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このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?

382-2(1623) このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?
ポー・ブロンソン、アスペクト、2004

人生で何をすべきか?
問いは直球でも、答えは直球とは限らない。

著者は、シリコン・バレーについての生き字引とでも言うべきライターだと、Wikiは言う。1964年生まれ。1995年頃には多くの職を経験し、シリコン・バレーの浮き沈みも、間近で見、取材していた。
『シリコン・バレーを抜け駆けろ!』1999年The First $20 Million Is Always the Hardest (1997)は、ビル・ゲイツのMircrosoftに独占されていたOSに挑戦するコンピューター・プログラムの開発を巡るお話。研究所の名前は「ラ・ホンダ」。専門的な言葉もばこばこ出てくるが、開発競争のめくるめくスリルがすごい小説である。
そして、その次に出されたのがシリコンバレーのゴールド・ラッシュに引きつけられて移住してきた人びとの物語だ。
『シリコン・バレーに行きたいか?』2000年The Nudist on the Late Shift (1999)

この本によって、シリコン・バレーへの移住を決意した若い人も多いと、著者は『このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?』でふりかえっている。彼らのほとんどがいまや職を失った、と。「根本的に間違ったことをしたとは思わないが、自分が果たした役割はわきまえている」。(p.91)

物書きとして人の生き方に影響を及ぼしたいと願わないものはいない。しかし、その責任も問われるべきだ。『このつまらない・・・』の取材のために何百人もの取材をする中で、共通する傾向は「高潔さ」なのだと気づく。それに触れていく中で、過去の著作に対する責任を感じるようになり、なんと、ニューヨークタイムズ紙に謝罪状を出すことになったという!

そして、この本の後の『それでも家族を愛してる 自分らしい“家族”を見つけ出した19の物語』の取材も合わせて、900人以上もの人びとの人生に、彼は取材者として以上の関わり方で関わっている。2時間のインタビューなどではなく。5年後、10年後に、再訪ことだったあるのだ。Stories go on. 物語は続くのだから。

人生の物語に耳を傾けることは、その人のことを大切だと、伝えていること。

多くの普通の人びとが、自分に忠実に生きようとしている。

それぞれの人生の要素は複雑で、一つのジャンルにくくれるものではない。しかし、50もの物語を何のジャンル分けもせずに並べたら、誰が読むだろうか。

ジャンル分けが「見えて」から、どんどん筆は進んだと、著者は言う。

Part 1 決められた道ではなく自分の道を歩きたい
Part 2 ステージを昇りたい人、ステージを降りたい人
Part 3 「安定した生活」と「あきらめきれない夢」
Part 4 ここはゴールか? それとも夢の途中か?
Part 5探し求めていたのは自分だった
Part 6 新しい場所が人生の景色を変えてくれた
Part 7 大切なのは、恋人や家族とどう生きたいかだ
Part 8 人生をやり直した人びと

水曜日のレディース・デイに、「ヤコブの手紙」と「ソーシャル・ネットワーク」を観た。フィンランド映画とアメリカ映画。すごい落差だったっす。

『フェイスブック若き天才の野望』が邦訳。Facebookのアイデアから、実現までのプロセスが、「アイデアを横取りした」、「共同設立者だったのに、だまされた」という二つの裁判の合間の回顧談として描かれていく。スピード感あふれる映画だ。

『シリコン・バレーを・・・』と「ソーシャル・ネットワーク」の主人公の共通点は、プログラマーとしての能力が高いという点にある。その能力が「高潔さ」の担保なのだ。両方とも、ちょっとカッコいい。
by eric-blog | 2011-02-11 17:41 | ■週5 プロジェクト10
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