<   2008年 07月 ( 25 )   > この月の画像一覧

岡山研修

6時間研修
7月10日11日のPTA研修に引き続き、同じ内容をファシリテーター希望の教員対象に、行った。
午前中はPTA研修と同じ内容をと始めたが、やっぱり同じ展開にはならない。気づきから行動への意識の流れが違うのだから仕方ないのだが。
結果的には「気づきから行動への流れのある」プログラム、参加学習の特徴、学びの場づくりの心がけ、ファシリテーターの資質、ファシリテーターのスキル・トレーニングとしての「対立の扱い方」などをカバー。なんだか盛り沢山になった。でもとても気づきの多い研修だった。

セッション1 流れのあるプログラム「気づきのためのアクティビティ」
9:30-11:00
1 参加者はどんな人?
2 日本人は○○である
3 三人でふりかえり
4 経験学習の四段階[ミニレクチャー]
5 学んだことは応用しよう
6 多数派少数派体験ゲーム
セッション2 ふりかえりと分析
11:05-12:00
1 ふりかえりと参加型学習の特徴のまとめ
2 大人の学習者の特徴
3 「昔の子ども/いまの子ども」
4 「昔の教育の課題/いまの教育の課題」
5 いまの教育に求められるもの20
6 いまやりたいこと三つ

セッション3 参加型学習の指導者の心がけ
13:00-15:00
1 なぜ参加型学習の指導者になりたいの?[一人作業、5'、連想図・因果関係図]
2 傾聴
3 「カウンセラー/教員/ファシリテーター」の比較[一人作業5'→グループ作業10']
4 ギャラリー方式で共有[3']
5 気づいたこと・感じたこと・学んだこと
6 「さまざまな感情」でふりかえり→価値観を探る[一人作業]
7 「~~のとき、わたしは~~と感じます。それは~~だからです」[一人作業→カクテルパーティ]
8 気づいたこと・感じたこと・学んだこと[グループ作業]
9 学びの場づくりの心がけ[グループ作業]

セッション4 ファシリテーターのツールボックス
15:10-16:25
1 ファシリテーターに求められるスキル[グループ作業]
2 からだでできるようになるまで
3 手だて
4 気づいたこと・感じたこと・学んだこと[正確に聞く傾聴]
5 対立の扱い方
対立は悪くない[対立の場面の自己分析]
感情を受け止める[共感的傾聴]
わたしメッセージ

最後のあたりは集中がすごすぎて
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by eric-blog | 2008-07-29 20:19 | □研修プログラム | Comments(0)

校内研修「アサーション」

1 ねばならない を したい に
2 長所を使って問題解決
3 あなたは信じる?信じない?
4 アクティビティの応用を考える
5 アサーションを育てる五つの手立て
6.後だし負けじゃんけん
7 アサーションの12の権利
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by eric-blog | 2008-07-28 13:10 | □研修プログラム | Comments(0)

現代社会の理論

233-2(1138)  現代社会の理論 情報化・消費化社会の現在と未来
見田宗介、岩波新書、1996

山尾三省さんの琉球大学講義録の最後にこの本で示された「ことば」の三体について、自身も課題として考えたいと書かれていた。
そんな事を見田さんが言ってんだ、知らなかった!
と、この本を読んだけど、山尾さんの文脈や問題意識からわたしがイメージしたものが見つからない。
著者は20世紀を特徴づけるGNP中心の経済発展がもたらした貧困と環境破壊を批判するが、それをもたらした「自由」を求める心は否定出来ないという立場をとる。
自由を認めることは「無限発展」を認めることである。
物質的には限界がある。そのため、無限発展が可能な領域を、著者は情報の第三相に求める。
認識としての情報、行動規定・設計としての情報、そして美としての情報である。

しかし、結局は「バーチャルマネー」が現実と切り離せないように、情報の第三相も現実と切り離せない。

わたし的読みとしては、「価値観」という第三相が、行動機制としての相をどう影響できるかが課題のように思う。世界は常に重相的であり、また重層的である。さまざまな成長段階にある人間と社会と経済と文化と文明が混在している状況をこそ、読みといて欲しかったのだが。

ずいぶん期待とは違っていたので、紹介が中途半端になった。
人間の成長段階にも、社会の成長段階にも、「ことば・言葉・言語」が共通するというのが、最近のわたし自身の関心事。いわゆる「大人」の社会でも常にこれらは混在する。
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by eric-blog | 2008-07-28 08:47 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)

PLT 翻訳 Activity 08 生徒用ページ

Activity 08 S.T. トガリネズミの森で

S.T. トガリネズミの森で
ジャッキーは「ふうーーん」と座り込んだ。「この森に住んでいる動物は何もいなさそうね」と思った。「長い時間歩き回ったけれど、何匹かのリス以外には何も見かけなかったし。」リスなんか数には入らない。彼女の庭にもいたし、学校の近くにもいる。学校の宿題のためにも、もっと特別な生き物に出会いたかった。
「学校か家の近くの場所を選んで、そこに何が住んでいるか調べなさい。そこで見つけた珍しいもの、面白かったことをレポートにまとめなさい。」それが宿題だった。レネ・ナバロのようにペット・ショップの近所に住んでいるんじゃないなんて、ついてない。そうすれば、いくらでも書くことがあったのに。でも、彼女が選んだのは、遊び場の裏の小さな林、たっぷりと動物たちがいると思っていた。
「さあ、どうする?」彼女は悩んだ。目を閉じて、考えてみた。・・・
「で、あなたはこの林に興味深いものは何もないと言うんだね?」とかん高い声が聞いて来た。
「なに今の?」ジャッキーは息をとめて、あたりを見まわした。落ち葉の下からとがった鼻をつきだして、隣にいるのは、目が小さくてひげが長い、毛がふわふわした小さな生き物だった。そして、質問を繰り返した。
「で、あなたはこの林に興味深いものは何もないと言うんだね?」
「そうね、思わなかった。」とジャッキーは答えた。「あなたはどなた?」
「みんなはS.T.と呼ぶよ」と彼は答えた。「ぼくはとがりねずみ、短い尾、ショート・テイルのトガリネズミ、略してS.T.さ、指を背中においてみて。」
「なに?」ジャッキーは驚いてたずねた。
「ほらね、この森に何が生きているか知りたいだよね。おいでよ、急いで。」
ゆっくりとジャッキーはトガリネズミの背中に指をのばし、そっと触りました。一瞬、光ったかと思うと、彼女はS.T.の隣にいて、ちょうど目の高さでのぞこんでいました。なんと、彼女は四本足になって、毛で覆われていました。トガリネズミになっていたのです。
「さあ、良くなったね。」とS.T.は言った。「ついてきて」
「どこへ行くの?」ジャッキーはたずねた。
「このあたりの生き物たちは、あなたが彼らがいることを知らないということにショックをうけていてね。見せてやってくれと頼まれたんですよ。わたしと同じ大きさになったしまっているから、餌にされちゃうかもしれない。わたしといっしょにくる方が安全だしね。」と言ったかと思うと、出て来た穴にするりと入り込んだ。
ジャッキーはどうしようかと迷ったけれど、上を見あげると、大きな鳥が飛んでいた。「わお」と彼女は叫んで、S.T.の後に続いて穴に飛び込んだ。
土の中
ジャッキーはそれまで土の中をはい回ったことなどなかったし、それが好きかどうか判断できなかった。暗くて、湿気っぽく、どこにでも根っこがはっていた。いつでも、小さい根が彼女の顔にあたる。彼女とS.T.は、大きな根にあたるとよじのぼり、はいずり込み、う回しなければならなかった。何度も何度も。突然、S.T.が止まった。
「おーーい、みんな。着いたよ。」彼は土のトンネルに呼びかけた。最初、ジャッキーには何も見えず、何も聞こえなかった。それから、だんだんと大きくなるとどろきが聞こえてきた。とうとう、トンネルの壁から頭が飛び出した。ミミズに甲虫、しろっぽいウジ虫、その他、ジャッキーが知らない生き物たちが次から次へと現れた。
「あなたたちみなさんが土の中に住んでいるというのですか?」ジャッキーはうやうやしくたずねた。
「あ、う、これだけじゃなくて、もっといるがね。」と、ある太ったミミズが言った。
「でも、どうやって暮らしているのでしょう?」とジャッキーはたずねた。「つまり、あのー、ここで何を食べているんですか?」
「そうだね、わたしは土を食べ進んでいると言えるかな」とミミズが答えた。「土くれを食べてトンネルをつくり、それから土くれの中の植物やその他の食べ物を分けるのさ。誰にでもってわけじゃないけど、わたしは大好きだね。」
「直接、根から汁を吸うのよ」とシロっぽいウジ虫は三匹いっしょに答えた。「その日が来たら、地上に出ておとなになるってわけ」
「森で死んでしまった動物に、何が起こるか、不思議に思ったことはない?」黒い甲虫が、触角をうごめかしながら、さえぎった。「わたしが、ちゃんと始末をつけているんだけどね。」
「つまり、わたしたち腐肉をいただく甲虫すべてのおかげで、ということを言っているわけです。」と別の黒い甲虫がつけたす。「わたしたちが食べてしまうのです。そのおかげで森がきれいに保たれると。」
これらすべてのことをジャッキーが考えている間に、S.T.は土の生き物たちみんなに来てくれたことを感謝していた。そしてジャッキーに向かって「ついて来て。まだまだ見るべきものがあるのだから」と言った。

なんて腐りきった場所
ジャッキーはS.T.の後をついて土中をすこし移動した。そこから地上に出て、落ち葉の下を走った。走り抜けるとき、落ち葉はガサガサ、ゴソゴソした。そこにクモやムカデなどの生き物が見えた。話しかけたかったけれど、S.T.はどんどん行ってしまうので、ジャッキーはその後に従うしかなかった。とうとう、S.T.は倒木の端に止まった。S.T.がその上にのぼり、ジャッキーはその後に続いた。S.T.は倒木の上の端っこに来てとまり、ジャッキーもつづいた。倒木の上は緑色をしたコケで厚く覆われていた。
「うわあーーー、なんて柔らかいの!」ジャッキーは叫んだ。「そして、コケ以外にもたくさん育っているものがある」。ジャッキーは倒木の上を走り回った。柔らかいコケにくるまったり、倒木に育っている冷たくて明るいオレンジ色をしている真菌類のにおいをかぎ、そして高く伸びて赤い色をした地衣類のてっぺんを花のにおいをかぐかのようにくんくんかいで回った。倒木からは、わずか三インチ、10センチほどの木の芽すらあった。

「中を見たいかい?」とS.T.はたずねた。「もちろん」とジャッキーは答えて、S.T.の後を追って倒木を降りた。ミリが呼ばれた。倒木から何本もの足のある生き物が出てきた。
S.T.はこれから先の旅には、自分は大きすぎるのだと、ミリをジャッキーに紹介した。「ぼくは、ここで待っているから。」と。
「でも、わたしもあなたと同じ大きさなのよ!」 
と、そのとき、ミリが後ろから近寄って、ジャッキーに触れた。前と同じように、一瞬、光がひらめいて、ジャッキーはムカデと同じ大きさになっていた。
最初はたくさんの足の動きをうまくあわせるのが難しかった。しかし、ミリと一緒に倒木に入ったら、見るもの、考えることがいっぱいで、足をどう動かすかなんていう問題はどこかに消えてしまった。
ミリは、さまざまなものを指差し、教えだが、ジャッキーはあまりに多い情報を処理しきれないでいた。
とはいえ、とうとう、ジャッキーは、ここは倒木という大きな工場にいるのだと理解し始めた。この工場では木を土に変えいくという仕事が行われているのだと。
行く先々に、ガシガシ噛んだり、穴をあけたり、木にトンネルを通したりの作業が行われていた。
木のゴキブリ、小さなシロアリ、横を歩くとくるくる丸まってしまうダンゴムシなどがいた。
昆虫ハンターたちもいた。大きな下あごをもった黒々として甲虫たち、有毒なきばをもったムカデなど。倒木の奥で休もうとしたときには、そこにサラマンダーがいたこともあった。
たった一本の倒木に、これほどの生があるとは思っても見なかったジャッキーは、、ミリとS.T.の待つ場所へと戻りながらも、まだ心ひかれていた。

てっぺんの生き物
まもなく、ジャッキーとS.T.は木の根元に立っていた。すると黒い冠の鳥が降り立ち、彼らの隣の葉にとまった。
「来ないのかと思い始めていたよ。」
「ジャッキー、シッタよ。飛びたいと思ったことは?」と、彼女がたずねつつジャッキーに羽を伸ばして触れたとき、また、光があり、ジャッキーはシッタと同じようなゴジュウカラになっていた。
「いきましょう。」とシッタは言い、「わたしはここで待っているよ」とS.T.は叫んだ。
その日の体験の中でも、飛ぶことは最高だった。木の樹冠を超えて飛んでいくと、多くの鳥たちが梢から出入りするのが見えた。二人は、ある木の樹冠から入ったり出たりした。
ジャッキーは目にした虫の種類に驚いていた。木の葉には、バッタのような虫が無数に取り付いていた。キバチやハエが飛び回っている。葉の上をくねくねと歩いている毛虫もいっぱいいた。
シッタが飛び降りて、大きな幹に飛びついた。シッタが樹冠から幹まで見せてくれたのを、ジャッキーは驚いてみていた。毛虫やアリがうごめいている。樹皮と同じ色をしたクモやガもいた。樹皮へのカムフラージュがあまりにも完璧だったので、ジャッキーは危うく見逃しかけた。樹皮には薄緑色をした地衣類やコケが成長していた。二人は幹の根本についた。
地面にひょいっと出てきたジャッキーは、S.T.の隣に立った。
「この木はまるでアパートみたい。てっぺんの葉のところから、ずうーっと林床のここまで。」
「土に向かって言わなくちゃ。土の中の誰もかれもの、誰のことも忘れないと。」
「あなたが樹の中や周りに生きている生き物について、そういってくれるのはうれしいですね。」シッタはジャッキーの頭をなでてから、去っていった。

お帰りなさい。
ジャッキーはまたS.T.の後をついて、地上へ出た。次はどこへ行くのだろう?
トンネルの中は暗く、湿っていた。ひげ根が彼女の頬に触れた。走っていくうちに土のにおいが・・・
突然、ジャッキーは目を開けた。朝、座っていた幹の隣にいた。どうやら、彼女は眠りこけてころげおちてしまったようだ。鼻には腐った木の葉と土のにおいがつまっていた。起き上がると、彼女は思った。
「あれはすべて夢だったの?」
あそこの倒木は、わたしとS.T.がたずねたのに似ているし、この木の樹皮は、わたしがシッタと一緒に見て来たのと同じ生き物でいっぱいだ。でも、体験したことが現実とは思えなかった。最初にS.T.と出会った場所が見つかった。落ち葉をどけると、土の中へと続く穴。「なんとまあ。これでレポートに書くことがたくさんできたよね。」と、ジャッキーは身をひるがえして、家までかけていった。
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by eric-blog | 2008-07-28 06:14 | ☆PLTプロジェクト | Comments(0)

愛国経済 中国の全球化

233-1(1137) 愛国経済 中国の全球化
吉岡桂子、朝日新聞社、2008

週末読んでいたウィリアム・ボイドの影響だと思うのだけど、世界は「見るもの」と「見られるもの」に、エンターテインされる側とエンターテインする側あるいはエンターテインされる側にとってエンターテインメントになる側に分かれつつあるなあ。

アフリカ、戦争、汚職、欺瞞、裏切り、
ニューヨーク、画商、遺産相続、贋作、
ハリポタ騒動も含め、エンタテインメントの世界が「消費するもの」と消費者。
消費するためには「商品名」や売りが必要なのだが、「中国」というものは「大衆」(それとも人口?人口圧?)、中央統制、崩壊した社会主義経済、国粋主義的自由主義経済への移行。

「中国」という枠があるおかげで、その経済の全球的成長が、「国家」の中枢・中央集権に莫大なもうけをもたらし、統制と支配力を与える。中近東がオイルマネーで潤っているなら、中国はマンマネーで利潤を生み出すというわけだ。

隙あらば国境を超えて商売してやろうと、どの家族も構えている。一族郎党からの小金を資本にして。

海外に出るより、あるいは出るとしても、国内で「まとまろう」、国内で有意味なものを創りだして、海外でも認められれば、外へ、という島国的な意識とは違う。

にもかかわらず、彼らが国境を超えるときが、国家にとっては商売のチャンスなのだ。

願わくば、国家の商売が公共性を身にまとっていてくれればと。これは同じくウィリアム・ボイドの『グッドマン・イン・アフリカ』を読んでの感想。

世界で、そして世界の「安全な消費者」でいやすいのが、日本かもね。願わくば、「消費している世界」の危うさに気づいて、行動する消費者になってほしいものだが。その危うささえ、「消費」されているだけのように思えてならない。
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by eric-blog | 2008-07-27 12:19 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)

かがやく21世紀を拓く

232-5(1136)かがやく21世紀を拓く 少子高齢化、地方自治、仕事、医療・福祉
水田宗子編、新宿書房、2005

根本的な価値観が変わらなければ、日本は再生できない。先に紹介した「医療立国論」も、QOLを軸に物事を考える、そこから変革の方向性を明確にするということがなければ、常に「賢い人」が考え、提案した制度改革に、人がついていくだけのものになる。そして、ついていくだけの人は制度に魂を入れられない。「大きな巨人、総身に知恵が回りかね」ではなく、「わたしたちのからだは頭がいい」。そんな社会づくりをめざす必要があるのだ。そのためには価値観の教育が欠かせない。って最近、人権研修で何度も言うのだけれどなあ。
教育現場は「マイクロマネジメント」制度改革に忙殺・謀殺されていて、そんな根源的な課題は考えられない、し、考えてもムダッて感じ。感じ悪い。

この本は、なんと、樋口けいこ1932、原ひろ子1934、堂本章子1932、岩田君江1947、大熊由紀(このメンバーでは上から四番目)という錚々たるパネラーたちが参加した城西国際大学が開催したシンポジウムのまとめである。まあ、力づけられるというか、なんというか。

育児なしな父親、23とか、三世代が共時的に生きるようになって、「膝に乗る時期」までの祖父母と孫との文化しかモデルがない、とか。37

紹介したいポイントはいくつもあるのだが、今回、この本をこの流れで紹介したのは、大熊由紀子さんの「ノーマライゼーション 8つの原理」がわたしたちの社会そのものを考えるときに参考になる考え方だと思うからだ。

なぜ病院の都合中心で陣痛促進剤が使われるのか。
ではどうすればいいのか。

医療・福祉をめぐるそれらの議論の根幹に、ノーマライゼーションの考え方を広く置くべきだと大熊さんは言う。わたしは教育にもあてはめたいくらいだ。

ノーマライゼーションを言ったのはベンクト・ニイリエ、1969年。
「どんなに障害や病気が重くても、年をとつても、死が間近に迫っていても、ひとは
1.一日のふつうのリズムを味わう権利を保障される
2.一週間のふつうのリズムを味わう権利を保障される
3.一年のふつうのリズムを味わう権利を保障される
4.一生のふつうのリズムを味わう権利を保障される
5.男女両性の世界で暮らす権利を保障される
6.ふつうの居住水準で暮らす権利を保障される
7.ふつうの経済水準を保障される
8.自己決定と尊厳を尊重される」

人生の質QOLを大熊さんは三重構造で説明する。(ラーシュ・セボン教授との共作、1994)101

衣食住とコミュニケーションのノーマライゼーション

誇りと役割のノーマライゼーション

愛のノーマライゼーション

バーチャルな経済やスピードの速い変化や、わたしたちの社会のさまざまなことを考えるために、ノーマライゼーションというのは取り入れてみる価値のある概念だね。

寝たきり老人なのではなく寝かせきり老人であること。
誇りを踏みにじるのか大切にするのか。

わたしたちの社会が変わるには、その価値観の転換が必要なのだ。
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by eric-blog | 2008-07-26 11:17 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)

医療立国論 崩壊する医療制度に歯止めをかける!

232-4(1135) 医療立国論 崩壊する医療制度に歯止めをかける!
大村昭人、日刊工業新聞社、2007

医療費の削減・市場原理の導入、民間保険への移行では医療はよくならない。
「がんのひみつ」のドクター中川も指摘するように、日本の医者の数は少ない、医療費は少ない、人は長生き、で、医者の労働条件は劣悪になる一方。

大学から病院へ、病院から個人開業医へと人材は流れる。

結果、医学教育の質はあがらない。しかも、医師の抱える問題について「声」を代弁すべき日本医師会の会員は個人開業医中心。果たして、医療改革は可能なのか?

著者は、1983年に書かれた「医療費亡国論」に対抗して「医療に力を入れることが国を栄えさせる」と主張する。

日本の医師の数は27万人、OECD各国の人口当たりの医師数にくらべると10万人以上の不足。にもかかわらず手のつけやすいところのみをいじりまわす「マイクロマネジメント」的施策に終始し、医療現場はさらに混乱。2

人口当たりの公務員の数も少ない。178

ああ、どこかで聞いたような話しだ。陰山英男さんも、小学校の外に出て、やっと教育行政全体像が見えて来たようなことを日経の夕刊で書いていた。残業しないで済む働き方で、クオリティを提供する。そんな当たり前のことを実戦していけないものか。

もとい、医療である。

医療は成長産業。医療への投資は経済波及効果が高い。雇用創出にもつながる。
国民皆保健制度は市場経済を支える。

つまり、社会保障は経済の足を引っ張るものではなく、経済効果もあるし、実際活力ある経済のためにはきちんと整っていることが望ましいということだ。158

医学部の教授選考基準も論文中心主義で、臨床能力を評価する客観的な基準がない。92

公共的な投資は、より高い質の人材が活躍できる分野へ、というのが、わたしの考えだ。職業に貴賤はないし、人にも貴賎はない。しかし、構造的により効果の高い投資と低い投資がある。構造改革の方針をそこに定めなければ、減らすためだけの破壊的な議論になってしまう。
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by eric-blog | 2008-07-26 10:43 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)

ドクター中川の"がんを知る"

232-3(1134)ドクター中川の”がんを知る”
中川恵一、毎日新聞社、2008

ひょんなことから中川さんの講演を聞いた。「がんのひみつ」という著書は、図書館でもいちばん人気で、なかなか回ってこない。しかし、毎日新聞に連載されたコラムをまとめたというこちらも、およそ同じ話題をカバーしている。

日本人が知らされていないがんの秘密とは?

◎ 日本の医療費支出は先進国でいちばん低い。
◎ 日本の医者の数は先進国でいちばん少ない。
◎ 日本のがん治療では緩和ケアは顧みられず、「治療できた」か否かだけががん治療の指標になっている。
◎ 1960年代のがんの中心だった胃がんは冷蔵庫の普及と食生活の改善によって減少した。
◎ 生活スタイルの欧米化に伴い、がんも欧米型の肺がん、乳がん、前立がん、大腸がんになってきた。
◎ がんと一口に言っても、進行の速いもの、遅いもの、治癒率の高いもの低いものがある。
◎ がんはDNAのコピーミス。毎日一万の細胞が入れ替わり、5000のがん細胞が生まれる。
◎ 免疫機能によって、がん細胞は壊される。5000勝ゼロ敗を続ける均衡のくずれががん。
◎ 高齢化すると勝率が低くなる。
◎ がん細胞が1センチになるのに3-5年かかる。
◎ 2人に一人はがんになる。
◎ 三人に一人はがんで死んでいる。
◎ 治療には手術、放射線、化学療法の三種がある。
◎ 放射線は、がん細胞の温度を1000分の一度ほど上昇させることで免疫細胞にがん細胞の異質性を認識させるもの。免疫力によって治癒する。
◎ サプリメントは効かない。

がんと言われたら放射性治療科の医師にセカンドオピニオンを求めるのがベスト。
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by eric-blog | 2008-07-26 10:42 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)

ナイジェリアの獄中から 「処刑」されたオゴニ人作家、最後の手記

232-2(1133)ナイジェリアの獄中から 「処刑」されたオゴニ人作家、最後の手記
ケン・サロ=ウィワ、スリーエーネットワーク、1996
A Month and A Day, 1995

いま、ナイジェリアの項目をひくとニジェール・デルタ解放運動MENDにぶちあたる。ケン・サロ=ウィワがこの手記で指摘している「石油会社による先住民の土地と資源の収奪」が、なんの進展も見せずに10年が過ぎたことを示している。2006年から武装・襲撃・誘拐などの実力行使を過激化させているという。

イギリスで、そして国連組織で、少数民族の問題を訴え続けてきたケン・サロ=ウィワにとっては、西欧世界のダブルスタンダードは奴隷制度時代そのままだと写ったことだろう。しかし、非暴力の運動を指導する。そして、指導者たちがひるむことがないように、自らの投獄をも、甘受しつつ、獄中でも活発に活動を展開した。

1990年8月26日 オゴニ人権宣言、オゴニ民族生存運動MOSOP
1992年 代表なき国家民族機構UNOP加盟
1993年1月4日 第一回オゴニディ

その後の弾圧の強まりから1993年6月21日以降、1995年11月10日処刑までの活動はほとんど逮捕・投獄・釈放、再逮捕の間に行われたようなものだ。

国家が腐敗し、国家が少数民族を弾圧するということは、教育も医療も、選挙も政治も、手が届かないということ。すべてのサービスが機能しないということ。

読んでも読んでも、「警察」や「留置所」の実態が理解できない。逮捕されて入れられた部屋の鍵を7時になったら看守がかけることが、がまんすべき監獄生活? 一日中訪問者、面会の耐えない獄中生活? 食事は自前で、トイレの中身は窓から捨てる?

そんな瑣末なことにはとらわれず、本質、である。

50万人のオゴニのうち、30万人が参加した第一回オゴニ・デー。この作家は、オゴニの人々に、自分たちの権利に目覚めさせ、権利の正当なる主張を非暴力で、そして民族の結束によって成し遂げようと言う気持ちを高揚させた人なのだ。そして、無筆・非識字の人が多いオゴニにおいては、作家は「行動する作家」でなければ、その書いたものは人々には届かないのだと。

公務員、政治家、実業家、プロデューサーと多彩な経歴を持ち、成功をおさめながら、まるでソクラテスのように、自らの処刑によって、ナイジェリアを描き出す「行動する作家」であり続けた。

処刑の日は、ニュージーランドで英連邦会議が開かれており、ネルソン・マンデラ南ア大統領も参加していた。彼の影響力にも期待がもたれたが、裏切られる。その失望を、ウィリアム・ボイドは序文に寄せる。

オゴニの心を声にしたケン。しかし、心は伝え続けなければ死に絶える。いま、オゴニの声を世界に響かせているのがMENDであるとしたら、ケン・サロ=ウィワはどう見るだろうか。
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by eric-blog | 2008-07-24 09:21 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)

あなたの手で平和を! 31のメッセージ

232-1(1132)あなたの手で平和を! 31のメッセージ
フレドリック・ヘッファメール編、日本評論社、2005
Peace is Possible-Choosing our common future, 2000

地雷撤廃条約にまでこぎつけたジョディ ウィリアムス、武器を持たないボディガード・ピースブリゲードを始めた人、監獄の看守たちをも友人にしてしまったネルソン・マンデラ、バングラデッシュの独立とその国内のチッタゴン丘陵地との紛争解決に努力したシェイク・ハシナ、『絶望こそが希望である』のジョアンナメイシー、『ソフィの世界』のヨースタイン・ゴルデルやダライラマからのメッセージ。

紛争解決のための12の技術を世界に広げているオーストラリアのCRN。

日本語版序文は高橋哲哉さん。

マンデラがIRAと英国との話し合いをすすめた時に言ったことば。「武力と暴力が氾濫し、不条理で、解決不能に思われ始めたら、考えられないことを考えなさい。言いにくいことを口に出しなさい。思い切って枠を踏み越えて、対話をしなさい。奇跡は起こり得るのです。」I

常にジェンダーバランスが気になるわたしとしては、34名中12名が女性であるこの本は、理論でも、メンツでもなく、実践としての平和運動における女性たちの活動の大きさを物語るものだ。

異色なところで、フォークランド紛争に送り込まれた英国海軍空母に乗務していたデイビット・ティンカーさんからの書簡が紹介されている。書簡には、軍隊に所属する人が実戦に向かう時の高揚感と、日常から切り離された戦時にいる違和感と、戦争の意義や誰がなんのために始めた戦争であるかについての自問や批判と、家族を思う気持ちとが錯綜している。空母はエクゾセのミサイル攻撃を受け、ティンカーさんたちは即死。

後書きに訳者である大庭里美さん、阿部純子さんが言うように、「平和の勝利はそのまま勝利に留まるのではない。わたしたちが続けていく必要があることなのだ」。
この本が出てから5年後、暗い気持ちになる変化が多かった時に、翻訳してくれたことに感謝。

【紛争解決のための12の技術】
ヘレナ・コーネリアス、ステラ・コーネリアス
1.ウィンウィン
2.創造的な対応
3.共感
4.適切な積極性
5.協力
6.感情のコントロール
7.解決への意欲
8.相関図の作成
9.選択肢の企画
10.交渉
11.仲裁
12.より広い展望

対立解決の技能は道具箱。実際にかかわっていく中で、自然にどの道具を選んだらよいかがわかるようになる。027




*本書では、人名の氏名の間を分かち書きという方法で通しています。しかし、例えば「乗務していたデイビット ティンカーさんからの」というのは「乗務していた デイビット ティンカー さんからの」と少なくともしなければ、分かち書き効果は望めないように思います。ヨーロッパ語で分かち書きが確立したのは8世紀以降。中国語は一般的には分かち書きされていないように思いますが、教科書などは分かち書き。進歩ですね。
人名の速読にはむかないので、「・」混在中。
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by eric-blog | 2008-07-22 11:10 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)