<   2009年 06月 ( 21 )   > この月の画像一覧

OKバジ

300-4(1342) OKバジ

垣見一雅、サンパティック・カフェ、2001

54歳で教職を止めて、ネパールに住みついた日本人の手記。1939年生まれだというから今年70歳になる人だ。今度お話しを聞く会があるというので、予習したというわけだ。ご本人は、息子さんからの「なぜネパールに行くの?」という問いに答えて、「子ども時代の復習のために」と言ったとか。これから話しを聞こうかということについて、予習しようか、というような人だったのに違いない。だからその対極のあり方を「してみよう」と考えたのだろうなあ。

夕日、風、自然の味、子どもの遊び、山歩き、からだでできることをからだですること。

そんなことが人間の核を育てることをネパールで追体験していく。そして、日本の教育では育てていないものに気づく。
でも、人間、欲深いから、日本人がネパールに居ることの意味も求めたくなる。バジが出会ったテーマは、障害のある子どもへの支援だ。

カーストも厳しく、貧しさも半端じゃない村、子どもの病気になす術もなく立ちすくむ両親に著者が見いだすのは、人間の尊厳と生の喜びなのだ。逆説的だが。

著者は「子ども時代の復習」なのではなくて、「人間の社会の発展の復習」をしていることに気づく。そして支援は恩返しへと、障害者援助は、共に生きる社会の構築というメッセージへと変化していく。

開発援助についての議論がすでにかまびすしかった1993年に、無手勝流、なし崩しで援助を始め、すでに語り尽くされていたような失敗もしつつ、援助論のブレイクスルー、もう一つのあり方を示したことが快挙と言えばいいのかな?

彼が手渡し届けようとしている援助の暖かさに賛同し、継続しようという輪は広がっている。

ericかくた なおこ・
[PR]
by eric-blog | 2009-06-27 23:30 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

PLT研修報告 第二報

ESDファシリテーター育成研修 09 環境教育・PLT at ERIC
2009年6月20-21日
参加者 10名(内、ERICスタッフ4名)
   (21日は、8名(内、ERICスタッフ2名) 報告作成 SZK)
ねらい ①PLTを実践できるようになる
    ②PLTファシリテーターとして、指導者としての力量アップ
    ③PLT合冊版テキストをモディファイする

1日目(2009.6.20)
セッション1 共通基盤づくり
11:00-1300
1. PLT合冊版についてのレクチャー
2. アイスブレイク 
  ストレッチ―腕と首
3. #76ツリークッキー(S/P Tree Rings)で自己紹介
  作成5分→ペアで発表5分→他己紹介で全体共有
4. 2日間の流れと目的共有 
S.1 共通基盤づくりS.4 アダプトアクティビティ
S.2 流れのあるアクティビティS.5 環境教育推進の課題
S.3 PLT体験のふりかえりS.6 行動計画づくり
 ◎PLTを実践できるようになる
 ◎PLTファシリテーターとして、指導者としての力量アップ
5. ルールづくり
  「どんなことを気をつけたら良いか」
  ブレスト個人ワーク→ペア2分→全体共有
  ・人の話を良く聞く
  ・(目、鼻、口、)顔を良く見て話しをする
  ・新しい発見を共有する
  ・ケガをしないように
  ・言いたいことは言う
  ・問題はこの2日間で解決する わからないことは残さない
  ・周りの人に不快な思いはさせない
  ・失敗、まちがいOK
  ・間違いから学ぶ
  ・生理的欲求は優先
  ・勝手な行動はしない
  ・感情的な反発はさける
  ・目的を忘れない
  ・眠くてもがんばる
  ・写真は…→後々考えよう!
6. アイスブレイク
  ストレッチ―アキレス腱
7. 事務所設備の説明
8. アクティビティ体験
  #4まわりの音
  「どんな音が、どこから聞こえた?好き、嫌い?」
  音の地図づくり3分→全体共有→ふりかえり
セッション2 流れのあるアクティビティ体験
14:00-16:30
1. PLTのストーリーライン、トピックとアクティビティの対応についての説明
2. #44水の不思議
3. #48野原、森、小川(野外活動)
4. #49熱帯の木の家
セッション3 PLT体験のふりかえり
16:30-18:10
1. これまでのセッションの簡単な説明
2. アクティビティ実践評価表の作成10分
3. 技術的省察、実践的省察からふりかえり
 技術的省察
  ・水の不思議のゲームのルールを明確に
  ・「雲に行ってるひと?」ばかりを確認していた
  ・#48→土地の状況→傾斜地がなかった
  ・流れの必然は?
  ・それぞれのアクティビティの目的は?
  ・#44ゲームの共有がなかった
  ・小さい頃の「公園」での思い出?
  ・「水の循環」を尋ねるのではない導入
  ・#48−3つの違いから広げていく
  ・テキストに沿いすぎた展開だったのか?
  ・「水の分子」を最後に言った。最初から意識化した方がよかった
  ・集中して、発見がある
  ・具体とイメージの組み合わせがつかみにくい
 実践的省察
  ・プリントを見て、1人で動いたのが良かった
   →動きやすい、スピードアップにも繋がる
  ・何を焦点にするのか?
  ・調査をして何を伝えたかったのか?
  ・別の展開、かみくだきがあったのではないだろうか?
  ・なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
4. アクティビティの理想の展開を考える
  3グループになり、15分
5. 見通し的省察からふりかえる
  それはなぜ?何を伝えたいのか?
  教育者としての見通し→「なぜ」という価値をもつ→考え方を教える
6. 共有

一日目ファシリテーターふりかえりmtg
18:20-19:10
1. ふりかえり方をペアで考える
  □気づいたことからブレスト
  ■今日の組み立て方についてインタビュー
  □気になったことから
  □道具の使い方
  □一番印象に残ったこと
  ■梅村さんと鈴木さんに決めてもらう
  ■ファシリテーションの経験に沿って、共通点・異質点
2. 梅村、鈴木(ERICスタッフ)が上記他の2つ(■)に決める
3. 今日の組み立て方についてインタビューをする
 梅村〈担当:S.1 共通基盤づくり〉
 ・PLT新旧の違いを探りたかったけれども、できなかった
 ・環境教育でなく、5感、PLT≠森
  →耳を澄ます→まわりの音→街の音、森の音→アイディアとして、Enrichment
 鈴木(担当:S.2 流れのあるアクティビティ)
 ・整理、精査、体験
 ・テキストを忠実に行う
 ・「水」を扱いたかった
 ・省いたステップが指摘された
 ・「小さい頃」フィールドでの楽しい想い出を出したのは、フィールドへ入りやすく、楽しく活動に入れるようにするために行った
 角田(担当:S.3 PLT体験ふりかえり)
 ・Constructivism 主体的学習の促進
  体験→ふりかえる→経験知則をつむぐ→応用する
 ・ヴァン・マーネン
  技術、実践、批判的→見通し Critical
3. ファシリテーションの経験に沿って、共通点・異質点
 PLT vs Others
 ・PW,Wet内容は共通(重要だから)
 ・Water Wonder流れをつなげるための応用力
  →他の環境教育プログラムへ応用がしやすい(How to thinkだから!)
 ・温度計を使うような、教科と五感の往復運動が行われ、定量的違い、生きものとのつながりを扱っている→「全体言語主義」
 ・Project Learning Tree、木じゃなかった
 ・時間を短めに!個人ワークで3分は長い
 ・時間を区切るのは、集中や時間、何より自分の自由度を図るために行う。
  →砂時計を使うこともある

2日目(2009.6.21)
セッション4 アダプトアクティビティ
9:00-14:10(12:00-13:00昼食)
1. アクティビティ実践を準備する【40】
2. アクティビティ実践と各ふりかえり
           「気づいたこと、感じたこと、学んだこと」
#18 太陽の物語【30】
#20 環境交流箱【45】
#25 鳥と虫【30】
#40 昔と今【25】
#54 わたしたちがたずねたい場所【35】
#59 ペンの力【25】
セッション5 環境教育推進の課題
14:20-14:40
1. ジレンマカード
  ちょっとでも良い方の価値観に基づいて選択する
2. トビリシ宣言12の原則をダイヤモンドランキングする
  「大事—less」で行う。2グループ5分
3. これまでの活動で印象に残っている活動は?
  3枚/人のドットシールを成果物に貼っていく。
セッション6 行動計画づくり
14:45-16:10
1. 「教育」とは?
  辞書や、環境教育指導者育成マニュアルより説明
2. ガイデド・ファンタジー
  全体で読み聞かせをし、瞑想する→ペアで傾聴2分→ポストイットへキーワードを書き込む→模造紙へ貼りながら、未来の共通項を探る
3. 身の回りの環境で具体的に目標・理想をたてる。
4. 力の分析
  やり方を説明→3でたてた目標に向かっての分析を行う→ペアで共有→全体でふりかえり
5. やれる、できる、がんばる



二日目ファシリテーターふりかえりmtg
17:00-17:20
1. 一番気になったことから
 ・ドットシールを貼ったのはどこに?
2. 良かったことポジティブなことでふりかえろう
  →「できたこと」×「改善」、「ネクストステップ」
 ・アクティビティ実践は長くなる
 ・「アクティビティ実践」よりも「指導案作成」
 ・20分でも要点をつかんで実践ができて良かった
 ・プログラム案をファシリテーター仲間とプレでやってみると良い
  →動きや連想の仕方がみえる
 ・定量化のツールもPLTにはあると知った
 ・いろいろなファシリテーションが体験でき、ふりかえりもそれぞれでできて良かった
 ・楽しかった 体験(アダプトアクティビティ)できて良かった
 ・定量化するのが良い
 ・Project Learning Treeだけど、あまり木はなかった
  →木がメインだけど、そこから関連したアクティビティの体験が今回は多かった
 ・準備が結構必要だ
 ・観察だけより、向き合えるような工夫が必要
 ・今朝が雨で野外活動ができず、残念
 ・楽しかったのですが、資源の過剰な使い方をやめて、「さすが、PLT!」となればいいなぁ
  →成果物を、以前の成果物の裏紙でつくると、資料の管理が難しくなる
   →何か工夫を考えよう!
[PR]
by eric-blog | 2009-06-26 08:56 | □研修プログラム | Comments(0)

言語と国家

300-3(1341)言語と国家
フロリアン・クルマス、岩波書店1987

アリス・ミラーの翻訳者である山下公子さんが翻訳している。1980年代の本は総合的な視点を提示していて、わかりやすい。さらに、著者は日本の国語研究所にも籍を置いたことのある人である。第8章「近代化と言語計画」で日本の近代化における言文一致と標準語化の言語計画が紹介されている。
言語は近代ナショナリズムのために、政治的な役割を果たした。「ナショナリズムはある国民がまぎれもなく過去に遡ってもその国民として存在していたことをその根拠とするのであるが、しかし、実際目指すのは、将来に向けてその国民が近代化されることなのだ」81

ナショナリズムのための言語計画に完全に合致する個別言語は存在しない。

個別言語は地域語として存在するので、「言語計画の第一の問題は、国民全体あるいは地域全体の共通語となるべき変異型を決定することである。」83

民衆の言語と特権階級の言語が乖離していることも課題だった。ナショナリズム、民族主義を語り合える言葉は何だったのか?

エリートたちが使った権威と科学と法や政治の言葉の内容を語ることのできる個別言語を特定することは常に政治的な選択だった。
より民族民衆的な言語、正統的な言語とは?

民族主義的な言語が書記言語でない場合には、書記言語化の課題も加わった。

グローバルな変化についていける言語であることも条件だ。

規範は固定化の契機を含む。110

世界の人口の45%は中国語、英語、スペイン語、ロシア語、ヒンディー語の言語共同体に含まれる。「話者数の大きい方から言語を100選んで合計すれば、全世界の人口のほぼ95%になる。」126

マイノリティというのは数だけの問題ではなく、権力の問題でもあるところから、
話者数と権力の二次元軸の4分類表をスリヴァスターヴァが提案しているという。132

話者数 少、権力 大=選良語、エリート語
話者数 大、権力 大=多数国語
話者数 大、権力 少=民衆語
話者数 少、権力 少=少数語

少数言語と呼ばれるものは、話者数も少なく、権力もないという存在なのだと。
国民全体が統一言語を話す方が望ましいという考え方によって同化圧力にさらされることが多い。136

移民大国であるUSAにおいて、ドイツ語系移民の人びとが、第二次世界大戦のために、ドイツ語によるメディアや表現を捨て去ったというのは、知らなかった。140

読み書きを習得するのは母語で行なうのがいちばん簡単。
書記言語を持たないと、文盲の問題を抱え込むことになる。
文字化は言語の保持の支えになる。

以上が著者が少数言語の書記言語化に賛同する理由だ。288

しかし、「固定された規則は暴力である。」110とさらっと著者が書いているそのことは、言語だけでなく、さまざまな人間社会の問題をはらんだものに思える。

「「意味あるものはすべて、正しい」こんなことが言えるのは、そもそも自分の母語が社会への組み込みを完了しており、言語の使用条件が強力に規範化されたものであることにあまりにも慣れてしまっている人だけである。であればこそ、ある特定の意思疎通目的コミュニケーション目的に関して、ゆるぎなく確立された標準が存在せぬ場合、どれほど問題が起こり、事態が不利になる得るかなど想像もできないのである。しかもその特定の意思疎通目的は、多く近代社会にとって重要なものであるというのに。」110


ericかくた なおこ・
[PR]
by eric-blog | 2009-06-24 19:52 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

Wangari's Trees Of Peace

300-2(1340) ワンガリさんの平和の木
Jeanette Winter, Harcourt Co., 2008

グリーンベルト運動のリーダー、ワンガリさんの植林活動、環境保護活動のことが絵本になったもの。
アマゾン日本は現在不買中なので、他から入手。
絵がとてもいいと思いました。

1977年活動開始、その前に6年間アメリカ留学。わたしとよく似た時期に、アメリカ体験をしている人なんだなあ、と感慨深いものがありました。

「平和の種をまくこと」

どう使おうかなあ。

http://www.amazon.com/gp/reader/0152065458/ref=sib_dp_pt#reader-link
[PR]
by eric-blog | 2009-06-23 06:59 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

at ERIC PLTファシリテーター養成講座

2009年6月20-21日(土日)

第一日
セッション1 共通基盤づくり[担当 梅村]
11:00-13:00
1. 二日間の内容について
2. 自己紹介「わたしの年輪」[ペアで紹介→他己紹介で全体共有]
3. 二日間の心がけ[一人で→ペアで→全体で]
4. PLTのアクティビティを体験する「#4まわりの音」
5. ふりかえり

セッション2 流れのあるプログラム[担当 鈴木真生]
14:00-16:30
1. 「#44水の不思議」
2. 「#48野原、森、小川」
3. 「#49熱帯の木の家」
4. ふりかえり

セッション3 PLTの学習方法の特徴とすすめ方
16:35-18:30
1. アクティビティ実践評価表でふりかえり「何を、どのように?」技術的省察
2. アクティビティの目標の確認「なぜ?」実践的省察
3. PLTの目標「それで、どうしたいの?」見通し的省察
4. PLTガイドの使い方

ふりかえりミーティング 18:20-19:10
1. ふりかえりの方法を考える
2. 今日の組み立ての意図
3. さまざまなファシリテーター経験との共通点・異質点

第2日 
セッション4 アダプト・アクティビティ
9:00-14:10 (12:00-13:00ランチ)
1. アクティビティ実践の準備
・#18太陽の物語
・ #20環境交流箱
・ #25鳥と虫
・ #40昔と今
・ #54わたしの訪ねたい場所
・ #59ペンの力
2. 実践を一人20分で。[実際には30分はかかった]

セッション5 環境教育の課題
14:20-14:40
1. 環境教育の目標をトビリシ宣言からランキング[グループ作業]
2. 昨日からのセッションで良かったこと「三枚のシール」

セッション6 ふりかえりと行動計画
14:45-18:00
1. 行動計画をたてる。未来のイメージを膨らませるための「ガイデド・ファンタジー」
2. ペアで共有「三つのポイント」
3. 全体で共有、カテゴリーを考える。
4. 一つのポイントを選んで「力の分析」で行動計画
5. 2人で紹介[3’]
6. やれる・できる・がんばる

ふりかえりミーティング
1. いちばん印象に残ったこと
http://picasaweb.google.co.jp/snailpapa/PLTERIC09062021?authkey=Gv1sRgCM25mO_T_7rHVg&feat=email#
a0036168_181349.jpg
[PR]
by eric-blog | 2009-06-22 18:01 | □研修プログラム | Comments(1)

日本語の真相

300-1(1339)日本語の真相
イヨンヒ 李寧煕、文春文庫、1994

著者による日本語解読シリーズの四冊目。ただ、こちらから読んだ方がわかりやすいのではないか、とはあつがきのことば。このシリーズの単行本は1989年から出版されてきているそうだ。わおっ、もっと早く読んでおけば良かった。

この本との出会いは、『本当は恐ろしい万葉集』(小林やすこ、祥伝社黄金文庫、2007、単行本2003年)に、古代朝鮮語や吏読(イド)との関連で、万葉仮名を読み解くことが引用されていることからだった。小林さん1936年生まれ、李さん1931年生まれ。しかも、小林さんは、「万葉仮名」を韓国語群との関連で読み解くことが出来る人の条件として、「朝鮮語を母国語とし、朝鮮語の古代からの成り立ちを熟知し、各地の方言にも通じている人・・・そして吏読にも精通・・・同時に日本の古代後にも通じていなければならない。・・・その条件に当てはまる稀有な存在が李寧煕氏なのである。」69

とまで書かれていたら、古代日本の政争史としての万葉集についての理解よりも、吏読と日本における仮名の成立などに関心が向こうというもの。仁徳ら、倭の五王が朝鮮半島諸国から逃げて来た皇族たちなのだという、小林説はしばしおいておこう。

『日本語の真相』を読んで驚いたのは、「わだつみ」「ひねもす」などの、なんとも言えない、漢語でもない、雅語、文語と、わたしが認識するところの言葉が、古代朝鮮語との関連があるということ。ウデ=上の手、フデ=筆の手、のように、関連のある語からの派生語だということ。

もちろん、これらの言葉以外に、多くの言葉の関連を、著者は指摘しているのだが、わたしの感動は「ひねもす」「おっぱい」に尽きる。

そして韓国語の終声が「日本に来ると、消されるか独立する」「終声はデリケートであると同時に強い音」「デリケートで、しかも強い音を正確に発音するためには、顎が発達していなければなりません。」「顎は肉食するとよく発達するそうです。」25-26

濁音、清音の区別のはっきりした日本語と、硬い音の清音を持つ韓国語。「十五円五十銭」の発音が、「朝鮮人」と日本人の区別に使われた歴史。28

そして、「想像を絶する、この特殊な言語の変換を生み出したもの・・・それは漢字という文字の読み書きをこなし、かつ吏読という古代の借字文を日常において大いに活用していた、「エリート集団の集中渡来」」41によって可能になったのだと言います。
・ 音が変わった。(発音器官、調音感覚の違いから、と言えるかな)
・ 意味の変化 (女=ガンナイが家内に、など類似のものを指す言葉になって定着)
・ 漢字を媒体とした変転方式

特に、漢字を媒体とする場合、それを表音文字とするか表意文字とするか、その中間に初期はあったであろうことが、吏読の方式と日本語の音読・訓読の方式からもわかる。漢字仮名まじり文という複雑な表現形式を漢字の簡体化で編み出した日本語と、発音記号のようなハングル文字を生み出した韓国語。文字化社会への道のりにも共通点は多いようだ。
[PR]
by eric-blog | 2009-06-22 08:37 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

こころの傷を読み解くための800冊の本

299-3(1338)こころの傷を読み解くための800冊の本
赤木 かん子、自由国民社、2001

文学者、俳優、アーティストの多くはアダルト・チルドレン、ないし、心の傷体験があるのかもしれない。「芸術というものにはそういう側面がある」16

ということで、最初のアダルト・チルドレンについての斉藤学さんの翻訳書や解説書があったり、アルコール中毒症についての解説や私小説風実録ものなどがあったりしますが、なんと圧倒的多数はフツウの文学作品、そして多くは児童文学あるいはコミック。『赤毛のアン』はアダルト・チルドレンで、ハイパー、思い込みの激しさ、情緒不安定。それを癒してくれたのがマシュー。そうだったのかあ。

やっぱり山岸凉子作品は、すごい。とあらためて思った。最多登場数26作品。(タイトルだけを紹介しているものも含めて、ですが) 次いで萩尾もと。

出張だったのに、持っていきたい本が見つからず、残念だった。ちょっとここらで、文学でもひもといて、リセットしようか?!
[PR]
by eric-blog | 2009-06-20 09:39 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

大分出張

a0036168_1922188.jpg

展望風呂から夕日!と飛び込んだら東向き。
これはレストランからの眺め。残念!

山裾に、湯煙がたくさん立ち上っていました。

ericかくた なおこ・
[PR]
by eric-blog | 2009-06-16 19:02 | □研修プログラム | Comments(0)

アンジェラの灰

299-2(1337)アンジェラの灰
フランク・マコート、新潮社、1998

1930年生まれの著者が67歳の時に書いた自伝。ピューリッツアー賞を受賞し、120週もの間ヒットチャートの一位に輝き続けた!

アリス・ミラーが「闇教育」の実態を知りたいのであれば、これ、と言及していたもの。彼女はこれほどひどい状況に対してでもユーモアをもって描かれていることが気に入らないようだが、この本のどこにユーモアがあるのか、わからない。子どもが「なぜ?」「なに?」を連発しても答えが得られなかったり、大人の理不尽にあきらめたりすることを、そのままに描くことをユーモアというかどうかは、読む側の問題だ。67歳にして、なぜこうも子どもの気持ちを思い出して描けるものなのか、いかに子ども時代というものが強烈なものかを、この自伝は示している。

ニューヨークで北アイルランド出身の父とアイルランド出身の母の間に生まれ、4歳の時に一家をあげて母の故郷に舞い戻ってから、19歳で自身がアメリカに渡るまでの物語が、なんと568ページ! しかも、誓って言うが、エピソードに重複は一切なしだ、聖アンジェラのご加護によって。

キリスト教が一神教だなんて、迷信だね。出てくる聖者、聖人、個人崇拝されている司祭の名前など、多すぎて覚えられないし、それぞれに功徳が違っているというわけだ。そりゃ、八百万、ご利益誘導型神教とあまり変わらんだろう?
と誰しも思うのではなかろうか?

しかも、すべての大人が「神」の名前を語り、神を代弁して、子どもをしかり、ぶっとばすのだ。

その中でも最悪なのが、学校の先生やシスターや司祭などの教会関係者というわけ。彼らは、スラムに住む著者らと違い、中産階級、いい服を来て、メイドを雇い、いい家、いい地区に住み、いい暮らしをしている。だからスラムの子どもたちが、自分たちのことを揶揄したり、からかい口の対象にしたりすることががまんならない。
そして、彼らは、支援、援助を求めて戸をたたく彼らの前で「バタンと扉をしめる」。神のご加護の体現者であるべきはずの人びとこそが。

アイルランドに住む北アイルランド出身者である父には、職がない。失業手当が16シリング。そのほとんどを彼は飲んでしまい、母には一銭も渡らない。アメリカから帰ってきたにすでに妊娠していた彼女は、困窮のうちに子どもを生み、そして亡くす。

なんだか知らないけれど、フランキー(著者)が11歳にもなろう時には、彼女はいつもベッドから「石炭に火をつけろ」「お茶をいれろ」「パンを焼け」と指示ばかりしている。その頃には父は出稼ぎで、一家は仕送りを待ちながらさらに困窮していく。

第二次世界大戦が始まり、父はいやいやながら軍需で湧くイギリスへ、他の家族が仕送りでいい目をしているのをさんざん見せつけられてから、重い腰をあげて、出稼ぎに行く。しかし、著者は戦争を世界大戦とは呼ばない。ドイツがイギリスを空襲している。イギリスが戦争している。としか表現しない。失業者らが毎日することと言えば、新聞をなめるように読み、世界情勢の解説者になることだというのに、イギリスのやっている戦争に、イギリスに800年間苦しめられたアイルランドの労働者が、差別を受けながらも、働きに出るのだとしか、表現されていない。

アイルランドのために戦い、イギリスを唾棄する父が、イギリスで働いている間、しらふでいられないことは、想像に難くない。そして、仕送りは最初の一回、3ポンドで、事切れる。

一家は、母の母の口利きで、一軒家に住む男のところに間借りすることになる。フランキーは、母がその男と性交渉を持ったことを知る。それまで、「なぜ」に対するなんの答えも得られなかった「姦淫」。その男が読書好きで、しかも怠惰であったために、フランキー13歳の彼は図書館へ男の代わりに出入りできるようになる。子どもに許される読書は『聖人伝』ばかり。「処女」やら、「ザンギャク」やら、改宗を求める拷問やらの言葉を、辞書の助けを借りて読んでも、霧は晴れない。ある時偶然に、中国人が書いた本が彼のそばにおきっぱなしとなり、彼はそこに「勃起」を発見する。それまで、回りくどくほのめかされていたものが、明らかになる。
しかし、フランキーが母とその男の住む家から飛び出すのは、宗教的な禁忌の心として描かれているのではない。思春期の男の子が、「顔を見るとどうにかしてしまいそうで」、安全な距離を求めて、行動するのだということがわかる。

祖母も、姉妹たちも、フランキー一家を助けられない。自身も困窮しているせいもあり、転落の恐怖、そして、働かない父への批判を込めて。

子どものいない母の姉妹の家庭でパンをご馳走になりながら、「なぜ、このオバさんは、愚痴を言うのだろうか」とフランキーは思う。パンがあって、お茶が飲めて。

14歳になれば、働きはじめることができる。電報配達として。彼は、電報配達をした先、失業保険の給付金や仕送りの為替などを届ける先の悲惨さに手を差し伸べずにはいられない。金持ちたちは電報を配達してもチップなどくれはしないが、貧乏人は違う、という理由からではない。見過ごすことができないのだ。初めて関係をもった肺病の女の子のことも。女の子は結核で亡くなってしまうが、フランキーの心はかき乱され続ける。罪の意識だけではない何かに。

16歳、一人前の男の証としてビールを叔父がおごってくれる。しかし、よっぱらっいつつ彼は、アメリカ行きの夢を思い出す。

19歳でアメリカに渡る十分なお金を貯め、コーク港を出る船上の人となったフランク。

アメリカという夢がなければ、彼も飲んだくれで、人生を終わったのだろうか?

優秀な英語教師として、定年まで勤めたという彼が、彼の教師たちの多くと同じ教え方をしたととは思えない。

中世のキリスト教周辺地域との接触を通して、禁酒と教会や司祭の排除による宗教改革の必要性を思いつくのも、無理はないと、思えてしまう。果たして、それが世界の人間的成長にどの程度貢献したのかは、まだ実証途上と言わざるを得ないのだけれど。

日本のよっぱらいの物語よりはるかにすさまじいものがある。それは著者が言うように、「アイルランド人の惨めな子ども時代は、普通の人の惨めな子ども時代より悪い。アイルランド人カトリック教徒の惨めな子供時代はそれよりもっと悪い。・・・アイルランド人の惨めさは桁が違う。」
[PR]
by eric-blog | 2009-06-15 09:45 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)

魂の殺人

299-1(1336) 魂の殺人アリス・ミラー、新曜社、1983

アリス・ミラーの特に教育、幼児のしつけについて理解したいのなら、この本だ!
あれもこれも、読んだけど、いちばんのお勧め。

ヒトラーを生み出した背景にあったもの。そしてヒトラーを熱狂的に支持し、ユダヤ人迫害を両手をあげて大声で叫んだ人々の心理。
厳しいしつけ、大人と子どもの力。権威。善への矯正。悪の唾棄と罰。

著者が言う「闇教育」の具体がここで述べられている。

体罰反対論を理解しようとするなら、まずこの本だ。

しかし、やはり、なぜあの時代がそうだったのかについての答えはない。

なぜキリスト教はそんなにも厳しい体罰の温床と根拠となりえたのか?儀式ばった服も、形式主義も求めていない新約聖書の物語をベースにしながらの、この裏切りは、どこからどのように始まったのか?どのようにこっそりと忍び込んだのか?

壮大な歴史的精神分析が必要だね。

ericかくた なおこ・
[PR]
by eric-blog | 2009-06-14 08:00 | ■週5プロジェクト09 | Comments(0)