしています。一着仕上げるごとに、10オーストラリアドルもらいます。コートだとそれに1ドル追加です。毎週130から150オーストラリアドルの収入があります。工場で働けば、220ドルはいくでしょう。これは不公平だと思います。でも、家で働いている分には、ボスに怒鳴られることはないですよ。製品を仕上げるのに急いでいるときに、月曜日に納品する数が多くなるときがあります。そうなるとわたしは週末も朝8時から夜11時まで働くことになります。それがなければ、わたしは平日だけ仕事をするようにしています。それでも40時間以上は働いていますね。 いつでも、自分が望むときに、休めるのはいいことですが、子どもと過ごす時間は多くはありません。子どもたちは綿をきったり、ジャケットを詰め込んだりなどの手伝いをしてくれます。そんなとき、わたしたちはちょっと話します。最近、わたしの背中の痛みがひどくなり、医者は仕事のせいだと言うのです。夫はもう仕事をやめて欲しいと言いますが、せんゲンツ、彼は失業しました。それで、わたしは働き続けることになりました。わたしが病気になれば、休業補償はありませんし、有給休暇もないのです。 3.ハディジャ わたしは39歳で、この辺りでは、かなりの高齢ということになります。13人の子どもを生んだことが多少なりともわたしをくたびれさせました。その内、6人が乳児のときに死にました。 わたしはこれ以上、子どもが欲しくないのですが、それは夫がそう考えてくれない限りは無理なのです。1日は6時から始まります。夫の仕事は農地で働くこと、そして薪を切り出すことです。農地では、彼は一族の女性たちに助けられながら、仕事をこなすのですが、彼女たちは家事もしなければなりません。水汲みと家事以外に、彼女たちは家畜の世話をし、子どもの面倒をみます。すべての女性は、当然のことながら、この仕事の分担を不公平だと感じています。しかし、夫のいるところに帰ってきたら、伝統にさからう勇気は持てないのです。わたしは、解決法は、なるべくたくさんの女の子たちに教育を与えることだと思います。そうすれば、わたしの孫の時代には、もっと公正になっていることでしょう。 4.ジュディ ジュディは6時半に起床します。サイモン(6)とメリー(2)と朝食をとります。たくさんの洗濯物をだし、メリーの着替えを手伝い、サイモンのが学校に行く準備を手伝います。 8時15分。お隣に住んでいるサイモンの友達が到着します。今日、彼らを学校に連れて行くのはお友達のお母さんの役割です。ジュディとマリーは、彼らを見送ると、洗濯物を干す作業にとりかかります。ジュディは、家事をし、メリーは「助け」ます。近所の人がコーヒーを飲みに立寄ります。3歳の子どももつれています。砂場で、二人の子どもたちは一緒に遊びます。 10時。ジュディの夫のリチャードはピッツア・レストランを経営していて、遅くまで働いています。彼は、二人の女性ともとにコーヒーを飲み、子どもたちとちょっと遊んだ後、仕事に出かけます。 12時。ジュディは、自分とメリーのためのランチを準備します。昼食後、メリーは昼寝します。ジュディは、洗濯物を取り込み、一杯のコーヒーを楽しみ、新聞に目を通し、何通かの手紙を書きます。 2時。ジュディはメリーをつれて買い物に行きます。銀行と郵便局に行き、肉と食料を買います。ペットショップを覗いて、子猫たちが遊ぶのを見たりしました。3時には、サイモンと友達を学校まで迎えに行き、家に帰って、午後のお茶をします。リチャードはレストランが再び開く5時まで、家にいます。 4時。子どもたちはテレビを見ている間、ジュディは夕食の準備をします。サイモンは友達と遊びに隣家にでかけ、ジュディとメリーは、菜園に水やりをします。6時にサイモンが帰宅すると、ジュディと子どもたちは一緒に夕飯を食べます。 6時半。 子どもたちが遊んでいる間に、ジュディは、夕食の後片付けをします。それからおもちゃをしまいます。子どもたちを風呂に入れ、物語を読んであげ、ねかしつけます。 8時。ジュディは出来上がった洗濯物をよりわけて、必要なものにアイロンをかけ、衣類をしまいます。リチャードのレストランの会計を手伝います。それから本をもってベッドに行きます。1時頃、リチャードが帰宅したとき、彼女は寝ていることもあります。 5.マリア マリアの1日は3時半に始まります。たくさんのスラム街から都市へ向かうバスの一つに乗り込むのです。彼女は都市にある市場のひとつで魚を商って家族を養っています。 毎日彼女は21オーストラリアドルで魚と売り場の権利を買います。今日の彼女の収益は1ドルを少しだけ上回る程度でした。魚が手に入らないときは、収入はありません。午後1時か2時頃に地元にかえる と次の1日が始まります。夫と五人の子どもたちの面倒を見るという仕事です。「洗濯物が山のようにあります。」と当たり前のことのように彼女はいいます。 地域にはデイケアセンターはありませんし、ベビーシッターを雇うのはお金がかかりすぎます。「多くの女性は、仕事に行っている間、子どもたちを家に鍵をかけて閉じ込めています。でも、そうすると火事の不安がつきまといます。」 彼女たちが外で働くとき、リスクは高いし、リターンは少ない。しかし、他の選択肢がないのです。マリアのように、ほとんどは大家族を養っていますし、夫たちも少しばかりのドルを稼ぎだせるだけです。一人の女性の夫は夜警として働いています。しかし、ほとんどの場合は、常雇いはまれなのです。 【グループ作業】 1.これらの五人の女性たちの共通の関心事は何ですか。リストにしましょぅ。これらの関心事は、すべての女性に共有されているものですか。なぜ? 2.これらの女性の中で、同じ国に住んでいると思うのはどの人でしょう。このことは、一つの国の中にある女性の生きる条件の幅について、何を教えているでしょうか。 (答えはp.110に)
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| 2013-08-01 08:36
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