遺伝子の川

70-3(317)遺伝子の川
リチャード・ドーキンス、草思社、1995
The River Out of Eden, 1994 Richard Dawkins

ドーキンスの本は翻訳されるのが早いね。

この本でとても啓発されるのは、遺伝子は川の流れのようで、あるひとつの川と隣の川は岸で分かたれていて、交じり合うことがない。分岐してしまうとその流れを元に戻すことはできない。遺伝子単体では、流れを維持することはできず、遺伝子には必ず同類他者の存在が不可欠である。地質学的な時間を流れていくDNAの川。

表現を違えて言えば、有性生殖をする遺伝子は、遺伝子プール・給源からその組み合わせを選び出す、ということ。
もうひとつ、遺伝子情報は、デジタルであるということ。これは何もドーキンスによる必要はないが。

しかし、ドーキンスも、モリスを読んだ後で読むと、そのあまりにも遺伝子に対して撞着する姿勢が鼻につく。
生粋のダーウィン主義者と言われるドーキンスは、自然淘汰によって、現在の生命がいまある姿に至ったということを説明する。しかし、モリスを読んでみると、それはその多様性の説明にはつながらないことが知れる。ま、いずれにせよ、ドーキンスもグールドも冗長だ。走り読みからの抜粋で失礼。

010
子孫を残した祖先から遺伝子を受け継いでいる以上、あらゆる生物は成功する遺伝子をもつ傾向がある。うまく設計された機械
012
個体の成功が優れた遺伝子をつくるのではない。すぐれた遺伝子が成功する。
各世代はフィルター、篩なのである。
017
なぜ2つの種は分かれるのだろうか。...最も重要な要因が偶発的な地理的隔離。
021
分化はおおがかりな出来事ではなかった。

044
著名な発生学者ルイス・ウォルパートは...こう述べている。「あなたの人生で真にもっとも重要なのは...原腸形成である。」細胞塊の一部が貫入して内側に入り込み、裏打ちされたカップ状になること。基本的に、動物界のあらゆる胚はこの原腸形成という過程を経験する。...赤ん坊でさえ最終的な産物ではない...成人期をすぎて老年へと移行する過程も同じ発生学の延長上にある。
048
この川で生き延びる遺伝子は、その川の平均的な環境で生存に適していた

050
科学は現代西欧人という部族の好む神話体系にすぎないのか。


ヒトの遺伝子の長さは8センチくらい
体内のミトコンドリアを並べたら地球を2000周。
ミトコンドリアは分裂で増える。環状DNAからなる染色体を持つ。

075
世界中から集めた135人の女性についての調査。UC Barkelyアラン・ウィルソン
081
【一部のアフリカ人{ほかのアフリカ人[さらにほかのアフリカ人とそれ以外のすべてのヒト]}】
統合する分岐点は15-25万年前。

209
複製爆弾--情報の爆発
・電波臨界点
・言語臨界点
・神経系臨界点
・多細胞臨界点
・自己複製子臨界点

219-222
1.・自己複製子臨界点
2.・表現型臨界点 周囲に影響を与えることで生き延びていく「延長された表現型」もありえる
3.・自己複製子チーム臨界点
4.・多細胞臨界点
5.・高速情報処理臨界点=神経系臨界点
6.・意識臨界点=記憶
7.・言語臨界点
8.・協同的技術臨界点
9.・電波臨界点
10.・宇宙旅行臨界点

意識臨界点以降は、人間だけのような気がするが。おもしろい。情報の爆発が違う種類の情報共有および伝達・プールの方法を生み出していると。ここまで考える人がなぜ遺伝子にこだわる?

その他、膨大な論証などは、ティンバーゲンの弟子である動物学者らしいものが満載。
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by eric-blog | 2005-01-08 14:41 | ■週5プロジェクト04 | Comments(0)
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