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世界最悪の紛争「コンゴ」 平和以外に何でもある国

353-2(1529)世界最悪の紛争「コンゴ」 平和以外に何でもある国
米川正子、創成社、2010

UNHCRゴマ事務所長をつとめた著者によるコンゴの難民の状況とそれを創り出している周辺状況の分析である。

著者は、コンゴの状況を、まるで「舞台」を見ているようだという。当事者の誰もが、自分の意思で動いているのではなく、舞台監督の思惑通りに動いているだけなのだと。

コンゴは、世界有数の鉱物資源国であり、また農地も肥沃だと言う。紛争さえなければ、簡単に自給できるし、国の経済も豊かなはずなのにと。

しかし、植民地貿易時代には奴隷貿易の中心地として、そして西欧列強による「アフリカ分割」以降はベルギーのレオポルド王2世が私有地として、1906年にはベルギーの植民地として、搾取されてきた。

ゴム、ダイヤモンド、金、木材。
そして、コバルト、コルタン。
そんな国が、世界最貧国に名を連ねている。

1960年の独立後、資源管理を自国がと主張した初代首相ムルンバは暗殺され、いま、コンゴの政治、特に資源に関わる意思決定者の85%はルワンダ人だとされる。そして、その異常な状態を認めて、支持しているのがUSAなのだと。228

国境地帯には7種類の難民が、コンゴとウガンダ、ルワンダの間で動いているという。そこに軍事勢力の兵士たちもまぎれる。どのように、的確な支援を届かせられるのか、判断は難しい。84

わたしたちはこのまま「舞台」を見続けるだけでいいのだろうか、と著者は問う。

消極的な「暴力のない」平和状態から、持続可能な「積極的平和」状態へ、そのためには人材育成に代表される長期的な視点からの援助なのだと。

UNHCRからUNDRやUNEPなどの開発支援、環境支援の国連機関へと手渡されることが重要なのだが、なかなか機能していない。そこに、「舞台監督」の意図が働いているとあれば、メディアが喜ぶ混乱劇は続く。

http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/06/06/4346362
http://fr.truveo.com/video-search/tag/%20コルタン#tag%3A%22%20㫿%E3%80%80%22%20
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by eric-blog | 2010-06-29 09:06 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

PLT 幼児期からの環境体験 主催研修 記録

PLT10

事務所の限界いっぱいいっぱいの20名。オーガナイザー側合わせて19名の参加者で実施しました。記録は、フォト&文で作成する予定。

今回は『幼児期からの環境体験』ということで、いつもの参加者とは違う層も参加し、多様な視点から楽しめた研修でした。

ファシリテーターとして工夫したのは、
◯共通基盤づくりのセッションで「ゴールディロックス効果」のアクティビティを取り入れたこと。
◯アクティビティ「木であること」に樹皮づくりと「木の気持ち」を入れたこと。
◯ハイク・スルー・ザ・ガイドはPLTの教授法の4つの特徴に特化したこと。
◯「形おやつ」を準備したこと。
◯アリの観察をしたこと。(これはE.O.ウィルソンの「ナチュラリストのつくり方」を参考にしました。)

流れのあるプログラムで「問題解決の行動」という起承転結を展開する時間がなかったのが残念。なんであんなに時間がかかったのかなあ。
「樹皮を表す紙袋づくり」に意外にみんなが没頭したので、時間が取られたしね。楽しかったです。

アダプト・アクティビティでは『幼児期からの環境体験』の1から8までで、「秋の知らせ」と「冬の常緑樹」を除いた6つを選択。室内3、戸外3のいいバランスで取り組めました。
◯「ものの形」では、「アブラハムには7人の子」の音楽に合わせて、葉っぱのさまざまな形を体感しました。
◯「まわりの音」のグループは、身近な鳥の鳴き声をインターネットや図鑑から提供。それぞれの音を練習しました。
◯「わたしたちみんな木が必要」では、リンゴの観察とおやつ。意外な発見と楽しさのあるアクティビティでした。
さて、次は戸外に移って、以下の三つを行いました。
◯「木に触れよう」ミステリーボックスはやっぱり楽しい。
◯「つぼみが開く」、虫の足音を聞くためのツールがあるって知ってました?これはすごい発明です!
◯「里木」はこすり絵と額縁づくりの活動。アイマスクまで準備されていて、驚きました。

大仰な道具等なしで、でも、少しの工夫と「観察の視点」「新しい概念の言葉」「協同学習」によって、集中と発見が生まれることが実感できた二日間でした。

--------プログラムの流れ-----------------
日時:2010年6月26日(土)〜27日(日) 
参加者:13名+恊働オーガナイザー5名
ファシリテーター:角田尚子

第一日
セッション1 共通基盤づくり
11:00-12:45
1. 二日間の内容について
2. 自己紹介「人生の樹」、研修への期待、(途中から)今までの自己紹介を聞いて感じたこと[一人で→全体共有]
3.コミュニケーションスタイルを考える、ゴールディロックス効果
4.二日間の心がけ[三人で→全体で]

セッション2 流れのあるプログラム
13:50-15:50
1. 「木であること」(#62/EC9)
2. 「生息地としての木」(#22/EC10)
3. 「木に三回乾杯しよう」(#30/EC11)
4. ふりかえり

◇おやつの時間15:50-16:15
・形おやつ(○△□の形のおかしをみつける、食べる)

セッション3 PLTの学習方法の特徴とすすめ方
16:15-18:20
1. ハイク・スルー・ザ・ガイド(4つの特徴)[3人で→全体で]
2.子どもを野外に連れ出すときの注意(ミニレクチャー)
3.自然とともに育つ子どもたち(ミニレクチャー、PPT使用)
3. 木のないところで子どもが育つとどうなるか[3人で→全体で]
4. PLTガイドの使い方

第2日 
セッション4 アダプト・アクティビティ
9:00-13:15
1. アクティビティ実践の準備[3人1組で]
・ EC#1ものの形
・ EC#2まわりの音
・ EC#3木に触れよう
・ EC#4 わたしたちみんなに木は必要
・ EC#7 つぼみが開く
・ EC#8 里木
2.実践を一組20分で(屋内と戸外)
3.ふりかえり(屋内のアクティビティ実践)

セッション5 幼児期からの環境体験推進の課題
13:25-14:40
1. ふりかえり(戸外のアクティビティ実践)
2.アリの観察[三人で]
3.幼児期の環境体験の原則[三人で→全体で]
4.幼児教育体験指導者の口ぐせ[三人で→全体で]

セッション6 ふりかえりと行動計画
14:50-16:10
1.行動計画をたてる。(わたしができること、仲間と取り組みたいこと、PLTネットワークでやりたいこと)
2.ペアでインタビュー「未来を築くインタビュー」を使って
3.サークルタイム、全体で共有
4.ファシリテーター認定証と修了証の授与

ふりかえりミーティング
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by eric-blog | 2010-06-28 10:20 | □研修プログラム | Comments(0)

創造 生物多様性を守るためのアピール

353-1(1528)創造 生物多様性を守るためのアピール
E.O.ウィルソン、紀伊國屋書店、2010

The Creation: An Appeal to Save Life on Earth, 2006

アリの専門家である生物学者。アリ類の生物量は人類の生物量にも匹敵するほどだという。熱帯地域で調査された例では、全昆虫類の3分の一にもなる。
アリが専門である著者は「アリ類がいなければ、人類が無事に生存していくことができるかどうか、疑わしい」とすら言います。079

いまや、地球の創造物は大絶滅の危機に直面しています。その減少を人間活動が加速させているのですが、その要因を著者は強度順にHIPPOと要約しています。108
H Habitatの消滅。気候変動も含む。
I Invasive speciesによるかく乱
P Pollutionによる環境破壊
P Population 人間の人口過剰。
O Overharvesting 過剰収穫。

彼自身の生物学との出会いを思い起こし、ラルフ・チェルモック先生の「生物一万種の名前に通じないうちは本物の生物学者とは言えない」に心から同意すると言います。177

そのうえで、彼は生物学の教育の重要さを強調します。
「講義はトップダウン方式ですすめる」大きな全体像から始めて特殊なものへ。
「生物学の外に話題を広げよ」
「問題解決に焦点を合わせる」
「深く切り込み、遠くまで行く」

また、ガードーナーの多重知能の一つ、ナチュラリスト知能を引用しつつ、わたしたちに備わっている知能としてのナチュラリスト知能を、伸ばすことの大切さを言います。

子どもをナチュラリストとして育てるためには、
・ 顕微鏡を与える
・ フィールドで生き物を見つける、採集する。
・ 動物園にいく。特定の動物をしっかり調べる。
・ 水族館、植物園。
・ 調べる。
(第15章より)

一カ所、熱帯林の樹種減少のところで、「人口」とPopulationを訳している間違いがあったのが、このpopulationという言葉が生息数としても使われているゆえの間違いなのだが、人間が減るのか、樹種が減るのかでは真逆の意味になってしまう。
「しかし熱帯林は減少が続いています。・・・10%の人口減少が・・・人口減少が80%・・・」111
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by eric-blog | 2010-06-27 07:51 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

PTA副会長対象の「地域でのコミュニケーション」

記録
約50名

1.参加者アンケート
(ア)PTAの課題
(イ)学校の課題
(ウ)地域の課題
(エ)心がけていること
2.分析と所見 全体共有
3.「良かった点・応用できるところ」
4.「なぜ、PTA活動に取り組むのか」[因果関係図]
5.傾聴
6.「良かった点・応用できるところ」
7.「地域に育てたいもの5つ・そのためにわたしたちができること」[グループ作業]
8.「理念を教育的ツールに」
9.基本は「セロトニン」と「ドーパミン」
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by eric-blog | 2010-06-25 16:06 | □研修プログラム | Comments(0)

日本らしい自然と多様性 身近な環境から考える

352-2(1527)日本らしい自然と多様性 身近な環境から考える
根本正之、岩波ジュニア新書、2010

日本らしい自然とは何だろうか?
著者は、「人の手を入れた半自然状態」で観察することのできる環境が、「日本らしい」のだという。

第一章では阿蘇山での野焼きの事例が紹介されている。そこには満鮮要素と言われる大陸由来の植物が風景をかたどっている。その風景は、人間が草場を活用しようとする中で、結果として手を入れてきたことによって成り立っている。
近年では、草場の活用が減少したため、野焼き自体が、草地の生態系保全のために行なわれるようになっている。

日本の田園風景も、畦や刈り上げ地を含め、人手が入っていることにより、優先種などによる遷移によって極相化してしまう生態系ではなく、多様な種が次々と姿を見せる可能性がある環境を維持していたのだと。

「風土」という言葉は、和辻哲郎が日本社会を際立たせる言葉として使ったものだが、二次自然、あるいは半自然というのが、その概念に当たるのだろう。

しかし、それがどのような「生態系」であるのかについて、日本人の関心は薄いと著者は、データのなさを嘆く。特定の草花、花樹などに風流をうたっても、それらが周りの生物と、そして人間からの働きかけと、どのような相互依存関係の中で存在するのかには関心がないのだと。

日本らしい自然を形づくっているものは、在来種だけとは限らない。フジバカマなどは、秋の七草と数えられた万葉集時代の帰化植物だという。安土桃山時代以降、世界的にも帰化植物が増加するらしいのだが、以下、著者が描く、現在の帰化植物の風物詩だ。
・ ホトケノザ
・ ヒメオドリコソウ
・ ニオイスミレ
・ セイヨウタンポポ
・ タチイヌノフグリ
・ コメツブウマゴヤシ
・ シロツメクサ
・ ナガミヒナゲシ
・ ハナニラ
・ ハナダイコン
・ ネズミムギ
・ ホソムギ
・ カモガヤ
・ ナガハグサ
・ ホテイアオイ
・ ボタンウキクサ
・ オオキンケイギク
・ セイタカアワダチソウ
・ ブタクサ
・ ヒメムカシヨモギ
・ キクイモ
『日本の帰化植物』平凡社、2003、参照

帰化植物をおさえたいのであれば、抜き取るだけではだめで、そこに在来種を植えるなどしなければならないのだと言います。

「生き物たちがいなくなった三つの理由」を著者は次のようにまとめています。18-25
◯すみかが失われた場合
◯生き物に対する人間の接し方が変化した場合
◯外来種がすみかをかく乱している場合

その背景として、土地改良事業と機械化農業が田園風景をかえてしまったことが、特にあげられています。29

田んぼをつくることが守っていた生物的多様性を、別のやり方で回復・維持するためには、人間がどのように手を入れれば、どのように在来種が反応するのかについてのデータが必要だと著者は言います。

都会の一隅にスポットを創り出したり、人間が定期的に手入れをする環境、土手や道路のノリ面などを、在来種が優勢になるにはどのような手入れがいいのかを研究してみるというような試みもいいのではないかと、著者は提案します。

特に、東南アジアでの焼き畑農業などの調査も手がけた著者による「野焼き」「火入れ」の生物種への影響はPLTのアクティビティ「野火が始まり」にも参考になると思いました。
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by eric-blog | 2010-06-23 09:34 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

大学生対象 90分授業

記録

参加者 13名。
グループ活動は4グループで。

1.ミニレクチャー「環境問題の歴史と国際理解教育」
2.参加者アンケート
(ア)なぜ、環境教育が必要なのですか。
(イ)あなたが体験した森林環境教育
(ウ)どのような環境教育が求められるか
(エ)いちばん心に残っている環境教育
3.PLTアクティビティ#84「地球気候変動」より「マヌア・ロアの二酸化炭素濃度」
4.ふりかえり

◯なぜ、環境教育が必要か
・ 価値観や考え方
・ 共通認識を持つ
・ 生きていくため
・ 環境について学ぶ機会の提供

◯求められる環境教育について、多様な意見が出たのかおもしろかった。
・ 具体的な行動について学ぶ
・ ホームルームなどで少しずつでも学んだり、取り組んだりする
・ 循環型社会について学ぶ
・ 危機感を共有する
・ グループディスカッションやディベートを取り入れる
・ 体験型で、フィールドワークなどを行う
・ ちいさいころから「ゲスト」やリアルに取り組んでいる人と出会う

◯体験してきた森林環境教育に「植林」や「伐採」があったのにも驚いたが、ほとんどは山登り程度かあるいはまったくなしという結果だった。

◯マヌア・ロアのグラフづくりを通じて「二酸化炭素濃度と生物活動」の関係の大きさに驚いていた。
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by eric-blog | 2010-06-22 09:51 | □研修プログラム | Comments(0)

日本にデモクラシーを 市民運動のための処方箋

352-1(1526)日本にデモクラシーを 市民運動のための処方箋
デビッド・クビアック編、かもがわ出版、1993

しばらく前に、北区のリサイクル本でゲットしたもの。昨日に引き続き、懐古譚&未来への展望。

英文題がMEMES FOR A NEW DEMOCRACY 民主主義のためのミーム

本多勝一、筑紫哲也、富野暉一郎、奥津茂樹、粉川哲夫さんなど、11人が寄稿している。
編者は、KOSAC京都国際市民アクセスセンター。

市民立法権、情報公開、住民投票などは定着したと言えるものだ。
市民メディアの創造という本多勝一の日刊紙の提案は『週刊金曜日』として実現された。1993年創刊。

一方、定着しなかったものもある、教育委員の準公選制度だ。中野区での15年間の実践ののち、1995年、幕を閉じる。中野区での試みに幕が閉じられただけでなく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)の改訂により、教育委員は地方公共団体の調が任命することとなった。

一方で、学校評議会制度が始められている。

司法への参加は「オーフス条約」のような環境に特化した情報・意思決定・司法へのアクセスは実現しなかったが、裁判員制度が始まった。1999年から2001年で制度の検討、2004年法律成立、2009年度から試行。10年かかっている。

が、炭素税など環境省所轄となる制度が検討はされるが成立していない状況から見ると、また、昨日検討した「教員免許更新制度」の拙速さを見ると、ため息が出るようなリッパなプロセスだ。

裁判員制度を「司法への市民参加」というのには抵抗がある。というのも、市民参加とは変革のための参加であるはずなのに、裁判員制度はあくまでも現行の枠組みの中への参加であり、ロジャースの参加の階段で言えば、実践段階での参加であり、意思決定の段階からの参加とは言えない。市民性の育成に対する効果としても、「裁判に関心を持つようになった」など、裁判員となった人びとだけに限られている気がする。

市民参加、民主主義は、1993年から、すすんだかな?

そうそう、この本のとっておきを紹介しなければ。ミーム。なんじゃそりゃ?

76-3(353) 悪魔に仕える牧師-なぜ科学は神を必要としないのか-
http://ericweblog.exblog.jp/1660222
によると、遺伝子相同物。「自己複製する情報パターン」

「民主主義というメタ・ミームは、すべての人が大人になることを求める。」198
民主主義で求められること。
◯社会の歴史や個人の特性を勉強する。
◯文化の中で何を創り維持していくか、議論し、決定をくだす。
◯決定について責任を取る。

10%の支持率と40%の人びとの認知によって、「新しいミーム」は「受胎」する。

http://books.google.co.jp/books?id=3AoNDI3oNH0C&printsec=frontcover&dq=%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%AF&source=bl&ots=hUSpR-02tr&sig=uN2GsFzRUzX1sq_opsNxmQF_uN0&hl=ja&ei=xvIfTODPEsvJcaeH8Y8N&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=1&ved=0CBUQ6AEwAA#v=onepage&q&f=false

2012年6月18日
日隅一雄さんの、最後の手紙が、オーフス条約の情報開示請求のための有効性について触れている。

http://iwj.co.jp/feature/hisumi.html
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by eric-blog | 2010-06-22 08:07 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

環境政策と環境教育政策は無関係か?

各党の環境政策を聞く会が開催された。

ISEP, WWF-J,気候変動条約ネットワークからの問題提起者が論点提案し、
公明党、共産党、社民党、みんなの党からの議員さんたちが自らの環境政策を語った。
NACS-J、グリーンピース日本、容器包装リサイクル、などがフロアーから問題提起し、それも含めて議員さんたちが答え、論点提案者らがコメントで締めた。

ちょうどその午後に大学で「森林環境教育と地球温暖化」について講義をした直後だった。参加者アンケートで聴取した限りでは、彼ら1990年代生まれの大学生が体験した環境教育と呼べるもの、特に森林環境教育と呼べるものは、ほとんど皆無であった。

1972年から、環境問題という人類共通の課題についての認識と行動が始まったということにしてみよう。公害問題というローカルな捉え方ではなく、それを産業のあり方として考える人間と環境、開発の環境の問題、グローバルな人類共通の課題としてとらえる捉え方のことだ。

国際社会の合意に至るということは、それまで、がある。国際社会というのは生き物で、つねに胎動があり、何かが生まれでて、そして一方で死んでいきながら、命脈は続いている。マグマが常にそこにありながら、目に見えるのは噴火のときだけかもしれないが、それでも大陸は動いているようなものだ。
1972年の国連環境と人間会議の背景には、問題意識としては1960年代後半からすでに危機意識が高まっていたのだろうか。

とはいえ、この時代のことがわたしの意識に「環境問題の歴史」として上るのは1984年、10年後に『大きなかぶ』という玄米定食屋さんで、有機農業、オーサワジャパン、マクロバイオティックなどに出会い、田尻宗昭さんの講演や水俣病などに触れた時だ。それまでのわたしにとって、1970年代は学生運動、平和教育、教育の人間化、などのキーワードで満たされていた時代であった。

以来、環境関連の団体で勤め、環境教育と出会い、再び教育の世界に戻ることになったのだが、1980年代にわたしに1970年代を語っていた人たちは、どんな思いで語っていたのだろうか、気になるところだ。

各党の環境政策を聞く会は、まさしく、10年一日、1990年代をどう位置づけるかを見直す機会であった。

大学の講義のために作った略史に含めたのは以下のようなポイントであった。

【バックグラウンドのための略史】

1.1970年代に開発された「環境教育教材」 Project Learning Tree, Project WILD, Project WET. 森林、野生生物、水環境 の三部作。
2.背景にあったのが
(ア)1972年 ストックホルム、国連人間環境会議
(イ)1972年 ローマクラブの報告『成長の限界』
3.国際的には
(ア)1974年 ユネスコ「国際教育」勧告 人類共通の課題と課題解決
(イ)1975年 ユネスコ『未来の学習』教育のあり方が変わらなければ
4.国内的には
(ア)1971年 環境庁 大石武一初代長官
(イ)1971年 文部省 学習指導要領の改訂「教育内容の現代化」科学教育

失われた20年?

5.1992年地球サミット、環境と開発に関する国際連合会議
(ア)リオ宣言、アジェンダ21、森林原則声明、気候変動枠組み条約、生物多様性条約
(イ)NGOの参加
(ウ)子ども代表によるスピーチ、セヴァン・スズキ
(エ)一方で、会議に参加しなかったアメリカ大統領はビデオ演説で「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフスタイル」を変える必要はないと。

6.いま、開発、発展、成長のあり方が問われている。
****************************
ストックホルム会議から20年、1992年の地球サミットで、国際社会はやっと「アジェンダ21」という国際的な行動計画に合意し、国際的な行動とその行動遵守、実現のチェックを5年10年ごとに行うことを約束するところまで行った。

このかかった時間を長いと見るか、意外に早かったと見るか。

その時からもすでに10年がたった2002年。ヨハネスブルグ・サミットにおいて「持続可能な開発のための教育」の推進を日本政府が提案し、2005年から10年間の行動計画採択に至った。

今年は中間評価年に当たる。

結果がさきほどの大学生たちの体験してきた「環境教育」である。しっかりとした調査、広範な検証が必要だが、誰がそれをしているのか?

教員免許更新制度が2007年(平成19年)に法改正により導入され、大学などが開設する30時間の免許状更新講習を受講すること、また10年に一度は更新が必要であることが決められました。2000年以前に免許を受けた教員はほぼ全員が2011年3月31日までに、受講することになっています。

では、どのような更新講習なのか。更新講習に「持続可能な開発」のための教育への変換という視点はあったのか。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/004/1258028.htm
によると、
○平成22年6月 第6回認定までの認定状況
認定大学等数 391大学等
講習数 受入れ予定人数
必修領域 236大学等 571講習 対面講習 64,070人
通信等を含む 87,070人以上
選択領域 383大学等 5,388講習 対面講習 75,259人
通信等を含む 135,962人以上
※ 選択領域は18時間相当に換算

「認定大学等一覧」によると認定されたのは391団体中、
◯教育委員会 5
◯その他、独立行政法人、公益法人など 8
それ以外は大学なのである。なだれをうって、大学が短期間で文科省の要請に応えているのだ。

「大学」にはどのような「持続可能な開発のための教育」への視点があったのか。大学で教える教員には、どのような資質や資格が求められたのか。

平成19年法律改正。
20年度中に更新講座の申請、承認。平成21年4月からの実施とは、大学にとってどのようなスケジュールであったのか。

756ある大学中、236大学、あるいは383大学が応募し、提供したその内容は、どのように精査されるのか、されたのか。

また、額面36万人分の講習会受講可能人数としながらも、受講受付状況は10数パーセントから80数パーセントまでと開きがある上に、平均的には半分程度だ。23年3月までに免許更新を受ける必要がある教員数はたぶん40万人程度。

30時間の講習とは、大学であれば、週1回4単位の授業だ。知識中心の授業だとすれば、それは求められる教員の資質向上とは無関係だ。一方で、週1回の授業で「討議型」「スキルトレーニング型」「調べ学習」「協同学習」的な内容を盛り込むのはかなり熟練した指導者でなければ難しいだろう。

この20年間の教育における変化とは何だったのか。

日本教育新聞の「高校の指導力 塾が評価 難関校合格力を高める 東京都の試み」という見出しを見る限り、教育現場の混迷は続いていると考えざるを得ない。

環境政策と環境教育政策が乖離していていいては思えない。しかし、各党の環境政策にも、また問題提起者からの論点整理にも教育のことばは出てこなかった。その背後で、いまだに受験中心の学力観にしばられた実践が続いている。

教育改革の論理と道筋が、見えない。
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by eric-blog | 2010-06-21 18:35 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

カントリー・オブ・マイ・スカル 南アフリカ真実和解委員会<虹の国>の苦悩

351-3(1525)カントリー・オブ・マイ・スカル 南アフリカ真実和解委員会<虹の国>の苦悩
アンキー・クロッホ、現代企画室、2010

Country of My Skull、1999

1960年から1993年までのアパルトヘイト体制のもとで行なわれたすべての拷問、虐殺、不法連行などについて真実和解委員会Truth Commissionが立てられ、2万件が受理され、記録が残された。恩赦も申請された。

このルポルタージュは、それらの公聴会に出席したジャーナリストによるものだ。
自身はアフリカーナー、ブール、ボア人とも呼ばれる白人である。

委員会は1996年から2年以上活動した。そして、それらはラジオを通じて、報道された。

「二つの異なった、社会的な空間・・・・・。一つは暴力が正当化された場所で、過去に属している。もう一つは現在に属していて、人権侵害は不道徳かつ悪として非難される空間。・・・街の中心にあるシティホールを選ぶことによって、真実和解委員会は、過去の社会体制とは手を切ったということをシンボリックに表明したいと思った。このシティホールはもはや白人や犯罪者の公認の領土ではない。そこは今や私たち全員のものだと。」62

通訳が、委員が、からだに変調をきたしてしまうほどの、証言が、重ねられる。

420ページもの記述である。

ドクロ、髑髏なのか、頭蓋骨なのか。Skullという音は、さわやかすぎる。ゴルゴダというのも古代ヘブライ語で頭蓋骨のことなのだそうだ。
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by eric-blog | 2010-06-18 10:13 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)

絵本が目をさますとき

351-2(1524)絵本が目をさますとき
長谷川摂子、福音館、2010

保育士として絵本の読み聞かせを始めた著者が、「母の友」に連載した絵本論をまとめたもの。物語の作者でもあります。

絵本の世界というのは、子どもと大人と絵本の三者の「気」が創り出す空間なのだと著者はいいます。だから、大人である自分自身も楽しいと思える本でなければ読んでこなかったと。

絵本には「存在の不安」を受け止めてくれるキッチュな絵本と物語絵本がある。キッチュな絵本は、安心感につながり、安心感がある安定した子どもが、物語の中に遊ぶことができるのだと。

子どもに絵本を読み聞かせる時間は、大人にとっても子どもにとっても、人生のゴールデンタイムなのだと。そして、その時間は生ものだから、継続することが大切だと。

これからゴールデンタイムを持てる人が、うらやましい!

田端に住んでいた頃、お隣の4人兄弟姉妹のおうちは、600冊を超える絵本でいっぱいだった。お父さんは、この本はぜったい処分したりはしないのだと言っていたなあ。

いま、わたしが読んでいる本は、ほとんどが図書館で借りたものだけれど、子どものための絵本は、買うものも、多いのだろうねぇ。いつも、いつまでも、手もとにあってほしいもの。

PLTの新しいテキストは『幼児期からの環境体験』。そこに紹介されているReading Gonnections読み物による発展のほとんどが、絵本である。

昔話の絵本で、著者が紹介している『三匹のこぶた』『ふくろにいれられたおとこのこ』など、その昔話の「背景」がどれだけていねいに描き込まれているかによって評価しているのだと著者は言う。ところが、イギリスやフランスの昔話であるそれらの物語の挿絵を描いているのは日本人なのである。

今回の発展教材探しの苦労は、実はそういう絵本の特性にもある。お話のルーツは多様であるのに、描いている人、再話している人、出版社などが、日本のものの方が、多い。もちろん、共通しているものもあるのだけれど。

ワークショップや参加型学習というのも、三者の気のたちのぼる成長の場であるのだよね。「絵」あるいは「絵本」でアクティビティを作ってみますか。
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by eric-blog | 2010-06-17 08:48 | ■週5 プロジェクト10 | Comments(0)