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持続可能な未来へ 組織と個人による変革

374-2(1600)持続可能な未来へ 組織と個人による変革
ピーター・センゲ、日本経済新聞出版社、2010

The Necessary Revolution, 2008

「学び続ける組織」Learning Organization
の著者であり、『出現する未来』も最近読んだ。「U理論」について知ろうとしたのだけれど。それは、おいておいて、この本は、訳者が後書きで言うように、本全体からセンゲの願いや思いが匂い立ってくるような本である。

http://www.solonline.org/organizational_overview/

物質が満たされた後、それ以上の物質的な豊かさは満足や、幸せにはつながらない。いまや、わたしたちの社会は、これまでにない富みの世界に生きている。別の開発、発展を求めることができるはずだ。このままでは続かない、こともわかっているのだから。

デュポンやナイキ、など、環境保護派や運動団体から問題提起を受けた社名も並ぶ。それらの会社が「持続可能な開発」や「循環型社会」に向けて、取り組み出している。

◯足ることを知る。
◯廃棄物をゼロにする。
◯わたしたちは次世代の人びとに借りをつくっており、それを返済しなければならない。
◯人間は自然の驚異のごく一部にすぎない。
◯地球の恵みを大切にしなければならない。
◯多様性を歓迎し、コミュニティづくりに力を入れる。
◯地球村では、すべてが運命共同体であるため、船が沈没すると全員が沈む。
57-58
大切なのはQuality of Life, 生活の質、と訳されているが、「生きるということの質、生命の質」とも訳せる言葉だ。
そして、最終章にはナチュラル・ステップの4原則も紹介されている。

必要なのは、「問題解決型」思考ではなく、「実現したい未来」型思考なのだという。海図のない時代には、思いつくかぎりのあらゆる種類の想像に取り組まなければならない、と。71

まるでカンブリア紀だね。生命の爆発へ。

「新しい発想、新しい選択」を可能にするのが、「自分の意思で好きなことをする」ことだが、絶望か希望か。それは根源的な選択なのだ。

コカ・コーラはWWFと協力して「ウォーターフットプリント」を現在の200リットルから平均で3リットル以下へ下げようとしている。

そして、事業の新しい優先順位も、株主価値を満足させることができるという。157
「社内/社外」「現在/将来」の二次元軸から
将来+社外=持続可能な成長軌道
将来+社内=イノベーションとポジショニング変更
現在+社外=評判と正当性
現在+社内=コストとリスクの低減
の四つの価値と企業の対応が導きだされるのだが、その4マスすべてを充たすバランスが必要だと。

わたし自身も「クロマグロの悲劇」というゲームを環境教育の場面で行なっているが、「フィッシュ・バンク」という架空の企業を舞台にしたゲーム(なんと、あのデニス・メドウズさんが開発したという)をやってみるらしい。「共有物の悲劇」を体験するものだ。
・ 船
・ ・銀行口座
・ 漁場についての情報
・ 深海域か浅海域か
などの情報を各チームがもって、操業する、かなり複雑なものだね。結果は自主的な規律を業界全体が導入した時、最大の利益と資産が得られたという。

自分たちのパターンを知るための、他のToolも紹介されている。
会話行動の4プレイヤー・モデル。356
率先
反対
追従
傍観
率先は方向性を、反対は軌道修正を、追従は仕上げを、傍観は視点を与えてくれる。どのプレイヤーの役割も、大切なものだ。

わたしたちの直面している壮大な組織変革。452

◯消費を全体として減らす
◯生命資本、社会資本、自然資本などの富みの源泉の再生に力を振り向ける。
◯文化の多様性を培うことにより、社会の確信、順応、学習を速める。
◯生命を支える地球の恵みを公平に分け合うために、富裕層の資産を貧困層へ再配分する。
◯物的資源の使い方を有害なものから有益なものへと切り替え、経済効率を高める。
「工業化時代には、自然資本や社会資本を取り込むことにより物的資本と金融資本が生み出されてきたが、いまやこのプロセスを逆転させる潮時が訪れている。そのためには生命師システムに投資し、その効果を引き出すための社会規範、公共政策、事業慣習を設けなくてはいけない。」453
デービッド・コーテンのボストン、ファニエル・ホールにおける2007年の会合での発言より。

循環型社会とは、人類だけでなく、あらゆる生命がきらめく社会なのだ。484

わたしたちは若い生物種で自分の居場所を探しあぐねており、ごく最近世界に広がった。そして、自分たちは宇宙のいや、地球上の生命の中心ですらないとようやく気づこうとしているところだ。488

平原インディアンは「すべての同胞たち」という表現で、生きとし生けるものすべてをさし、挨拶の言葉として用いているという。

中国語には「我们」という他者との対語としての「わたしたち」と、全員を表す「咱们」という言葉がある。おもしろいねぇ。为了咱们未来ってところだね。
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by eric-blog | 2010-11-30 08:38 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

『your world』-「英語テキスト」と「国際理解教育テキスト」

『your world』-「英語テキスト」と「国際理解教育テキスト」

(サクソンコート・パブリシング出版)の2冊ですが、
テーマ別学習で英語学習をすすめる「英語テキスト」と、
共通テーマを日本語で学ぶ[国際理解教育テキスト」
(総合学習時間などで活用)という構想に基づいています。

どちらのテキストも生徒用(主に小学5、6年生)で、
別途教師用CD-ROMが販売されております。
詳細は下記をご覧ください。
http://www.nellies.jp/shop/info.php?isbn=9784884021467

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by eric-blog | 2010-11-29 13:19 | △研修その他案内 | Comments(0)

ネオ階級社会はここから始まった 1974年、見過ごされた転換点

374-1(1599)ネオ階級社会はここから始まった 1974年、見過ごされた転換点
林信吾、葛岡智恭、平凡社新書、2010

おっとっとっと。1974ねぇーーん?

それってわたしが米国交換留学に出かけた年じゃん。73年8月から74年7月までの一年間。73年はエネルギーショックで、ホストマザーには「あなたはかわいそう、クリスマスはもっと明るくて、きれいなのよ」と言われ続けた。74年に帰国、帰宅してみると、教員をしていたわが家の経済はおおいに好転していた。背景を知るべくもない高校生は、「わたし一人がいないだけで、家族はこんなにリッチになれるのね」と子供負担の大きさを「実感」したと思っていた。

日本が戦後、初めてマイナス経済成長を経験した1974年。

それまでの戦後日本を著者らは「明治以来」の延長として、
「企業スポーツ」に代表される「会社主義」、そして会社を超えた労働者の連帯の欠如。
「軍国主義の亡霊」 特に厚生省の中に生延びた旧陸軍海軍、そして「植民地主義」、植民地という「永遠の負け組」、少数の勝ち組による独占。
「官僚主導」、護衛船団方式
が生き残り、かつ、機能し、戦後復興の成功につながっていた部分もあるとする。

そして、そこからの転換点が、1974年であったのだと。

小野田さんの帰還、
ロッキード事件
FIFAワールドカップの転換

などが、変化の象徴として、あげられている。

しかし、日本はその転換点を見誤り、明治以来の「日本型」に固執し続け、2009年の民主党政権交代によってすら、その方向転換を成し遂げられていないのではないかと。
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by eric-blog | 2010-11-29 09:09 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

外国人と暮らす街

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1 教室の中の世界
2 社会的有利性の配分の正義
3 お似合いのイニシャル
4 参加者はどんな人?[挙手で]
5 日本人は〇〇である
6 外国人は〇〇でない?
7 理想の国づくり
8 難民の受け入れ
9 ふりかえり
    ノートテイキングとサークルタイム
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by eric-blog | 2010-11-26 18:25 | △研修その他案内 | Comments(0)

人権研修 2時間×2回 第一回

2010年11月24日 15.00-17.00

1. 「なぜ、人権教育に参加型で取り組むのか」[連想図、一人作業、A4の紙と筆記具]
2. 傾聴[ペア作業]
3. 「ゴールディロックス効果」[5グループに分かれて、グループ作業、筆記具]
4. 「気づいたこと・感じたこと・学んだこと」[グループでまとめる]
5. 人権についての学びに応用して考える「大切な学び 3つ」+「学びあいが楽しくなる話し合いの心がけ」
6. ノートテイキング
7. 正確に聞く傾聴
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by eric-blog | 2010-11-26 17:02 | □研修プログラム | Comments(0)

 「信」無くば立たず

373-4(1598)    「信」無くば立たず
フランシス・フクヤマ、三笠書房、1996
Trust, The Social Virtues and the Creation of Prosperity, 1995

フクヤマの説は、日本は「高信頼社会」であるという。
それは、日本社会における昔からの「自発的社交性」65という、価値の共有による有機的連帯に基づく集団の存在である。

日本、ドイツ、アメリカ合衆国は、そのような中間団体の層が濃密な高信頼社会である。237

それに対して、と比較されているのが、中国の親族中心の社会。親族内での結束は固いが、社会全体に対する「信頼」を育てることを妨げており、それが中国社会における大企業の発展を阻害している、と。

「信頼とは、コミュニティの成員たちが共有する規範に基づいて規則を守り、誠実に、そして協力的に振る舞うということについて、コミュニティ内部に生じる期待である。」63

72
高信頼社会はより柔軟で、集団志向的な原理によって仕事場を組織できるので、組織の下部により多くの責任が委ねられる。
これに対して低信頼社会は、官僚主義的な規則で労働者の自由を奪い、孤立させる。

コミュニティに注意を払う人びとこそが、最も高い効率を手にすることになるだろう。

『歴史の終わり』も大部であったが、この本もまた、大部である。
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by eric-blog | 2010-11-26 09:47 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

肥満と飢餓 世界フード・ビジネスの不幸のシステム

373-3(1597)  肥満と飢餓 世界フード・ビジネスの不幸のシステム
Stuffed and Starved, 207
ラジ・パテル、作品社、2010

著者の所属は、『フード・ファースト・カリキュラム』(翻訳出版ERIC, 1993)を出した食料開発政策研究所である。そして、これは素晴らしい本だ。

食育が流行っても『フード・ファースト・カリキュラム』の提供数が増えたことはなかったけれど、ふたたび食料開発政策研究所の名前を聞くことは、とてもencouragingである。そして、この本を読んで、教育の分野においては、『フード・ファースト・カリキュラム』の重要性を再認識した。来年度は、FFC食育を主催研修の柱の一つにしようと思う。

さて、400ページを超える本書を簡単に紹介することは難しい。そして、事態は、展開している。この本の特長の一つは、その膨大な参照URLだとも言える。
http://stuffedandstarved.org/drupal/frontpage

しかし、それらのインターネット上にちりばめられている幾多の情報源を、一冊の本というスレッドにまとめた著者の力量は疑うべくもない。わたしたちは、いまやグローバルな規模で、商業的に、「Stuffed」ぶくぶくに食わされ、「Starved」飢えている。10億人の飢餓と10億人の肥満の世界。

何世代もの人びとが何千年もかけて築き守って来た田んぼ
食べ物だけでなく、あらゆる生活必需品を提供してくれていた田んぼ
がつぶされ住宅や工場が作られる。058
http://stuffedandstarved.org/drupal/node/74
李京海、韓国の農民で、2003年9月10日、メキシコ、カンクンで開かれていたWTO会議会場を囲むバリケードで、自らの命を立った。その遺書。

オルタナティブも示されている。
例えば、MST土地なし農村労働者運動。その定住地での徹底した民主主義の実践。
245
http://www.mstbrazil.org/

フードシステム変革のために必要な10の取り組み 365-
1)味覚を変える
2)地元の食材を旬に食べる
3)農業生態系を保全する食べ方を実践する
4)地域の人びとによる事業を支援する
5)すべての労働者には、尊厳を持つ権利がある
6)抜本的かつ包括的な農村の変革 経済機会があり質の高い生活がおくれる
7)すべての人に生活賃金を保障する 所得の再分配
8)持続可能な食のあり方を支援する
9)フードシステムから、ボトルネックを取り除く 033参照
10)過去にも現在にも存在する不正義の責任を自覚し、その償いをする

グローバル化されたいま、問題は「ワイングラス」に加えて、「ボトルネック」仕入れ、卸売りの寡占にルーツを発している。
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by eric-blog | 2010-11-24 06:58 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

アメリカ黒人女性とフェミニズム 

373-2(1596)アメリカ黒人女性とフェミニズム 
ベル・フックス、明石書店、2010
AIN’T I A WOMAN Black Woman and Feminism

1980年、1952年生まれの著者の第一作。やっと邦訳された。30冊もの著作中、邦訳三点目であるという。訳者はフェミニズム研究者でもなく、関係性の教育学関係者でもない。

黒人解放運動からの性差別のゆえ、女性解放運動からは人種差別のゆえに、周辺化されてきた黒人女性。そして、常に「イメージ」を押し付けられて来た。使われ、操作されて来た。黒人女性たちのアイデンティティの奥底まで。

白人女性が性的なものから遠ざけられ、黒人女性に性的な搾取が向けられた。

これは、戦前の日本における「妻」と「娼婦」の分断に同じだ。『タブー』が示した女性の分断と同じだ。

家父長制 patriarchyに対するこの訳語に対して、訳者らは違和感を呈しながらも、そう、訳し続けている。

Patriarchyが女性蔑視をうみ、女性に対する暴力を生む。そのような機能を持つPatriarchyとは「家父長制」という訳語にあたるだけのものであるのだろうか。

帝国主義におけるPatriarchyはどうだ?
女を守らないPatriarchyはどうだ?

フックスは、問う。「人種差別主義者がなぜフェミニストを名乗れるのか」と。304

Patriarchyを「忠誠」と理解することで、その「忠誠」の対象となる集団が、拡大していくことについての理解が得られる。

また、集団をなす動物における「オスの武装解除」という指摘も想起できる。

ヒトが集団を作る動物になった時、呼び込んでしまったのかもしれない。

だとすれば、わたしたちの解放を超える自己実現の道とは、どこにあるのだろうか。

家族・生活共同体の中で、生きるとはどういうことか。
集団の中で、◯◯として生きるとはどういうことか。
集団を超えて、人間として生きるということはどういうことか。
人間を超えて、ヒトとして生きるとはどういうことか。
ヒトを超えて、動物として生きるとはどういうことか。
地球にある存在であるということは、どういうことか。

「わたしという旅」を支えているものが、そこにある。
そして、「わたし」がどこに立つのかによって、世界は違って見えるのだ。

以下は、You Tubeのビデオクリップから。

Critical Thinking as Transformation
http://www.youtube.com/watch?v=zQUuHFKP-9s
http://www.youtube.com/watch?v=KLMVqnyTo_0&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=OQ-XVTzBMvQ&feature=related

Entitlementへの期待やイメージが持てない人びとに対する教育は
サバイバルのためでよいという教育者たちの考え。

しかし、Critical Thinkingがあれば、自分の人生の意味を変えられる。

Popular culture is pedagogy itself.

White rich men in the context of Hollywood produce whatever images they want.

White Supremacy Capitalist Patriarchy

Enlightened witness

Commodified Blackness, Exotic Blackness

男性優位文化の男性経済力中心社会

Partiarchyとフェミニズムについては、以下のビデオの30分くらいからがGood!

http://www.youtube.com/watch?v=rMuEJhlWSvA&NR=1

Binary Thinking
Culture of blaim

Education as a practice of Freedom
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by eric-blog | 2010-11-23 10:03 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

私という旅

373-1(1595) リサ・ゴウ、鄭ヨンへ、青土社、1999

日本社会におけるフィリピン女性に対する差別。例えば1992年のフジテレビ局のドラマ「フィリピーナを愛した男たち」が描いた「助詞のない日本語」で話すクラブで働き、客の男たちを手玉に取る女性。
マスメディアを通して流布されるステレオタイプ。そのステレオタイプによって向けられる憐れみの視線、あるいは、蔑み。

差異に対する視線が、どれほど人を傷つけることができるものなのか。

フジテレビ局に対する抗議に共闘してくれた日本のフェミニストは、いなかった、と。

それは果たしてその作者が女性であったせいなのか?
「私という旅」は、たくさんの経験してきたことたち、と経験から見えたことの語りである。

・フィリピン女性に対する差別は「フィリピン女性」だけの問題であるかのように、励まされる、代弁させられる。
・日本のフェミニスト運動が底あげした底辺の空白に入ってきたフィリピン女性の問題は、フィリピン女性の問題なのか?

・マイノリティに所属する人は、個人として見られるよりも、「代表」として見られること。

“詩からの言葉”

対話は出会いをもたらす。
言葉は、決して味方ではない。
言葉は、操る私に従順ではない。
言葉は、世界を認識する時点から、もう私への裏切りを始めている

語ることで、私が生まれる
語ることで、「彼方」との境界線が現れる
語ることで、私とあなたはつながり隔てられる

沈黙は、自己の抹消
沈黙は、自己を語り
沈黙は、セカンドレイプから癒やされるための冬眠

見る側に立つことと、
説明させること
見られる側に立たされることと、
相手に理解できるように説明しなければならないこと

必死の抗議までをも回収し、肥大化していく化け物
抵抗する者は、沈黙をよぎなくされ、孤立に追いやられる

ericかくた なおこ沅
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by eric-blog | 2010-11-22 16:02 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

来年の話 3月 PLT幼児期からの環境体験

またまた、来年の話ですが。

3月のPLT幼児期からの環境体験 12時間研修のご案内です。
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by eric-blog | 2010-11-20 19:24 | △研修その他案内 | Comments(0)