人気ブログランキング | 話題のタグを見る

もう、これはどこをどう引用したり、紹介したりとかするような本ではなく、そのため、先週書き始めていながら、送信することをためらっていたもの。いつになっても紹介できないようなはめになるので、とりあえず、アップアップ。
表題の漢字が表記できないので、あしからず。

64-2(291) 声
川田順造、ちくま学芸文庫、1998
単行本は筑摩書房から1988年。

川田さんのものはここしばらく何冊も紹介しているが、『無文字社会の歴史』とこれですね。ベストは。図書館で借りたけど、買うことにする。しかし、文庫はどこも在庫切れ。しかたないから、アマゾンでユーズドで買いますか。

いずれにせよ、すばらしい。すべてを引用したいような言葉の群れである。
「声の生命は、発し終えられた瞬間に、何の痕跡も残さずに消えてしまうところにある」011
「声は人間の生理の、深くやわらかな部分に直結しているらしい。そして声を発することは、声を発するという行為を支える状況性と、声を発する者の現前性と、声の向けられた相手の特定性とをまきぞえにして成り立っている」011
しばし、陶然と、その声を追ってしまうような文章ではないか。さらに続けて
「声は私の体内から出るものでありながら、口から発せられたあとでは他人と共有されてしまう」「声を発することの暴力性、陵辱性と、声を人前にさらすことの羞恥という両極性」

元来100パーセント声である言語を文字化し、文字を用いて言語教育を行えば、ことばは規格化される。030

ヤコブソンの音象徴の研究などから、言語音をつに大別してみよう。
・言語音とそれによって意味されるものとの結びつきが恣意的なもの 表意作用
・言語音の象徴作用によって伝達が行われる「象徴語」そこには非言語音を言語で表す「表音語」と、音以外の感覚を言語音であらわす「表容語」を区別できる。それぞれ日本語の擬音語、擬態語に対応する。 象徴作用
・音声が音として感性に訴えるものよって伝達する。ことばとしての意味をまったく欠いたもの。vocable、音感語。 感覚作用

類音類義54-
むかむか、むんむん、むしむし---mという両唇音の鼻音が生む篭り感、uという奥舌の暗い母音の鈍重感
母音の音象徴性
ほかほか、ほのか、ほくほく----

古代ギリシア人は、m,n,l,rをまとめて流音と呼び、いまもこれらを「流音」liquidという名で指す57
異言語間に共通する普遍性はなかなか見極めにくい中で、「ピ」の音象徴はかなりの広がりを持っているようだ。59

口唱歌くちしょうがと呼ばれる楽器音を声で伝える方法69
唱歌が音象徴に基づく伝達を行う言語音から成り立っていること69

名を呼ぶ117-
人に名をつけることは、ある社会がその成員に対して適用する分類と認知の方式であり、人間以外のものも含めた世界の分類・認知体系の一部をなしている。119「類」と「個」
by eric-blog | 2004-11-24 23:33 | ■週5プロジェクト04
<< 芸術としてのデザイン 参加型地域評価・点検研修「エコ... >>