カテゴリ:□週5プロジェクト17( 119 )

永遠の道は曲がりくねる

永遠の道は曲がりくねる

宮内勝典、河出書房新社、2017

2854冊目


この書評では小説の類はあまり紹介したことがない。ESD持続可能な教育に関わるものを中心に紹介したいと思うからだ。


しかし、この本は、凝縮された小文字の歴史のような内容なのだ。


集まるシャーマンの女たちが語る物語。多くの女たちの物語。


主人公が体験してきたことからの視点、そして、今も交信する宇宙船に乗っている友人の宇宙からの視点。


四つの名前を持つという女の視点。


うるま病院で、沖縄で心を病んだ人々を見守ってきた二人の医師の視点。


多くの目が見つめるものは、「二千億の果実」。


ヒトが誕生してから、生まれてきた人々の数。


次の果実が生まれ、また新たな生が営まれる。


壮大ないのちの連鎖が、育まれる。


だが、著者は問いかける。ここに記憶されている生は、あなたの望むものなのかと。


PTSDすらも、ひょっとしたらその後のシャーマンとしての開花に必須なものなのかもしれない。彼女がその過去から逃れることはない。彼女の人生がこれからどうなるにせよ、次の果実には、何を望むだろうか。


1944年ハルピン生まれ、60数ヶ国を訪問。その経験も、描写に生きている。



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by eric-blog | 2017-08-08 14:08 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

近代天皇制国家の歴史的位置 普遍性と特殊性を読み解く視座

近代天皇制国家の歴史的位置 普遍性と特殊性を読み解く視座

安田浩、大月書店、2011


必須だと思うが、なかなか読みきれない。とりあえず、「読むぞ」の意思表示として。



国民の天皇
ルオフ

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by eric-blog | 2017-08-08 13:42 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

私は戦争のない世界を望む

私は戦争のない世界を望む

アルノ・グリューン、ヨベル社、2013

2853冊目


原著2006年出版


1923年生まれのユダヤ人、精神分析医。幼児期をヒトラー支配のベルリンで過ごす。


若い人々に向けて書いたということの本は、多くの反響を得続けている。


共感が人間を人間にする。


など、40項目、タイトルだけでも、素晴らしい。それぞれ3ページ程度にまとめられた内容も、読みやすい。


より多くの財産を所有すること

139

「所有」は権力構造を必要とし、権力構造は、権力者を「良い父親」(あるいは「良い母親」)と見せかける神話の助けを必要とする。


この神話は、多かれ少なかれ、「人間の内面を抑圧し、権威者()の期待に従順に従うことで生じる社会化」によって、私たち一人ひとりにインストールされる。


しかし、このありのままの自己の「切除」こそが、憎しみや暴力の原因となる。



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by eric-blog | 2017-08-08 13:38 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

自由と繁栄の弧

自由と繁栄の弧

麻生太郎、幻冬舎、2007

2852冊目


第一次安倍政権の時に麻生さんが外務大臣になった20051031日からのスピーチを中心にまとめた本。スピーチはもちろん、外務官僚との共作であり、外務省のホームページにも公開され、ニュースレターにも収録されたりしたものである。多少の修正はあるが、いずれも正本としてもらいたいと。


これで日本の外交の「価値の外交」としての大きな方向性が定まったというが、日米協議のことも書かれておらず、当時、辺野古に決まってよかったね、シャンシャン、では見るべきものもないのだが、靖国神社についてと、コミックについて、備忘録を起こしておきたい。


著者の主張 第7章 特別編・靖国神社

1. 靖国神社は国家のために命をかけた人と遺族の祈りの場、誇るべきもの、胸を張れないものも、死者にまつわるもの一切合財を含む、明治以来の記憶の集積。

2. 国家は、国家の名において連れ出して国家のために命を投げ出した人々に対し、最高の栄誉を持って祀らねばならない。

3. 現在の宗教法人である靖国神社に任せて民営するのではなく、これを護国神社52社と同時に解体し、設置法に基づく特殊法人とし、平和記念事業特別基金などによって財源を安定させる。


これは全く噴飯ものである。軍国主義そのもの。靖国神社に第二次世界大戦中に空襲で亡くなった方々は祀られていないし、軍人しか祀られていないこと。


そのことに関連していくつかの数字を参照しておく。


・靖国神社に祀られた2466000余のみたま。

・恩給受給者は1969年に283万人、2005年には121万人。

・戦争寡婦などで「公務扶助料」という遺族に対する給付を受けている人は、1982年当時154万人。2005年には15万人。

・公務扶助料とは恩給法に基づき、旧軍人または軍属で公務により負傷したり病気にかかって死亡した人の遺族に支給される。最低補償額(遺族加算を含む)1966800円。p.375


我が父も、いくばくかの恩給をもらい続けていたし、我が母は、父の死後、そのまたいくばくかをもらっている。そして言うのだ。「このような支払いがなくならない限り、日本の戦争責任は終わらない。」



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by eric-blog | 2017-08-01 15:54 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

18時に帰る

18時に帰る

ワンモアベイビー応援団、プレジデント社、2017

2851冊目


日本人は学ぶことが好きだ。フィンランドが学力世界一になった時、フィンランド人に呆れられるほどの見学者たちが彼の国に押し寄せた。

オランダの教育についてもイエナプランをはじめ、よく話題にのぼる。


 さらにオランダについてはワークシェアリングから始まって、何度オランダの名前を聞いてきたことだろう。そろそろ、学んだことを日本でもやりませんか?


誰か、なぜ日本ではできないのか、マジで考えて欲しい。


ワンモアベイビー応援団は一般財団法人らしい。2015年設立。

前少子化対策大臣が理事長だ。特別会計のカネを引っ張ってきたに違いない。

こんなことしているから、ダメなんだよ。


みんながバラバラと、ちまちました予算でできることをやるだけ。

http://www.1morebaby.jp/about/


役員名簿を見るだけで、寿命が透けて見える財団だ。財団というより、キャンペーン団体と言った方がいいのではないか?


ともあれ、オランダである。


社員のやる気が出るのは、スキルと適合性とバイタリティ。133

どうやって社員をサポートすれば、いいかを常に考えていると、人事が言う。何より大事なのは予防。


1982年のワッセナー合意から、ワークシェアリングが進み、失業対策にもなり、より良い働き方の追及へと、企業と労働者の信頼の上で、労働環境整備が進んできている。53


今や38%がパートタイム勤務。


ワークシェアリングは教育の現場でも同様で、「よく話し合う」ことでどう働くかを決めている姿は変わりがない。74


そして、「よく話し合う」と言うのは、教育方法でもある。グループのアイランド型が主流。一人ひとりも入学時期や深度などまでも選ぶことができるのだ。


はっきりしていることは、彼らが1980年代から積み上げてきたものは、結果だけを導入することができないと言うこと。


学ぶのであれば、取り組み方、継続の仕方、改善の進め方などなのではないかと思う。結果ではなく。


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by eric-blog | 2017-07-31 12:14 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう

ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう

稲葉剛、山吹書店、2009

2850冊目


日本の住宅政策は、貧困である。公的な投資はほとんどなく、住居費に収入の1/3もを持って行かれている。


まるで「住む」ために働いているようなものだ。


稲葉さんはホームレス支援などを通じて、「働けない」「住宅がなくなる」、住宅がないと働けないという悪循環に陥ってしまういまの社会の問題を描き出している。


生活保護を受けたとしても、公的住宅がないために、民間住宅に住宅扶助という公的な資金を流し込んでいるだけだ。アホじゃないか?


民間の中には生活保護を前提にしたアパート経営をしている業者もいるし、保証人も補償金もいらないけれど、居住権が村さ調査れないような契約形態で運営しているビジネスモデルもある。


なんだ? この住宅政策は?


おかげで、一代限り、良くても二世代ローン程度の家をスクラップアンドビルドし続ける。社会資本の蓄積には繋がらない。町の風景はどんどん変わる。


根本的に変える必要があるんじゃないの?



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by eric-blog | 2017-07-28 12:11 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>

ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
リンダ・グラットン、プレジデント社、2012
原著 The Shift, 2011
2849冊目

2025年、わたしは70歳になる年だが、その時に働き方がどう変わっているか。
どのような仕事観を持っているか。
どのような仕事をしたいと思うのか。
どのような希望を抱くのか。
何を不安に思うのか。

未来の見取り図を描き出すために、要素を描き出すことにしたと著者は前書きでいう。
それが五つの要因だ。

要因1 テクノロジーの進化
要因2 グローバル化の進展
要因3 人口構成の変化と長寿化
要因4 社会の変化
要因5 エネルギー・環境問題の深刻化

それぞれについてさらに詳しい項目が合計32紹介されている。そして、それらの要因から「なってしまう未来」(漫然と迎える未来)にするのか「なりたい未来」(主体的に築く未来) を選ぶのかを考えて、今日から行動しようと提案している。

要因1 テクノロジーの進化 10の現象
1.テクノロジーが飛躍的に発展する
2.世界の50億人がインターネットで結ばれる
3.地球上のいたるところで「クラウド」を利用できる
4.生産性が向上し続ける
5.「ソーシャルな」参加が活発になる
6.知識のデジタル化が進む
7.メガ企業とミニ起業家が台頭する
8.バーチャル空間で働き、「アバター」を利用することが当たり前になる
9.「人工知能アシスタント」が普及する
10.テクノロジーが人間の労働に取って代わる


要因2 グローバル化の進展 8つの現象
1.24時間・週7日休まないグローバルな世界が出現した
2.新興国が台頭した
3.中国とインドの経済が目覚しく成長した
4.倹約型イノベーションの道がひらけた 途上国でコストをかけないイノベーションが進んだ
5.新たな人材輩出大国が登場しつつある
6.世界中で都市化が進行する
7.バブルの形成と崩壊が繰り返される
8.世界の様々な地域に貧困層が出現する


要因3 人口構成の変化と長寿化 4つの現象
1.Y世代の影響力が拡大する  (1980-95年生まれ)
2.寿命が長くなる
3.ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える
4.国境を超えた移住が活発になる

要因4 社会の変化 7つの現象

1.家族のあり方が変わる
2.自分を見つめ直す人が増える
3.女性の力が強くなる
4.バランス重視の行き方を選ぶ男性が増える
5.大企業や政府に対する不信感が強まる
6.幸福感が弱まる
7.余暇時間が増える

要因5 エネルギー・環境問題の深刻化 3つの現象
1.エネルギー価格が上昇する
2.環境上の惨事が原因で住居を追われる人が現れる
3.持続可能性を重んじる文化が形成される

【その他のキーワード】
社会と関わるミニ起業家  189
専門的な技能の連続的な習得者へ 236
協力してイノベーション 301  
善良に積極的に振る舞う情熱を傾けられる経験へ 336


仕事の世界で必要な三種類の資本  232

第一の資本: 知的資本 知識と知的思考力
第二の資本: 人間関係資本
第三の資本: 情緒的資本  自分を理解し、深く考えて選択し、自分を鼓舞する強靭な精神


今後価値が高まりそうなキャリア  248
・草の根市民活動家
・社会起業家
・ミニ起業家面白い!

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by eric-blog | 2017-07-27 08:44 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

産業医が見る過労自殺企業の内側

産業医が見る過労自殺企業の内側

大室正志、集英社、2017

2848冊目



産業医科大学という産業医育成専門の大学があることも知らなかったなあ。

企業規模によって、非常勤なり常勤なりの産業医を置くことが労働安全衛生法で決められている。

昭和47年の法律であるから、1962年。高度経済成長目前、日本の産業が伸びた時期と言えるだろうか。当初は、身体的健康管理が中心だったのが、この本の著者がそうであるように、「精神科医」を目指すか「産業医」を目指すかというような選択肢に上がるほどに「心の病」についての知見が求められる職業になってきているようだ。


とはいえ、元々の出自が出自であるだけに、どこまで企業や産業医本人にその意識があるかどうか、そして体制的にも予防的に発見、手立てを打ちえると思っているかは疑問だ。


医師免許を持っていても、産業医になれない人たちリストというのがあり、「法人の代表」など企業の利害に関わる側の役職が並ぶ。さもありなん。


著者は高橋まつりさんの自殺についても予防できたのではないかという。企業付き医師がどこまでの情報を持ちえるのかは知らないが、就労時間などの基本情報は持っているはずだ。大企業のほとんどに産業医がいることから考えると、からだから心へのシフトがあまりできていないのではないかとも、この本を読んでもなお疑問は拭えない。


本人も言うように、「企業と労働者」どっちの立場に立っているのか? どちらを向いて仕事をしているのか、と言うことになるのだろう。


ものごとの体質変換にとって大切なのは「価値観」や「ビジョン」であるが、日本の法律は「手続き法」的色彩が濃くて、「理念」が弱いし、理念が書かれていても、手続きに押されるから、だめだなあ。


産業医の内側という本を書いた方が、面白いんじゃないか?



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by eric-blog | 2017-07-24 10:29 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

デザイン・イズ・デッド?

デザイン・イズ・デッド?

未来を変えるデザインプロジェクト、ダイヤモンド社、2017

2847冊目


『ライフ・シフト』が166人待ちなので、他に彼女が描いたものを読むことにしたら、この本で、「平均寿命100年時代の働き方をデザインする」というインタビュー。基本は『ワーク・シフト』の考えを。


価値が高まりそうな選択肢の条件を三つあげている。


・その知識や技能が価値を生み出すことが広く理解されていること

・そうした知識や技能を持つ人が少ないこと

・それが模倣されにくいこと



だめだ。教育学をやっている限り、生き残れないなあ。


より良い働き方をデザインすることは、すなわち良い人間関係をデザインすること。83


とはいえ、この本を手に取ったことで得たことは、馬場マコトさんの寄稿「デザインは生き残れるか?」だ。


言葉だけの国になった日本に警鐘を彼は鳴らしている。


国家デザインはビジョンなしにはできない。ビジョンが見えないまま、言葉だけが語られる。


マイナンバー制度のマイナちゃんも挙げられている。どこに理念があるだろうか。


そして、馬場は2020年の東京五輪のエンブレム競作コンペを取り上げる。

104人を限定し、思想、哲学を競わせることで国の未来は見えてくる。


しかし、104人のアーティスト達は国にはオリンピックを機に明日の日本を変える意思がナイト結論づけた。その証左が佐野作品だ。結果、ビジョンなしというただので材は、模倣探しの餌食にさらされる。 115


第二回野老朝雄の作品は、江戸情緒あふれる大会開催告知マークに過ぎず、オリンピックを機に低迷する日本をどう動かすという、国の指針は一向に見えてこない。116


ということで、「デザインは死んだ」のか。


デザインは、リアルなのだ。



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by eric-blog | 2017-07-22 15:58 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)

発達障害は治りますか?

発達障害は治りますか?

神田橋條治、ほか、花風社、2010

2846冊目


発達障害の人も発達する。


「治る」という言葉は障害のある人を「正常」にするニュアンスがあるなあ。


神田橋先生は、自閉症の人たちが示す症状に意味があるという。


そして、彼は「どうすれば治療できるか」を考える。

発達障害は、脳のシナプス結合に課題がある状態なので、どう刺激すれば繋がるかを考えながら、治療するということ。


脳のシナプス結合の課題のせいで現れる「二次障害」に振り回されているのが現実。さらに、その診断を間違って治療することで三次障害も起こしているという。


自殺未遂も、意味がある。


治療の現場も、発達障害の現実も知らない読者としては、この手の本はよくわからない。



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by eric-blog | 2017-07-22 08:57 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)