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私たちは、性犯罪被害者です 

356-5(1542) 私たちは、性犯罪被害者です 実名で告白する、「レイプ・性虐待の恐怖」と「克服する勇気」
Strong at the Heart, 2005
キャロライン・リーマン、青志社、2009

『性犯罪被害にあうということ』を出版した小西敦子さんが翻訳をしている。

その前書きが、いい。

「どうして欲しいの?」
と、被害を訴えた時、聞かれると言う。
加害者を罰して欲しいのか、
性犯罪を亡くすために,社会的に何か取り組んで欲しいのか。
運動しているからには、何か要求があるのではないか、と。

被害のことをだれにも言えないと思っていたこと。
そのことを語り、自分を取り戻すこと。確認すること。

わたしたちが声をあげることが、大切だということ。
声がとどく社会にしていくこと。

心の回復と希望をあたえる書・映画 295
きみの帰る場所
メールのなかの見えないあなた
歌え、翔べない鳥たちよ
ハリエット・ジェイコブズ自伝
あの日、私は17歳だった
犯罪被害者の心の傷

カラーパープル
レーナ
プッシュ


確かに、こういう本が、「ポルノグラフィ」が突き立てる針を心から抜いてくれる。
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by eric-blog | 2010-07-31 22:59 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

ポルノグラフィと性差別

356-4(1541)ポルノグラフィと性差別
キャサリン・マッキノン+アンドレア・ドウォーキン、青木書店、2002

Days Japanの記事「アダルトビデオの中の犯罪」を読んでから、気が重い。もう一つ気になっているのは「インドネシアでお金をもらって女性性器切除に応じている少女の家族」という記事なのだが。21世紀のいまさら、あらたに始めるようなことでもなかろうに。

「ポルノグラフィが直接関与している性的虐待によって、女性の権利は侵害され、テロにさらされ、女性の二級市民的地位が維持される。」日本語版への序文である。この本は著者ら二人が起草した人権法[反ポルノグラフィ公民権条例]がどのように実際の条例としてミネアポリス市で成立したかと、この法の公民権的背景を論じたものである。

条例化のための公聴会では、ポルノグラフィがどのように家庭の中に入り込み、妻や娘を脅かしているかについても証言された。ポルノグラフィにあるような性行為を、ポルノグラフィを見せられ、強要されるのだ。そして告発すれば、同じような目に遭わせると脅されたと。
その男、夫、父親が馬鹿なだけなのか?

なぜ、この本を借りてから何週間も、ブログに書き込みができなかったのだろうかと、思う。記事を読んで、ずっと気が重いというのは、まさしく、この本が指摘するように、自分自身の女性性が攻撃されていると感じるからだ。
「ヤマンバ」「女教師」「妊婦」という記号に対する暴力。ではなく、それはやはり「女」だからなのだ。

63
ポルノグラフィの消費者にとって性的な快楽。しかし、ポルノグラフィの政策や使用によって搾取される女性と子どもにとっては、それは拘束、暴行、虐待、いじめ、レイプ、そして殺害、あるいは単なる辱め、性的いたぶり、モノ扱い、そして使用を意味する。

67
ポルノグラフィはまた性差別を生み出す。女性の無価値さを公然たる見せ物、公然の祝典の対象にすることによって、女性を淫乱と価値づけることによって、女性をその性的な利用しやすさの程度に応じて定義づけることによって、ポルノグラフィは、すべての女性の社会的無価値さを社会全体の基準にするのである。


137
女性を搾取し傷つける自由は、女性にとって自由でも何でもない。

条例は、女性の人間的価値を認識するよう、この国の法的システムに挑戦する。
この条例は、市民としての尊厳を女性に与える救済策を提供する。

ポルノグラフィは、性的不平等の問題であり、その解決は可能である。ポルノ産業は、被害者の受けた実害を保証するような金額を払わせられれば、まず生き延びることはできないだろう。(序文より)

『ポルノグラフィと性暴力 新たな法規制を求めて』中里見博、明石書店、2007 
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by eric-blog | 2010-07-31 09:49 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

小中高教員対象 人権参加型学習指導者育成研修

すでに6年間、実践してきた。
どうすれば参加型学習が広がるか、担当者も頭をひねっている。

◯みんなでいっしょに考えることは楽しい

そのメッセージにしぼって、体験することを主眼に
楽しい体験をファシリテートする側になってもらった。

2010年7月28日(水)
10.10-16.30

セッション1 共通基盤づくりとアクティビティ体験
10.10-12.00
1010-11.00 共通基盤づくり
1. 自己紹介&アイスブレーキングのためのアクティビティ
(ア)名札をつくる
名前だけの自己紹介→ふりかえり「気づいたこと・感じたこと・学んだこと」
4つの文章、ひとつはウソ
→ふりかえりを傾聴で
2. 傾聴=コミュニケーションのスキル・トレーニング
3. 話し合いのルールづくり

11.00-12.00 流れのあるプログラム体験
4. アクティビティの体験*
多数派・少数派体験ゲーム
5. ふりかえり
6. 経験学習の4段階
7. アダプト・アクティビティ
チームを作る
準備する
セッション2 アクティビティ実践 各アクティビティ2グループ
13.00-16.15
1. 三段論法の落とし穴
2. 連想図
3. わたしのいいところ
4. 感情的な場面のセルフカウンセリング
5. 人権を尊重する学校のための指標づくり

セッション3 ふりかえり
16.15-16.30
1. マッサージはメッセージ
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by eric-blog | 2010-07-30 14:13 | □研修プログラム | Comments(0)

The New College Latin and English Dictionary

The New College Latin and English Dictionary

かたわらに、日英ラテン語辞典5800円以上なりが二種類ほど並んでいた横に、たった一冊760円のこれが並んでいました。や、やすい!

これで十分。

とはいえ、これではラテン語が語源の英単語は確認できるけれど、古代英語、その他の語源は確認できない。
やはり、しっかりととした語源辞典に勝るものではない。

しかし、とてもハンディなので、電車時間が長い群馬出張などには、つらつら読めて、便利でした。
ジュンク堂はペーパーバックにはしっかり包装がかかっているので、中身を確認できないままに購入したのですが、revised and updatedというだけあって、使い勝手がいいです。

そうかあ、ラテン語、ギリシャ語学習か。うむむ、このコーナーもかなり充実しているじゃないの。

どの道にも先達がいて、便利な国ですねぇ。
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by eric-blog | 2010-07-30 09:36 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

ホテル・旅館で使う 英中韓3カ国語きほん接客フレーズ

356-3(1540)ホテル・旅館で使う 英中韓3カ国語きほん接客フレーズ
西蔭浩子他、研究社、2010

この6月に『レストラン・お店で使う』と同時に発売された優れもの。

前期の英語の授業は『英語しっかり基礎力 音読ドリル』ですすめたのだが、基礎会話を日中学院の中国語教科書のフレーズを使って、英語版を作成し、練習したばかりだ。こんな本が出ているとは・・・。

内容は本当にタイトルそのまんま。ホテル・旅館の方が、難しいフレーズが多く、苦情処理的なニュアンスが強くなるかな?

なんと、この本にはCDはついていないが、研究社のホームページからすべてダウンロードできるようになっている。

http://www.kenkyusha.co.jp/modules/10_podcast_download/index.php?content_id=1

便利である。

ただ、授業で使おうとすると、かなり工夫が必要。

前期の音読中心授業では次のような活動を行い、結構有効だと感じた。それらの要素をどのように取り入れられるか、だね。

◯Phonicsと単語力  これは「二重母音とスペルの関係」など、改善の余地あり。ばんばん、書かせて、ばんばん提出。30回の授業の上旬10回で、1000単語ほどに触れるようにしています。
◯ペアで音読 音読の時間をはかる。もちろん、まじめにやるペアとネグるペアがありまして・・・。
◯穴埋めディクテーションこれはリスニング強化のためにとても良い。
◯Shadowing これは音読が下手な学生で、こちらがうまいという学生がいて驚いた。本人も満足感があるようで。ぜひ、この勉強法を続けて欲しいと思いました。18歳。まだまだ「聞いて丸覚え」が可能な脳なのね。
◯Recitation一課ぜんぶ覚えて言える学生が毎年各クラス1名程は出る。感動的である。覚えて言うことをやっていると「自分自身の中からのもの」として表現されてくる感がある。その音を自分自身が聞いて、自分のものとして確認していくような、再帰的スパイラルによって身に付くものだと思う瞬間だ。
◯音読筆写ノートの提出 ほぼすべての学生がこの課題をクリヤー。英語の実力アップにつながるやり方ができたかどうか、?、ではあるが、努力自体がうれしそうだった。なんじゃ、そりゃ? 英語はできない、英語は苦手、テスト絶対無理、英語力で評価されたら単位なし、と考えている学生が、とりあえず単位取得に向けてできる努力の形があることが、よいのだろうなあ。小学生の頃、漢字、何回も書かされましたが、どう役に立っていると思います? どう役立ったかと、証明できるでしょうか?

課題だなと思ったのは、「前置詞」。「トリノ冬期オリンピックから金メダルを獲得して帰国した」というような文章を、fromやwithを言わずにどうやって言う? 前置詞だけは手話でヒントを出してやりたいと、Recitationの時、常々思います。

うーーん、今年の後期は、これでやってみるか。


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by eric-blog | 2010-07-30 09:25 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

骨単   語源から覚える解剖学英単語集[骨編]

356-2(1539) 骨単

原島広至、NTS、2004

2004年の初版から、わたしが図書館から借りている版で29刷り目。そして、いまなお本屋には41冊もが平積み状態!

著者はこの本の着想を20年前に思いついたという。つまり、ラテン語やギリシャ語の語源を知れば、英単語も覚えやすくなるのではないか、ということである。

そして、3DCGを描くことを生業とした著者が、「骨単」を思いついたのが2003年。

あっという間に、この図版満載の企画の実現となった!

骨単の勢いはとどまることを知らず、脳単、臓単、いまや生薬単まで出ている!
読んで楽しいものではあるが、覚えやすいかというと、それは別。大人の脳が記憶するには、主体的な構成主義アプローチが必要であることには変わりはない。ただ、構成のための要素はたっぷりになるので、楽しさは倍増することは間違いない。

この本を読んでいるのを電車で見かけたことが知るきっかけになったのだが、看護系医療系の学校が増えているだけに、これは必需本になっているんだろうなあ!

ericかくた なおこ沅
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by eric-blog | 2010-07-28 08:21 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

超越者と風土

356-1(1538)超越者と風土
鈴木秀夫、大明堂、1976

『気候と文明』(1978)、『風土の構造』(1988)、『気候の変化が言葉を変えた』(1990)など、気候・風土と言語、宗教、文化などを論じた一連の本を出している。

『気候の変化が・・・』に最初ひかれて読んでみたところ、人類史的な民族移動について、単語の類似性の広がりからせまるものであった。また氷河期などの気候変動と民族移動の関係も踏まえている壮大な物語だ。

『風土の構造』では、豪雪地帯という気候が、大家族同居につながり、そしてそれが離婚の多さにつながっていることを示すなど、人間は気候の産物なのだという。

その気候が宗教にも影響する。大きくは砂漠の宗教が一神教であり、森林の宗教が多神教であるという関連だ。

人類史の最初はどこもアニミズムからスタートする。

遊牧民であったイスラエル人は、半乾燥の地に雨をもたらす、人知によって計り知れず、コントロール不可能な力を、すべてを隔絶した唯一神として信じていく。3200年程前のことである。68

彼らはカナンの地において定住し、かつラクダの家畜化の成功とともに、砂漠を流通空間として通商にたずさわるようになる。イスラエルの繁栄とともに、唯一神の信仰は広がり、アラビア、エチオピアにまで達した。70

唯一神教の成立をこのように進化論的にみてくると、人間が神に到達した・・・しかし、神に到達すると必然的に神と人との間は転換する。神が万物を、そして人間を創造したと考える。70

一方で、インドにおけるアーリア人も、多神教から、2800年前ごろには一神教へと漸移した。76

アートマン(我)が本質であり、本質であるが故に、人間の表現を超えたものである。79
そこから、仏教は、形而上学的な問題についての判断中止と、実践的な問題解決へと向う。
森林、湿潤地帯における万物流転、諸行無常。判断中止。

ブッダ 紀元前463年
孔子紀元前557-479年

いまから2500年前ごろ、人類はずいぶん変化したのだなあ!

96
西洋
相対的な事物を絶した絶対者。

東洋
事物はすべて相互相い待って存在する。相待(そうだい)。一つの事物は自立できるものではないから空である。相待的で空であるものを絶した絶待もまた空である。空の空。

啓示のされ方が異なっただけで、絶対者と絶待者は同じものを指していると、思わざるを得ない。97

西洋
ロゴス=語る、あるものがAであり、あるものが非Aであると語る。事物は分別されて、相い対して存在する。
ロゴスは肯定と否定から成り立っている。二者択一。砂漠的。

東洋
レンマ=直観的につかむ。4つのレンマ。1 肯定 2 否定 3 両者の否定 4 両者の肯定。(テトラレンマ)
このレンマの有り様を「つかむ」のは人間なのである。
森林的。

西暦610年。マホメットは神の啓示を与えられる。
より砂漠的。軍人と商人によって広がった。砂漠の都市の宗教。110

豚は遊牧民の生活体系に組み入れることができないものであった。食べ物の異なる人を排斥する。優劣意識を持つ。豚をタブーとした。111

結果、東南アジアでは、苦しい戒律となっている。

人間の宗教が多神教的に始まったが故に、後発の一神教は多神教的要素をどのように排除するかによっても、それぞれに違っている。
聖者崇拝
悪霊ジン
など。

仏教は如来に注目すれば、森林的一神教。

日本は恵まれた国で、古代においては豊芦原瑞穂国という明るい肯定的な国土観があった。それが仏教の伝来によって、末法思想、西方浄土からもっとも遠い国という否定的な見方にかわった。132

神が天地を創造され、すべての見える空間、また見えざる空間もその時始まった。それらは被造物であるから、無限であることはできない。したがって、ある時、被造物は存在を留め、時間は去り往き、空間は過ぎ行く。天地創造からこの終末にいたる動き、すなわち歴史は、神の意志により、神の計画にしたがっておこなわれている。142
歴史が神の計画にしたがって進行しているのであれば、人間は人間に与えられた自由意志をその歴史の流れる方向に向けて働かせ、神の計画に参加すべきであるとアウグスチヌスは考えた。142

それがヨーロッパ文明の進展につながる。

アウグスチヌス(354-430)

エチオピアにおいては、330年ごろにキリスト教が定着。しかし、そこには円環的輪廻的な発想が見られる。145

日本における在家祭儀、在家祈祷の伝統と、キリスト教が入ってきた時の無教会主義。155

キリスト教は受け入れられなかったが、一方において一神教的思想は広まりつつある。
その典型的な例は「進歩」の概念の一般化である。諸行無常、円環的世界観に「進歩」はあり得ない。明治になってはじめて翻訳語として作られた。157

日本人の持つ円環的世界観は、直線的世界観によって少しずつ突き破られつつあるのであろう。157

三大大陸の接点付近から、唯一神の理解が次第に拡大し、ほとんど地球の全体をおおうようになった。
しかし、そのなかにあって、日本が、その拡大の中心からもっとも遠い一にある・・・世界でも、唯一神の理解がもっとも遅れているところのひとつである。163


相待者のもつテトラレンマの徹底した心境は、相対者もまた学ぶべきではなかろうか。165

ずいぶん「ママ」引用が多くなったが、すごくおもしろい本だ!
世界も葛藤しているが、日本社会の葛藤もまた、すごいね。著者は「そこからより進んだ理解に進むであろう。」163と進歩主義的だ。

確かに、気候や地球環境はリニアに変化していくように思うし、生物も変化していく。それは科学的な認識だ。そして、人間は「ゲーテは「われは驚くために存在する」と語っている。,,,たしかなのはただ、この先も変化は続くということのみである。変化の原因として人間が関与することはまちがいない。,,,人間には、影響を予測することができるということだ。」9-1(34)

ということには同意せざるを得ない。それを神の計画とは、フォーティも言っていない。

神が死んだ後の一神教の世界についての論及がないのがとても残念だ。


9-1(34) 生命40億年全史
フォーティ, リチャード
草思社、2003
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by eric-blog | 2010-07-26 10:08 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

自然エネルギー白書2010

355-1(1537)自然エネルギー白書2010
自然エネルギー政策プラットフォーム、2010年3月

2005年に世界版自然エネルギー白書が発行されてから、5年。日本版をやっと上申できた。この遅れはそのまま政策の遅れでもあると、まえがきに環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんは言う。

2020年に、自然エネルギー20%を目標とする欧州。2025年に25%を掲げる米国。

日本の全発電量に対する自然エネルギーによる発電の割合は3%。自然エネルギーへの投資も世界全体の投資の1-2%を占めるに過ぎず、経済規模から考えるとずいぶんと出遅れている。

誰が考えても、極めて重大、窮めて急がれる課題である。分散型エネルギー、自然エネルギー、新エネルギー、と呼び方はどうであれ、これまでの火力中心、原子力推進、巨大ダム建設というスタイルからのエネルギー供給の形が変わることが求められてきた。いつからだろう? 1980年代くらいからというのは確実だろう。30年もの長きに渡り、言われ続けてきたのに、変わらなかったのはなぜか? いまからなら、変われるのか? なぜ、一度は太陽光で世界トップであったのに、その座からおりたのか?

いくつかの仮説。

市民的意思表示に基づく政治的意思決定が不十分であった。いわゆる世論というやつ。

政策的意思決定システムがたこつぼ官僚型で、省庁利益中心、既得権優先的。全体を見ることができず、また自分たちが変化を起こすべき主体とは認識していない。

現場レベルでは、さらに現状維持型、会社益中心的思考が蔓延している。

わたしは、市民セクターなんていう言葉は大嫌いだ。すべての人が市民であるからだ。この表現そのものがセクト的。地球益にたって物事を考え、主張する市民セクターが弱体であるから、省庁益型・企業益型意思決定を覆せないのだ、なんて世迷いごとだ。

企業人も市民、官僚も市民、政治家も市民。みんな地球市民なのだ。そのような自分である以前に「会社人間」であったり、「役割」優先であったりすることが、市民セクターというものがあるとするならば、その弱体の根本なのだ。

なぜ、地球市民であり、人類の、いのちの旅の現在進行形である「自分」発で物事を考え、行動することができないのか。

それこそが、1970年代にすでに指摘された国際理解教育の推進、教育の人間化への転換の欠如なのだ。教育が変わらなければならない。

圧倒的多数の人びとに地球市民意識が形成されること。それなしで、市民セクターのどのような活動も、どのような働きかけも、むなしい。ただ、新たな「職人集団」が付け加えられ、たこつぼが増えるに過ぎない。

しかし、日本ではNPOが「専門性」という名の下に、たこつぼに追い込まれていくのだ。たこつぼ勢力に対抗する力を持つために、と同時に、同様の心性を持つがゆえに。SpecialistとGeneralistのバランスを保つのは難しい。特に若い人びとはそうである。早く何者かになろうとする、何者かで有ることを証明しようとするがゆえなのか。

果たしてこの白書、どれほどの変化の起爆剤になりえるのか。たこつぼ型思考の人びとの方針転換やたこつぼ間の連携、調整などにどれほどの力が発揮できることであろうか。

教員は読まんだろうなあ。これを「自然エネルギー学習」の手引きとすることもなかろう。だいいち、そのために市民一人ひとりが何をすればいいのかも、書かれていない。いまどき、自治体の環境白書には、「行政」「企業」「市民」それぞれの責任について書かれているのに。あまり意味はなくても。

極めて職人的な一部の人びとの議論のための白書である。

いいのか、分散型・自然エネルギーについての「市民セクター主導」の白書がそのようなスタンスで?

ともあれ、その中身である。これはすごい!

風力、太陽光、太陽熱、地熱、小水力、バイオマスなどの自然エネルギー供給の2050年におけるシナリオは、電力量で67%、熱需要で31%。ざっくりと、発電に使われる一次エネルギーは約4割と考えれば、合わせると日本のエネルギー利用の44.8%を自然エネルギーでまかなえるようになるシナリオだ。61-64

2050年で50%という数字は、政治家にとってはおいしい数字だ。政治家が、国際的にいま注目を集めることができる根拠となる。

一方、政策的意思決定者である官僚は、この白書をどう受け止めるだろうか。そして、企業などの現場はどうだろうか。もちろん、彼らができない理由を何千何万とあげ連ねることは想像に難くないが。

政治・制度
経済・資金
市民主導

の3つが行動変容の動機付けだと言われる。変化の動機付けがどこにあるのか、バリヤーは何か、もう少しわかりやすい整理が欲しかった。

東京都は2020年までに20%のエネルギーを再生可能エネルギーでまかなうという意欲的な目標を掲げている自治体だという。16

その東京都は高等学校=後期中等教育において進学校特別措置をとっている。つまり、エリート教育による牽引型発展モデルをはっきりと示しているのだ。

フィンランド型、すなわち「落ちこぼれのない」平均点世界トップとは真逆の方針だ。

北欧型は人口の多いアジアには向かないのだろうか? 
しかし、江戸時代、日本はたぶん世界で一番識字率が高かったのではなかったか。その向学心が発展の基礎にあったのではないか。

「落ちこぼれのない」平均点世界トップという教育のあり方は、民主主義と市民性教育と市民主導によるビジョンや成長と、連動している。

2.7 社会的合意形成
についての項目を「導入前」「導入後」「環境影響評価」に分類し、技術論的な部分についての合意形成だけを扱い、自然エネルギーの導入そのものに対する世論喚起やその世論の質などを論じていないのは、すでに自然エネルギーについての社会的合意形成と世論は十分だという判断があるからなのだろうか?  

いまだに市民は、東電がいうからオール電化がエコだろう、東ガスがいうからコジェネを導入するか、という消費者でしかないのではないか。

『仕事漂流』という本は1979年生まれの勝ち組転職系の人びとに対するインタビュー集なのだが、その中に、大手メーカーの研究所に勤めていた人の例がある。あきらかに自社製品が劣っているのに、調査報告論文には、なんらか自社製品が優れているという結論を書かなければならないのだという。あきらかに自分よりも優秀で、仕事もできる上司が、そしてその上の幹部が、論文に何度も何度も手直しをする。上層部に出してもソツのないものに仕上げるためだ。仕事に喜びを感じられず、その人は転職する。

研究には枠がある。この白書が持っている枠は東京都と同じ匂いがする。
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by eric-blog | 2010-07-23 15:10 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

校内人権研修 1.5時間

校内研修依頼、初の参加者15人! 申し込みのあったときから嬉しくて、がっつり準備。
この間のPLT研修で色々な発見のあった「ゴールディロックス効果」を写真を一部替えて行いました。
やりながら、自分自身も、このことは人権にも当てはまるなと認知的流動性が刺激されました!
どの距離から見るかによって、見えるものが違う。

ここでは「簡単な課題でも、みんなで取り組めば楽しい」「他人とやると違う角度からの発見がある」ことを共有したかったので、ふりかえりは「学びあうことを、楽しめるためには何が必要か?」
20ほどあげてもらい、では生徒が楽しんで学びあえているか、点検の視点としてみた。

人間の脳は徹頭徹尾「社会的脳」としてできていて、関係性の中にある。その脳内ネットワークを助けるのがセロトニン。「セロトニンⅤファィブのアプローチ」を紹介した。

次に、いま生徒に一番つけたい力はなんだろうか、グループで一つ選んで課題分析。手だてを5つ考えてもらった。

学習性無力感は近代学校制度が自ら内包する瑕疵として自覚し手だてを考えるべき課題なのだが、大方はそれを無自覚に助長しているだけである。

学力不足の子どもに基礎学力が必要だとしても、そのアプローチを競争原理から解き放った上で、国際的な共生のために身に付けて欲しいというアプローチしか説得力はないはずだ。

4つのコーナーで生徒が授業に集中できない背景について意見交換。

最後は傾聴で今日の感想を共有して終了。

15人!いいなあ。

ericかくた なおこ




黒く囲んだ項目が、「課題」として選ばれたもの。

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by eric-blog | 2010-07-22 10:10 | □研修プログラム | Comments(0)

PLT 幼児期からの環境体験 

PLT 幼児期からの環境体験 印刷できました!

USAのレターサイズに近づけるべく、上下を詰めてもらったので、
26.8センチ×21センチ
195グラム

と少し小振りです。 手に取って、うっとりしてしまっています。カワイイーーーー
but
と、まあ、出来上がってくるとまた、次の課題が見えてくるのですが・・・・

ぜひ、PLT 幼児期からの環境体験 活用推進ワークショップの開催をご検討ください。
テキスト代は参加者一人、一冊=1000円。プラス2時間研修の講師代3万円でERICにお申し込みください。

そして、8歳までのギャングエイジを、自然と対する豊かな経験で育てていきましょう!

子どもを外に連れ出す、あるいは教室に自然物を持ち込むことによって、子どもたちの環境体験を豊かにすることは以下のような成長につながります。

•審美的成長 自然の限りない多様性に触れることで、美的な感性を育てます。
•認知的成長 自然の相互依存や共生、人間の影響などから、因果関係を見つけます。
•肉体的成長 思いっきりからだを動かすこと、木工などの作業をすることにより、
認知運動スキルが伸びるとともに、ストレス軽減など健康面での利益があります。
•社会人間関係的成長 創造的な遊び、より複雑な遊びが可能になり、自然の中で活動することで、
より団結力のある仲間づくりにつながり、子どもの間での攻撃性が少なくなります。

PLT 木と学ぼう 『幼児期からの環境体験』は、幼児期の子どもの特性を踏まえ、保育士や教員が、子どもとともに取り組むことができる多様な活動を紹介しています。



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by eric-blog | 2010-07-22 07:32 | ☆PLTプロジェクト | Comments(0)