カテゴリ:☆よりよい質の教育へBQOE( 268 )

国際子ども図書館

国際子ども図書館

読書活動推進支援コーナーの小展示


・子どもたちをお話しの世界へ、アイリーン・コルウェル、こぐま社、1996、原著1980

・お話とは、松岡享子、東京子ども図書館、2009、初版1974

・昔話は残酷か、野村ひろし、東京子ども図書館、1997、初版1975


『昔話は・・・』p.22


マックス・リューティ『ヨーロッパの昔話』

・昔話は抽象的である。

  • λ話の始めと終わりに決まり文句を用いること
  • λ言葉や出来事が繰り返されること
  • λ数字なら3、色なら白黒赤金を好む
  • λ固定した広域、抽象的様式
  • λ昔話に出てくる人物は肉体を持たない、心の内部を持たない。
  • λ孤立化様式、あるところで出たことは、その場限り


そうなんだあ。面白いねぇ。


コルウェル氏の本は、丁寧にお話を準備する段階から、発声のこと、聴衆を前にしての心がけまで、まとめられている。なるほど、基本のテキストと松岡さんが言うだけのことはある。



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by eric-blog | 2017-06-24 10:18 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

ESDと食育

 ESDハンドブックには、教材を選択する際のガイドラインが提案されています。

l 持続可能な開発という理念に向いているか(多次元の統合)

l ESDのコンピテンシーとの明確な関連づけ

l 長期的な意義

l 学問における幅広く多様な知見に基づいて特定のテーマについての研究と政策を根拠づける

l 生活世界との関連性とグローバルな世界観を持たせる

l 個人および共同体に、利害関係者に、政治、経済、学問、科学技術に対して望みのある行動可能性を示さなければならない

l 自己組織的学習とパースペクティブ変容に有利な前提を与えなければならない

l 学習者たちの教育目標にとっての重要性を明示しなければならない

l 授業中に獲得される各教科のコンピテンシーと結びつけられなければならない


ESDコンピテンシー 学校の質的向上と形成能力の育成のための指導指針』より  http://ericweblog.exblog.jp/20466584/


食育についても同じガイドラインが当てはまるはず。

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by eric-blog | 2017-06-02 09:59 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

FH17 経験学習のリアリア

経験学習のリアリア


 経験学習の深め方、共有の仕方、そして広がりやシークエンスなどについてまとめました。ここでは、では「経験学習」のネタになる「経験」にあたるものは何かを整理して起きます。


■ 効果的なハンズオン

 ハンズオンというのは、文字通り、手をのせることのできるものという意味です。リアリア現実のものという言葉も使われます。

 

. 実物[      ]

. 実地[      ]

. 実話[      ]

. 実感[      ]

. 実態[      ]

. 実存[      ]


 「体験」の分野について、一人一人の感覚器の使い方が異なります。

  • からだを動かす
  • 諸感覚を使う
  • ことばを聴く
  • 文字を読む
  • 音を聴く
  • 音を出す


 このような傾向の違いを「学習スタイル」と言ったり、「多重知能」と呼んだりしていますが、環境からのどのような刺激をどのように自分の中に取り入れるかは、とても個人差の大きいものなのです。一つでみんなを満たすことはできません。

 だからこそ、多様なハンズオンを試みることが大切なのです。



  • λ1. 実物

 『未来を学ぼう』の「インタビューの方法」(p.87)、「インタビューで物語づくり」(p.120)などでは、インタビューされるゲスト・スピーカーになんらかの実物を持ってきてもらうように、お願いしています。

 「マグロからツナ缶まで」では、ツナ缶を準備します。

 手に取ることができる実物は、とても多くの情報を含んでいるだけでなく、興味関心を惹きつける力があります。


  • λ. 実地

実体験と最初は呼んでいたカテゴリーです。現場に出かける、地域調査をする、参与観察するなどの方法があります。

 人権研修では、ハンセン病隔離施設や差別墓石などの現場を見に行く研修がありますし、環境教育ではサービス学習、地域の課題解決学習などで地域調査を行うなどのアクティビティ例がたくさんあります。

  

  • λ. 実話

 ゲスト・スピーカーの話を聞く、あるいは実話を読むなど、特に人権研修では「当事者」の話を聞くことは、講演会などの一つのメニューです。「実物」で紹介したインタビューは、まさしく「実話」に出会うものです。


  • λ. 実感

 気づきのためのアクティビティというのはシミュレーションやゲームのような実体験を通して「実感」を得るものです。実感は、心を動かし、誰しもに意見を言うことを可能にします。気づきのためのアクティビティは、経験の共通基盤を提供し、それぞれの気づきの共有によって学びあいを深めるのです。同じ体験をしても、一人一人の実感は違います。その違いこそが、互いからの学びを豊かにするのです。


  • λ. 実態

社会の実態調査の結果やデータも、わたしたちが分析と学びの基盤になります。多かれ少なかれ、わたしたちは自分自身の経験値を「データ化」し、物事の判断の根拠にしています。

 人権教育では「偏見とは少ない情報で作られた偏った判断を、新たな情報が得られても変えることがないこと、そして差別とはその偏った判断をその人に対する不利な判断に繋げること」と言います。

 わたしたちの体験は偏ったものですが、そこからわたしたちは様々な判断を導き出しているのです。偏りのない考えや判断は望ましいものですが、認知に限界があるのが人間です。偏見や差別意識のない人はいませんが、自分が偏っていることを認識することは可能です。また、新しい情報に対してオープンな態度を保つ努力も可能なのです。

 同様に、実態調査、データについても偏りがあります。調査の方法、調査の主体、アンケートなどであれば対象、回収率など、結果に影響を与えるものはたくさんあります。偏りのない実態は、個人的なものであれ、専門家によるものであれ、ないのです。

 だからこそ、実態は、経験学習的に、つまり「わたし」の経験と照らし合わせ、「あなた」のことなる視点からも検討し、味わうことに向いているリアリアなのです。


  • λ. 実存

 経験学習のベースにある最も根本的なリアリアは、「わたし」自身です。「わたし」が経験してきたこと、「わたし」が知っていること、「わたし」の感覚、「わたし」の価値観などが、経験学習に影響を与えていますし、それこそが「わたし」の学びの源です。

 参加型学習においては、「わたし」が十全に、安心して、「わたし」に気づくことができることが、成長にために重要です。



 経験学習の広がりを計画するときも、多様なリアリア、ハンズオンのアイデアを活用できるのです。


■アクティビティ・アイデア1

 6つの「実」の視点から、これまでに「学び」につながった自分自身の実体験はなんだったか、ふりかえってみましょう。6つのカテゴリーは参考にして、それ以外にもあるかもしれません。

 また、あるテーマについて、どのようなリアリアがあり得るか、教育目的に対して、どれが効果的などを考えましょう。


■アクティビティ・アイデア2 

 アクティビティを開発することに挑戦しましょう。リアリアと「12のものの見方・考え方」を組み合わせることで、一つのアクティビティができます。一つの「実」をどのように分析したり、味わったり、深めたりすることがアクティビティなのです。


ものの見方・考え方

アクティビティのすすめ方

必要な知識

伝えたいこと

スキル目標

  1. 1.全体像をつかむ





  1. 2.対比させて考える





  1. 3.分類する






  1. 4.二次元軸で捉える





  1. 5.因果関係を追う





  1. 6.優先順位をつける





  1. 7.量的に捉える






  1. 8.時間的に捉える





  1. 9.空間的に捉える





  1. 10.指標で評価する





  1. 11.モデル化・シミュレーションする





  1. 12.行動計画をたてる





  • 開発したアクティビティの「実施可能性」を検討する

 アクティビティは、いくらでもつくり出すことが可能です。しかし、「練り上げられた」アクティビティとERICが呼んでいる、よく使われるアクティビティというものが存在します。伝えたいことと、共有の方法がうまくマッチしたものが生き残るのだろうと思います。


 次の視点は『環境教育指導者育成マニュアル』に紹介した「アクティビティ検討の視点」です。


  • アクティビティ検討の視点
  • 必要な準備物が入手できるか 
  • 実施しやすいか
  • 参加者のニーズに合っているか
  • 伝えたいことと合っているか
  • 楽しいか、集中があるか
  • わたしが熱意を持って伝えたいことであるか。「ねらいはねがい」


 最後の項目が実はいちばん重要です。どんなに練り上げられたアクティビティでも、それを実践するファシリテーターに願いがなければ、伝わらないのです。

アクティビティ改善の視点

アクティビティ名

作りやすさ

知識や情報の入手

目標・内容・方法の一致

集中や楽しさがあるか

改善点



































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by eric-blog | 2017-05-30 13:53 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

国連特別報告者からの質問状と政府の回答

 「私の書簡は、日本政府が法案を早急に成立させることを愚かにも決定した状況において、完全に適切なものだ」――。

 国連の特別報告者で、「プライバシー権」を担当するジョセフ・ケナタッチ氏が2017年5月22日、共謀罪法案の成立を急ぐ日本政府に強い懸念を示した。ケナタッチ氏は日本の共謀罪法案を国連ホームページなどで批判し、日本政府は批判について、「不適切だ」と抗議していた。


以下、国連ホームページに掲載された書簡。

http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf

IWJの取りまとめ報道。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/379992






2017年5月20日 東京新聞 一面
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2017年5月23日 一面

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国際社会が普遍的に目指そうとしている価値について無頓着な日本政府。
日本社会をどこへ連れて行こうというのか。



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by eric-blog | 2017-05-23 14:55 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

ファシリテーター・ハンドブック7「経験の広がり-発達段階」

◆◇◆( .) ファシリテーター・ハンドブック7「経験の広がり-発達段階」◆◇◆


 経験の広がりをデザインする場合、学習者の発達段階を考慮することはとても重要です。ESDは価値観の教育であると言われますが、一般的な発達段階や発達心理学についての理解だけではなく、価値観の発達の三段階を理解することが、経験の広がりをどのように、そしてどのような内容で提示すべきかを考えるときの参考になるのではないでしょうか?


http://www.eric-net.org/news/FH17Sequence.pdf



経験の広がり 発達段階に応える


 経験の広がりを発達段階のいつ提供するのかも、課題です。スキル目標については詳細な目標をネットから得ることが可能です。

 研究者と実践者は異なります。これらのボリュームを理解した上で、授業を行なおうとすることは、教師の限られた資源の使い方として、要求することすら誤りであると言えるのではないでしょうか?

 では、発達段階を理解せずにいて良いのかというと、それも違いますし、何よりも教員集団での合意形成のためにも、大きな発達段階と発達課題は理解しておくことが望ましいでしょう。


 発達課題と言えばエリクソンと引き合いに出されるほど有名ですが、どれほど教育的手立てのために役立てられているかは疑問です。いまや100歳まで生きる長いライフスパンを理解しようとすることは単純なことではありません。


 ここで、二つの視点を共有することで、手立てを考える手がかりにしたいと思います。


1. 健康の心理学: アドラー心理学とポジティブ心理学

2. 価値観の発達


■健康の心理学: 


 教育は「健やかさ」と「集団」を扱うことを特徴としています。個人に対する働きかけもありますが、基本は「社会的個人」を育てて行くことが教育です。日本における近代学校教育は「富国強兵」、西洋に追いつけ追い越せ、標準語を理解する兵隊を作り出すために効率的に読み書き算を教えるためにいわゆる「兵舎型」と言われる学校建築から始まりした。

 しかし、わたしたちの社会全体が「近代の人間化」という課題に直面しているいま、「教育の人間化」もすでに1980年代から主張されてきています。

 社会に人間を合わせるのではなく、人間に社会が合わせて行くことで、より人間的な社会を作り出せるはずなのです。そういう意味で、教育が「過去からの教育」から「未来への教育」へと変革されていかなければならないのです。


1. アドラー心理学の視点

 アドラー心理学は、フロイト、ユングと並んで精神医学の一つとされますが、健康の心理学、Psychology of Beingと言われる流れにも位置付けられます。病理心理学(精神分析のような)、行動心理学(実験心理学)の二本の柱にくわえて三本の流れです。アドラーは人間の健やかさについて、「所属」「信頼」「貢献」という三つの要素をあげています。それを発達段階に当てはめると子どもの人間関係の広がりごとに考えることができるでしょう。



所属

信頼

貢献

家庭




地域




学校




国家




地球





 所属コミユニティの広がりは、言語の発達とも重なっています。学校は「社会化」と「普遍性の獲得」の両義的な課題に答える場であることが、課題を複雑にしています。


一次的ことば

(話しことば)

二次的言葉

(書き言葉・文字化)

三次的言語

(学問的言語)

家庭

母語の獲得、母親語による働きかけ



学校


書き言葉の勉強

標準語の獲得


中等教育以上



認知的学問的言語

翻訳可能な概念

科学的普遍性


2. ポジティブ心理学の視点


■自分自身の強みを生かす

 『学習性無力感』の研究者であったセリグマンが始めたポジティブ心理学は、洋の東西を問わず共通する美徳・価値を実現する人生が「良い人生」だとしています。彼らが開発したVIA強みテストは、いまも「自分自身の強み」を発見するためのテストとして活用されています。

  • 知恵と知識
  • 勇気
  • 愛情と人間性
  • 正義
  • 節度
  • 精神性と超越性

 教師教育学の指導者であるコルトハーヘン氏とのコラボで開発された『コア・リフレクションの実践』では、「強みを生かす=自分自身のコアに気づく」というポジティブ心理学の原則が取り入れられています。内発的に「大切にしたい」ものが明確でなければ、ふりかえりからの学びに対して内発的な改善は生まれてこないからです。


コア・リフレクションの七つの原則  (p.39)

  1. 1.省察している状況にかかわっている人の理想やコアな資質についての自覚・認識を促進する。そのことによつて、アイデンティティや使命の重層性についての気づきを強化することができる。
  2. 2.これらの理想やコアな資質に従って行動することを妨げている内的な障害、阻害要因は何かを明確にする。(たまねぎモデルにおける各層間の不協和音についての認識を促進する。)
  3. 3.1,2の背景にある認知的、感情的、動機づけ的な側面は何かについての気づきを促進する。
  4. 4.1と2の間の矛盾や葛藤に、十分自覚的になり(認知的にも感情的にも)、いまここにいる感覚を促進する。そして、内的な阻害要因は自分が作り出しているという性質のものであることを認識する。
  5. 5.その人の中から生まれるプロセスを信頼する。
  6. 6.省察した状況において、自身の内からなる可能性に従って行動することを支援する。
  7. 7.コア・リフレクションを活用する上での自律性を促進する。


■「幸せ」を求める


 もう一つはポジティブ心理学の「幸せ」の科学という側面です。わたしたちの社会が人間化されるということは、より人間の幸せを実現する社会へと向かうということです。ということは、以下のような「幸せ」の要素を満たす社会が求められるということです。


 ポジティブ心理学が発見した「幸せ」の三つの要素は次のものです。


  • λpleasant life     できる限りポジティブな感情を経験する、技能を伸ばす
  • λgood life, engagement 夢中になる体験=フロー、集中
  • λmeaningful life有意味な人生


 これらの価値観は普遍的なものなのでしょうか? そして、どの発達段階にも当てはまることなのでしょうか?リフレクションの力の発達段階を明確にすることが今後の課題だと思います。


 次に紹介する「価値観の発達段階」が役立つのではないでしょうか。

2. 価値観の発達


 ESDは価値観の教育だと言われます。近代の人間化の要請も、わたしたちが生きてきた時代の限界を示しています。わたしたちは変わらなければならい。

 しかし、ここで価値観の発達段階が大切になってきます。多重知能論で知られるハワード・ガードナーですが、価値観の発達段階と、人の心の変化について語っています。


人の心の変化の逆ピラミッド (p.83)

地域や国家全体を構成する多様な人々の大規模な変化

均質あるいは同質の集団における大規模な変化

芸術や科学の成果を通じて起こる変化

正式な教育環境における変化

親密なかたちの変化

自分の心の変化


 また、『リーダーの肖像』では、価値観の発達段階を青年時代とそれ以前で違っていること、青年時代というのは、少年時代に「絶対的に」正しいと信じて受け入れた大人の世界の価値観を疑うようになる相対主義的な時代だと言います。


 ティーンエイジというのは、「反抗期」と呼ばれることもありますが、思春期として、これまでの価値観を疑い、自らの価値観を確立していこうとする時代のことなのです。


 ガードナーは、絶対主義、相対主義に続く発達段階については、この青年期のリーダーシップについて論ずる本では語っていないのですが、人類共通の美徳や価値観へと向かうことが「幸せ」なのではないでしょうか。

 文化的に何が幸せで何が人の行動を規定するものでありえるかは異なるかもしれませんが、ESDや国際理解教育においては、少なくとも「正義」「相互依存」「多様性」はいまの世界を成り立たせている原則であるし、その原則を尊重する姿勢、そのために協力して問題解決する行動などは地球市民として身に付けたいコンピテンシーであるという合意はできているのです。


【アクティビティ「価値観の発達段階と教育」】

絶対主義的な価値観の時代 10歳までの脳

教育の段階

所属

信頼

貢献

家庭




地域




学校




国家




地球





相対主義的な価値観の時代 ティーンエイジの脳


所属

信頼

貢献

家庭




地域




学校




国家




地球





普遍主義的な価値観の時代 普遍性の追求


所属

信頼

貢献

家庭




地域




学校




国家




地球







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by eric-blog | 2017-05-17 12:26 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

FH17-3 経験を味わう=経験学習「ふりかえり」の鍵

◆◇◆( .) ファシリテーター・ハンドブック3「経験を味わう」◆◇◆


これまで経験学習と言えば「ふりかえり」、四段階というコルプの整理が脚光を浴びてきました。それは教育学の分野だけでなく、様々な分野でも、「経験から学ぶ、改善に生かす」ことは求められています。

自分自身の経験から学ぶことは丁寧に生きるということ。あなた自身の人生を丁寧に生きること、あなたの生きている時代をていねいに生きること。

それが教育において経験学習的アプローチを取ることの、真の価値であると思います。




経験を味わう=経験学習「ふりかえり」の鍵


 経験学習の質を保証するための三つの原則の一つが「ふりかえり」です。経験学習のすすめ方を四段階とまとめたのはデービッド・コルブが有名ですが、わたし自身は環境教育についての学びから次のような四段階でのすすめ方として整理しています。


1.体験する

2.ふりかえる

3.原理・原則を考える/法則を見つける

4.応用する


 単にふりかえるだけでなく、そこから学びを紡ぎ出し、それを次に繋げていくという再帰的なふりかえりであるので、Reflective ではなく、Reflexitive(再帰的ふりかえり=省察)という方が適切なのですが、ここでは「ふりかえり」としておきます。深く学ぶということは、学びを自らに帰すことによって、次の学びのスパイラルにつながり、深まっていくのです。


■ふりかえりの鍵

 いくつかの「ふりかえり」の鍵をまとめておきます。さまざまな分野で行われている「ふりかえり」を知ることで、応用力が高まるのではないでしょうか。大切なことは、本人にしか獲得することのできない「気づき」です。


  • EIAG
  • ACKA
  • 感情・価値観・行動の氷山モデル
  • 3つの省察
  • コルトハーヘン・モデル
  • アレクサンダー・テクニーク
  • ORID
  • ERIC

EIAG 認知を作るもの

 自尊感情や自分を大切にすることができる子どもを育てるために、自己意識を育てることをカリキュラムの中核においている場合の「ふりかえり」についての説明です。4つの要素が認知を作ります。


1.体験・経験そのもの

2.その体験について、重要だとわたしたちが認識するもの

3.わたしたち自身の理由づけによるなぜそれが重要かという分析

4.わたしたちの一般化、その体験が未来にとって持つ価値についてのユニークな認知


短く言うとEIAG

1.体験experience体験する

2.同定identification意味づける、意識化する、特定する

3.分析analysis分析する

4.一般化generalization原理原則を一般化する、応用できる


 AKCA 気づき・知識やスキル・挑戦・行動

 米国の環境教育指導者育成プログラムPLTで使われているモデルです。環境教育は問題解決の行動に力点があること、3. の挑戦は、指導者育成プログラム参加者自身が「アクティビティ実践」をやってみることです。


  1. 1.気づきAwareness導入、すでに知っていることを共有
  2. 2.知識/スキルKnowledge/Skills新たな学び
  3. 3.挑戦Challenge新たに学んだことをやってみる
  4. 4.行動Action個人的行動計画、日常への応用など



  • 感情・価値観・行動の氷山モデル

 体験には感情が伴います。感情に焦点を当てて、ふりかえる、じっくり味わうことも可能です。対立は、激しい感情を引き起こすものだからです。ERICの『対立から学ぼう』というプログラムの中で扱われますが、対立に伴う感情は、学びにとってとても重要です 。対立の場面でわき起こる感情の扱い方について学ぶと同時に、なぜその感情が起きるのかを知ることで「自分自身」を理解することができるからです。

 わたしたちが互いに見ているのは「行動」という現れです。行動は感情から引き起こされます。感情は価値観から来ているというのが、この氷山モデルの考え方です。行動に伴って、自分自身の感情が動く、その感情の背景を見つめてみると、自分のこだわりや大切にしたいもの、価値観が見えるというわけです。





行動: 表面に見えるもの



感情: 行動の源泉           



価値観: 感情のルーツ

       



 対立というのは、基本的には価値観の対立があるために起こるのですが、双方の「本当に満たされたいこと」に焦点をあてて解決することがウィンウィン型解決と呼ばれるものです。自分を大切にするということは、自分の信念や価値観を大切にするということです。



  • 3つの省察 どのように、なぜ、なんのために?

 教師教育学で使われるふりかえりです。教えるということは、学習者の反応を見ながら、手だてや対応を変更していく「省察的実践」であると言われます。ファシリテーターの「柔軟な対応」というのも、参加者・学習者のニーズや理解の状況に従って、プログラムや時間管理などに変更を加えることを意味します。

 ERICではファシリテーター育成のための「セッション3 ふりかえりと参加型学習の特徴」の時に「技術的・実践的・見通し的」の3つの視点でふりかえることで、「アクティビティ」やファシリテーターの行動HOWの背景にある意図WHYに気づく、そして、その手だてが教育的な目標達成のために有効であったかという「見通し」をもってふりかえつてもらいます。(アクティビティ実践評価表参照) 詳しくはそちらを参照してください。


■ アレクサンダー・テクニーク

 演劇指導において、表現力を高めるためのトレーニング手法が「アレクサンダー・テクニーク」です。ゲシュタルト心理学の手法でも同じですが、自分の行動をふりかえることで意図に気づくというのが、いずれも基本にあります。わたしたちがついつい無意識に、はっきりと意図して行っているわけではない行動に気づくこと。そのために「待ったをかける」(Inhibition禁止する)。そして、どんなことをやったか、どうやったか、なぜそうしたかをふりかえることで意識にスペースが生まれます。ふと我に帰るというような。

 すると、何もその方法だけが正解ではないこと。選択肢はたくさんあることに気づく。「手当たり次第の選択肢」(Means Whereby)を知る。さらに、それらの選択肢の中から、自分の意図をもっと適切に表現する方法を選ぶことで、自分を育てることができる。

 他人には、結果としての行動しか見えない。意図とプロセスを知ることができるのは本人だけなのです。


  • コルトハーヘン省察モデル

 オランダのユトレヒト大学の教師教育学の教授、フレット・コルトハーヘン教授の省察モデルは、まさしくゲシュタルト心理学、アレクサンダー・テクニークの応用です。


  1. 1.授業場面
  2. 2.行為のふりかえり
  3. 3.本質的な諸相への気づき
  4. 4.行為の選択肢の拡大
  5. 5.試行







 本質への気づきがもっとも大切であることを、氏は協調しています。                

 そのために、表のように、「感情」をふりかえることで、「本当に満たされたいこと」に迫る手だても行っています。





  • ORID 事実・感情・解釈・意思決定

 カナダのファシリテーション研究所が行っている実践です。ORIDの四段階、それぞれに100ほどの質問があり、それらの質問によって、ふりかえりを深める方法です。


1. 客観的事実Objective事実、行動、データ、覚えていること、印象

2. ふりかえりReflective反応、心、感情、感動したこと、気分が乗ったこと

3. 解釈・価値観Interpretive解釈、クリティカル・シンキング、学んだこと

4. 意思決定Decision明日取り組みたいこと



■ ERIC 体験・ふりかえり・解釈・つなぐ

 さまざまなふりかえりの手だてを学び、試してきて、なんだERICという私たちの団体名そのものが経験学習の四段階を表しているじゃないかと気づいたのは最近です。


Experience(経験する)

Reflect(ふりかえる)

Interpret(解釈する)

Connect(つなげる)


 学んだことを現実とつなぐ、学んだことを日常生活につなぐ、学んだことを回りの人々の学びとつなぐ。応用力、認知的流動性、適応的熟達化、さまざまな言い方が学者、専門家によってなされていますが、学びの主体は学習者本人なのです。



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by eric-blog | 2017-04-08 10:32 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

FH17-2 構成的に学ぶ=経験から学ぶ=経験学習の三原則

ERICニュース537 FH原稿

◆◇◆( .) ファシリテーター・ハンドブック2「構成的に学ぶ」◆◇◆


効果的な学習の四つの要素の一つが「構成主義」constructivismです。

構成主義について学びを深めるためのキーワードやERICのテキストが採用している教授法にどのように構成主義が生かされているかを紹介しています。


http://www.eric-net.org/news/FH17Constructivism.pdf


経験学習という教授法が効果的な学習法であることは、『学習の本質』など、最新の研究からも明らかですが、今回のKISS!は次の「経験学習の三原則」です。


経験学習と呼ぶことができるのは次の原則を満たしている学習指導のみです。

・経験のふりかえり

・経験の共有

・経験の広がり

四段階のふりかえりだけで、効果的な経験学習になるわけではありません。

Let's KISS!

Keep it simple and shortによって、より良い質の教育の点検力を高めましょう。



構成的に学ぶ=経験から学ぶ=経験学習の三原則


 効果的な学習の一つの原則が「構成主義」Constructivismです。わたしたち一人ひとりが「世界の理解」を構成しつつ、世界を理解し、行動をコントロールしている、それが構成主義の考え方です。一人一人が理解の主役であるということ。意識しているとしていないとに関わらず、です。


 その世界の認識を構成しているのが経験です。わたしたちは、わたしたちの行動に対する環境からの反応をモニターし、次の行動を選択、決定するのです。


 では、その「当たり前の学習」をどのように学校教育の現場や教授法として取り入れることができるのでしょうか? 教育的指導者が介在することで、より高い質の学びにしていくことができるのでなければ、教育の意味がありません。


 経験学習というのは構成主義的な学びであるという位置付けも、重要です。経験学習Experiential Learningと言えばジョン・デューイ、デューイと言えば経験学習と言っても良いほど、デューイの「経験から学ぶ」ことについての教育学における影響は大きいのですが、これまで様々な教授法が経験主義学習に連なるものとして試みられてきました。


・問題解決学習

・発見学習

・プロジェクト学習


 戦後、日本で民主主義教育が始まった時、子どもの事実から始まる学習として経験学習的なアプローチが取られましたが、子どもの経験の幅や深さの限界から「這い回る経験主義」と批判も受けました。


 1970年代から80年代、そして現在に至るまで、学習者中心のアクティビティを開発してきたのが英国の開発教育協会やワールド・スタディーズ・トラストであり、PLT『木と学ぼう』の米国の環境教育のネットワークです。PLTの「構成主義」を含む教授法の五つの原則はすでに紹介しました。


 ワールド・スタディーズの学習者中心主義でもPLTの教授法の御原則でも、協同学習的であることは共通しています。


 英国のワールド・スタディーズの学習者中心学習の系譜に連なる『未来を学ぼう わたし地球を結ぶ価値観とビジョン』(Values and Visions)というカリキュラムでは、「経験の広がり」を「自己の感覚」「コミュニティ意識」「価値ある地球」と三層で構成しています。


 経験学習的アプローチのこれらの現代的な先行知見からわかることは、経験から学ぶ経験学習のよりよい質は、次の三つによって実現されるということです。

・経験の広がり

・経験の共有

・経験の深まり


 わたしたちの生活は、『ワールド・スタディーズ』が示したように、世界との相互依存で成り立っており、そのことの意識化とその気づきに基づいた行動の選択は、より良い社会、世界、地球に行きたいと願うのであれば、必須のことなのです。


 これらの三つの視点を欠いた経験学習は、「這い回る経験主義」を超えるものとはならないでしょう。


 いま、学習指導要領に含まれる「アクティブ・ラーニング」の考え方も、経験学習の考え方に連なるものだと言えるでしょう。経験学習を成功させるこの三つの視点で、ぜひ点検をしてください。




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by eric-blog | 2017-04-08 10:30 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

FH17-1  効果的な学習

効果的な学習=学習の本質


 いま、教育は大きな転換期を迎えています。効果的な学習とは何かを踏まえた教育改革が求められているのです。『学習の本質』によると、効果的な学びとは、CSSCとまとめられています。

 C Constructive構成主義的

 S Self-regulated自己管理的

 S Situated状況的である

 C Collaborative協同的である

 知識の構造化は、学習者本人が「構成」するものです。心理学的には「構成主義」constructivismと呼ばれています。これらの原則は、まさしくERIC1989年設立時に最初に翻訳に取り組んだ『ワールド・スタデーズ』がいう「学習者中心」の教え方・学び方の特徴です。

 また、ERICが日本事務局を担っているPLT「木と学ぼう」環境教育も、その教授法の特徴を五つにまとめています。

  1. 1.構成主義理論と経験学習
  2. 2.全体言語主義と多様な学習モード
  3. 3.協同学習とわたし、あなた、みんなのエンパワメント
  4. 4.問題解決学習とコミュニティの課題解決=サービス学習
  5. 5.概念・理念を教育的ツールにする

 『ワールド・スタディーズ』同様、1970年代から現場の先生方と作り上げてきた方法論は、『学習の本質』が出されるずっと前から、効果的な学習を実践してきているのです。

 『学習の本質』はまた、「知識の量ではなく、知識の構造と活用である」と、学習についての捉え方が変化したことを指摘しています。


学習の認知的視点: 重要な10の知見

パラダイム・シフト: 知識の量から知識の構造へ


知見1 学習は本質的に学習者によってなされる活動である

知見2 最適な学習は、既有知識を重視し考慮に入れる

知見3 学習は、知識構造の統合を必要とする

知見4 最適な学習によって、概念、スキル、メタ認知能力をバランスよく獲得できる

知見5 学習は、知識の基礎的要素の階層的な組織化により、さらに複雑な知識構造を最適に構築する

知見6 最適な学習によって、心の中の知識構造を組織化するために外部世界の構造を活用できる

知見7 学習は、人間の情報処理能力の限界によって制約を受ける

知見8 学習は、感情、動機、認知のダイナミックな相互作用から生まれる

知見9 最適な学習は、汎用可能な知識構造を構築する

知見10 学習は、時間と努力を必要とする


『学習の本質』に所収されている「実践ガイド」をぜひ、参考にしてください。

http://ericweblog.exblog.jp/17830509/

■学習の7つの原則

  1. 1.学習者を中心とする
  2. 2.学習の社会性を重視する
  3. 3.感情が学習にとって重要である
  4. 4.個人差を認識する
  5. 5.すべての生徒をのばす
  6. 6.学習のアセスメントを活用する
  7. 7.水平的な関係をつくる 




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by eric-blog | 2017-04-08 10:25 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

特権の側とともに考える

真のダイバーシティ

http://www.sietar-japan.org/our-activities/annual-conference/2014-annual-conference/601-2

ダイバーシティ(多様性、Diversity)は人権尊重社会をめざすうえでとても大切な概念です。
実際に取り組まれているのは、「女性や障害者を雇用する」「LGBTを理解する」ことであったり、「みんなちがってみんないい」というメッセージの発信であったりします。
しかし、それで本当にいいのでしょうか。
ダイバーシティを「多様性の受容」と説明しているものも見かけますが、はたして誰が受容の主体なのでしょうか。

この学習会は、アメリカでダイバーシティ・ワークショップを行っているダイアン・グッドマン氏の著書『真のダイバーシティをめざして:特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育』の日本語版刊行にあわせて企画されました。
日本ではあまり語られていない「社会的公正(social justice)」と「特権(privilige)」をキーワードに、どんな属性の人も平等かつ十分に参加できる社会とはどのようなものか、そのためにマジョリティ集団にどう働きかけるのか、どうすれば効果的にファシリテートできるのか。経験豊富な講師とともに学びます。
ぜひ、ご参加ください。

講師:ダイアン・J・グッドマン氏
教育学博士。多文化共生関係のコンサルタント・トレーナー。全国の企業や教育機関で研修を行う。

通訳:出口真紀子氏
上智大学准教授。専門は文化心理学。大学では「差別の心理学」「立場の心理学:マジョリティの特権を考える」などの科目を担当。グッドマン氏の著書の監訳者。

※『真のダイバーシティをめざして:マジョリティのための社会的
公正教育』(ダイアン・J・グッドマン著、出口真紀子監訳)を当日、割引価格にて販売の予定です。

定員:40人

資料代:5000円

申し込み:お名前と連絡先を明記のうえ、下記のアドレスにメールを送信してください。
facilitators.labo+170225@gmail.com

主催:「真のダイバーシティ」ワークショップ実行委員会、大阪教育大学教職教育研究センター(人権・生活科教育部門)
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by eric-blog | 2017-01-30 11:52 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

官僚天下り問題 文科省だけか?出向はどうなのか?

文科省天下り問題

クローズアップ現代2017年1月23日「いまなぜ? 官僚"天下り"問題 ふたたび」
元文科省官僚の寺脇さんが出ていたのに驚いた。彼も大学教授になっているからだが、総合学習導入の立役者、実力者であり、推進派、反対派を含め、その内情をよく知る人物だ。にもかかわらず、彼のインタビューで使われたのは「再就職は、不安ですよ」という部分。こういうインタビューに答えている時点で、彼の矜持のほどが知れようというものだろうに。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3921/
何れにしても、文科省の組織ぐるみぶりは、呆れるほどあからさまで、「想定問答集」の穴から
東京新聞の社説は「文科省だけか?」と問題提起をする。
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一方、高橋洋一さんは、安倍政権の思惑を指摘する。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50782

関連する公開資料はこちらから
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/kouhyou_h280920_siryou.pdf
ネタにするならこれがいいと、高橋氏。

さらに、文科省の問題としては「出向」のことを河野太郎さんが質疑で取り上げた。「大学は文科省の植民地なのか」と。

衆議院予算委員会 河野太郎質疑にて
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大学事務局に文科省からの出向者を受け入れ、大学運営のあり方を文科省の意向をくんだものにしている慣行は、すでに長いのでははないか。様々な大学及び文科省そのものに激震が走っていることは想像に難くない。

再就職監視委員会の活動についてはこちらから
http://www5.cao.go.jp/kanshi/
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by eric-blog | 2017-01-27 10:51 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)