人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日米密約 裁かれない米兵犯罪

359-1(1551)日米密約 裁かれない米兵犯罪
布施裕二、岩波書店、2010

1953年日米行政協定 刑事裁判権条項の改正直後、法務省が裁判権放棄を指示した通達を、検事総長および全国の検事に出した。
10月28日に、協定の運用について協議する日米合同委員会、刑事裁判管轄権分科委員会で、日本側委員長 津田實氏が、「非公開議事録」として署名。

「日本の当局は通常・・・・第一次裁判権を行使するつもりがない」

議定書第三項 とは、米兵らが「公務外」で起こした犯罪については日本側に第一次裁判権があるとしたものである。11

密約の存在を明らかにしたのは、新原昭治氏。1956年、長崎放送の記者だった同氏は、米軍占領下の沖縄を台風被害について取材中、漁民たちから米軍の暴行について聞かされたという経験を持つ。

裁判権があるとした協定の実際的運用においては「行使しない」と声明。結果、米兵がらみの犯罪においては、被害者の人権は守られない。訴えても、逮捕しない。調査しない。とりあわないということが続けられてきたのだ。

この本を読んで驚くのは、米兵がらみの犯罪件数の多さだ。

1952年4月、サンフランシスコ講話条約発行からその年末までの8ヶ月で米兵犯罪数1612件。

2008年、米軍における性的暴行事件数 2763件。軍法会議への起訴率16%。

日本の司法だけが甘いのではなく、米軍自体も、犯罪、特に性犯罪に対して「甘い」のだ。17ページの起訴率参照。

そして、NATO協定を結んでいる諸国では、136
イギリス 裁判権放棄率 20%
オランダ        70%
ドイツ         100%

日本だけの問題ではないのだ。

—陸 軍海 軍空 軍海兵隊総 計
米軍の総兵力約54.3万人約33.2万人約32.9万人約19.9万人約140.2万人
ヨーロッパ正面約4.5万人約0.5万人約3.1万人約0.1万人約8.2万人
アジア太平洋正面約1.9万人約1.2万人約2.1万人約1.5万人約6.7万人
アフガニスタンおよびその周辺約3.1万人が展開
イラクおよびその周辺約17.8万人が展開

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc%2Fworld%2Fus_armed_forces%2F#backToPagetop

在日米軍の軍人、軍属、家族の総数 所在地別 軍人 軍属 家族 計
本土所在 22,078 2,770 24,406 49,254
沖縄所在 22,772 2,308 19,883 44,963 合計 44,850 5,078 44,289 94,217

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E6%97%A5%E7%B1%B3%E8%BB%8D

「起訴することは、軍の秩序、規律、士気に良くない結果をもたらす」29
というような判断が、常につきまとう。

軍隊による性犯罪に対する甘さは、性犯罪が暴力であること、軍隊が暴力であることを示しているのだ。

著者の求める「犠牲なき安全保障」の道はどこにあるのだろうか?
by eric-blog | 2010-08-21 07:47 | ■週5 プロジェクト10
<< 心的外傷と回復 人権 3時間研修 >>