エネルギーと私たちの社会 デンマークに学ぶ成熟社会
ヨアン・S・ノルゴー、ベンテ・L・クリステンセン、新評論、2002
デンマークでの出版 1982
エネルギー消費の増大に伴って汚染や問題は増える。供給関係に関わる事故の確率は増える。12
低エネルギー社会というのは、人々が選ぶことのできる選択肢なのである。
そして、それは、人生の価値をどこに置くかを選択することでもある。
人生の価値 30-31
達成価値と存在価値
自然の制御自然と親和
更新保全
生産性創造性
階層平等
競争協力
物質主義簡素主義
知識感性
専門的知識全体的な考察
外への開発内なる発展
そして、第三章以降は「仕事」「衣食」「住まい」「熱源」「家具と家電製品」「すてきな電気」「サービス」「クルマ」と生き方や個別の技術についての選択肢が提示されている。
第13章は、日本での出版に合わせて「20年後のデンマーク」。この20年間にデンマークが、どのような選択をしてきたかをふりかえるものです。
低経済成長の側をデンマークの人々は選んでいる。それは収入の公平性が高く、充実した福祉プログラムが保証されているから。
そして、低成長を打破してGDPをあげるということは、人々がより多く消費し、より多く働き、より多く生産する動機を与えるために、不公平さを拡大する必要がある。182
デンマークではこのような政策は困難であるが、国際的にはそのような圧力がある。183
結果として見るとデンマークは高エネルギー社会でも低エネルギー社会でもなく、半ばを推移してきている。しかし、電力消費と交通量と交通エネルギーは高エネルギー社会として予測したシナリオ以上に伸びている。これからも、このようなモニターを通して、選択肢を提示し続けることが大切。
技術はある。特に省エネルギーのための技術を推進することが大切だ。
彼らの提言はこれだ。
1.エネルギー消費を削減すること。
2.さらにエネルギー消費を削減すること。
3.なおかつ、さらにエネルギー消費を削減すること。
4.その上で、再生可能エネルギーを導入すること。
二酸化炭素がどうのこうの、地球温暖化がどうのこうのではなく、どのような社会に生きたいのか、それはどんなライフスタイルなのかを選択しようと呼びかけた本。
エネルギー政策の結果がどうなったかも大事なことだろうが、いま、デンマークが「世界でいちばん幸せな国」と言われることも、大きな達成なのではないだろうか?