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自由のための文化行動 補論=横浜・寿識字学級からの報告

305-5(1329)自由のための文化行動 補論=横浜・寿識字学級からの報告
パウロ・フレイレ、亜紀書房、1984

非識字の人たちも識字の方にきちゃったどん詰まりの状況がいまなのかなあ。識字によって取引でだまされることもなくなった、自分たちの状況も把握できるようになった。識字がエンパワメントにつながった。

ビッグイシューが創刊された時、すごいアイデアがあるもんだと、驚いた。

しかし、その内容に当事者の「識字」によるエンパワメントに触れるものは少なかった。

なぜ、フレイレの識字学級は、「第三世界による独立への正当な希求のうちにこそ、自己解放の行為そのもののなかで支配社会を救済するという、ユートピア的構図が存在している」40ことができたのか。

・ 対話の実践のなかで、表現される科学的人間主義の概念を定式化する。
・ 教師と学習者は、一緒になって人間を非人間化する現実の分析行為に取り組みながら、一方ではその現実を告発し、他方では人間解放の名において、かかる現実の変革を予告するのである。
・ ・このユートピア教育学における告発と予告に、歴史への積極的関与という意味がこめられてくる。41

・ 教育がもはやユートピア性をもたなくなるとすれば、つまり告発と予告の劇的統一性をもはや体現しなくなるとすれば、それは人間にとって、未来がもはや意味をもたないからか、古くなってしまった現在を創造的に乗り越えるものとしての未来を生きることに賭けたいとは思わないからか、そのどちらかである。42

・ 「沈黙の文化」にあって、存在するとは、ただ生きながらえることにすぎない。上からの命令を肉体が実行する。考えることは難しく、ことばを話すことも禁じられている。47


補論に言う。
「識字学校は先生たちの手下にならない。」184

フレイレの教育論は、生活現実のなかにテーマを「取材」し、その生成テーマを表示する「コード」を開発し、構造的に解読する「コミュニケーション」の三つの次元で、生成的であると、訳者あとがきに言う。188

文字は発見されるものである。

そして、識字とは

「ことばあるいはみずからの表現を奪われて<沈黙の文化>の淵におとしめられている人間たちが、他者や物・事との親しい交わりのなかで、みずからのことばと表現を奪い返し、沈黙を強いる抑圧的な現実世界の深層に潜む文法を読み取って、その現実を変革する批判的主体にみずからを形成していく<意識化>の文化過程」191

寿は、識字学校は、夜間中学校は、ケニア・カミレゾ教育文化コミュニティセンターは、いまどうなっているのだろうか?

トヨタ財団広報誌「ジョイント」の創刊号が届いた。「理想的な地域社会のあり方を探る」座談会in福岡。「変な時代、おかしな社会に生きる子どもたち」そして、経済優先社会の限界などが指摘されるなか、どこか根本的なところが認識されていないままに、「対策」が論じられているという違和感が残った。
子どもの魅力ある居場所づくりはいいなあ。
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by eric-blog | 2009-07-31 09:45 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

季刊福祉労働 no.119 「介護労働の諸相」

305-4(1328)季刊福祉労働 no.119 「介護労働の諸相」
2008年夏号

障害者・保育・教育の総合誌。ちょっと他のバックナンバーも見てみたい気がする。雑誌であるので、さまざまな論文や記事が載せられている。お目当ては中野麻美さんの「労働法から介護労働者の現状をみる」だったのだが、この前紹介した内容とかぶる。

杉田俊介さんの「ケア労働者にとって自立生活とは何か?」が分析している「ケア労働者の非正規化」を自発的に進めてしまう心理について紹介したい。

1.目の前に困った人がいるから、とせんなにつらい仕事でも、仕方ない。
2.「やりがい」「生きがい」だから、低賃金でも構わない。主婦型生きがい、若年フリーター自分探し
3.ケア労働が感情労働=「気づきの労働」を期待される。相手を喜ばせようとする気遣いには際限がなく、サービスがエスカレートしやすい。
4.「誰でもできる仕事」「家事の延長でしかない」「お手伝いさん代わり」などの世間的スティグマを、自分たちで内面化してしまっている。
5.倫理的自己矛盾。つまり、障害当時者の生活に比べたら、健全者である自分の生活は恵まれているから、文句を言うべきではない。
6.ある種の疾しさ。社会的弱者をケアすることで自分のアイデンティティをひそかに保っていることへの疾しさ。その裏返しとしての、歪んだ愛。
7.本質的に他人の糞尿を扱うようなダーティワークでもある。歴史的な卑賤視とつながる面があるかもしれない。
8.ボランタリーな組織に特有の、仲間うちでの燃え尽きのヒートアップ。自己犠牲のエスカレート合戦。
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by eric-blog | 2009-07-29 09:50 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

性の女性史

305-3(1327)性の女性史
ハリエット・ギルバート、現代書館、1995
A Women’s History of Sex, 1988

訳者の一人である朴和美さんからは「オモニたちの世代の生き延びる戦略」から「わたしたちの世代の解放の戦略」へと、女性問題の課題が変化したのだという視点をいただいたことが、強烈だった。1997年頃のことだから、この本を出されて以降のことだったということになる。後書きに、「実際、「女の視点」というハシゴを踏み外さないようにと注意深く登り続けてきたつもりなのに、それがやっとフェミニズムという舞台にたどり着いたと思った途端に、急にそのハシゴを外されてしまったような、そんなとまどいと不安の中にわたしは身をおいているのだ。」と、第二派フェミニズムが、フェミニズムが構築してきた枠組みそのものを相対化を迫っている、その論調の中に、身をおいていることへのとまどいを書かれている。251

とはいえ、行為主体者としての女の体験は記録されるべきであるし、さらには、アジアの、東アジアのセクシャリティについての歴史のテクストも必要だという。この本が明らかにしたような、さまざまな「憧れ・恐れ・倫理観・期待・先入観」というようなお荷物。それをわたしたちが生きる場に置いて、明らかにしたいと。252

朴さんの視点をいただいて、わたしにとって霧が晴れたのは、解放運動の後の「真空」に、もう一層「生き延びる」という層が加わったことだった。1955年生まれのわたしは、フェミニズム運動の担い手ではなく、そのメディアにおける露出のシャワーを浴びて育った世代ということになる。親たちの言うこなど、ティーンエイジの自立志向期とあいまって影響力が小さくなった。そして、大学時代に、実験的な同棲、見合いによらない自己選択としての相手探しなど。

それが「規範」であった世代とも言える。しかし、その規範は何を実現してくれるのか? 「反抗期」が反抗だけであるならば、それは空虚だ。その先に、自己実現があるからこその、反抗なのだ。

朴さんの言説と出会ったことで、わたしはそれまでフェミニズムに感じていたもやもやを一つ整理することができた。

家父長制度が生き延び、男性優位文化が支える男性中心社会。その中で「女」も「男」も、与えられた役割を引き受け、「生き延びる」。男の本懐を書く文学はそのまま男の生き苦しさ、硬直、滅私・抑圧、やせ我慢を書いているし、本懐を遂げることのない無数の男たちを描き出している。

「女」が描かれないのは、「規範」がきつくないからだ。だからこそ、戦中には「女」についての言説が急増するのだ。「女」も巻き込んだ総力戦としての近代戦を闘うために。

そのようなお荷物を整理し、女も男も自己実現の道を歩けること。それが「教育の人間化」というわたしの選んだテーマが目指すことだったのだと、整理がついた。では、実際にはどのような? という問いは、いまも続くのだが。

本題に戻ろう。

紀元前、農耕以前から、女がどう扱われて北かに始まり、農耕定着社会の到来を女も「便利」と喜びながら受け入れていった。その結果、備蓄、家畜、などの富が増え、「女」も所有物になっていくとは、予想もしなかったに違いないと。

女によって支配されている無文字社会はない。

そして、所有が始まってから、中世キリスト教の「悪魔としての女」の創造。性の抑圧。

1980年代のポップな論調、編集を楽しめる、本である。
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by eric-blog | 2009-07-28 07:32 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

イラクで私は泣いて笑う

305-2(1362)イラクで私は泣いて笑う
酒井啓子、めこん、2009

JVCブックレット001である。イラク研究者の酒井さんが三人の人にインタビューしている対談集。アジアプレス所属のビデオジャーナリスト、玉本英子さんのお話が印象的。

2003年以降、イラクに対する関心はいっきに高まり、そして冷めていった。その中で、現地で活動することすらできない現状が続く。国連機関、NGOが、活動のあり方を模索する中、玉本さんは、現地に赴き、取材し、そしてイラクの小学校と日本の小学校のビデオレター交流などの平和学習を実現していく。

言葉も、ジャーナリストとしての経験もない中、クルド人の現状を知った驚き、もっと知りたいという気持ちから動き始めた玉本さん。

人の気持ちがなければ、動くものも動かないことを改めて痛感した。

泣いて笑うという表現は、日本の家族のお父さんとお母さんがビールのジョッキで乾杯しているシーンを見たイラクの子どもたちが、「ありえなーーーい」と泣きながら笑ったというエピソードから。
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by eric-blog | 2009-07-27 09:32 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

負け猫のしあわせ 彼女が僕を拾ってくれた

305-1(1361)負け猫のしあわせ 彼女が僕を拾ってくれた
岡崎 昴裕、朝日新聞出版、2009

正社員から転落、そして離婚、自殺かホームレス寸前だった著者が、ブログを通じて知り合った女性の居所に同居し、彼女と人生を共にすることを使命として生き延びる物語。

著者は『個人情報の現場』『債権回収の現場』などの本もあるライター。もともとは大手信販会社勤務であったのが、身内のトラブルを抱えて、自己理由退社。その後務めた調査会社などの経験を文章にすることで、ライターとしてもデビュー。

そんなに才能ある人が「負け猫」?

ほとんど、最初の結婚相手が悪かったんだね、その身内も含めて。と思えてしまうのだが、再婚する彼女の方が抱えている問題もでかい! 子どもの頃からDVにあってきた彼女も切ないが、子どものためにと同じDVをがまんし、生きて来た彼女の母親の人生も切ない。そして、どれほどの虐待にあっていても、問題にしてくれない警察。特に、長年連れ添った夫婦ともなると、介入してもらえる余地はない。「男」の側の方が社会的地位や存在感もでかいからよけいだ。

そんなツラサがある彼女だから、ツラサを抱えていた著者のやさしさが、見えたのだろうなあ。

抱え込みつつ、企業の中間管理職としてがんばる彼女。抱え込みつつ、家族のためにがんばろうとしていた著者。

中年の危機を、実力主義になっていく企業社会で、特に女たちは、どのように生き延びるのだろうか? 

著者自身の故郷の暖かさを支えに、二人で生きれることが幸せと、著者もさつきさんも言うのだが。
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by eric-blog | 2009-07-27 09:15 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

暴力とジェンダー

304-7(1360)暴力とジェンダー
林博史、中村桃子、細谷実、白澤社、2009

関東学院大学で行なわれた連続講座の内容をまとめたもの。
『「女ことば」はつくられる』の著者、中村桃子さんによる「講義3戦争と「女ことば」」は、まさしく読みたかった内容だ。「ついて語る」ことが作り出したもの、それが「女ことば」だと。語られることが多かったのは戦前の日本。特に、植民地支配の文脈であったという。詳しくは、『「女ことば」はつくられる』を読んでからにしよう。

カナダの『メディア・リテラシー』の8原則が「講義2 視覚メディアと性暴力表現」で引用・活用されている! 重要な視点なので、ここでも引用しておく。

1.メディアはすべて作られたものである。
2.メディアは現実を構成する。
3.受け手がメディアを解釈し、意味を作り出す。「主流」「優先的な読み」と「対抗的な読み」「批判的な読み」
4.メディアは商業的な意味を持つ。
5.メディアはものの考え方や価値観を伝えている。
6.メディアは社会的・政治的な意味をもつ。
7.メディアは読字の様式、芸術性、技法、決まり・約束事をもつ。
8.クリティカルにメディアを読むことは、創造性を高め、多様な形態でコミュニケーションを作り出すことへつながる。
元本を早く紹介しないとねぇ。

「講義1 アキハバラ事件と男の暴力」は細谷実さんによる「男のプライド」論。もっと、「男のプライド」の作られ方を論じてほしかった。どこか「自然」にそなわっているものの延長のように、捉えているのではないかという疑いが拭えない文章なのだ。
とはいえ、エリカ・ジョングのことば「男のプライドは悪魔の発明品」、女性差別社会で「女性側」に入れられた男がよりいっそう傷つくなどは、ふんふん。

まあ、聞いている人びとが「男のプライドの何が悪い?」って顔していたら、細谷さんが言えるのはここまでか。ことほどさように扱いにくいのが、男のプライドなのだ。

「米軍の性暴力」についてはデーヴ・グロスマンの『戦争における「人殺し」の心理学』を読んでからにしたいと思う。
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by eric-blog | 2009-07-25 08:35 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

コミュニケーション・ワーク for Junior High

中学生16名のための「コミュニケーション・ワーク」研修です。

記録

1. 名前だけの自己紹介[全体でシャッフル→気づいたことを三人でふりかえり、全体で共有・板書]
2. 話し合いのルールづくり
3. お似合いのイニシャル[全体で自己紹介→宿題]
4. IALAC[全体でシナリオを読み聞かせ→ペア作業でふりかえり→「しぼんだ時」「どうしたらよかったか」→全体で共有・板書]
5. わたしメッセージで感情を伝える[全体で共有]
6. グループ・コミュニケーション・ゲーム[4人一組のグループで、一人がメッセンジャー、廊下に貼ってあるポスターを情報だけで描く。]
7. ふりかえり「良かった点」ポストイット3枚、「課題」ポストイット2枚→発表
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by eric-blog | 2009-07-24 17:14 | □研修プログラム | Comments(0)

PLT合冊本

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出来ました!
ドキュバインド製本に続いて第二作です。

PLTファシリテーター有資格者の方々には4000円プラス送料でお届けします。PLT講習会以外での提供はしていないテキストです。
ericかくた なおこ・
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by eric-blog | 2009-07-24 16:58 | □研修プログラム | Comments(0)

だから、お前は貧しいんだ!

エレベーターに乗ろうとしていた。年配者が一人と、中年男性一人が降りてきた。
年配者の方の動きが遅く、降りようとしているのかどうかも、わかりにくかった。乗り込もうとした男性に、年配者の後から降りてきた中年男性が吐いたことばだ。
え?え?え?

うーん、こんなコミュニケーション・スタイルの文化では「男」同士の世界は一触即発だなあ。

はらはらもさせられるね。

ericかくた なおこ・
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by eric-blog | 2009-07-24 12:07 | ◇ブログ&プロフィール | Comments(0)

仕事と若者 リーディングズ 日本の教育と社会19

304-6(1359)仕事と若者 リーディングズ 日本の教育と社会19
本田由紀、筒井美紀、日本図書センター、2009

全20巻配本の第2期。既存の論文をテーマに即して再録、そして解説を加えてている、文字通り「リーディング」だ。古典ではなく、現代的なものを中心にまとめている。

すごいと思った視点は、「地域の中の若年雇用問題」206-
一つには「地域外」にプル、魅力、惹きつけるものがなくなっている。
一つには無業者の状況は地方のほうがより深刻。
都会に夢も持てず、地元に道もない、そんな状況が映し出されている。224

また、若者自身による自己規定についても言及されている。(第四部)

フリーターという言葉の出現によって、帰属ができた。やりたいことのある「良い」フリーターと「悪い」フリーターという言説に囚われる。

「言葉の問題が無視できない。新たな言葉が求められている。」272

このシリーズを通じて、「教育」のあり方が問われている。教育は自由への道とはなり得ないのか?
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by eric-blog | 2009-07-24 10:00 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)