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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

339-1(1470)もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎夏海、ダイヤモンド社、2009

2009年12月に出版して、わたしが手にしているのは5刷!

野球部のマネジャーをしていた親友、夕紀が、病気で入院! 都立のバリバリの進学校のさえない野球部ではあるが、親友のためにも、退院までなんとか面倒みようじゃないか!
みなみは、甲子園にチームを連れて行くことを決意する。

そんな友達思いのみなみが、マネージャーって何だ?と手にとって学び始めたのがドラッカーの『マネジメント エッセンシャル版』上田惇生訳。これも売れているに違いない。

第一の学び。16
マネージャーの資質にもっとももとめられるもの。それは真摯さである。
一流の仕事を求め、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。

第二の学び。58
顧客って誰だ? 「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足」
みなみは気づく。野球部に求められているのは「感動」だ!と。

第三の学び。90
マネジメントによって働く人に成果をあげさせなければならない。責任を持たせる。生産的であること。フィードバック情報と継続学習。

第四の学び。120
人を活かす!
マネージャーは専門家の通訳である。つまり、監督の言葉をチームに伝える。

第五の学び。135
練習に自己目標管理を取り込む。競争・結果・責任の見えるチーム別練習制度の導入。

第6の学び。150
1.組織特有の使命を果たす。
2.仕事を通じて働く人たちを生かす。
3.社会の問題に貢献する。
監督は「ノーバント・ノーボール」の改革を高校野球にもたらした!

特に、マーケティングのために、チーム全員へのインタビューを行なったのがすばらしい。また、おもしろかったのは、練習メニューの改革のところだ。
三つのチームで競わせる、結果をタイムや順位などで記録する。ピッチャーは別練習とし、チームの中での特別な責任について、精神力をアップする、など。

え?え?これって本当にどこかの都立高校で起こったことなの?
と思わせるような、高校球児たち一人ひとりのキャラクター設定がうまい。
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by eric-blog | 2010-02-28 14:22 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

この社会のゆがみについて-自閉する青年、疲弊する大人

338-5(1469)この社会のゆがみについて-自閉する青年、疲弊する大人
野田正彰、ユビキタ・スタジオ、2005

著者は「人間が、意味とは面白さを感じるのは、最終的には、人間からですからね。」126と結語する。参加型研修、ワークショップをやっていて、わたしが感じるのも、正しくそういうことだ。人が人を育てる。

「意見を言う」ということをしたことがない    102

自分たちの社会を自覚的に造り、その社会の中で、個々の人間が、いかに幸せに生きるのか、という課題からはずれている。       108

「良い社会」をイメージしてみる     53
政治的には・・・決定システムと各個人の参加とが、距離が短い社会。
(人口にして数百万とか一千万とかの国が、連合する。)

経済については、さまざまのモノの生産に、多くの人が参与できる社会が望ましい。

文化としては、人類のさまざまな文化を、多くの人が日常的に、参加型で享受できる社会。

感情の世界としては、家族とか知人とか、そういった人たちと、豊かな感情の交流ができる社会。

政治の距離、経済の奴隷化、文化へのコミットメントの低さ、情緒的交流のやせ細り。それがいまの日本社会の課題だと。

同じ著者です。
子どもが見ている背中良心と抵抗の教育、岩波書店、2006
気分の社会のなかで 神戸児童殺傷事件以降、中央公論、1999
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by eric-blog | 2010-02-27 09:28 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

Get Global! グローバルでいこう!

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとのコラボレーションで現在翻訳に取り組んでいる
英国の市民性教育スタンダードにも対応する「行動する地球市民」のためのアクティビティ・ガイドです。

以下のサイトからダウンロードできます。

http://www.getglobal.org.uk/

本文の翻訳も完了しているので、関心のある方はご連絡ください。

「グローバルで行こう!」の6つのステップ
ステップ1問うことから始めよう!
ステップ2中心となるテーマを決めよう!
ステップ3もっと情報を集めよう!
ステップ4計画を立てよう!
ステップ5行動に移そう!
ステップ6ふりかえって考えよう!

それぞれのステップで活用できるアクティビティが紹介されています。
これまでERICが紹介してきたPRAなどの「分析の枠組み」などとも共通していますが、
ステップがシンプルに整理されていて、使いやすいのではないかと思います。

ステップ1問うことから始めよう!            アクティビティ名
            理想の未来
            わたしたちの世界地図
            働きあう力
           地域で地球で働く力
           行動する地球市民調査
ステップ2中心となるテーマを決めよう!
         写真のトリガー
          ハラがたった!
          こっちへおいでよ
          あなたのテーマ
          テーマの環(わ)
          なぜ、なぜ、なぜ
           深める広げる10の問い
          地平を広げて
         テーマ・ランキング
        ペア・ランキング
        選んだ理由
ステップ3もっと情報を集めよう!
           テーマの大樹(き)
          ルート・ファインダー
           マインド・マップで始めよう
           インターネット・サーチ
          待ったをかける
          賛否両論
          調査報告書
ステップ4計画を立てよう!
          わたしたちが望むもの?
          レンガとハンマー
          行動の樹
          クモの足
         行動のカードゲーム
        どの行動?
         影響のマトリクス
        世論調査
         わたしたちの行動
         コミュニケーションズ
        河のタイムライン
        計画の樹
        行動計画
ステップ5行動に移そう!
        行動を記録する
ステップ6ふりかえって考えよう!
          ふりかえる
         仕上げの記述
          フォローアップ

評価する
         ポートフォリオ
        期待の花
         フォーカス・グループ
        行動する地球市民スキル・チャート
       行動する地球市民期待マトリクス
       評価の環
        ビフォー・アフター
        成功のグラフ
      学びの記録
      写真
      創造的評価
       幸せな顔・悲しい顔
      キラキさせ手
      連続線
       二重の環
        落書きの壁
        表現便り
       感情のシルエット
ゲームで楽しむ
  エネジャイザー
             ソーセージ
            フルーツサラダ
           太陽の光が
           ジップ・ザップ・ゾップ
           音無さん
          ハクタグ
           ゾウ歩き
  リラックス
           鏡
           宇宙人
          静止
            ビジュアリゼーション
   協力を学ぶ
           腕相撲
          人間機械
           これは・・・です。
            人間結び目
          力の像
          新人が来た
          倒れるぞ!
   コミュニケーション
          積極的な聞き方
          沈黙のラインアップ
          鼻の絵
          拳を開いて
          聞き方次第
          はい・いいえ
         役割交代

つながろう!
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by eric-blog | 2010-02-26 09:35 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

戦争の記憶 記憶の戦争  韓国人のベトナム戦争

338-4(1468)戦争の記憶 記憶の戦争  韓国人のベトナム戦争
金賢娥、三元社、2009

1998年、日本のピースボートに韓国の団体が招聘され、ともにベトナムを尋ねた。
ナワウリ、私と私たちという団体で活動を始めていた著者が、ベトナム戦争において派遣された「参戦軍人」たちがベトナムでしたことを知ったのは初めてのことだったという。1965-1968年に起こったこと。それは正しく彼女が誕生した1967年のことだったのだ。

わたしがベトナム戦争に韓国軍が従事していたことを知ったのは、アジア太平洋平和センター(韓国)での平和セミナーに出席した2000年のことだ。「I am Sorry Viet Nam」という歌のCDがあり、そう書いたTシャツが販売されていた。わたしはそのTシャツを着て、米国PLTのコーディネーター会議に出た。

ベトナム参戦は朴正煕政権を長らえさせ、韓国経済を発展させた。もちろん、日本の経済もだ。

なぜ、ベナトムに韓国軍が・・・? と問う前に、著者らが1999年から2001年にかけて、訪問調査を行なった結果、ベトナムの人びとから共有された物語に耳を傾けよう。

026
参戦軍人たちの身体を占拠し支配するのは国家であった。国家の命令で銃を撃ち、家を焼き、人を殺した。・・・しかし、戦争が終わったとは、身体の記憶は完全に個人のものとして残る。・・・国家はかれらの記憶のなかの必要な部分だけを選んで再生するのだ。

194
それでも、私には戦争はもっともうつくしい時期でした。戦争は残酷で、祖国のためにすべてのものを捧げねばならなかったのですが、生涯で最も意味があり、純粋な時間でした。

204
実際に命をかけること、実際に命をかける人の美しさを、80年代に私のまわりでみたのである。

208
遠くの爆撃音は本当に怖い。ところが近いと、それほど怖くないのです。近づいて来ないこと、まだよくわからないことへの恐怖が一番大きいことがわかりました。

ベトナム政府は「過去を封印し、未来を築く」政策を進めている。
しかし、民間人が韓国軍に殺された村々では、憎悪碑が立てられている。アメリカ軍としての韓国軍がしたことについての記憶が、書き記されている。

国家の記憶ではなく、個人の記憶に心を開こう。
その英雄と殺人者の両面を持つ混乱と戦後に続いた物語に。
そして、「なぜ、韓国軍が、民間人を殺すのか」ととまどいながら、むごく、殺された人びととその遺族の物語に。

9章「和解への遠い道のり」で著者は二つの中心軸を提示する。
・ 被害者の魂の癒し
・ 韓国社会でのベトナム戦争真実究明

ナワウリの行動の背中を押しつづけるのが、従軍慰安婦のハルモニたちだという。
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by eric-blog | 2010-02-25 10:11 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

クロマグロの悲劇

大西洋クロマグロは、どうなるのでしょうか?
わたしたちが変わらなければ、問題は解決しません。


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by eric-blog | 2010-02-24 15:01 | △研修その他案内 | Comments(0)

わがままこそ最高の美徳

338-3(1467) わがままこそ最高の美徳
ヘルマン・ヘッセ、草思社、2009

暴力は邪悪なものである。
そして非暴力は、目覚めた者たちにとっての
ただひとつの道である。
この道は、決してすべての人びとの道ではなく、
そして、世界の歴史を作り変えている者たちの
道では決してないであろう。
私たちがどちらの側に立っているかを
知っているならば、
私たちはより自由に、
より安穏に生きるのだ。
不正をなすよりも
不正を受けて苦しむほうがよい。
暴力という手段で、望むものを
勝ち取ろうとすることは、間違っている。
世界の歴史のうちで、ひとつの
そしてもっと明るい時代は、
きっと、次の戦争の勝利者によっては
つくられないであろうが、
おそらく苦しみを受けている者たちと
暴力を断念している者たちによって
つくられるであろう。 144

146-148
動物から人間への歩み
私たちはまだ人間ではないのです。私たちは人間になる途上にいるにすぎないのです。
「汝殺すべからず」
たとえば、私たちは才能のある若い人たちを強制的に、彼らに適さない職業に就かせることによって、人を殺しています。・・あらゆる場合の生命の無視、あらゆる冷酷さ、あらゆる無関心、あらゆる軽蔑は、殺人以外のなにものでもないのです。・・・未来のものを殺すこともあるのです。
人間としての私たちの使命は、私たち自身の、一度かぎりの個人の生命の内部で、動物から人間への道をさらに一歩前に進めることにほかならないのです。

151
理想的な人間
私たちが、徐々に人間と神々になることを望んだ長い途上で、一段ずつ登り進んだ者たちは、決して正常な人びとではありえなかった。正常な人びとは、保守的であった。
・ ・・
「正常である」ということは、本来人類にとっては理想的なことではなかった。それは、またひとつの役割に、つまり種族保存といういわば保守的な役割につけられた呼称にすぎなかった。
・・・
「精神的な者」の任務は、ほかの正常な人びとの所有物とは対立するもの、すなわち同じく人類の所有物である「理想」が、同様に維持され、消滅しないように配慮することであった。

ヘルマン・ヘッセ の示した道は続いているね、いまも。
1877年7月2日 - 1962年8月9日
亡くなった日が、わたしの誕生日と同じ日だ!

名言集がインターネットにあるので、こちらもぜひ。
http://becom-net.com/wise/heruman.hesse.shtml
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by eric-blog | 2010-02-24 11:05 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

対話する力ファシリテーター23の問い

338-2(1466)対話する力ファシリテーター23の問い
中野民夫・堀公俊、日本経済新聞出版社、2009

いま、企業系ファシリテーターがホットだ。ワールドカフェにも参加したが、やはり企業系ビジョン・ファシリテーターと言おうか。

文化的な背景が多様な人びとが出会う時、いいコミュニケーションのパターンについての共通理解を持つこと、新しいいいコミュニケーションの文化を共有し、作り出すことは必須だ。そのことが、多少とも、「教育的」であることは、あるだろう。しかし、そこに「教育的」な要素があることと、学校教育などにおける「教育的ファシリテーター」であることは、別のことなのだ。それが、わたしが企業系ファシリテーターと、教育的ファシリテーターとを分類したくなる要素だ。

そのホットな企業系ファシリテーターの二人、中野民夫さんと堀公俊さんが、一冊の本を作ろうということになった。中野民夫さんはディープエコロジー・印象派ファシリテーター、堀公俊さんは問題解決ファシリテーターとわたしは見ているのだけれど。

レイアウトが悪い。問いを立てるのがファシリテーターの力であるはずなのに、どういうわけか、問いに対する答えをお二人が語りまくり、その言葉が判面いっぱいに、あふれ返っている。これはデザインの敗北だ。

「懐かしい未来」の鎌田さんであれば、もっと言葉を研ぎすますことだろう。
この二人が出会っているのに、もったいないことだ。

ということで、ファシリテーターのみなさん、この23の問いを共に考え、成長するには、どうすればいいか、考えましょうね。共通する問いもありそう。

第一章なぜ今、ファシリテーションなのか?
(1)なぜ世の中で対話が必要とされているのか?
(2)なぜ今、ファシリテーションやワークショップなのか?
(3)ワークショップやファシリテーションで何が変わるのか?
(4)実践する時になにに思い悩むのか?
第二章どうやってみんなを巻き込めばよいのか?
(5)自分の所属する組織でファシリテーションを始めるには?
(6)やる気のない人、やりたくない人、慣れない人への対処は?
(7)どうやったら参加者のホンネが引き出せるのか?
(8)頑固な人をどのように変えていけばよいのか?
(9)どんな問いかけが参加者の心を動かすのか?
第三章どう対話を舵取りすればよいのか?
(10)湧き上がる感情や思考とどう向きあえばよいか?
(11)落とし所のない中立的な立場になれるのか?
(12)操作してしまわないためにはどうすればよいのか?
(13)ファシリテーションの楽しみや達成感はどうやって得られるのか?
(14)どうやったらファシリテーションが上達するのか?
第四章対話の場でなにが起こるのか?
(15)ワークショップの場でなにが起こっているのか?
(16)納得のいく合意を生み出すにはどうすればよいのか?
(17)ファシリテーターが本来すべきことはなにか?
(18)やればやるほど依存を生むのではないか?
(19)ファシリテーションの良し悪しはなにで決まるのか?
第五章どうすれば我々は変わっていけるのか?
(20)ワークショップの成果を現実に活かすには?
(21)ワンマンを打ち破り、対話の文化を広めていくには?
(22)我々は紛争や対立に対してなにができるか?
(23)21世紀はファシリテーター型リーダーの時代か?

一昨日、昨日はひょんなことから「教師教育学」について、オランダからのファシリテーターを招いての勉強会に参加。日本の学級人数、33人程度というのを見て、絶句しておられました。それを言うと、日本の大学の先生方は、「でも実際には20数名でやっているんじゃないの?」と反論する。

問題はそこではない。実態をどのように現場が工夫しているか、ではなく、学級人数のスタンダードを40名以下にしていかない、政治的意志の欠如が問題なのだ。特に、中等教育段階で、だ。
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by eric-blog | 2010-02-23 09:58 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

教師は二度、教師になる君が代処分で喪ったもの

338-1(1465)教師は二度、教師になる君が代処分で喪ったもの
野田正彰、太郎次郎社エディタス、2009

日本政府は「裁判官ら法曹関係者への人権規約の研修と規約の情報普及」を自由権規約委員会から2008年に勧告されている。「公共の福祉」というあいまいな概念で自由権を制約する傾向が強いことを懸念してのことである。
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20090518.html

著者はすでに『させられる教育—思考途絶する教師たち』(岩波書店、2002)、『子どもが見ている背中—良心と抵抗の教育』(岩波書店、2006)で、国旗国歌を学校現場に強制する10.23通達と文科省の姿勢と、教員たちの追いつめられた精神状態の関連を指摘している。

小渕首相が1999年6月29日に衆議院本会議において、「政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行なうことは考えておりません」と答弁し、8月13日に「国旗及び国歌に関する法律」が公布・施行された。(石原都知事はこの年の4月11日から!)

「内心の自由」についての指導とともにあったものが、文科省の強制力が強まり、2003年東京都教育委員会が「入学式・卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」(10.23通達)を通達。

日の丸・君が代が宙ぶらりんになってしまうという危機感があった人びともいたのだろう。アメリカ帝国からの脱却を言う人びとが、アメリカ合州国と同じ「国旗」による国威発動効果を求める姿は、哀しい。帝国主義の鏡現象としか言い様がない。日本には日本の、世界史における立ち位置、貢献があるだろうことには、帝国主義しか見ていない人は、目がいかないのだろう。作用反作用の原理か。

2001年9月11日に象徴される、民族主義、宗教原理主義の復活かと見えるテロリズムの勃興も、国粋主義に力を与えているのかもしれない。


さて、本書である。

教員採用試験に受かって、教員になる。そして、教員としての職業的体験を通して、教員としての矜持が生まれる。そのことを、本書のタイトルは表している。ここで紹介されている13人の東京都教員は、それぞれ特別支援校、チャレンジ・コース、定時制など、教員に採用されれば、誰しもが通る現場体験を通じて成長し、生徒を指導するということの矜持は何かをからだ全体で受け止めた人びとだ。

解体させられるのは、そのからだだ。

「一般の高校の生徒も、同じように「障害」に直面している。・・・環境がかれらの可能性のまえで障害になっている。」33

そのことに気づいた教員は、生徒ともに、道を探る。

命令によって教育は成り立つか。16

著者はさらに1980年代後半からの「うつ病」治療のあり方が、「心因」と「内因」をまぜて、抗うつ剤の投与のみに走っていった傾向を指摘する。124

「新しい病名がうつ病を増し、抗うつ剤の売り上げを増し、世論を誘導しているのではないか。」125

命令によって教育することを強制される教員たちは内因性の疾患に追いつめられていっているのだ。

確かに、国旗・国歌だけを争点にしてきた歴史には違和感がある。

しかし、東京都の過剰処分は異常である。そのことは、しっかりと批判される必要がある。

ある高校の卒業委員会が出した結論は次のようなものだ。
「日の丸・君が代については、様々な意見があることが分かりました。私たちは賛成意見も、反対意見も、無関心だという意見も、それぞれ尊重したいと思います。個人が日の丸・君が代についてどんな考えを持とうと自由だからです。それは思想の自由という憲法19条に保障されていることです。私たちの卒業式に日の丸・君が代をやるということがあれば、それはこのような人の数だけの思想を尊重していこうという行き方に反対することになると、私たちは判断しました。様々な意見を表現する自由が保障されるためには、全員が出席しなければならない卒業式には、日の丸も君が代も必要ありません。」137

わたしたちの、人類の、そして、それぞれの民族の歴史は、それぞれでありながら、いずれもそれなりに「雑食的」だ。

雑食動物のジレンマに耐えられない人びとが、声高に純血を叫ぶ。どうやらユーカリだけを食べるコアラになりたいようだ。

ちなみに教職員に係る懲戒処分等の状況について、によると
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1288132.htm
 「平成20年度に当事者責任として懲戒処分を受けた教育職員の数は1,059人(前年度比11,828人減)であり、訓告等及び諭旨免職まで含めた懲戒処 分等を受けた教育職員の数は4,020人(前年度比13,462人減)である。また、監督責任として懲戒処分を受けた教育職員の数は71人(前年度比18 人減)であり、訓告等を含めると1,022人(前年度比160人増)となる(表1)。」
平成17-19年度(2005-2007)の異常さがよくわかる。

人間と人間の社会のこれからについて、教育が無知であってはならない。
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by eric-blog | 2010-02-21 07:49 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

TEST10 プログラム 予定

教育的指導者育成のための2年間コースを構築・提案するERICのESD ファシリテーターズ・カレッジ。
11回目となった「教育力向上講座」のご案内です。

あまたある「関係性を育てる」ためのプログラムやカリキュラムを、どう学校現場やESDの実践の中に取り入れていけばいいか。ESDのより高い質を求めて、ファシリテーター育成のための講座を開催します。

ねらい 
ESD持続可能な開発のための教育をめざす教育的指導者たちが身につけたい「関係性を育てる」手だてとそのカリキュラムを検討する。

3月20日 (土曜日)

セッション1共通基盤づくり
13.00-15.00
1.アイスブレーキング
2.自己紹介および研修への期待
3.「関係性を育てる」ためのプログラム・カリキュラムについて「知っていること・知りたいこと」
4.「関係性を育てる」こととESDの関係、「4つの教育は一つ」環境・人権・開発・平和教育の共通カリキュラムとして

セッション2「関係性を育てる」プログラムの検討1
15.00-17.00
1.学校グループワーク・トレーニング
2.グループ・エンカウンター
3.アクティビティ・プログラム・カリキュラム 
4.「わたし・あなた・みんな」のスキルを育てる5つの手だて

ファシリテーター・ミーティングと夕食会「食農地球教育のためのフード・マイレージ・ワークシート」付き

3月21日(日曜日)
セッション3「わたし・あなた・みんな」のスキルとライフスキル
10.00-12.00
1. ライフスキルと指導のカリキュラムの検討
自己認識  共感性   効果的コミュニケーションスキル  対人関係スキル  意志決定スキル   問題解決スキル   創造的思考 批判的思考 感情対処スキル ストレス対処スキル  
2. スキル指導を教科指導や学校カリキュラムにとけ込ませる

セッション4「ピア」の力・関係性の力をアップする
13.00-15.00
1. ピア・サポート、ピア・カウンセリング、ピア・メディエーターの目標を比較する
2. 「ピア」の力を学級風土、学校風土の力に
3.  学校外でのスキルアップの機会

セッション5 学校外からの支援の多様性とこれから
15.00-17.00
1. 学校外からの「スキル指導」にどのような機会があるか
2. 教員による指導との違い・メリット/デメリットを整理する
3. 指導者に求められる資質と資格
4. 学び続ける組織と指導者育成の課題

ファシリテーター・ミーティングとゲスト・インタビュー&懇親会

3月22日(月曜日)

セッション6 未来のビジョンと行動計画づくり
10.00-13.00
1. 未来のビジョンを共有する
2. 学校におけるスキル指導 推進の課題とバリヤーの克服
3. ふりかえりとまとめ

セッション7積み残した課題とこれからのリアル
14.00-15.00
1. アフター・セッションをゆったり、リソースフルに遊ぶ。
からだからだ
わたしからわたす
あなたに届ける
そんなみんなが変わる
2. 経験の共有・生きる叡智・ネクストステップ
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by eric-blog | 2010-02-19 20:51 | △研修その他案内 | Comments(0)

雑食動物のジレンマ ある4つの食事の自然史

337-5(1464)雑食動物のジレンマ ある4つの食事の自然史
マイケル・ポーラン、東洋経済新報社、2009
The Omnivore’s Dilemma, 2006

人間は雑食である。コアラのように、ユーカリに食餌が特化してしまった動物は、脳が小さくなる。人間やネズミは脳の働きが、生き残りを左右する。

食べられないように、さまざまな毒素を持つにいたった植物たちを前に、何を食べればいいか、選択肢を増やすのは学習力だ。経験値。

ネズミと人間が違うのは、人間はその経験値を「文化」という形で、経世的に蓄積できるし、してきたことだ。

アメリカ大陸という「新世界」は二つの食への転機をもたらした。
◯移民の人びとの文化が食に役立たず、「雑食動物のジレンマ」第一世代になってしまった。
◯南米原産のトウモロコシが、「人間の手」に依存する植物として進化していた。

そして、アメリカ人はトウモロコシ食人種になった。さらなる二つの変化によって。
◯トウモロコシから高果糖コーンシロップが作れるようになった。(なんと日本人化学者の貢献によって!)
◯トウモロコシを食べる肉牛生産体制が開発された。

その結果、アメリカ人の食卓は「科学と商品開発とマーケティング」に牛耳られ、右往左往するものになってしまった。

トウモロコシの生産 2億5400万トン。そのうち1300万トンから高果糖コーンシロップ 79万トンが作られる。

「スーパーサイズ販売戦略」とはマクドナルドが始めた販売拡大戦略だ。

トウモロコシはC4穀物といって、炭素を4つ持つ特質があるために、メニュー中に占める割合を炭素同位体の質量分析計で読み取ることができる、らしい。157

マクドナルドのメニューからトウモロコシ度が高いものを並べると
・清涼飲料100%
・シェイク 78%
・ドレッシング 65%
・ マックナゲット 56%
・ チーズバーガー 52%
・ フライドポテト 23%

著者は、雑食動物のジレンマの歴史を「採集狩猟者」としての食卓を実現しようとする中で、追体験していく。

もう一つ、紹介されているのが「ポリフェイス農場」

ちょうど、昨日の日経新聞にも三谷克之輔さんが「工業化で疲弊する農業」「放牧牛が宝の山つくる」と自身の里山と牛研究会の活動を紹介している。

それとまったく同じ発想で、さらにそこに豚も鶏も加えているのがポリフェイス農場だ。

40ヘクタールの牧草地と180ヘクタールの林地。

牛→鶏→数週間休憩→牛

シーズンで牛肉11トン、豚肉11トン、若鶏4.5トン、シチメンチョウ500キロ、ウサギ肉400キロ、たまご3万ダース。(上、170)

抗生物質、化学肥料、除草剤などはゼロだ。

いまや、オーガニックも工業化され、広範囲に輸送されるコモディティになっている中、ポリフェイス農場を運営するジョエル・サルトンは、自分たちのやりかたをスーパーオーガニックと呼ぶ。

工業が手助けをしてつくる複雑な生産システムを、農場では多様な生き物の働き(科学が追認してきた、まさしくその元の)によって実現している。人間はその多様性のコンダクターなのだ。農業の規模拡大には限界がある。それがこのサイズなのだと。

データあり、最新食産業事情あり、シンガーの『動物の権利』に触発された哲学あり、実体験のルポあり、美味しそうな究極の手作りの食卓ありの力作。

少なくとも、雑食動物の脳は、これぐらいのジレンマについて、この程度の思索を伴った上で食べないと、健康な食にはいたれないよという警告の書なのか?
それとも、Omnivoreの語源の通り「幅広い分野に好奇心を持ち、あるものは何でも読み、勉強し、概して吸収する者」のジレンマの記録なのか。

上下二巻、600ページにもなる大著です。ぜひ、英語で読みたい!
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by eric-blog | 2010-02-19 11:08 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)