368-2(1580)トウモロコシの心 マヤの人びととともに
古谷桂信、高知新聞社、2002
著者が、大学在学中に、失恋をきっかけに旅した南米。グアテマラで、生きるインカの末裔、マヤ。人口の7割を占めるにもかかわらず、リゴベルタ・メンチュの『私の名はリゴベルタ・メンチュウ マヤ=キチェ族インディオ女性の記録』にあるような過酷な状況だ。
しかし、最初に旅したときには、そんなことはわからない。社会の貧しい人びと、としか見えない。旅行者に対するあたたかさを持った。
もう一度行こう。そして、著者は、自分の仕事として写真と文章を、選んでいく。
その中で、「夫を奪われたマヤ女性たちの組織ゴナビグア」と出会う。ゴナビグアの同伴者をしていた石川智子さんの講演会がきっかけだ。
自身も、副大統領候補のファン・レオンさんの同伴者として、選挙運動にも密着する。
同伴者というのは、ピース・ブリゲード・インターナショナルで、大畑豊さんが推進している活動だ。
選挙、和平合意、そして武装解除。
その一連のプロセスに、同行した写真記録集でもある。
中でも胸をうつのは、虐殺した死体を埋めた秘密墓地を発掘した写真だ。白骨化してはいるが、鮮やかな衣装はそのまま残っている。帯の色に、巻きスカートの柄に、遺族がすすり泣く。
殺したもの、殺されたものの係累たちが、これからの未来を、共に築いていかなければならない。
・ どうして日本は征服されなかったんだ?
・ マヤだって文化を築いていた。
・ あなたたちの文化のどこがいいんだ?
いま、彼らは、内戦からの復興期にある。その発展の見据える先の一つが、日本のような豊かさであるのだ。
わたしたちに何かできるのか? 著者が写真家になった動機づけもそうだった。「この写真をとって、どうするのか」と。
☆大畑さんについては
http://ericweblog.exblog.jp/1057512