カッシアの物語
アリー・コンデ、プレジデント社、2011、原題 Matched
1871冊目
このジャンルの読み物を「ディストピア」と言うらしい。ユートピア小説ではなく、暗い未来を描いた物語りということか。
有名な1984にしても、暗い未来というのは管理社会であることが多いようだ。
この物語りを読んだ時、『すばらしき新世界』オールダス・ハクスレーのユートピア小説を思い出した。その頃はまだディストピアというジャンルは無かったのかなあ。いずれにせよ、この本が、ハクスレーの描いた世界での「結婚」がどのようになされるかの詳細を描き出しているように思えたのだ。「ソサェティ」による完璧なMatching。そこに少しのほころびが不協和音へとつながっていく。しかし、そのほころびすらも、実は仕組まれたものだった。
仕組まれたものだったとわかっても尚、自分の選択を貫き続ける主人公。
読んでいて苦しくなるのは、「ソサェティ」に監視されている、具体的には「役人」と呼ばれる人びとが、そここに現れるのだが、監視されていることによる自己規制の心理と行動だ。
「孤独なミドルクラス」は、このような自己規制、自己管理の世界でもあるのだろうなあと、実は、この物語りがそれほどいまのミドルクラスが生きる日本と変わらないのではないかと、思いつつ、読んでしまう。
魂の植民地を解き放て!
そして、主人公はいつもヒロイン。
昨日見た『第四の革命』バングラデッシュのグラミン銀行では、太陽光発電パネルの設置技術を女性たちに指導している。これまでの300万人へのマイクロクレジットの体験から女性に対する信頼が高いからだ。
上映会が終わって出て来たロビーで、「リサイクルショップ」の出店が。女性をもっと代替エネルギーの担い手としても訓練しなければね。