66-3(300) かくれた次元
ホール、エドワード、日高敏隆・佐藤信行訳、みすず書房、1970年、18刷1983年 原著The Hidden Dimension出版年言及なし 『沈黙の言葉』南雲堂もおすすめ いまも書店に並ぶ名著。といっても長らく「read me」リストに入れたまま、思い立って図書館で借り、これは読まねばと思い、読んだら買わねばと思った本。検索したらジュンク堂に9冊もあるという。 人類学者のホールが、空間にかかわる人間行動の生物的文化的要因を解き明かしたもの。「異なる文化に属する人々はちがう感覚世界に住んでいる。」[5]またそこから来る異文化摩擦なども取り上げている。 1960年代の本の良さは、全体像が見えるところであろうか。いまのものはあまりに精緻になりすぎて全体を見失うか、細部へのこだわりのみが全体のように見えてしまうところだ。 わかりやすい、そして展開可能性の高いキーワードが目白押しの本です。 第1.2章は動物行動学の知見から空間と行動との関係、特に「混み合い」がもたらすストレスについての研究が紹介されています。そこでわたしがおもしろいと思ったのは、カルフーンのねずみの実験です。混み合い状態を人為的に3世代維持して観察された異常行動群を「シンク」と名づけているのですが、まずオスの行動に変化が現れます。 ・攻撃的なオスは正常な行動を示した。 ・受身的なオスは、攻撃も性行動もさけた。 ・過剰に攻撃的な下位のオスは、メスを追い掛け回してばかりいる。また、性行動の手順を間違えるため、メスがおびえる。 ・汎性愛的なオスは、区別なくどれにでも乗りかかる。 ・社会的、性的交渉から退いて、主に他のネズミが寝ているときに外へ出て行ってしまう。44 そしてメスの異常は妊娠の停止や子育て不全として現れるので、生物的な様相が強くなる。全体的な生理的な結果はメスの死亡率がオスの三倍、流産率の高まり、メスの罹患率の高まり、であった。48 彼らの「混み合い」認知は主に嗅覚によっている。そこから、ホールは人間が重要なコミュニケーション手段としての嗅覚を失ったことの進化論的意味を考察する。 「混み合いに耐える能力を得たのだろう。もし、人間がネズミのような嗅覚を持っていたとしたら、人間は周囲の人々におこる情緒的変化をいやでも感じとり、永久にそれに左右されることになっていただろう」60 人間の進化の特徴は「遠距離感覚器」すなわち視覚と聴覚の発達にあった。61 それが空間を広げた。 62- 遠距離受容器 目耳鼻 近接受容器 触覚 視覚空間 聴覚空間 嗅覚空間 距離はなぜ4つか176 密接、個体、社会、公衆 そして第11章からはドイツ、イギリス、フランスなどとアメリカの比較文化である。 アメリカ人は時間に厳格 ヨーロッパは空間に厳格 「閉じられたドアと開けられたドア」ドイツ人とアメリカ人 「自分の空間を必要とする人ととみんなのところで自分の空間を持てる人」アメリカ人とイギリス人 聞く姿勢における距離の違い フランス人は密接、人との交流での戸外の活用 第12章は日本人とアラブ人が取り上げられています。 日本人は密接。感覚的 もっといろいろあるのですが、今日は急いでいるので、これくらいにしておきます。 18 異なる種の間での 逃走距離flight distance 臨界距離critical distance 同じ種のメンバー間の 個体距離personal distance 社会距離social distance 19 接触性動物と非接触性動物 そうそう、記念すべき300冊目でもあります。やはり5年かかりますね、1000冊までは。うむむむむ。
by eric-blog
| 2004-11-30 12:36
| ■週5プロジェクト04
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