安保と原発 命を脅かす二つの聖域を問う 対談:開沼博

安保と原発 命を脅かす二つの聖域を問う 対談:開沼博
石田雄、唯学書房、2012
1883冊目

88才を越す著者による戦中・戦後についてのコラム・対談を含む論考。

わたしたちは、何か物事を考える時、どこかに前提条件をおいているものなのではないだろうか。徹底して疑う、問うことは、難しい。心が不安定のように感じるからだ。しかし、それが安易に流れすぎるのも問題だ。議論不可能な「聖域」は、戦後の心の不安定が求めたものだったのではないか。そんなことをこの本を読んで考えた。それは開沼さんが「信心」ということばで福島の人たちが原発の安全を信じようとした行為にも共通する。

著者は、戦前の「国体」という聖域が、権力者によって濫用されたことを指摘。戦後は、新憲法のもと、象徴としての天皇を占領軍が利用。丸山眞男さんが指摘した超国家主義という「無責任の体系」。人間宣言をした天皇に代わって「堀端天皇」と呼ばれたマッカーサー、そしてその背景の「星条旗」へと聖域は転換されていく。マッカーサーに近い人、例えば吉田茂が、権力に近いものとして、権力を得る。032

そして、「非軍事化」「民主化」から、朝鮮戦争を経て、従属的再軍備および「冷戦下の占領」。041

軍隊による平和という考え方がはらむ危うさを、著者は三点に整理している。091

1.民間人が殺されることによる敵の増大
2.殺人を命じられた兵士自身の人間破壊
3.報復のグローバル化・日常化

ゲリラ戦のように、誰が戦闘員で誰が非戦闘員かが区別できない状況では、民間人も巻き込まれていく。米国が軍事的に制圧しようとすればするほど、対米憎悪は広がっている。
『冬の兵士 イラク・アフガニスタン帰還兵が語る戦場の真実』からの引用として、2006年5361名、9.11以降の5年間で3万7000名が軍隊から脱走。093

憲法の前文にも書かれている「平和的生存権」を目標とする運動が必要なのだと、著者は指摘する。182

沖縄は「捨て石」「要石」198

周辺地域を犠牲して実現された日本の経済成長。
沖縄の犠牲の上に成り立つ日本の安保体制。
戦前から続く発展の構造。

社会のための人間ではなく、人間のための社会を、と。
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by eric-blog | 2012-10-17 09:40 | ■週5プロジェクト12 | Comments(0)
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