知性は死なない 平成の鬱をこえて

知性は死なない 平成の鬱をこえて

与那覇潤、文藝春秋、2018

3170冊目


大学の准教授であった時に、うつになり、そこからの回復と今についてのエッセイ。


うつについての誤解を10個ほど。


  1. 1.うつは「こころの風邪」である。
  2. 2.うつ病は「意欲がなくなる」病気である
  3. 3.「うつ状態」は軽いうつ病である
  4. 4.うつの人には「リラックス」をすすめる
  5. 5.うつ病は「過労やストレス」が原因である
  6. 6.うつ病に「なりやすい性格」がある
  7. 7.若い人に「新型うつ病」が増えている
  8. 8.うつ病は「遺伝する病気」である
  9. 9.「カウンセリング」が重いうつに効く
  10. 10.うつ病は「認知療法」でなおる


エーーー、そうなんじゃないの?と思うようなものもある。「こころの風邪」というのは日本独特の言い方らしいが、誰でもなる可能性のあるものという意味ではそうかもしれないが、重度のものもあって、風が治るように、そんなに単純なものではないということ。

のように、「単純化」することは危ない。という「誤解」への警告。


著者は「身体感覚」から日本の民主主義や明治維新を振り返る。

いまの反知性主義も、どこか身体感覚で物事を進めることを求めている。


ほぼ「平成」という時代に字が形成し、大学という現場に過ごして、著者は大学はすでに斜陽産業だという。そして、知識人は敗北したと。


だからこそ、「知性」を再定義する必要があると。15


うつという身体の自己主張。130


自分ということを知性と身体の両方から確認する。それでも知性は死なない。


うーん、この方が回復した気がしないなあ。知識を仕事にすることが強いるアンバランスが、そもそもあるのではないだろうか?



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# by eric-blog | 2018-08-20 13:41 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

ルポ東大女子

ルポ東大女子

おおたとしまさ、幻冬舎新書、2018

3169冊目


「東大女子」という呼称が成り立つのがすでに問題があることを示している。いまだに女性率は2割に満たない。どこかの医大と違って、東大は女性を増やすために家賃補助などの支援策も打ち出しているにも関わらず、だ。


男性が自分より学歴の高い女性と結婚したがらない。そのために東大女子は結婚相手が限られる。専業主婦の道は狭い。しかも彼女たちがキャリアを選べば、共働きとなり、相手も激務をこなしている可能性が高い。必然的に出産・子育ての負担は、女性の側に大きくなる。


もちろん、東大に進学できるような男女は、家族の支えもあってのことである場合が多かろう。きっと子育てにも家族の支援が期待できるだろう。しかも、ダブルインカム、お金で解決できるものは金で解決だ。とはいえ、あくまでも幸運に見舞われれば、であるが。


女性一般に対するバイアスが四つあると、「フェイスブック」は全世界で社員研修で説明する。それらのバイアスに自覚的になり、かつそれを意識的に補正できるようになることが求められている。124



パフォーマンス・バイアス成果に対する

パフォーマンス・アトリビューション・バイアス 成果の理由に対する

コンピタンス/ライカビリティ・トレードオフ・バイアス 能力か好感か

マターナル・バイアス母性についする


男性中心社会では、女性は男性以上の成果を上げなければ認められにくい。

また、その成果も女性自身の実力のためであるとは認められにくい。

能力が高い女性は嫌われる。し、そのために「女性として」好感を持たれつつ、成果を上げなければならない。

母親は良い労働者にはなれない。という思い込み。


これからが無意識的に「ガラスの天井」を補強している。


実際に、今時の東大女子に聞いてみると、「問題を感じたことがない」というらしい。彼女らなりに、すでに個人的に課題をクリアしているのだろう、と著者は言う。


能力と機会とサポートなしでは勉学に励むことなどできない。

わたし自身、大学受験勉強は、米国交換留学から帰国した後のたった半年のことだったが、その期間に勉強に集中できたのも、母親のおかげだ。休暇中には朝六時に起きて勉強し、七時には朝食、昼の12時には昼食をとり、夕食は午後6時。その後、入浴をして、午後9時まで勉強。と判で押したようなスケジュールで勉強できたのも、家族の理解とサポートがあってのことだ。


そのようなことが、多くの東大女子には多少なりともあったのではないか。


「女子」問題は社会問題。


フェイスブックのように、企業をあげて取り組む姿勢が、社会にも求められている。

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# by eric-blog | 2018-08-19 14:29 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

「問題解決学習」と心理学的「体験学習」による新しい道徳教育

「問題解決学習」と心理学的「体験学習」による新しい道徳教育 エンカウンター、モラルスキル、問題解決学習など「理論のある面白い道徳授業」の提案諸富祥彦、図書文化、2015

3168冊目


夏休みは毎日庭仕事で体を動かして、夜はぐっすり。夜中に起きることもなく、爆睡していました! やっぱりねぇ。


持っていった本は三冊。『ペスト』『三ギニー』『ピラミッド』。スウェーデンの警察官が事件を解決するヴァランダー・シリーズはあっという間に読んだけど、ダニエル・デフォーの『ペスト』は期待したような感染経路の推理につながる描写は少なく、人々の心理描写の方が多かった。この本があのアクティビティの元になっていると思うんだけどなあ。

ヴァージニア・ウルフの『三ギニー』は「教育のある男性の娘」というのがポイント。確かに、教育が必要な職業に就くためには教育が必要だが、女子に教育のなさが問題になるのは、では教育のある男性の娘はどういう職業に就くことができるのかという問題提起。宿屋の娘はおかみさんになればいいし、農家の娘は大切な働き手だ。商家の娘は蓄財の才でも生かすチャンスがあるだろう。

問題は「教育のある男性」の娘、である。なるほど。



さて、ほとんど借りていただけで読んでいない本のタイトルだけでもまとめておく。次、また借りるかもしれないからね。

  • λ外国人が熱狂するクールな田舎の作り方
  • λシリアの秘密図書館
  • λシリアの秘密図書館
  • λPTAという国家装置
  • λ県立!再チャレンジ高校
  • λ刑務所の読書クラブ
  • λ道徳教育は「いじめ」をなくせるのか
  • λ「問題解決学習」と心理学的「体験学習」による新しい道徳授業
  • λルポ東大女子
  • λ前方後円墳の出現と日本国家の起源
  • λ日本のサル
  • λわれ反抗す、ゆえにわれら在り
  • λ町屋・古民家再生の経済学


なんと脈絡のない。


国分さんのエンカウンター教育の流れをくむ著者による道徳教育に参加型(とわたしは呼ぶところの)学習形態を取り入れましょうという提案。


基本は次のような4段階を提言。106

  • λ一人で考える
  • λグループで話し合う
  • λ全体で共有する
  • λ一人で考える


問題提起から一人ずつが考える。ワークシートに記入。

グループで考えをシェア。異なる意見に触れる。

全体で共有し、比較検討する。

再び、一人に戻し、行動につなげられるかどうか検討する。


ジャック・アタリが7つの原則を提案していることを初めて知った。25


  1. 1.自己の尊重
  2. 2.緊張感
  3. 3.共感力
  4. 4.レジリエンス
  5. 5.独創性
  6. 6.ユビキタス
  7. 7.革命的な思考力

『危機とサバイバル 21世紀を生き抜くための<7つの原則>


コンピテンシーリストと合わせて考えると面白いねぇ。


危機あいのためのガイドというのも、グループ作業を進める上での具体的なアイデアとしていいよね。199


質問

  • λ~についてもう少し詳しく話してください。
  • λ~というのは、例えばどういうことですか。
  • λ~についてきどう思いましたか。
  • λ~と考えているのは、どうしてですか。

確認

  • λ〇〇さんは、~と思っているのですね。
  • λ〇〇さんの言いたいことは、~ということでいいですか。

感想

  • λ〇〇さんの~というところがいいと思いました。
  • λ〇〇さんが~と行ったことになる程と思いました。


「ひとまち」のファシリテーターの問いシートにも共通するね。



自己肯定感の構造図が面白かった。

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現行の道徳教科書についても、問題提起の部分までの「中断読み」を提起している人もいる。しかし、その人のSNSによると教科書の結論の持つ力は圧倒的で、中断読みの段階で出ていた多様な意見は、あっという間に収束してしまうのだそうだ。

小学校四年生というのは同調圧力、ピア、ギャングエイジと、大人の権威がせめぎ合っていく段階だ。まだまだ「自分」の確立には至らない。戦時中だって、少年たちが徒党を組んで正義を振りかざしたのではなかったか。そういう段階も経て、「自分としての価値観の選択」にいたるのだ。全ての発達段階で、大人が求めるような「正しさ」は無理というものだ。はてさて、問題なのは、すでに大人になっている人々の側だと思うのだが。


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# by eric-blog | 2018-08-18 09:33 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

帰還兵はなぜ自殺するのか

帰還兵はなぜ自殺するのか

ディヴィッド・フィンケル、亜紀書房、2015、原著2013

Thank you for Your Service

3167冊目


9.11以降に米国に行った時、兵士たちの姿がよく見かけられるようになった。空港では優先的に搭乗できていたし、彼らがまとう戦の匂いも受け入れられていた。街中ですら、軍服のままであることもままあった。

この原著のタイトルがそのまま人々の口に登っていた。


この本はイラク戦争から帰還した五人の兵士とその家族についての物語だ。

映画化された。『アメリカン・ソルジャー』

https://natalie.mu/eiga/news/276505

姉妹編がこちら

https://ericweblog.exblog.jp/23250409/


この小説がベストセラーになったことと、地上兵の派兵が削減されたこととは無関係ではないだろう。そして、無人殺人機が使われることになったことも。


殺し殺されるという緊張感と、殺した殺されたという身体感覚は、戦後もずっとまとわりつく。


それが人間なのだ。



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# by eric-blog | 2018-08-09 14:11 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

受けてみたフィンランドの教育

受けてみたフィンランドの教育

実川真由、実川元子、文藝春秋、2007

3166冊目


AFSの交換留学の1年間の経験で一冊の本を書くことができるなんて! すごい。


フィンランドの教育が話題になった時期に出版されている。

https://ericweblog.exblog.jp/2973922/

https://ericweblog.exblog.jp/6701183/


・学校には勉強のために来ている。授業は真面目に聞く、参加する。

・勉強するのではなく、読む。

・自分の考えをまとめるエッセイがテストの基本。

2004年の義務教育9年間一貫化が、のびのびと学ぶ環境作りに繋がった。

・留年は、自分がわからないことをじっくり学ぶためのもの。

・科目の選択は自分で決める。大学みたいなもの。ホームルームはほとんどない。

・イベントは少ない。式もない。


米国の高校に近いものがある。


フィンランド語の先生が厳しいながらも、「エッセイ」の書き方をしっかり指導してくれて、実力がどんどん伸びたようだ。


二年後に再訪した時には「徴兵制」の真っ只中。4パターンぐらいある兵役のつきかたから選べるというのは、何だかフィンランドらしい。







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# by eric-blog | 2018-08-09 12:20 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

シリアの秘密図書館

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# by eric-blog | 2018-08-09 11:00 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

冷戦から内戦へ

冷戦から内戦へ

ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー、晶文社、1994

3165冊目


19世紀に近代の諸国民国家を形成することとなった闘争は、単に没理性的な喧嘩の類ではなかったことが、思い出されるべきだろう。そこにはいやらしい排外主義的なパトスも働いてはいたけれども、そのことのみに目を奪われると、あの古い型のヨーロッパ・ナショナリズムの建設的営為を、見逃しかねないことになる。ともかくも当時のナショナリズムは憲法を生み、奴隷制を廃止し、ユダヤ人を解放して、法治国家と普通選挙権とを実現したのだ。今日の内戦の戦士たちには、このような新しいものを産出することは、全く念頭にない。30


彼らの口にする民族自決権とは、あるテリトリーの中で、誰が生き延びてよく、誰が生きてはならないか、を決定する権利のこと。


戦争はすでにそんな商売になっている。国家的に組織された大虐殺は、もはや十分な利回りを産むことがない。19

武器輸出は現在世界貿易の0.06%を占めるに過ぎない。

内戦を行なっている国は投資の対象国から外されてしまう。20


アフガニスタンの内戦は、ソ連による占領が終わったら、民族の解放が原因ではなかったことが明らかになった。


彼らには指導者すら必要ない。憎悪があればいい。


戦士たちは、勝利があり得ないこと、かれらにあり得るのは敗北だけであることを、先刻承知なのだろう。その上で、持てる全力をあげてかれらは、自分らの状況を極端にまで悪化させている。40


分子的な内戦も巨視的な内戦も、細部に至るまで似ている。41


自己破壊。


その自己犠牲が何のためかという対象は失われている。


内戦は永久には続かない。が繰り返し新たに始まる危険は、常に存在している。116


シシュポスが山頂に担ぎ上げようとしていた石こそが、平和なのだ。


分子的内戦とは都市ライオットのことだが、その場合も攻撃対象は自分たちのコミュニティであり、機能不全になれば自分たちが不利益を被ることがわかっているようなものでも、破壊し続ける。



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# by eric-blog | 2018-08-08 14:31 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史

経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史

ダニエル・コーエン、東洋経済新報社、2017

3164冊目


人類が言葉によって知識の集積と貨幣の発見によって富の集積の両方を手に入れていることが、今の科学技術産業資本主義社会を生み出している。


そして、それは今や西洋の専売特許ではなく、グローバルなトレンドになっている。


カーツワイルは2020年にテクノロジーの転換点が訪れるという。完全な人工知能の完成だ。

そして、それは2060年のナノロボットの出現により、人類の大転換点となる。


人間の労働は、勝者総取り方式の、二極化になる。


大量消費による経済成長は消えつつある。

テクノロジーのイノベーションは続くが、それらは経済成長には繋がらない。104


進歩という理想は1970年代に失われた。132


明るい未来という希望はなくなった。


工業化は世俗的な価値で成り立ち、

サービス業が自己表現社会の出現を促した。147


しかし、ポスト工業化社会はポスト物質主義社会とはならなかった。150


コンピューター、金融、グローバリゼーションの結合が資本主義の大転換に。165


自己実現の現象として「幸福感」がある。


失業の経験は幸福感を持続的に低下させ、失業者の精神状態が元に戻るには非常に長い時間がかかる。169


ゆえに、幸せには社会的な現象によって説明がつく部分が大きいため、社会的な解決が求められるのだ。


デンマークは世界で最も幸せな国の一つ。どうすればなれる? 170


日本は先進国では最低。財布は、実験で示されたデンマークと同じように必ず帰ってくるというのに。


汚職が少なく、社会や政府を、そして他者を信じられると感じている。

非営利団体やボランティアが盛んで、活気がある。仕事以外の人間関係が豊か。


雇用保護、失業手当、再就職支援策の連結によって、労働者が守られている。173


88%が労働組合に加入。


真反対なのがフランスだ。『不信の社会 フランス・モデルは、どのように自壊するのか』


これらの分析を踏まえ、「経済成長を超えて」で著者は提言する。


ポスト工業化社会では経済成長の不確実性に「免疫をつける」必要がある。193


そのために失業の恐怖から逃れられる新たな福祉国家を構築する。


不安によってサラリーマンを奮起させてはならない。ストレスによるマネジメントは経済的にマイナスだ。


都市の人間関係を妬みではなく共感に。

空間をより満足感の高い緑のある空間にする。

国際社会とも環境リスクによって運命共同体を設立する。


量より質を求める時代に。


人々の精神構造が変化する。それは政令などによるものではない。

個人の熱い想いと社会的な欲求によって、変わるのだ。201



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# by eric-blog | 2018-08-08 13:24 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

男性支配

男性支配

ピエール・ブルデュー、藤原書店、2017、原著1998

3163冊目


学者が具体的な事例から帰納した原則を、自分自身の体験に当てはめて、「うんうん、そうだよね、そうそう」とうなづきながら読んで行く。しかし、書かれているのは原則の言葉だけでなく、ああでもない、こうでもないの具体の検討や立論の正しさの検討なども入り込みも果てしもなく長いこの本。一文一文が「原則」の言葉のようにも思える。


著者が「男性支配」と言う概念を導き出したのはアルジェリアのカビリア社会とヴァージニア・ウルフの『灯台へ』と言う小説。と訳者解説に言う。


性の問題について、あるいはジェンダーの問題についての論文は、まさかこれが初めてではない。では、ブルデューのこれのどこが新しいのだろうか?


象徴的暴力


生物的な性差の持つ現実的な差異以上に、社会的な性差が拡大するのはなぜか。


ヴアージニア・ウルフのいう「支配の催眠術的な権力」に促されて、男性支配の象徴的な次元に切り込もうとしているのがこの本だと言える。


しかし、「言葉は男性が支配する」。支配を暴く言葉もまた、呪術的なまでに支配的だ。そもそも、男の書いたこんな分厚い本によって、なぜ自分たちの生きづらさを再確認しなければならないのだ? 時間が勿体無いだろう?


と言うことで、あまりに長時間格闘することは諦めた。原則論的な、結論のような表現をつまみ喰うに止める決意をした。


社会的性差の固定化のせいで、あたかも違いが自然であるかのようにさえ見える。「男性的な社会弁護論は、支配関係を、生物学的な自然のなかに組み込むことによって正統化する」41


女性は、自分の価値を下げ、自分を否定する社会化の作業に従属し、自己犠牲や諦めや沈黙といった消極的な美徳を学習するが、男性もまた、支配的な表象の囚人であり、・・・犠牲者なのである。」76


「支配を主張し行使するように仕向ける性向もまた、・・・長い社会化の作業」


社会的なものの超越性


男性の特権の罠  緊張と集中が求められている。78


なるほど。って、何がだ?



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# by eric-blog | 2018-08-08 09:13 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

ゾンビでわかる神経科学

ゾンビでわかる神経科学

ティモシー・ヴァースタイネン、ブラッドリー・ヴォイテック、太田出版、2016、原著2014

3162冊目


「ゾンビとして生きていくための指南書」というのも、同じ出版社から出ているらしい。


物語の中に出て来るものが実在可能かどうか、研究しているのが空想科学。

http://www.kusokagaku.co.jp


この本は、ゾンビについての空想科学の真面目な本である。

なるほど、ゾンビというのは空想の産物だが、だからと言って「科学」できない訳ではない。ヒントはゾンビ映画にある。


歩き方や動き

獲物の発見の仕方 嗅覚

食べ方、消化

他者認識能力

睡眠と覚醒、意識


どこまで映画製作者が具体的に考えていたのかはわからないけれど、ウルトラマンだって、スパイダーマンだって、何も考えてやしない。科学的にはあり得ないのがヒーロー映画であるならば、ゾンビ映画だって、科学的にあり得ない。


詳細な検討の結果、下されたゾンビ症候群の診断名と症状がこちらだ。281


意識欠陥活動低下障害(Consciousness Deficit Hypoactivity Disorder)


CDHDは後天性の症候群で、患者は活動を意図的に制御できず、無気力で疲れ切ったような動きを見せたり、(運動感覚消失)喜びの感覚を失ったり(快感喪失)、全般的な言語機能障害(失語症)や記憶障害(健忘症)に陥り、接触などの欲求行動や攻撃的「闘争・逃走」行動を抑えられなくなる。患者はしばしば、見慣れた物や人を認識するのが著しく困難になり(失認症)、持続性睡眠障害が慢性的不眠症という形で現れた結果、やがて「覚醒せん妄」状態に至る。CDHD患者はまた、反社会的行動パターンも見せ、そうした典型的暴力行為の標的は生身の人間のみに限られる。いっぽう、他の感染者に対しては非常に強い向社会的な行動が現れる。その証拠に、感染者は群れ、「群知能」を発揮する。


そのような診断をもとに導き出されたのが以下のような「生き延びる秘訣」だ!


  1. 1.ゾンビと闘うな。ゾンビには痛みへの情動的反応を処理する神経回路が残っていない。
  2. 2.息を潜め、やり過ごせ。記憶と注意に問題を抱えている。極めて気が散りやすい。
  3. 3.ゾンビの注意をそらせろ。花火や閃光手榴弾。
  4. 4.ゾンビを振り切れ。小脳に損傷を受けているため動きが鈍くぎごちない。しかし、どこまでも歩き続けられることに注意。敏捷なタイプには無効。
  5. 5.説得しようとするな。言語回路の機能不全。怒りと空腹以外はわからない。
  6. 6.ゾンビを模倣せよ。ゾンビは認識能力を失っている。歩き方や声。


『カメラを止めるな』の大ヒットを見ても、ゾンビは夏の定番だということがわかる。恐怖心と血まみれの襲撃者の顔は食欲を無くさせる。少なくとも、私にとってはそうだった。ゾンビダイエットの科学を次は、誰か書いてくれ!



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# by eric-blog | 2018-08-06 13:06 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)