カテゴリ:□週5プロジェクト17( 266 )

土と内臓 微生物がつくる世界

土と内臓 微生物がつくる世界

ディビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー、築地書館、2016

The Hidden Half of Nature The Microbial Roots of Life and Health, 2016

2995冊目


地質学者と生物学者の夫婦による共著。


土の科学が第1章から第6章。土壌、大気、ネットワーク、共生。


化学肥料はステロイド剤。


7章から、アンがガンと診断され、体内微生物の役割と免疫の関係。


ヒトの消化管をひっくり返すと植物の根と同じ働き。


免疫系の80%は腸、大腸に関係している。「腸管関連リンパ組織」GALT


そして、腸内環境は移植することができるのだ。腸内細菌相


実を言うと、成人してからの生涯で一番軽い体重を維持できていたのはヤクルト400を飲んでいた時だった。その後、店売りのヤクルトに切り替えたら、その体重になるのに苦労するようになった。何かがあるんだねぇ。ご腸内には。


ま、トルコに行くと痩せるんだけどね。トルコ料理もいいのかなあ? 


欧米型の食事である一位「単純糖質」二位「有害な微生物代謝」(肉食で引き起こされる)三位「薬効のある微生物代謝」という配分をひっくり返す必要がある。


それが体内の庭を育てる食事だ。


しかも、問題は、個人的にどんな食事をとるかだけにとどまらない。化学肥料によって育てた野菜類のミネラル含有量が減っているのだ。295


ヒトの健康のためには土の健康から取り戻して行く必要があるという、長いお話。


300ページ超の長さ。どこから読んでも面白い。





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by eric-blog | 2018-01-09 13:28 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

幸せへのキセキ 動物園を買った家族の物語

幸せへのキセキ 動物園を買った家族の物語

ベンジャミン・ミー、興陽館、2012

We Bought a Zoo, 2008

2995冊目


映画を見たとき、西部劇のような荒野の一軒家が舞台なのかと思った。

https://movies.yahoo.co.jp/movie/幸せへのキセキ/341580/


場所はイギリス。今や年間15万人が訪れる観光スポットになったという。

https://tvmatome.net/archives/6365


ロンドンのパディントン駅からプリマス駅まで、電車で三時間。

https://www.dartmoorzoo.org.uk


ダートムーア国立公園の南西というロケーション。

現在は慈善団体として運営されている。動物園の教育的な意義、地域にとっての存在感を考えると、慈善団体というのはいい選択だよね。


2004年からフランスに移り住んでいた著者のもとに、妹から動物園を買おうという提案が入る。


折から、父親の死亡に伴い、高級住宅街にある実家を120万ポンドで売却、小さな家に引っ越す必要が生まれていた。そこで、残された母とともに、兄弟姉妹で動物園の経営に乗り出すことを決意。


広さは12ha。買い取った後に手元に残された資金は4000ポンド。運営費、10日分でしかない。


なんという冒険!


なんというスリル。


映画ではもっと著者の家族、子どもや妻のことがクローズアップされていたが、実際には兄弟姉妹の家族経営から始まったんだ。


200頭からの動物とそれをケアする人々がいれば、毎日がハプニングだろうなあ。


旭川市旭山動物園の復活劇は有名だが、日本では地域の小さな動物園の閉鎖が相次いでいる。


見たことはないが、フラミンゴショーで有名だった「行川アイランド」(33ha, 2001年閉鎖)、「宝塚ファミリーランド」(16ha, 2003)など、わたしでも名前を知っている動物園である。


もちろん、「動物園・水族館」反対(藤原英司さんリスペクト&野生生物保護の観点から)の立場なので、様々な規制から動物園の経営がトーーーっても大変になっていることはわかる。


運営費が高くなり、結果入場料が上がり、そして廃園になるのは仕方がないことだとも思っている。あの動物保護が盛んなイギリスで、こんな施設が成立していることも驚いた。


シングルストーリーとしては「動物園」は歴史的に閉鎖の運命にある。

しかし、そうなる前までの物語は、それはそれとして、面白い。


かつての動物園の物語は、人間のサイドから描かれていた。これからの物語には、動物の側からの視点が不可欠になっていくのだろう。今の規制はそのために考えられて来たことを忘れてはならない。


今朝見たドキュメンタリーは「犬の秘められた力」だった。

https://hh.pid.nhk.or.jp/pidh07/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20180108-11-04542


人の心を読む、介助犬として女の子の歩行を助けるなど。長年連れ添ったパートナーであれば、わかること、読めること、できることだと思った。できるが、一年365日一日24時間、やり続けることはできないと思った。


それはなぜなんだろうか?


自我なのか? 飽き易さか?


一千の玩具の名前を覚えているのは飼い主だし、パラグライダーに乗せているのも人間なのだ。


できるのに、やらない。一人の人間に対して、あそこまでの忠誠心をもつことができない。


カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の世界も、同時に考えてしまった。

「のための」存在であることを、人はどのように受け入れていくのか?


映画の描き方が、20世紀だな。



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by eric-blog | 2018-01-09 12:21 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

僕は上手にしゃべれない

僕は上手にしゃべれない

椎野直也、ポプラ社、2017

2994冊目


https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8001043.html


著者は小説家であるが、吃音というこの小説の主人公と同じ体験を持っている。どもることをからかわれる。自意識過剰になって、さらに喋りにくくなる。


吃音はまだ原因がわかっていない病気だ。治療法も確立していない。


主人公は中学になって放送部に入る。同じく放送部に入った女生徒は、彼の吃音を直そうと協力してくれる。


しかし、吃音は治らず、その女生徒の介入そのものがうっとおしくなる。いいじゃないか、吃音でも。ほっておいてくれ。人と関わらない仕事にでも着けばいい。


その苛立ちはいつも励ましてくれる姉にも向かう。「僕の気持ちなんて誰にもわからないんだ」「普通にしゃべれて、友達ができて、楽しい学校生活を送れている人に、わかるわけがない」


学校を休み、引きこもり始める主人公。


しかし、実際には周りの人々がどれほどの配慮をしてくれていたかが明らかにされていく。そして、その誰もが辛さを抱えている。


そんなことに気づいていく中で、主人公は吃音を克服する努力は続けるが、そのことを大きなハンディと考えないこと、受け止めることを学んでいく。



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by eric-blog | 2018-01-08 14:16 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

ホロコースト 女性6人の語り部

ホロコースト 女性6人の語り部

大内田わこ、東銀座出版社、2017

2993冊目


アウシュビッツからの生還者

ベルリンアンネ・フランクセンター責任者

ベルゲン・ベルゼン国立記念博物館広報責任者

ベルリンでのユダヤ人迫害語って

歴史家・小説家

フェリックス・ヌスバウムハウス元館長


しんぶん赤旗に連載された六人に対するインタビューのまとめ。


どのインタビューからも「伝え続ける使命」が溢れている。



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by eric-blog | 2018-01-08 13:07 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

男も女もみんなフェミニストでなきゃ

男も女もみんなフェミニストでなきゃ

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ、河出書房新社、2017

2992冊目



TEDトーク「シングルストーリーの危険性」

https://www.ted.com/talks/chimamanda_adichie_the_danger_of_a_single_story


彼女がナイジェリアから出て、米国に行った時、アフリカのイメージに驚き、そしてアフリカの代表のように扱われることに戸惑った。


一方で彼女自身もメキシコ人についてメディアの「密航者」のイメージを持ってしまったことにも気づく。


シングルストーリーは「人間の尊厳を奪う」


マリーズ・コンデの物語に似ている。しかし、まだ読んでいない彼女の小説は、「アフリカ」的な装いを持つよりは、多分、ごく普通のラブストーリーなのだろうと思う。


黒と白のギャップ、貧富の格差、などに敏感であることが、また、この女性と男性のギャップについても敏感な気づきを書かせているのだろうなあ。


この本のもとはこちらのTEDトーク。

https://www.ted.com/talks/chimamanda_ngozi_adichie_we_should_all_be_feminists/up-next


今のジェンダーは不平等である。


結婚に関する言葉は「所有」の言葉が多い。相互尊重ではなく。


言葉も態度も変えなければ。



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by eric-blog | 2018-01-08 12:51 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

学童集団疎開 受け入れ地域から考える

学童集団疎開 受け入れ地域から考える

一條三子、岩波現代全書、2017

2991冊目


義母は、夜中になると「お母さん」「お母さん」と泣いていた。彼女は学童疎開で福島に暮らしていた。昼間、意識がはっきりしている時には、「楽しかったわよ、東京では体験できないような自然があったし、嫌な思いなんか何もしなかったわ」と語っていた。


子どもが、自分が置かれた状況の中で、生き延びる力には驚かされる。


同時に、その状況をどう見るか、どう受け止めるかについて、周りの大人や社会が影響している。


これまで、学童疎開先でのひもじい思い、いじめ、ホームシックについて、子ども時代を思い出して書かれたものは読んだことがある。しかし、この本は受け入れ先の方に焦点を当てている。


著者は、高校の教員として、郷土部を指導する中で、埼玉県比企郡にある物的疎開(中島飛行機の工場移転先、大本営の分署など)先としての横穴の存在をフィールトワークしていたグループの指導を引き継いだ。これ以上、同じテーマでというよりは、人的疎開、すなわち学童疎開を調べてみてはどうかと提案。夏休みのフィールドワークが始まった。


比企郡に隧道がたくさん掘られていることにも驚いたが、集団疎開の受け入れ先であったということにも驚いた。


疎開先の宿舎の割り当て、食料の調達、など、国民総動員だなあ。


疎開拒否をして、子どもを連れ帰った親もいたようだ。


疎開先によっては、余計なお荷物だというような目で見るところもあったらしい。


しかし、受け入れ側が「語る」ことは、子ども側が語るほどには記憶に残っていないように思われる。地元にとって一年という期間は短い。子どもにとって一年は長い。地元は集団体制で対応している。子どもの経験は一人ずつのものだ。そんな違いも影響しているのではないかと思う。



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by eric-blog | 2018-01-08 09:48 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

まっくらやみで見えたもの 光アレルギーのわたしの奇妙な人生

まっくらやみで見えたもの 光アレルギーのわたしの奇妙な人生

アンナ・リンジー、河出書房新社、2016

2990冊目


徐々に光アレルギーが進行していき、「暗室」状態で過ごす時間が増えていく。

光に当たる域値のようなものがあるようで、強さと長さで発症のタイミングを計ることができる。


その時間に何をするか?

そして、暗闇で過ごす時間に何をするか?


闇の中でできるゲーム「言葉の変換」「言葉の円環」「マスターマインド」「四角連語」「筆記」「アルファベットA からZ」「なぞなぞ クレイジーデイジー」


この不思議な病気のことを知り、そして、その病気とともにどう生きるかを手探りで探っている日常を描いたのがこの本だ。


今、普通の生活を送っている人が「もしも、光が当たると蕁麻疹が出るとしたら」という想像で考える以上に、不愉快なことが多い。人間関係にも支障をきたす。しかし、それはそれとして、許容度曲線の乱高下に悩まされながらも、生活を工夫していくのが、生きるということなのだなあと。


この本も、そのような工夫の産物だと言っていいかもしれない。さて、どのように執筆したと思いますか? 人工の照明も、日光もダメという条件ですよ。




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by eric-blog | 2018-01-06 13:14 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

ザ・レイプ・オブ・南京 第二次世界大戦の忘れられたホロコースト

ザ・レイプ・オブ・南京 第二次世界大戦の忘れられたホロコースト

アイリス・チャン、同時代社、2007、原著1997

2989冊目


 19371213日、国民政府の中国の首都、南京が日本軍の手に落ちた。

攻撃が始まったのは815日。4ヶ月の間に渡るばんこう、「レイプ」によって日本に対する厳しい見方が国際社会で固定した。ix


兵士の処刑と市民の殺戮、強姦は、あらゆる戦争法規に違反して発生した。


この本では、日本軍が入城した後、止まっていた宣教師やビジネスマンの証言、その他の一次資料に当たって、虐殺の事実を描き出している。しかし、何が日本の司令官と兵士たちをその残忍な行為に駆り立てたのだろうか?


この8月に、「なぜ、日本は焼き尽くされたのか?」と題するNHKドキュメンタリーがあった。そこでは、米国陸軍航空部隊の司令官であったアーノルドが、独立した空軍になるために、戦果を上げることに躍起となっていった事実。精密爆撃が命中率が低く功を奏さないために焼夷弾による絨毯攻撃に方針が変化して行ったこと。日本軍による無差別爆撃を非難していた米国が、どのように無差別爆撃に転換して行くかのプロセスが検証されていた。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2409266/index.html


日本が、あの攻撃を引き起こしたことは疑いない。


1937年に始まる中国大陸、その他のアジアの地域における日本軍の、敵側兵士のみならず民間人に対するまでの異常な残虐さはどこから来るのだろうか?


百人斬り競争が新聞に英雄譚として報道され、初年兵の訓練として捕虜を殺させた。そのことに国民全体が無批判であったのだ。


著者は言う。41-


「中国との避けられない戦争に備えて、日本は数十年をかけた、男子国民に戦闘訓練を施していた。青年を日本の軍隊に奉仕する型にはめる躾は、人生の早い時期に始まる。1930年代には、少年期の全てが軍国主義的な色彩に染められた。玩具店は兵器庫を思わせ、兵士、洗車、鉄かぶと、軍服・・・などのおもちゃが並べられ、戦争神社のような有様になった。・・・「爆弾三勇士」の・・・自爆攻撃の真似をして遊んだ。

日本の学校の機能はミニチュアの軍事部隊のようなものになった。実際に教師の一部は軍の将校であり、・・・彼らは、低学年の少年には木製の模型で銃の取り扱いを教え、高学年の少年には本物の銃で扱い方を教えた。教科書は軍国主義宣伝の道具になった。・・・また、教師たちは、中国本土に対する将来の侵略に心理的に備えるべく、少年たちの心に中国人碧憎悪と侮りを植え付けた。

日本の学校における軍国主義の根源は、歴史的には明治維新に遡る。19世紀に日本の文部大臣は、学校は学生の利益のためではなく、国家の利益のために運営されるのであると述べた。小学校の教師たちは軍隊の新兵のように訓練された。師範学校の学生は兵舎のような宿舎に入り、厳しい規律に縛られ詰め込み教育を受けた、1890年には教育勅語が発布された。これは軍人勅諭と同様の規範を民間人に適用したもので、権力に対する完全な服従と天皇に対する無条件の忠誠を至上の価値とするものだった。日本の学校では、天皇の肖像と一緒に教育勅語が祀られていて、毎朝、それが取り出され朗読された。・・・

 1930年代には日本の教育システムは組織化され、ロボット工場のようになった。・・・

学校の生徒が兵役につくと、権力への服従の圧力はさらに苛烈になった。悪意的ないじめと残酷な上下の順位づけにより、ほとんどの新兵の個人主義的な精神は残らず押しつぶされてしまう。服従が最大の徳目であると執拗に教化され、個人の自尊の感覚は大組織の小さな歯車としての自覚に置き換えられた。このような個人意識んら全体価値への昇華を実現するために、下士官や古参兵は、なんの理由もなく新兵を殴り、木製の棍棒で手酷く打ち据えた。

・・・

訓練は、大志を抱く士官に対しても、負けず劣らずに過酷なものだった。」44


1937年夏、日本は中国との戦争を引き起こすことに成功。


中島今朝吾

松井石根

柳川平助


127日、松井から朝香宮へ指揮権が移る。50


これが決定的な変更になった。


強姦、拷問(生き埋め、切断、火ぜめ、氷、犬)





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by eric-blog | 2017-12-31 14:16 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

今年の三冊

今年の三冊


24日の日曜日、いつもの「書く人 読む人」欄が「今年の三冊」特集だった。その中にわたしが読んだものは一冊もなかったことにショックを受けた。そして、挙げられている本の多くが「いま」のものではないことにも、気づいた。どこか回顧録であったり、まとめであったり、なのだ。旬感がない。今年の出版でなくてもいいだろう?


ふりかえって、では「わたしの三冊」を選ぼうということに、なった。ふりかえりの視点として主催研修のテーマとスキルで考えてみた。3つのテーマ、「国際理解」「環境」「人権」について、新しい発見や動きにつながる本はあっただろうか? スキル「わたし」「あなた」「みんな」についての新しいものはあっただろうか?


三本のスレッドにまとめよう。


■一の糸 「性暴力を裁く」

まだ読んでいないが詩織さんの性暴力被害の訴えは、2017年の人権課題の一つだろう。それに関連して山本潤さんの『13歳、「私」をなくした私』は、日本軍性奴隷の被害者たちについての理解も深めてくれるだろう。山本さんは国会で参考人としても証言している。

http://ericweblog.exblog.jp/23774147/


課題は「加害者」の鈍感さであることは、いじめ問題とも共通する。同窓会の思い出話でぶち当たる「え? そんなことあったっけ?」である。1993年、日本軍の営巣地に併設された慰安施設でほとんど奴隷状態で働かされた女性たちが声を上げ始めたとき、わたしはそのような施設を使ったかもしれない元日本軍の兵隊たちが、いったい何人ぐらい生き残っているだろうかと、1945年段階で20歳以上であった人々でその時存命であるはずの男性の人数を調べてみた。その頃で200万人から300万人という数であったように覚えている。証言の数の少なさに驚愕した。これはなんなのだ????


そして、最近になって、証言する男性たちが現れたし、またこんな証言も出てきている。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259585/index.html


その姿はルワンダの虐殺者が帰還してきた村の姿や

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/4231/2396590/index.html


1992年のセルビアで起こったこと、『Calling the Ghosts

https://www.youtube.com/watch?v=YFc0o0cVnwU


被害を受けた側は、怯えながら、記憶に苛まれながら生きるのに、加害の側は「戦争だったから」「俺だけじない」と嘯く。


何度も、何度も起こってきたことなのだ。


しかし、わたしはこの映画を見たときに、希望を感じた。たとえ、戦時性暴力の被害に合おうとも、その加害者に向かってわたしは「お前は戦後に裁かれことになるのだ」と言うことができると思ったからだ。それでわたしの名誉は守られる。


このように記憶されること、断罪されることが、再発防止の鍵なのだと思った。被抑圧者の3R's, 加害者が断罪されるわけではなくとも、わたしたちは被害者を記憶し、追悼し続けることはできる。remember, record, report


忘れないこと。記録すること。報告し共有すること。


■二の糸 「いまを作った運動をふりかえる」

東京新聞の「今年の三冊」にも感じたが、昔をふりかえるものが多かった。


障害者の運動についてのこの本も、今年出たものだ。

『差別されてる自覚はあるか 横田弘と青い芝の会「行動綱領」』

http://ericweblog.exblog.jp/23846594/


映画が良かった。

『大地の乱』『三里塚のイカロス』

http://ericweblog.exblog.jp/237829873/


あの熱はなんだったのだろうか。しかし、確かに、いまはあの熱があったから、あるのだと、思う。


■三の糸 これからを紡ぐ知恵の糸


過去に学びながら、自分たちが過去の悪魔的行為を繰り返さない知恵を生み出している本がある。


ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

フィリップ・ジンバルドー、海と月社、2015

http://ericweblog.exblog.jp/237916625/


タイトルは悪魔的だが、しっかり悪魔にならないための対策まで考えられている。


そこに連なる実践本も何冊か紹介した。

ごく最近に紹介したデンマークの子育て法も含めて、ぜひ、読んでください。


◯「ユマニチュード」という革命 なぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのか


イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ、誠文堂新光社、2016

http://ericweblog.exblog.jp/238121088/


デンマークの親は子どもを褒めない 世界一しあわせなくにが実践する「折れない」子どもの育て方

ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー、イーベン・ディシング・サンダール、集英社、2017

Danish Way of Parenting, 2014

http://ericweblog.exblog.jp/238075076/

子どもにいちばん教えたいこと 将来を大きく変える理想の教育

レイフ・エスキス、草思社、2007

http://ericweblog.exblog.jp/238002747/


過去に責任はないが、今に連なる過去がなくなったわけではない。過去を記憶する義務がある。



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by eric-blog | 2017-12-29 15:02 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

Q&A 女性国際戦犯法廷 「慰安婦」制度をどう裁いたか

Q&A 女性国際戦犯法廷 「慰安婦」制度をどう裁いたか

VAWW-NETジャパン編、明石書店、2002

2988冊目


I 「法廷」の目的と仕組み

Q1 なぜ、50年以上も前の「慰安婦」制度を裁くことにしたのですか?

Q2 なぜ、裁判所や国際法廷ではなく民衆法廷なのですか?

Q3 女性に対する戦争犯罪、戦時性暴力がこれまでなぜ裁かれなかったのでしょうか?

Q4 「法廷」はどんな目的で開かれたのですか?

Q5 どういう人たちが「法廷」を主催したのですか?

Q6 「法廷」はどんなルールね、仕組みで開いたのでしょうか?

Q7 どういう人たちが裁判をやったのですか?


II 「法廷」の審理と判決

Q8 東京での「法廷」はどんな規模で、どんな日程で開かれたのですか?

Q9 どういう人々が被告人として起訴されたのですか?

Q10 被告日本政府は補償についてどのような主張をしているのですか?

Q11 適正手続気はどのように保障されて公正な裁判になったのですか?

Q12 被害女性たちは「法廷」で、どんな証言をしたのですか?

Q13 被害女性たちは戦後について、どんな証言をしたのですか?

Q14 「法廷」にどんな証拠を出したのですか?

Q15 ハーグでどんな判決が出たのですか?

Q16 昭和天皇はなぜ「有罪」になったのですか?

Q17 日本政府の国家責任について、何が指摘されたのですか?

Q18 判決にはジェンダーの視点がどのように貫かれているのでしょうか?


III 「法廷」の評価と課題

Q19 「法廷」の意義はどのように評価されているのですか?

Q20 証言や証拠など「法廷」記録をどう保存するのですか?

Q21 海外のメディアは「法廷」をどう報道したのですか?

Q22 日本のマスコミの「法廷」報道はどうだったのでスカ?

Q23 勧告を今後どう活かしたらよいのでしょうか?

Q24 勧告にある教育と教科書の問題に、どう取り組むのですか?

Q25 「法廷」の成果は未来に向けてどう生かせるのでしょうか?


「法廷」は2000128-12日、東京で開かれて、仮判決が出され、2001124日、オランダ・ハーグで最終判決が下された。28


性的奴隷制について「人道に対する罪」として

昭和天皇、東条英機、松井石根、畑俊六、寺内寿一、板垣征四郎、梅津美治郎、小林躋造、安藤利吉、9

フィリピン・マバニケの女性たちへの集団強姦について「人道に対する罪」として、

昭和天皇、山下奉文、2

その他、合計30名。


昭和天皇は「慰安婦」制度について、「知っていたか、または知るべきであった」

そのために、個人として上官としての刑事責任で有罪。52


日本軍は、戦時中、性奴隷制などの国際法違反行為を犯したことに対して、日本政府は賠償すべき。53


さらに、戦後も継続的違反行為を繰り返している。54

・終戦直後証拠となる文書を焼いた。

・国家の関与を否定し続けた。

・責任者の処罰を怠った。

・謝罪と損害賠償を怠った。

・国連特別報告者の報告に反対した。

・政府高官の暴言を放置した。

・「慰安婦」に民族差別的扱いをした。

・歴史教科書で未来の世代に伝えるなど再発防止に必要な手段を取らなかった。



■参考

00974"戦時・性暴力をどう裁くか

国連マクドゥーガル報告全訳""VAWW-NET Japan(バウネット ジャパン)編訳

松井やより、前田朗 解説"凱風社1998G5



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by eric-blog | 2017-12-29 14:57 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)