<   2017年 04月 ( 43 )   > この月の画像一覧

ポーラ ドアを開けた女

ポーラ ドアを開けた女

ロディ・ドイル、キネマ旬報社、1998

The Woman Who Walked Into Doors, 1996

2775冊目


アイルランド人の男性作者が描くBattered woman、家庭内暴力の被害者の心理。


前半は、子ども時代の記憶と、いまのシングルマザーとしての生活、清掃婦として家族を支え、そして懸命にアルコール依存症と戦おうとする姿が交互に描かれる。


幸福の記憶。


それは、後半で出てくる17年間の暴力の記憶と対置するとあまりにも鮮明だ。その対比が秀逸なのだ。


一方で、暴力の予兆も。どこか、父親から長女に対する暴力的支配も、匂わされる、子ども時代の記憶の姉妹の間での食い違い。


そして、もたらされる夫の死の知らせ。一年前に追い出してから初めて聞いた消息が警察官からもたらされた犯人としての射殺死。その犯罪すら、自分の責任なのではないかと、被害者宅近辺をさまよい、安寧な日常の痕跡を探る。


プリズン・ブック・クラブの課題本の一つ。


夫からの暴力に17年間晒されてきた身体の傷跡の描写も生々しい。しかし、実写などと異なって「消費される」感じはしない。わたしの想像力が乏しいだけ?

代わりに、精神の痛々しさと追い詰められた気持ち、そして混乱は胸に迫る。その感覚を「対象」として「消費する」ことは難しい。共感できるかどうかは、また別問題として。


そこに「絵柄」としての「13歳から胸が豊満だった女」の記号が常駐することはできないからだ。できない。文字を、言葉を、言葉を発する理性を突きつけられ続けるからだ。


DV被害者の精神的苦痛に対する理解に、この本がつながると良いと思う。


幸せとは何かを味わうために。


原題である「ドアにぶつかる女」と言うのは、DVの被害で医者に行くときに、怪我の言い訳として使われる理由。階段から落ちるとか。そして、病院にはそのような同じ言い訳をしている女たちがいるにもかかわらず、ポーラは、その女たちを「まっとうな理由で怪我をしている幸せな女たち」としてしか見ない。自分と同じ境遇だろうとは、考えないのだ。


原題に近い邦訳の方が良かったとは思うのだが、その「なぜ」はあとがきにも触れられていない。残念。わたしなら、「階段から転げ落ちる女」とでもするか。



[PR]
by eric-blog | 2017-04-30 11:24 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

年収90万円で東京ハッピーライフ

年収90万円で東京ハッピーライフ
大原扁理、太田出版、2016
2774冊目

30歳で隠居生活、とご本人は言う。

愛知の田舎から東京に出てきた時には、流行りだったシェアハウスに7万円を払って住みはじめた。東京で暮らすと言うことがどう言うことかわからなかったからだ。

一軒家の広々としたキッチンやリビングなどの共用空間と庭。素晴らしくはあったが、家賃を払うためにも働いていた。何かと物入りなのが東京ライフ。

でも、ふと気がつくと、東京の西の方にはもっと安い家賃のところがあるではないか?
 
自分は暮らしに何を求めているのだろうか?これまでの人生で「ヤリタイコト」「やりたくないこと」によって選択を明確にしてきた著者。

家賃のために働くのは嫌だ。で、28000円、ワンルーム、ロフト、キッチン、バストイレ付き、駅から徒歩20分の、いまの住処と出会う。

「住む」と言うかんじにもあるじゃないか、「人が主人公」なのが住まいだよ。

幅90センチほどの、キチネット。自炊に必要最低限のツールと冷蔵庫。

ワードローブは透明衣装ケース三段のみ。趣味は読書と散歩。

年収100万円以下なので、所得税は免除。年金も免除。将来が心配じゃないかって? 

いま、こんな調子で生きているんだから、大丈夫なんじゃないかと。

玄米菜食中心なので、怒ることが少なくなった。社会正義の憤りは別にして。動物実験、虐待、などには怒る。寄付もする。見かければ必ず。10円以下だけど。

それなりに友人も増えてきたと言う。

そんな著者にとって、辛かったのは学校時代だ。人と違うといじめられた。言うこと聞かないと殴られた。ヤンキーの礼を守らないと締められた。

中学校はジャージで通した。そしたら先生が諦めた。自分を貫くことってできるんだな。

イギリスにも行った。その時のスコーンと紅茶の文化は、いまも続いている。

インドのサロンもお気に入りの首巻きになっている。知った上でいまの選択がある。あとがきに堀江貴文さんが紹介文を書いてくれたとあるが、とりあえずこの本には収録されていない。本を書きたい、と言う気持ちが抑えられずに、この本が二冊目。システム2をマックスに生きていると、こうなる気がする。生きているって、丁寧に毎日毎日を生きれば、それがベストなんじゃない?賛成。

[PR]
by eric-blog | 2017-04-30 10:05 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

ERIC NEWS 538号 ともによりよい質の教育をめざして  2017年4月23日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ERIC NEWS 538号 ともによりよい質の教育をめざして  2017年4月23日
ESDファシリテーターズ・カレッジ! すべての学びを参加型で!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

 今年もTEST教育力向上講座in大阪、開催となりました。
2017年5月3日 午前10時から午後5時まで。あおぞら財団研修室にて。

 案内文をと言われたのですが、やはり当日、参加者の皆さんとともに考えたいなあと、三題噺の準備はしていきますが、どう展開するかは、参加者のご希望次第ということで。

 あまり準備をしすぎないテーゲーな据え置き型ファシリテーターになることがわたしの夢。

 先日、ISEP環境とエネルギー政策研究所が、事務所移転したとかで、四谷近くの三栄町という当たりを歩きました。その辺りというのが、都心なのに住宅街。住宅街なのにオフィス街、というかサテライト型のミニ校舎の看板が掲げられているデザインフルな建物がたくさんある街だったので驚きました。

 そうかあ、ERICの念願であるところのESDファシリテーターズ・カレッジ、二年間コースも、こんな形の学校として実現することもできたんだなあと、とても可愛い二階建てを見て思いました。ま、いまの事務所の10倍のお値段にはなりますが。

 でも、なぜ、二年間コースをと思った時、すぐに「学校を」と思わなかったのかなあと考えると、「学校」という形が持つヒドン・メッセージをどう解消するかという課題を十分に解消仕切れていないまま、取りかかることはできなかった。そんなことに思い当たりました。

 TEST in 大阪。参加型による教育的指導者のための学び合いの場。そこで対価をいただいてファシリテーターを務めることも、その矛盾の一つです。本当に作りたいのは「学習者が作り出す学習の場」。しかし、その場とその場のメッセージのためにも、コストがかかるのが現実ですよね。

 どなたが書いていたけれど、「プロフェッショナル」というのはそれだけの時間とエネルギーをかけてきた人であり、そのことに対する対価なしで、ボランティアをお願いするのはおかしいと。

 ファシリテーターという職業、大好きです。一方的ではないからこそ、何度やっても飽きずにやってこれています。ともに考える人が違えば、学びも違う。そして、わたしも「学び」ます。

 フューチャーサーチ会議を初めて日本で開催した時に、錚々たるファシリテーターのパイオニアたちが参加してくれました。参加費を払って。その中の一人の人が言ったのです。「でも、これで一番学んでいるのはかくたさんだよね」と。

 新しい学びの場を提供し、そこから一番学んでいるのは、わたし自身、そしてERIC自身です。それはグローバル・セミナー以来の伝統です。新しい学びの風を常に巻き起こしたい。それがグローバル・セミナーの原動力でした。

 でも、新しい学びは、ファシリテーター仲間であれば、誰しもあるはず。わたしもグローバル・セミナーをともに担ってきたERICファシリテーターから多くのことを学びました。

 ERICがグローバル・セミナーを卒業したわけ。それは「新しい学び」ではなく、常に「よりよいものを目指し続ける」学び方に、学び方がシフトしたからです。Better Quality Of Education for BQOE。ブログのタイトルでもあります。

 よりよくしていくために重要なのは点検の視点。思えば、一番最初に翻訳した『ワールド・スタディーズ』にその萌芽がありました。「わたしはワールド・スタディーズを実践しているだろうか?」というチェックリストがそれです。

 TEST教育力向上講座は、他のERICの研修と異なり、ファシリテーター実践者のための「点検・改善」「よりよい」に向かう場です。「わああああ! めっちゃ新しい!」ではなく、「あ、自分の中にあったじゃないか。それをうまく整理してくれているなあ、これをKISSして、自分のものにして行こう」、そんな出会いがある場です。

 ぜひ、今年も、TEST in 大阪でお会いしましょう。参加型の教え方学び方の実践力を高めるために。


◆◇◆538号 目次◆◇◆

◆◇◆1. グローバル・セミナーをふりかえる〜いまと未来の教育のために
◆◇◆2. TEST in 大阪2017 「問う心」を育てる=世界を疑う
◆◇◆3. ESDファシリテーターズ・ハンドブック2「構成的に学ぶ」
◆◇◆4. ESDファシリテーターズ・カレッジ2017 のご案内
◆◇◆5. by ERIC 在庫処分2016! レッスンバンクもチェック!
◆◇◆6. with ERICこれまでの活動

◆◇◆1.  新連載「グローバル・セミナーをふりかえる〜いまと未来の教育のために」◆◇◆
担当: 鬼木たまみ
ERICでは設立当初から10数年にわたって、グローバル・セミナーを開催しました。
グローバル・セミナーというのは、ERICが厳選して翻訳出版したテキストの著者・開発関係者を講師として招き、参加型学習によって展開されるテキストの内容を体験してもらうものでした。テキストの翻訳だけでなく、参加型の研修プログラムを実施する、また受講する経験は、ERICにとって大きな学びとなり、ESDファシリテーターズ・カレッジをはじめ、オリジナルテキストの開発などその後の様々な活動につながっていった知的財産そのものです。

第1回グローバル・セミナー「地球の未来と教師の役割」(1990年)の開催主旨に、その思いがしっかりこめられています。

「世界はますます狭くなっていることを実感させられる今日このごろ。10年後に迫る21世紀は「地球時代」と言われます。わたしたちは世界のあらゆる国々や地域、あるいは人々と無数の目に見えない 糸で結ばれています。
環境や資源問題など、地球規模で取り組む課題が増えていることも否めません。21世紀を担う子どもたちが、このたった一つの地球を分かち合っていけるようにするためには、今、私たちに何ができるのでしょうか」

ここから始まったグローバル・セミナー。今後、ERIC NEWSやブログで紹介していきたいと思います。

■グローバル・セミナー全14回のテーマ・リスト

第1回 地球の未来と教師の役割(1990)
第2回 イギリス・オーストラリア・アメリカの国際理解教育に実践に学ぶ(1991)
第3回 環境教育・PLT(1992)
第4回 食糧 フード・ファースト・カリキュラム(1993)
第5回 協力、コミュニケーション、セルフ・エスティーム(1994)
第6回 わたしから始まる国際理解教育-自己理解と参加(1994)
第7回 フォトランゲージを学ぶ(1995)
第8回 地球のみかた(1996)
第9回 対立から学ぼう(1997)
第10回 未来を学ぼう (1998)
第11回 国際理解教育の推進に向けて(1999)
第12回 対立を超えて・世紀を超えて 地球の明日とわたしたちの力(2000)
第13回 生涯学習社会の実現に向けて(2002)
第14回 いっしょに考えて!教育(2005)
( )内は開催年

◆◇◆2.  TEST in 大阪2017 三題: ファシリテーターの資質・問う技術・経験の広がり ◆◇◆

新しい学びと自分自身の実践をふりかえりつつ、次年度に備える。そんな時間がTEST教育力向上講座の時間です。今年のin大阪は、一日だけのショートバージョン。それだけにみっちり詰まったものになりそうです。
共有したい学びは三つです。

1.  ファシリテーターの三つの価値観「真摯さ」「誠実さ」「信頼」
2.  経験学習の三原則 経験のふりかえり、共有、そして広がり
3.  QFT「問う技術」

三題噺がどう展開するかは当日のお楽しみ。あなたはファシリテーターの資質に自信ありますか?

2017年5月3日 10時から17時 at あおぞら財団研修室

申し込みは栗本敦子さん、あるいはかくたまで。kakuta(a)eric-net.org

◆◇◆3. ファシリテーター・ハンドブック2「構成的に学ぶ」◆◇◆

連載を始めたばかりのファシリテーター・ハンドブックですが、すでに順番が違ってしまいました。訂正して、再録しておきます。

1. ERIC ESDファシリテーター・ハンドブック1 「効果的な学習」
http://www.eric-net.org/news/FH17EffectiveLearning.pdf
2. ERIC ESDファシリテーター・ハンドブック2「構成的に学ぶ」
http://www.eric-net.org/news/FH17Constructivism.pdf
3. ERIC ESDファシリテーター・ハンドブック3 「経験を味わう」
http://www.eric-net.org/news/FH17Reflexitive.pdf

1 「効果的な学習」のCSSCの四つの要素を受けて、構成主義と経験学習の関係についてまとめたものが2「構成的に学ぶ」

『学習の本質』が掲げる効果的な学習の四つの要素の一つが「構成主義」constructivismです。そして経験学習は、構成主義の考え方に立って、考えられている教授学習法です。
このユニットでは構成主義について学びを深めるためのキーワードやERICのテキストが採用している教授法にどのように構成主義が生かされているかを紹介しています。

今回のKISS!は次の「経験学習の三原則」です。

経験学習というとコルプの「経験学習の四段階」があまりにも有名ですが、「体験のしっ放し」という批判が起こるのは、ふりかえりが不十分なだけではありません。しっかりとした経験学習の指導原則として、以下の三つを抑えているかどうかが鍵なのです。
・経験のふりかえり
・経験の共有
・経験の広がり

あなたの実践している経験学習をこの三つの視点から点検して見ましょう!

Let's KISS!
Keep it simple and shortによって、より良い質の教育の点検力を高めましょう。
これからもファシリテーター・ハンドブックでは、さまざまなKISSを紹介していきます。

[PR]
by eric-blog | 2017-04-28 16:49 | ERICニュース | Comments(0)

GPWU2017 第二回 自分で考えるための拠り所 1,2,3

第二回 自分で考えるための拠り所 1,2,3


第2回の授業では、以下の三つのことを行いました。

  1. 1.前回のふりかえり
  2. 2.コミュニケーションのスキルを伸ばすアクティビティ
  3. 3.気づきのためのアクティビティ「マグロからツナ缶まで」
  4. 4.学習計画

それぞれの内容をまとめておきます。


1. 知っている人、知らない人、興味のある人、興味のない人で、「地球社会と共生」についいて学ぶ、考えるってどんなこと?


「12のものの見方・考え方」は、分析の枠組みです。ぜひ、活用力をつけてください。


2. 傾聴と話し合いの心がけ


アクティブ・リスニングとは、参加のスキルの一つです。自分の意見を言うこと、人の言葉を傾聴することは、民心主義の基本です。

スキルは一度で身につくものではありません。繰り返し、繰り返し、様々な機会に「できる」ようになること。


3. 社会的インフラストラクチャーが増大した!

いま、日本のエネルギー消費、先進国のエネルギー消費は、地球の持続可能性の範囲を超えています。もしも、それを1967年のレベルに抑えることができたら、地球の全人口の人々が平等にエネルギーと資源を使うことができるのです。

しかし、実際には増大したエネルギー消費は社会的な消費なのです。


何を考えるべきでしょうか?


QFTの練習をして見ましょう。


21世紀型学力とことば・言葉・言語のトリレンマ

http://ericweblog.exblog.jp/20934968/


■第二回のHookers 

 「ガヤガヤタイム」で話してみましょう。

  • λ世界を騙し続ける科学者たち http://ericweblog.exblog.jp/14845442/
  • λThis Changes Everything ナオミ・クライン(全然いわなかった)
  • λBack to 1967  『ともに生きる地球』日本消費者連盟、1994
  • λファスト&スローhttp://ericweblog.exblog.jp/23837253/
  • λロールズ「正義論」+「万民の法」

[PR]
by eric-blog | 2017-04-28 14:23 | □研修プログラム | Comments(0)

差別されてる自覚はあるか 横田弘と青い芝の会「行動綱領」

差別されてる自覚はあるか 横田弘と青い芝の会「行動綱領」

荒井裕樹、現代書館、2017

2773冊目


すでに紹介している以下の本も参照してほしい。

われらは愛と正義を否定する 脳性マヒ者 横田弘と「青い芝」

横田弘、立岩真也、臼井正樹、生活書院、2016

http://ericweblog.exblog.jp/23757266/


著者は1980年生まれの研究者。なんとなく、胡散臭い感じで見られている感がある。しかし、解説者として有用なのではないだろうか。


「脳性麻痺者の自己は健全者に奪われている。ことへの自覚」


マハラバ村は横田の自立のきっかけになった場であるが、五戒がある。66


. 親子ゲンカすること

. 家出すること

. 自殺をすること

. 塩辛を食べること

. お酒を飲むこと


ま、男性中心文化の匂いがするよね。塩辛とか酒とか。


マハラバ村の『ころび草』より

「絶望して、絶望して、絶望し抜いた後であげる叫び、それこそが限りない命への賛歌であり、生きていることの証なのである。」70



人は弱いものを差別する。

どうしたって人は誰かを差別する。

そして自分は差別される障害者だ。

・・・自分が差別されたときにどう闘うかが重要だ。



そして、綱領に追加された「われらは健全者文明を否定する」に至った経緯。

『しょうがいを持つ生をありのままに生きる』より


電動車いすによって「できる」ことを安易に目指すことへの危機感。

健全者にやってもらうことで社会参加する機会。


脳性マヒを障害者と読み替えない。




[PR]
by eric-blog | 2017-04-28 12:56 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

プリズン・ブック・クラブ コリンズ•ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ コリンズ•ベイ刑務所読書会の一年

アン・ウォームズリー、紀伊国屋書店、2016

2772冊目


2011年から12年にかけての一年間、刑務所で開かれた読書会に、図書選定委員として、そしてボランティアとして参加した作家として記録。読書会に参加して感想を聞くだけでなく、インタビューや日記を書いてもらうなどによる情報も含まれている。


ビブリオ・バトルという「この本読んだぜ、すごいよ、これ」というプレゼンテーションの優劣を競う趣味がある。北区の図書館でも取り組んでいて、全国大会などもあるし、高校生の大会などもあるようだ。


お話し会もあるし、絵本の読み聞かせもある。それぞれに技術を磨くための研修もあれば、仲間の会もある。


しかし、読書会はどうだ?


どこか、渋谷のオサレなカフェあたりで、毛糸で編み物をする集いとか、やっそうなところで、やっていたのを聞いたことがあるくらいかなあ。


わたしも「本トのインタビュー」や「輪読で紹介する」など、テキストにまつわる読む話す聞くを研修プログラムに取り入れたりしている。テキストという、何らかの専門性を持ってまとめられたものを、「字面で読む」だけでなく、「声を出して読む」、「読まれた音を聞く」という脳のよりプリミティブな音読回路を通すことで、脳に意味が届き、自分たちの体験に照らして理解したり、解釈したり、意味付けたりすることが容易になると考えているからだ。


しかし、読書会はこれまで経験したことがない。日本語でも英語でも。その体験のためだけにでも、英米に行きたいと思うぐらいだ。


そう言えば、ジェーン・オースティンも読者クラブがあるなあ。日本でも、特定の作者については読者会がある。アガサ・クリスティやシャーロック・ホームズなんて、すごいものがあるだろうなあ。


この、刑務所内での読書会は、参加者が10人から15人程度。著者も含めて三人ほどの外部の人が、本の選定、提供(人数分準備するから大変)、場の設定(おやつのクッキーが重要なようだ)、話し合いのリードなどの役割を担っている。


参加者の中には課題の本を読んで来ていない人もいて、大抵は5人程度しか発言しない。(本には27 名の名前がリストに紹介されているけれど。)


この本は、その読書会の発言内容の記録でもない。発言によって著者が喚起された想いとか、本そのものにまつわる裏話とか。


時には、本の作者本人をゲストに呼ぶことも! 『ニグロたちの名簿*』ローレンス・ヒル。受刑者の多くが黒人であることもあり、黒人の作家であることは、作品の内容とともに彼らの経験と重なる部分も多いと判断されたからこその招待であった。


一ヶ月に一度開催されいていく。


読書という非常にパーソナルな活動だからこそ、語り合うことが面白いのだろうなあ。


どこか近くに読書会やっていないかなあ。


もう一つの興味は、「図書選定」の方法だ。


『サラエボのチェリスト』 

『スリー・カップス・オブ・ティー』

『ポーラ』


多くのものが翻訳されていることにも驚くが、当然、翻訳されていないものもある。「*」がついているものが、邦訳されていないもの。その内容からしても、そうだろうなあと思う。


黒人のみならず、イスラム教の背景のものあり、文学に限らず、ノンフィクションあり、成功する秘訣のようなものもあり。


わたし自身、文学というものから、遠かったからなあ。ブログでも実用書、専門書、科学入門書、テーマ型の本ばかりしか紹介していないし。


読書会としては、このような幅の広さも、グッドなんじゃないだろうか?


読書会を開催するために資金集めをしたり、「読書会大使」を任命して次の参加者に声をかけさせたり。アンに声をかけたキャロルという人の行動力もすごい。


そう言えば、大学時代に「歎異抄を読む会」とかあったなあ。そして最近では「9条を読む会」とかも。実は全然読書会じゃあないんだよね。


■読むことの歴史ヨーロッパ読書史ロジェ・シャルティエ、グリエルモ・カヴァッロ、大修館書店、2000
原著1997

http://ericweblog.exblog.jp/3530571/



[PR]
by eric-blog | 2017-04-27 17:11 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

不寛容の本質

不寛容の本質

西田亮介、経済界、2017

2771冊目


いま、社会の分断を促すメッセージが多い。

グローバル化なのかローカルか

成長主義なのか反成長主義なのか。


評価も難しい。物差しが多様化しているからだ。


豊かさについて、過剰な楽観論と悲観論が対立している。第二章


若年世代は自民党を支持している。野党にとって難しい時代。第3章。


憲法改正が現実味を帯びて来た。


今後ますます「イノベーター」と「生活者」の関係は利益相反になる。未来への投資か今日の生活か。公共心を持ったエリートはいなくなる。第4章。


少年犯罪の背景にある隠れた格差。社会復帰ができない。第5章。


国立大学法人の経営難と研究環境の悪化。ランキングでも低迷。第6章。


「昭和の面影」をどこまで振り払えるかがこれからの鍵。





[PR]
by eric-blog | 2017-04-26 11:31 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

フクシマの荒廃 フランス人特派員が見た原発棄民たち

フクシマの荒廃 フランス人特派員が見た原発棄民たち

アルノー・ヴォレラン、緑風出版、2016

2771冊目


もうこれ以上を何をフクシマについて知るべきだろう。多くが語られ、多くが映画化され、多くが写真に収められて来たのではないか?


しかし、特派員から見たものは、さらに厳しい現実だ。


誰も何も語ろうとしない、という現実。


そして、語った人々が、消されて行く闇。


本当に怖い相互監視社会がそこにある。そして、そのような監視社会の中のコネで職と収入を得て、被ばく線量を積み上げて行く労働者たちの姿だ。


狭い、のである。フクシマは。


20万人。


9章。フクシマの子。

AFWを立ち上げた吉川さんへのインタビュー

http://a-f-w.org



10章 フクシマをつくった男


名嘉幸照、東北エンタープライズ会長へのインタビュー。

http://www.tohoku-enterprise.com


11章 日本原子力ムラ


古い体質のままの原子力規制委員会。


彼らが望むのはフクシマの沈静化だ。色々な意味で。


放射性物質吸引掃除機のアイデアを語る清水建設、松崎雅彦。

次に会った時、彼が異動していた先は、東京オリンピックの会場建設であった。


ページはめくられる。




[PR]
by eric-blog | 2017-04-26 10:49 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

沖縄 石垣島議員 いじめ問題

目次

膨大な自衛隊PR動画

・「離島奪還能力を強化  奄美で上陸訓練」 産経動画 122

・【離島防衛】陸上自衛隊の「爆撃誘導」訓練:日米合同軍事演習 2017 212

・陸上自衛隊&米海兵隊の市街地戦闘訓練渡米演習2017 233

・自衛隊・米豪軍合同軍事演習 2016 市街戦訓練など 1303

・離島防衛の訓練公開佐世保の西部方面普通科連隊 産経動画 57

・日米共同訓練「離島奪還」へ結束 105

・「離島奪還せよ」日米が合同訓練 安保法制施行控え(16/02/27) 45

・陸自が米海兵隊と合同訓練、離島奪還を想定|全国のニュース 121

・陸上自衛隊・近接戦闘(室内戦闘)訓練 131

・対ゲリラ市街戦訓練 249

・アメリカ海兵隊は世界中どこでも6時間で駆けつけます! 212

軍事化の説明会

・石垣自衛隊配備説明会 1140

伊波洋一×三上智恵

《驚愕》宮古島・石垣島 自衛隊・ミサイル部隊配備でどうなる?1006

・宮古島の選挙の行方 1344

・与那国島自衛隊配備までの道のり、乗松聡子氏と三上智恵氏を迎 えて 611

・宮古島・石垣島の自衛隊配備を止めよう! 3 30東京集会 提出決議文 657

・宮古島自衛隊配備住民説明会 956

・石垣自衛隊配備説明会 1143

・防衛省主催「石垣島への陸自配備住民説明会」質疑 2351

資料

ISHIGAKI陸上自衛隊配備についての住民の声 3250

写真と文「宮古島 時忘れる東洋一の浜」2406kb

『宮古島女性市議への「いじめ」をやめさせ、市議を続けるよ う応援します。』

           バンクーバー乗松さん2017.3.21 40kb

ビラ「沖縄・南西諸島を標的にするな」会場:大阪&横浜13 51kb

㉖動画 核兵器禁止条約を現実化する国連会議  16kb

目次

北朝鮮問題「福山哲郎・民進党→休憩」【国会中継 参議院予算委員会】 744

「核兵器禁止条約の国連会議」報告会 1時間244 0

「共謀罪」三つの大問題 1352

「共謀罪」政府の説明 破たん 1334

㉗動画集「命の尊さ=ひめゆり学徒隊の証言」&「むのたけじ」ほ か 188kb

目次

「命の尊さ」ひめゆり学徒隊・宮城喜久子さんの証言

2005年4月NHKラジオ深夜便 953

核心の部分 そもそも総研「テロ対策」は名目だけ 122

・そもそも総研「テロ等準備罪、またの名は共謀罪について」 1944

インタビューそもそも総研「むのたけじ・100歳の現役 いま何を語る?」1851

ドキュメント映像「むのたけじ100歳の不屈・戦中をくぐり 抜けてきた男」5846

「伝説のジャーナリスト次世代への遺言―戦争を絶滅させる」20 15.10.11 ETV特集

秘話「関東大震災と川越」 30kb

㉙4月の世論調査ー朝日新聞 259kb

㉚資料記事【3.234.12 証人喚問以後の流れを振り返る~

       「極右学校法人の闇IWJ」】1312kb


[PR]
by eric-blog | 2017-04-26 10:09 | ◇ブログ&プロフィール | Comments(0)

教育勅語国際関係史の研究

教育勅語国際関係史の研究

平田論治(ゆうじ)、風間書房、1997

2770冊目


教育勅語の英文訳を読んで、プリミティブ感が拭えない。


「あなたたち、被統治者よ、わたしたちの皇室の祖先が、この帝国の基礎を作り、しっかりとした被統治者の徳目を植え込んできた。・・・・」


a0036168_10011035.jpg
a0036168_10012099.jpg


こんな国に生きているのか。どこかの部族社会のようだ。


植え込まれてきた徳目のゆえに、この帝国の支配が長く続いてきたと。


1967年、福井県生まれの著者による500ページ超の大著。


自分のうちからなるものを、他者と共有し、すり合わせ、より良いものに高め、その価値観によって社会を形成していく。そうだ、そんな国にわたしは住んでいるのだ、と喜べない、えげつない描かれ方。


「皇室が、臣民に徳目を教え、植え込み、あなたたちはそれを守って、皇室の危機あれば、馳せ参じるんですよ。」


だもんね。


嫌です。


どうすればいいのだ? この21世紀において?


そんな皇室に支配されている国に住んでいるだなあと、人から見られていて。


いい奴らだよなあ、規律正しく、職業意識が高くて、団結力もあるって?


わあああ、まんまやなあ。


1908年、第一回国際道徳教育会議、ロンドンで開催される。教育勅語の英訳とともに修身教科書についての報告など、教育についての300ページを超える報告書を準備した。第4153-/456など


官定英訳教育勅語の完成はその前、19061217日。日露戦争下の広報外交の機運と、ロンドン大学への菊池大麓派遣などがその契機であった。第5


そして、その教育勅語に基礎を置いた教育がどのように受け止められていたかが第6章に報告されている。「支配者と人民の比類なき結束」「過去への崇敬」「過去の偉人の精神の継承」「本質的には宗教の規制力」「道徳が世俗的でありながら、天皇に対する宗教的態度に基づいている」


など。


その教育によって生み出される結束力と規律に驚嘆している姿が描かれている。


明治期に外国人が来て感嘆した日本。

https://netallica.yahoo.co.jp/news/20170416-14206777-magmag


その延長としての明治。


そして、そこから突っ走ったもの。戦争。


わたしたちは、どこから来て、どこへ行くのか?


貧しく美しい日本なのか?


アジア蔑視の金満日本なのか?


アジア蔑視だけは止めたいなあ。それこそ、明治に、伊藤博文に、欧米に追いつけ追い越せ精神に、ルーツがあるのだから。


この本、とても、読みきれませんでした。高いから買えないし。でも、重要な本だね。広島大学の大学院での博士論文用研究としてまとめられたもの。素晴らしい。



[PR]
by eric-blog | 2017-04-26 10:02 | Comments(0)