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沈黙を破る 元イスラエル軍将兵が語る”占領”

340-4(1479)沈黙を破る 元イスラエル軍将兵が語る”占領”
土井敏邦、岩波書店、2008

IVAWとの違い。「止まれ!」という命令をヘブライ語で言うことができる。将校と兵隊の間にチェック感覚がある。人種差別観が少ない。好意的な報道。サポートする両親。

ほとんど無差別に殺している。壁を壊して家宅捜査する。死体を蹂躙する。あざ笑う。などは共通だ。

著者は23年間にわたり、パレスチナ問題を取材し続けている。その中で、2004年7月から始まった「沈黙を破る」Breaking the Silenceに出会う。

占領するということはどういうことなのか。「占領地で兵役に就くことであらゆる将兵たちが「道徳」を喪うという代価を支払っている」14
「イスラエルが自ら占領地で行なっていることが、イスラエル社会に深い影を落としている、いっそう暴力的な社会になっている」80

暴力に感情が麻痺し、閉ざすことでしか、生き延びられない。

著者は第二次世界大戦の時の日本軍兵士とも比べようと試みる。
野田正彰さんの『戦争と罪責』1998である。

もう3年前になるか、「カウラの大脱走」というアクティビティを開発した。その時代に言われた、語られた20の言葉をカードにし、一枚ずつめくりながら、その言葉に自分はどう反応するか、いまならどう反論できるかなどを、グループ討議していくものだ。その最後の言葉が「なぜ、加害を語れないのか」である。

わたしたちは占領軍なのか、それとも共存する道を探るのか。占領が厳しければ厳しいほど、反撃もきつくなる。

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「カウラの大脱走 20の扉」

『カウラ日本兵捕虜収容所』
1.・捕虜になったことが知れたら親や親類が村八分にされる
2.・生きて虜囚の辱めを受けず
8.・死は鴻毛よりも軽し
9.・天皇陛下万歳
10.・足手纏いになる、殺してくれ
18.・日本に帰国してから、捕虜であったことは隠している
19.・戦争に関係のない人には、私も捕虜になったといえるが今でも戦友会や傷痍軍人会などでは絶対にいえない。

『消えた遺骨』
3.・こうしている間にも、戦友たちは戦って死んでいる
4.・命は天皇陛下に捧げたのではなかったか
5.・収容所で労働することは利敵行為だ
6.・収容所で暴れ、敵に打撃を与えることが戦いだ、蜂起することで、敵の力をそぐことができる
7.・今こそ共に戦い、共に死のう

NHK「カウラの大脱走」
11.・オレは兵隊じゃないんだけどな[漁船が徴発されて船ごとだ捕され捕虜になった船長のことば]

『連合軍捕虜虐待と戦後責任』
12.・敵国の捕虜に対して「お可哀想に」と同情するな
13.・捕虜を生かしておくとジュネーブ条約違反を告発される
14.・「枕木一本に捕虜一人を殺してでも鉄道とつけろ」と命令された
16.・中国人捕虜の扱いは欧米人捕虜の扱いと違う

『死の谷をすぎて−クワイ河収容所』
15.・負傷兵は使い果たされた消耗品だ。戦争の廃棄物であった。[320-321より]

『「戦場にかける橋」のウソと真実』
17.・アジアの労務者たちの墓と連合軍捕虜の墓とでは扱いが違う

『なぜ加害を語るのか』
20.・なぜ、加害を語れないのか
by eric-blog | 2010-03-13 08:55 | ■週5プロジェクト09
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