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原発と自治体 「核害」とどう向き合うか

原発と自治体 「核害」とどう向き合うか
金井利之、岩波ブックレット、2012
1859冊目

原発事故ではなく事件なのだという人がいる。原発災害ではなく、「災害」や「損害」ということばを使うことで、国からの支援や補償を得られる可能性があるから、このことばにこだわるのだろうが、薬害、鉱害、などと同じく公害なのだと著者は言う。いまや、すべての自治体が「核害」をどうするかを考えなければならない時代になったのだという。それは、基本法はあっても、具体的な公害対策が地方自治体にまかされているのと同じことだという。「逆補完性の原理」。国のなすべき支援・補償の窓口としての自治体としての業務だけではなく、国などができないことは、自治体が独自に行う。

住民ができないことを市町村が補完し、次に都道府県が、国が補完する。日本国という国ができないことを、国際機関や外国政府が行うことも「補完性の原理」であり、「逆補完性の原理」はその逆である。

「国ができないことを自治体ができるはずがない」という予断に陥ってはならない。11


今回の事故で、国や県を頼っていては、避難のために必要な情報すら入手することができなかった。それが現実だ。あなたの自治体は、住民を守れるのか?

無策な自治体に住んでいる人はかわいそうだ、と。

被災自治体
立地自治体 所在自治体+周辺自治体への範囲の拡大
核害未災自治体
避難自治体
避難先自治体
残留自治体個別的転出
   克服自治体
   風化自治体
脱原発派自治体

それぞれに備えるべき課題は違っているだろうが、どれかのカテゴリーに入らない自治体はない。自分たちの自治体がどのカテゴリーに入り、それぞれに求められる「核害」対策を考えてみよう。

自治体職員の方に、ぜひ、読んで欲しい本だ。

自治体ができるエネルギー政策は別問題なのか、「地域づくり」の項目にもまったく言及がないのが残念だ。
by eric-blog | 2012-09-04 07:52 | ■週5プロジェクト12
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