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日本型悪平等起源論 「もの言わぬ民」の深層を推理する

日本型悪平等起源論 「もの言わぬ民」の深層を推理する
島田荘司 対談 笠井潔、光文社文庫、1999(単行本1994)

極東の島。流れ着いてきた層が幾層にも重なって、いまを形成してきている。その島に住む人々のやり方はこうだ。

流れ着いてくる人々、やってくる人々は、常に新しい技術や文化などの力を持っている。しかし、すでに住み着いている人々を圧倒できるほどの人数はやってこない。とりあえず、彼らと彼らの神を敬い、自分たちの神と融合させつつ取り入れる。面従腹背、OKだ。

争わない。
つきつめない。
取り入れる。
取引する。
心からは信じない。
現実が優先する。

この対談をプロデュースした島田さんの編集意図は痛烈だ。第一章で彼は言う。「叩くべき日本人」像。15-16
・とにかく威張りたがる日本人、さもなければへつらう。
・若輩者や弱い立場の者をやたらいじめる日本人。それをちっとも注意しない日本人。
・異常に嫉妬深く、これと正義をつねに混同する日本人。
・あらゆることがらを、ひたすら例議論にすり替えたがる日本人。その態度はなんだ、と発言の内容より相手の態度ばかりを気にする日本人。
・すぐに怒りだす、あるいは怒ってみせる日本人。
・問題をつねにあいまい化したがり、責任をひたすら回避する日本人。
・ゴマすりか、あら捜ししかできない日本人。
・優しさと弱さ、強さと怖さがつねにイクォールの日本人。
・男性を舐めるか怯えるしかできない日本人。
・猿真似と勉強を混同する日本人。
・異常な陰口人種。ジョークと陰口、嘲笑を混同する日本人。
・極限的に道徳心が強く、同時に異常に不道徳な日本人。買春ツアーに汚職、袖の下天国。
・すぐに禁止罰則を設けたがり、楽しもうとしない、あるいは楽しませようとしない日本人。
・親しくなることと軽視がつねに重なる日本人。

対談相手の笠井さんは縄文人と弥生人を軸に日本を描き出してきた人だ。わたしは『薔薇の女』一作で、まいってしまった作家である。

縄文は豊かな時代であったのだが、生産力の高い弥生に駆逐されてしまった。

その葛藤の歴史の長さを思うと、簡単に「鎖国」したり、「自給自足」を夢想したりなどはできないだろうと思うのに、そこに理想を求める心情をつねに引きずりながら、争わずに統治され、腹の中からは従わず、やり過ごしてきたのだなあ。

また、それらの傾向に拍車をかけたのが明治時代の「富国強兵」有無を言わさず一つの方向に駆り立てるために「叩く」「おどす」「かりたてる」風土と文化ができた。

たらたらあるがままを継続しつつ、まあまあ従っているという程度ではすまされなくなっていく。

いまの平和主義は「戦争推進派にさんざん殴られ、心にもないうそを叫ばされ、そのあげく勝てるはずもない戦争で死なされたという怨念」の裏返し。素朴さのレヴェルではなんら変わらない。139

図書館のリサイクル本には時々へんてこな出会いが潜んでいるものだなあ。
by eric-blog | 2011-11-14 09:39 | ■週5プロジェクト11
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