364-3(1569) スウェーデンはなぜ強いのか
北岡孝義、PHP新書、2010
スウェーデンも伝統的性別役割家族観に基盤を置いた社会であった。1930年代、既婚女性の就業率は8%でしかなかった。戦後、社会民主党政権は経済成長のために女性を労働力として就業促進に取り組んだ。
伝統的な家族は崩壊し、離婚や自殺が増えた。
そこまでは日本に似ている。日本と来たら、女性の安い労働力に依拠しながら、都合の悪いことは「女性の社会進出に伴う家族の崩壊」のせいにして、政策をとっちらかったものにしただけだ。いまだに、そのシーソーごっこをやっているだけだ。
スウェーデンの社会民主党政権は社会参加における男女平等の理念は下ろすことなく、伝統的家族の衰退に伴って生じる社会保障、子育て、介護などを、国が肩代わりする「国民の家」構想を立てる。
特に教育と医療は、民営化によるサービスの低下が認められる部門であるので、民営化をしない。が、市場に任せる部門がないわけではない。国内総支出に占める政府支出が50%を越えている。さらにその45%は地方政府によるものだ。
著者は枝葉末節のスウェーデンの表層に目を奪われているだけでは何も学べないと警告する。
そして日本人が学ぶべきなのは「制度や政治に対する信頼という無形の社会資本だ」と。
国家理念の共有
政治の透明性を進める改革
政治への国民意識の向上
その基本は教育だろう?とわたしは思うのだが。
わたしがスウェーデンを見ていて感じることは、いい意味で実験的実証的だなということ。一人ひとりが考えて、より良くする余地を感じていると思った。それって参加していてうれしいよね?
それが信頼の元になっている。
改善は一つのビジョンに向けて、評価、点検、改善行動が繰り返されること、PDCAサイクルと言えるのだ。
日本のように、二枚看板の付け替えごっこは消耗するだけだ。
右派左派の政治的対立がありつつも、改革は合理的。
それは持続力のある官僚?優秀な地方公務員?議論できるコミュニケーション?600万人という人口?
少なくとも、パートタイムの一院制国会議員が答えではなさそうだ。
静岡大学が支援して進めている「YECユース・エンパワメント・コミュニティ」が若者の意識調査を日本とスウェーデンの比較で実施。ネットで結果がゲットできます。
特に自由記述の部分について、彼我の差を感じました。
(2つにファイルがわかれていますので、両方をご確認下さい。)
http://ow.ly/d/6FW
http://ow.ly/d/6FU
ericかくた なおこ