カテゴリ:☆よりよい質の教育へBQOE( 263 )

FH17-3 経験を味わう=経験学習「ふりかえり」の鍵

◆◇◆( .) ファシリテーター・ハンドブック3「経験を味わう」◆◇◆


これまで経験学習と言えば「ふりかえり」、四段階というコルプの整理が脚光を浴びてきました。それは教育学の分野だけでなく、様々な分野でも、「経験から学ぶ、改善に生かす」ことは求められています。

自分自身の経験から学ぶことは丁寧に生きるということ。あなた自身の人生を丁寧に生きること、あなたの生きている時代をていねいに生きること。

それが教育において経験学習的アプローチを取ることの、真の価値であると思います。




経験を味わう=経験学習「ふりかえり」の鍵


 経験学習の質を保証するための三つの原則の一つが「ふりかえり」です。経験学習のすすめ方を四段階とまとめたのはデービッド・コルブが有名ですが、わたし自身は環境教育についての学びから次のような四段階でのすすめ方として整理しています。


1.体験する

2.ふりかえる

3.原理・原則を考える/法則を見つける

4.応用する


 単にふりかえるだけでなく、そこから学びを紡ぎ出し、それを次に繋げていくという再帰的なふりかえりであるので、Reflective ではなく、Reflexitive(再帰的ふりかえり=省察)という方が適切なのですが、ここでは「ふりかえり」としておきます。深く学ぶということは、学びを自らに帰すことによって、次の学びのスパイラルにつながり、深まっていくのです。


■ふりかえりの鍵

 いくつかの「ふりかえり」の鍵をまとめておきます。さまざまな分野で行われている「ふりかえり」を知ることで、応用力が高まるのではないでしょうか。大切なことは、本人にしか獲得することのできない「気づき」です。


  • EIAG
  • ACKA
  • 感情・価値観・行動の氷山モデル
  • 3つの省察
  • コルトハーヘン・モデル
  • アレクサンダー・テクニーク
  • ORID
  • ERIC

EIAG 認知を作るもの

 自尊感情や自分を大切にすることができる子どもを育てるために、自己意識を育てることをカリキュラムの中核においている場合の「ふりかえり」についての説明です。4つの要素が認知を作ります。


1.体験・経験そのもの

2.その体験について、重要だとわたしたちが認識するもの

3.わたしたち自身の理由づけによるなぜそれが重要かという分析

4.わたしたちの一般化、その体験が未来にとって持つ価値についてのユニークな認知


短く言うとEIAG

1.体験experience体験する

2.同定identification意味づける、意識化する、特定する

3.分析analysis分析する

4.一般化generalization原理原則を一般化する、応用できる


 AKCA 気づき・知識やスキル・挑戦・行動

 米国の環境教育指導者育成プログラムPLTで使われているモデルです。環境教育は問題解決の行動に力点があること、3. の挑戦は、指導者育成プログラム参加者自身が「アクティビティ実践」をやってみることです。


  1. 1.気づきAwareness導入、すでに知っていることを共有
  2. 2.知識/スキルKnowledge/Skills新たな学び
  3. 3.挑戦Challenge新たに学んだことをやってみる
  4. 4.行動Action個人的行動計画、日常への応用など



  • 感情・価値観・行動の氷山モデル

 体験には感情が伴います。感情に焦点を当てて、ふりかえる、じっくり味わうことも可能です。対立は、激しい感情を引き起こすものだからです。ERICの『対立から学ぼう』というプログラムの中で扱われますが、対立に伴う感情は、学びにとってとても重要です 。対立の場面でわき起こる感情の扱い方について学ぶと同時に、なぜその感情が起きるのかを知ることで「自分自身」を理解することができるからです。

 わたしたちが互いに見ているのは「行動」という現れです。行動は感情から引き起こされます。感情は価値観から来ているというのが、この氷山モデルの考え方です。行動に伴って、自分自身の感情が動く、その感情の背景を見つめてみると、自分のこだわりや大切にしたいもの、価値観が見えるというわけです。





行動: 表面に見えるもの



感情: 行動の源泉           



価値観: 感情のルーツ

       



 対立というのは、基本的には価値観の対立があるために起こるのですが、双方の「本当に満たされたいこと」に焦点をあてて解決することがウィンウィン型解決と呼ばれるものです。自分を大切にするということは、自分の信念や価値観を大切にするということです。



  • 3つの省察 どのように、なぜ、なんのために?

 教師教育学で使われるふりかえりです。教えるということは、学習者の反応を見ながら、手だてや対応を変更していく「省察的実践」であると言われます。ファシリテーターの「柔軟な対応」というのも、参加者・学習者のニーズや理解の状況に従って、プログラムや時間管理などに変更を加えることを意味します。

 ERICではファシリテーター育成のための「セッション3 ふりかえりと参加型学習の特徴」の時に「技術的・実践的・見通し的」の3つの視点でふりかえることで、「アクティビティ」やファシリテーターの行動HOWの背景にある意図WHYに気づく、そして、その手だてが教育的な目標達成のために有効であったかという「見通し」をもってふりかえつてもらいます。(アクティビティ実践評価表参照) 詳しくはそちらを参照してください。


■ アレクサンダー・テクニーク

 演劇指導において、表現力を高めるためのトレーニング手法が「アレクサンダー・テクニーク」です。ゲシュタルト心理学の手法でも同じですが、自分の行動をふりかえることで意図に気づくというのが、いずれも基本にあります。わたしたちがついつい無意識に、はっきりと意図して行っているわけではない行動に気づくこと。そのために「待ったをかける」(Inhibition禁止する)。そして、どんなことをやったか、どうやったか、なぜそうしたかをふりかえることで意識にスペースが生まれます。ふと我に帰るというような。

 すると、何もその方法だけが正解ではないこと。選択肢はたくさんあることに気づく。「手当たり次第の選択肢」(Means Whereby)を知る。さらに、それらの選択肢の中から、自分の意図をもっと適切に表現する方法を選ぶことで、自分を育てることができる。

 他人には、結果としての行動しか見えない。意図とプロセスを知ることができるのは本人だけなのです。


  • コルトハーヘン省察モデル

 オランダのユトレヒト大学の教師教育学の教授、フレット・コルトハーヘン教授の省察モデルは、まさしくゲシュタルト心理学、アレクサンダー・テクニークの応用です。


  1. 1.授業場面
  2. 2.行為のふりかえり
  3. 3.本質的な諸相への気づき
  4. 4.行為の選択肢の拡大
  5. 5.試行







 本質への気づきがもっとも大切であることを、氏は協調しています。                

 そのために、表のように、「感情」をふりかえることで、「本当に満たされたいこと」に迫る手だても行っています。





  • ORID 事実・感情・解釈・意思決定

 カナダのファシリテーション研究所が行っている実践です。ORIDの四段階、それぞれに100ほどの質問があり、それらの質問によって、ふりかえりを深める方法です。


1. 客観的事実Objective事実、行動、データ、覚えていること、印象

2. ふりかえりReflective反応、心、感情、感動したこと、気分が乗ったこと

3. 解釈・価値観Interpretive解釈、クリティカル・シンキング、学んだこと

4. 意思決定Decision明日取り組みたいこと



■ ERIC 体験・ふりかえり・解釈・つなぐ

 さまざまなふりかえりの手だてを学び、試してきて、なんだERICという私たちの団体名そのものが経験学習の四段階を表しているじゃないかと気づいたのは最近です。


Experience(経験する)

Reflect(ふりかえる)

Interpret(解釈する)

Connect(つなげる)


 学んだことを現実とつなぐ、学んだことを日常生活につなぐ、学んだことを回りの人々の学びとつなぐ。応用力、認知的流動性、適応的熟達化、さまざまな言い方が学者、専門家によってなされていますが、学びの主体は学習者本人なのです。



[PR]
by eric-blog | 2017-04-08 10:32 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

FH17-2 構成的に学ぶ=経験から学ぶ=経験学習の三原則

ERICニュース537 FH原稿

◆◇◆( .) ファシリテーター・ハンドブック2「構成的に学ぶ」◆◇◆


効果的な学習の四つの要素の一つが「構成主義」constructivismです。

構成主義について学びを深めるためのキーワードやERICのテキストが採用している教授法にどのように構成主義が生かされているかを紹介しています。


http://www.eric-net.org/news/FH17Constructivism.pdf


経験学習という教授法が効果的な学習法であることは、『学習の本質』など、最新の研究からも明らかですが、今回のKISS!は次の「経験学習の三原則」です。


経験学習と呼ぶことができるのは次の原則を満たしている学習指導のみです。

・経験のふりかえり

・経験の共有

・経験の広がり

四段階のふりかえりだけで、効果的な経験学習になるわけではありません。

Let's KISS!

Keep it simple and shortによって、より良い質の教育の点検力を高めましょう。



構成的に学ぶ=経験から学ぶ=経験学習の三原則


 効果的な学習の一つの原則が「構成主義」Constructivismです。わたしたち一人ひとりが「世界の理解」を構成しつつ、世界を理解し、行動をコントロールしている、それが構成主義の考え方です。一人一人が理解の主役であるということ。意識しているとしていないとに関わらず、です。


 その世界の認識を構成しているのが経験です。わたしたちは、わたしたちの行動に対する環境からの反応をモニターし、次の行動を選択、決定するのです。


 では、その「当たり前の学習」をどのように学校教育の現場や教授法として取り入れることができるのでしょうか? 教育的指導者が介在することで、より高い質の学びにしていくことができるのでなければ、教育の意味がありません。


 経験学習というのは構成主義的な学びであるという位置付けも、重要です。経験学習Experiential Learningと言えばジョン・デューイ、デューイと言えば経験学習と言っても良いほど、デューイの「経験から学ぶ」ことについての教育学における影響は大きいのですが、これまで様々な教授法が経験主義学習に連なるものとして試みられてきました。


・問題解決学習

・発見学習

・プロジェクト学習


 戦後、日本で民主主義教育が始まった時、子どもの事実から始まる学習として経験学習的なアプローチが取られましたが、子どもの経験の幅や深さの限界から「這い回る経験主義」と批判も受けました。


 1970年代から80年代、そして現在に至るまで、学習者中心のアクティビティを開発してきたのが英国の開発教育協会やワールド・スタディーズ・トラストであり、PLT『木と学ぼう』の米国の環境教育のネットワークです。PLTの「構成主義」を含む教授法の五つの原則はすでに紹介しました。


 ワールド・スタディーズの学習者中心主義でもPLTの教授法の御原則でも、協同学習的であることは共通しています。


 英国のワールド・スタディーズの学習者中心学習の系譜に連なる『未来を学ぼう わたし地球を結ぶ価値観とビジョン』(Values and Visions)というカリキュラムでは、「経験の広がり」を「自己の感覚」「コミュニティ意識」「価値ある地球」と三層で構成しています。


 経験学習的アプローチのこれらの現代的な先行知見からわかることは、経験から学ぶ経験学習のよりよい質は、次の三つによって実現されるということです。

・経験の広がり

・経験の共有

・経験の深まり


 わたしたちの生活は、『ワールド・スタディーズ』が示したように、世界との相互依存で成り立っており、そのことの意識化とその気づきに基づいた行動の選択は、より良い社会、世界、地球に行きたいと願うのであれば、必須のことなのです。


 これらの三つの視点を欠いた経験学習は、「這い回る経験主義」を超えるものとはならないでしょう。


 いま、学習指導要領に含まれる「アクティブ・ラーニング」の考え方も、経験学習の考え方に連なるものだと言えるでしょう。経験学習を成功させるこの三つの視点で、ぜひ点検をしてください。




[PR]
by eric-blog | 2017-04-08 10:30 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

FH17-1  効果的な学習

効果的な学習=学習の本質


 いま、教育は大きな転換期を迎えています。効果的な学習とは何かを踏まえた教育改革が求められているのです。『学習の本質』によると、効果的な学びとは、CSSCとまとめられています。

 C Constructive構成主義的

 S Self-regulated自己管理的

 S Situated状況的である

 C Collaborative協同的である

 知識の構造化は、学習者本人が「構成」するものです。心理学的には「構成主義」constructivismと呼ばれています。これらの原則は、まさしくERIC1989年設立時に最初に翻訳に取り組んだ『ワールド・スタデーズ』がいう「学習者中心」の教え方・学び方の特徴です。

 また、ERICが日本事務局を担っているPLT「木と学ぼう」環境教育も、その教授法の特徴を五つにまとめています。

  1. 1.構成主義理論と経験学習
  2. 2.全体言語主義と多様な学習モード
  3. 3.協同学習とわたし、あなた、みんなのエンパワメント
  4. 4.問題解決学習とコミュニティの課題解決=サービス学習
  5. 5.概念・理念を教育的ツールにする

 『ワールド・スタディーズ』同様、1970年代から現場の先生方と作り上げてきた方法論は、『学習の本質』が出されるずっと前から、効果的な学習を実践してきているのです。

 『学習の本質』はまた、「知識の量ではなく、知識の構造と活用である」と、学習についての捉え方が変化したことを指摘しています。


学習の認知的視点: 重要な10の知見

パラダイム・シフト: 知識の量から知識の構造へ


知見1 学習は本質的に学習者によってなされる活動である

知見2 最適な学習は、既有知識を重視し考慮に入れる

知見3 学習は、知識構造の統合を必要とする

知見4 最適な学習によって、概念、スキル、メタ認知能力をバランスよく獲得できる

知見5 学習は、知識の基礎的要素の階層的な組織化により、さらに複雑な知識構造を最適に構築する

知見6 最適な学習によって、心の中の知識構造を組織化するために外部世界の構造を活用できる

知見7 学習は、人間の情報処理能力の限界によって制約を受ける

知見8 学習は、感情、動機、認知のダイナミックな相互作用から生まれる

知見9 最適な学習は、汎用可能な知識構造を構築する

知見10 学習は、時間と努力を必要とする


『学習の本質』に所収されている「実践ガイド」をぜひ、参考にしてください。

http://ericweblog.exblog.jp/17830509/

■学習の7つの原則

  1. 1.学習者を中心とする
  2. 2.学習の社会性を重視する
  3. 3.感情が学習にとって重要である
  4. 4.個人差を認識する
  5. 5.すべての生徒をのばす
  6. 6.学習のアセスメントを活用する
  7. 7.水平的な関係をつくる 




[PR]
by eric-blog | 2017-04-08 10:25 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

特権の側とともに考える

真のダイバーシティ

http://www.sietar-japan.org/our-activities/annual-conference/2014-annual-conference/601-2

ダイバーシティ(多様性、Diversity)は人権尊重社会をめざすうえでとても大切な概念です。
実際に取り組まれているのは、「女性や障害者を雇用する」「LGBTを理解する」ことであったり、「みんなちがってみんないい」というメッセージの発信であったりします。
しかし、それで本当にいいのでしょうか。
ダイバーシティを「多様性の受容」と説明しているものも見かけますが、はたして誰が受容の主体なのでしょうか。

この学習会は、アメリカでダイバーシティ・ワークショップを行っているダイアン・グッドマン氏の著書『真のダイバーシティをめざして:特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育』の日本語版刊行にあわせて企画されました。
日本ではあまり語られていない「社会的公正(social justice)」と「特権(privilige)」をキーワードに、どんな属性の人も平等かつ十分に参加できる社会とはどのようなものか、そのためにマジョリティ集団にどう働きかけるのか、どうすれば効果的にファシリテートできるのか。経験豊富な講師とともに学びます。
ぜひ、ご参加ください。

講師:ダイアン・J・グッドマン氏
教育学博士。多文化共生関係のコンサルタント・トレーナー。全国の企業や教育機関で研修を行う。

通訳:出口真紀子氏
上智大学准教授。専門は文化心理学。大学では「差別の心理学」「立場の心理学:マジョリティの特権を考える」などの科目を担当。グッドマン氏の著書の監訳者。

※『真のダイバーシティをめざして:マジョリティのための社会的
公正教育』(ダイアン・J・グッドマン著、出口真紀子監訳)を当日、割引価格にて販売の予定です。

定員:40人

資料代:5000円

申し込み:お名前と連絡先を明記のうえ、下記のアドレスにメールを送信してください。
facilitators.labo+170225@gmail.com

主催:「真のダイバーシティ」ワークショップ実行委員会、大阪教育大学教職教育研究センター(人権・生活科教育部門)
[PR]
by eric-blog | 2017-01-30 11:52 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

官僚天下り問題 文科省だけか?出向はどうなのか?

文科省天下り問題

クローズアップ現代2017年1月23日「いまなぜ? 官僚"天下り"問題 ふたたび」
元文科省官僚の寺脇さんが出ていたのに驚いた。彼も大学教授になっているからだが、総合学習導入の立役者、実力者であり、推進派、反対派を含め、その内情をよく知る人物だ。にもかかわらず、彼のインタビューで使われたのは「再就職は、不安ですよ」という部分。こういうインタビューに答えている時点で、彼の矜持のほどが知れようというものだろうに。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3921/
何れにしても、文科省の組織ぐるみぶりは、呆れるほどあからさまで、「想定問答集」の穴から
東京新聞の社説は「文科省だけか?」と問題提起をする。
a0036168_1051189.jpg

一方、高橋洋一さんは、安倍政権の思惑を指摘する。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50782

関連する公開資料はこちらから
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/kouhyou_h280920_siryou.pdf
ネタにするならこれがいいと、高橋氏。

さらに、文科省の問題としては「出向」のことを河野太郎さんが質疑で取り上げた。「大学は文科省の植民地なのか」と。

衆議院予算委員会 河野太郎質疑にて
a0036168_10504177.jpg


大学事務局に文科省からの出向者を受け入れ、大学運営のあり方を文科省の意向をくんだものにしている慣行は、すでに長いのでははないか。様々な大学及び文科省そのものに激震が走っていることは想像に難くない。

再就職監視委員会の活動についてはこちらから
http://www5.cao.go.jp/kanshi/
[PR]
by eric-blog | 2017-01-27 10:51 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

差別・暴力・攻撃

差別・暴力・攻撃


差別とは、属性による「違い」を相手の不利の扱いにつなげること。偏見と差別。byオルポート


不利な扱いとは、「その人の持つ潜在的な力の発揮が妨げられる状況」。

すなわち、人権侵害が起こっている状況のこと。


暴力とは人権侵害をもたらす力。差別を押し付ける具体的な力。


暴力には、物理的肉体的暴力、精神的暴力、経済的暴力、社会的通行権の否定、ネグレクトなどがある。これは個人のレベル。


社会的には、社会システムのなかで構造化されている不平等 (資源配分に関する決定権の不平等)= 構造的暴力も、暴力であると、ガルトゥングによって問題提起された。


その人の持つ潜在的な力の発揮が妨げられる状況を構造的暴力が存在する不正義な状態」byガルトゥング


正義Justiceとは、社会的有利性の配分が適切であること。

公正さFairnessとは、配分の決定の手続きが適切であること。Byロールズ


攻撃とは、力の発揮によって、攻めること。物理的なものから精神的なものまである。


人権尊重社会とは、非暴力、非攻撃的な社会を作ること。



[PR]
by eric-blog | 2017-01-13 15:55 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

二之江中学校 第三回全体研修会

二之江中学校 第三回全体研修会
2016年11月7日 月曜日

12:55-13:45 二年生「多くの人口を引き寄せる東京」
33名

授業の流れ 四人組の作業
1. 東京に集中しているものをあげる [教科書からの読み取り]
2. 東京に高層ビルが多い理由 [「東京は日本の首都である」から始まる文章をいくつか繋げて最後は「だから高層ビルが多い」]
3. 東京駅構内図で道順を見つける

一人一人の学び

1.については、教科書からの読み取りであるが、ほとんど全員の生徒が四つほど書けていた。ERICの研修でもスキル活動を毎回取り入れているが、なんとなくお互いが見えている中で実践している。

それと同じで、個人作業のようでいて、生徒たちがとても集中して、なんとなくお互いが見えていて、教科書の読み取りができていた。

2.については、ほとんどの生徒が「東京は日本の首都である」しか書けていなかった。ここには補助線が必要だと感じた。一文繋げではあるけれど、「因果関係」を考えさせるのが目標なのであれば、「因果関係図」で考えさせるのがいいに決まっている。フィンランドのカルタを参考にしてほしいと思う。
http://ericweblog.exblog.jp/2973922/

今朝のNHKでもアクティブ・ラーニングを取り上げていたが、光源氏の読み取りについてどのような支援が必要かを論じていた。「考え方」を教えるという基本が徹底していないと、支援が「望ましい結論」に向かうためのハウになってしまう。

授業後の検討会では、教員が四人1組になって話し合ったのがとてもよかった。ここから教員集団の「見取り」が育つといいなあ。

「見取り」って、共有語なのね?

コルトハーヘン氏の方法が、どちらかというと「個人」に帰結するのに対して、ここでは「四人一組」での学び合いがある。しかし、あくまでも学ぶのは一人人であり、個別化対応も、一人ひとりが異なるからいいのだという永島さんのコメントが面白い。生徒に求めることを教員にも求めるということだ。その通りだと思う。さて、そのような育ちが教員にあり得るか? 

次々と面白い問いが生まれてくるアクティブ・ラーニング!

1. 思考スキルの指導
2. ESDの目標との関連

この二つについて、未だに努力が見えないのが今回の研究会だった。
a0036168_13321018.jpg

■アクティブ・ラーニングの「教科主義」への揺り戻しを憂う。
ESDとしての捉え直しができて居ないことはすでに指摘したが、以下のようなやり取りが、「教科主義」への揺り戻しを強化すると思った。一貫した姿勢での取り組みこそが求められる。

「東京は日本の首都である。」の一文から始まって一行文をいくつか間に入れて「だから高層ビルが多い」までの因果関係を作文するというのは、これも四人一組で取り組んだが、最初の一文こそ、ほぼ全員が書いていたが、その次を書けていた生徒はほとんどいなかった。
わたしが「因果関係図」で考えるとかの補助線が必要だと考える所以である。
その問題について、講師は、「先生の見取りとつなぎが、思考の深化につながる」と講評し、かつ、何人かの発言から「首都だから高層ビルが多い」のか、それとも他にも高層ビルが多い街があることを教師が指摘したことで、「都市だから高層ビルが多い」のかという社会科学的にとても重要な視点が出されており、これを突き詰めれば論文が書けると持ち上げた。

一人ひとりの学びを軸にすることというのは、教員集団に対してとても良い投げかけだと思うけれど、以下の点で違和感が残ります。

1. ESDの価値観やスキル、あるいはその他何でもいいのだが、(良くはないけれど)教育目標が明示されていない。共有しようともしない。「一人ひとりの学び」を繰り返すのだが、それはどこへ行くのだ?

2. 社会科の学習とESD的普遍的学習のスキルや高次の思考スキル育成目標との関係が整理されていない。社会科学的な思考力がどのような意味を、社会科学の専門家になるわけでもない生徒にとって持ち得るのかが問われないまま、「首都だからか都市だからかというのはすごい視点だ」と持ち上げることは、ともすれば教科教育の論理にしがみつきたがる教員に対して、間違ったメッセージを与えることになる。

NHKの番組で、ある女子校の古典で「アクティブ・ラーニング」による取り組みを紹介していた。グループに分かれて「光源氏の姿を一目見ようとやってきた六条御息所が、他の女御たちの車に嫌がらせされるのだが、その時に「「いとどしう出でばえを見ざらましかば」と、歌を読む。その時の彼女の気持ちを考えよ」というかだいに答える。

ほとんどのグループが「それでも見れてよかった」というのに対して、一つのグループが「こんなことなら来なけりゃよかった」とした。

それに対して、どのような手立てを取れば良いかが課題だと、先生方が語り、それに対して、何ら批判的なコメントもなく、追従するNHKの記者らがいるのである。

これでは「這い回る経験主義」の批判再び、となるのは目に見えている。異なる力をつけようとしているのに、その部分は見ないまま、従来の「正解」にいたるための補助線を議論する。最悪である。

それと同じことが、ニノ江中学校の研究会でも起こったのだ。


[PR]
by eric-blog | 2016-11-09 17:51 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

江戸川区立二之江中学校 第二回全体研修会 2016年9月2日

江戸川区立二之江中学校 第二回全体研修会 2016年9月2日

4月28日の見学会の報告はこちらから
http://ericweblog.exblog.jp/22739934/

今回はなんと、福島県郡山市の中学校二校から、(偶然らしいが)見学者がいた。また、導入のきっかけとなった時に校長をしていた方もいて、過去を知るいい機会になった。

【公開授業について】
1年2組 理科 「身の周りの物質とその性質 密度」 35名
授業者は中堅男性。後の全体会で紹介されたが、二之江中学校ではすでに8年目で、長い方の方。週3回の理科の時間の一コマである。

■すすめ方
最初、ビニール袋にシューとスプレー缶から気体を吹き入れる。ビニール袋はフワリと上がっていって天井に張り付いた。
「おおおおーー」
いまどきは、簡単に水素ガスの缶が買えるんだなあ。で、これは前回学んだ気体の重さについての復習を含めた確認。
つまり、「水素<空気」がわかったということ。こういうことも板書しないんだなあ。この辺りで確実に「不等記号」について、落ちこぼれるだろうに。中学校の「板書計画」杜撰すぎる気がする。一回言ったらわかっているという感覚なんだな。
水素はH2だから、周期表にある物質の質量から計算することができる。

ワークシートの配布。

テーマ1 水素は空気中で浮く。
「酸素、窒素、二酸化炭素、アンモニアはどうだろうか」
データを元に予測しなさい。

13:00 四人グループになる。グループが決まっているのは第一回と同じ。席替えはランダムに行うようである。

すごく暗い顔をした女子が目についたが、この生徒については全体会の時に、永島さんが「恨みのこもった眼をした生徒が数名いた。それは他のクラスでも同様だった。」と指摘した。すごい表現だなあ。今回、永島さん、かなり挑発的なもの言いをしていた。教員の方々に響けばいいのだが。

教員が「索引とか、目次さかを参考にしてね」と。

グループ討議はなし。それぞれが資料種、教科書を開いて探している。グループの機能としては、まだ開けていない生徒に教えてあげる、ぐらいか。

13:05 「席を戻してください」

教員、全体共有の進行役に。

「何ページ?」「資料集145ページ」
「他には?」「教科書95ページ」
「他に気がついた人?」  とても低調。ほとんど指名。

13:08 「空気より軽いのは?」「水素」「わかっていることだけれど、確認ね。」「次に軽いのは?」「アンモニア」「次は?」「窒素」「記号は?」「N2」
「いちばん重いのは?」「二酸化炭素」「後、残ったのは?」「酸素」
「数字を見ていけばわかるね。データで分かる」
記号と不等記号で、結果を板書。

テーマ2 いろいろな物体を水に入れたら沈むだろうか、浮くだろうか。

13:12 「四人組、代表者1名決めてください。」「とりに来て」
ほとんどが男子。
「まず、トレイに入っているものを確認してね。」
生徒たち、思い思いに触る。
「データ、資料集・教科書を使って予測しなさい。」

ワークシート、右側に記入欄。表の左列に10種類がリストされている。真ん中の欄は「浮き沈みの予想と根拠」、右の欄が「結果」である。

並びがわからん。アルミニウムが四種あるんだが、並んでいない。混乱させたいのか?

栓が二種類。プラスティックも二種類。

栓はゴム栓。誰かが「お風呂の栓」と身近な例で考えた。これが水に浮くと困るよね、と。

もう一つの栓はプラスティック製で、手に取ると軽い。

なんと、資料集には「プラスティックの見分け方」というコラムがあるのだ!
楽しい! えーー、身近なプラスティックで、水に入れてもいいものってないかな。やってみたい! 

そうなんだあ。プラスティックを見分けることは、とっても大事なことなんだ。
基本、「燃やす」方法。
http://www.plastic.co.jp/knowhow/distinction.html

こちらは「水に浮くか沈む」が第一段階。資料集と同じ。
https://www.aist.go.jp/science_town/dream_lab/dream_lab_05/dream_lab_05_02.html

「ペット・ボトルと荷造りバンド、フィルム・ケース、クリア・フォルダーを、実験がし易いように、同じ大きさに切ってみました。」

浮き沈みは「比重」の問題ということも指摘されています。

なんて、寄り道している場合じゃない。

生徒は、ほとんど「根拠」を記入していない。

教科書・資料集を閉じて、話し合ったり、触ったりしているグループもある。

13:25 「○1を書いてください。その後実験です。」

13:40 「では、終了です。」
「裏切り者はどれだった? 予想を裏切ったものはどれでしょう。」
「竹」「沈んだ」「裏切られた人?」多い!
「じゃあ、後は?」「緑の栓」「ゴム栓は沈んだのに、この栓は浮いた」
「数字は便利だねぇ。浮くか沈むかを考えるのに数字が役に立つ。」
「気づいたことも、書いてね」
13:45 終了。

【授業検討会】
14:00から

個別の班や個人に焦点を当てたふりかえりが面白いのであるが、例えば、水泳部の顧問をしている教員が、授業での様子を見たいと思って見ていたり、他の授業でみていて気になる子を見ていたりしたようだ。

基本的にとても落ち着いたおとなしい学級。

話し合いはあまり活発ではないが、実験(水に入れる!)になると積極的になる子、きらきらする子がいたことは確か。

しかし、実験を「なぜ」につなげるのが難しいと感じたのは、わたしだけではなかったようだなあ。

女の子を育てたいという意見も何人かから出た。リードしてくれるので。

■永島さん講評

「高い課題」の方が実力差が出ない。「低い課題」ではできるできないが際立つ。
例として「6月の3年生、ふりこの授業」の様子を写真で示す。

「フリコの支点の移動によって、巻き付く条件を予想する。」

「片付けなさい」の声かけの後から、始まった。これまでグループ活動に参加したことのなかった生徒が始めたので、担当者は感激していた。

授業開始から5分がゴールデンタイム。浮いたビニール袋をみんな見ていた。

何を恨んでいるのか知らないが、恨んでいる眼をしている子がいた。

2年生になったら、増えている。

コの字型の時、発表するのは圧力がかかる。聞き手の人数でプレッシャーは変わるから。

小学校3年生まではふたり作業で十分。4人にしても、何をしていいかわからない。

先生の手順に反したことをやり出した時に学びが成り立つ。

やりながらでないと考えられない。

二之江中学校の原点がゆるんできている。
行事や部活による生徒指導が実をむすばない。授業外では無理という事態があり、コの字型の取り組みが始まった。一人ひとりが大切にされていることを実感すること。
原点回帰しよう!

■グループ討議
「コの字型は何のため?」
「四人グループは何のため?」
見学者の人は、その教員の四人組の討議状況を見ていてください。

■永島講評
コの字型の効果は20ほどあげられている。
しかし、7-8割の人はこのじ型で一斉授業をやっている。
東アジアの学校の特徴だと思うが、40人だからコの字型にしている。20人なら、コの字型はいらない。先生のまわりに集めるため。

英語の授業で、一人が音源を聞きながらシャドウイングを行い、それを聞きながら「穴埋め」課題に残りの三人が取り組むという実践がある。順番に。
グループに一つずつ音源があることで、自由に止めることができる。

自分が大切にされている教室の中で、問題行動は起こし様がない。

【かくたの気づいたこと・感じたこと・学んだこと】
■「恨んでいる眼」の生徒は気になった。そのグループは資料集や教科書を開かずに話し合っていた。
■ワークシートの作り方が気になる。比較するものはまとめて並べて欲しい。わたしなら、実験は各班二つずつぐらいに絞るなあ。「分担させる」ひょっとすると予測の段階から分担式でもいいかもしれないが、そうしたら班からの共有の時に、聞かないかなあ。
なんでみんなが同じことを経験させないといけないと思うんだろうか。
プラスティックの見分け方に取り組むグループ
栓の違いを考察するグループ
アルミ箔の「密度」に着目するグループ
竹と木、木の中でも「鉄木」などもあるとおもしろい。密度だよね。
沈むのは「重さ」ではなく、比重。
面白い課題なんだけどなあ。

■教員の集団があきらかにできて来ていて、「狎れ」が感じられる。こりゃだめだな。なぐさめあっている雰囲気。高めあっている雰囲気ではない。なぜだろう?
集団ができたおかげで、緊張感がなくなっている。ふだん、どんな会話をしているんだろうか?
■グループ討議の時の、表情がいやだ。そして、その表情は、生徒にうつっている。
形だけ、やっている。互いの意見から学びあおうとしていない。聞く姿勢ができていない。
■大変だなあ。学校全体で同じ方法論に取り組むということは。
■『「アクティブ・ラーニング」を考える』の中に東大の「構造的ジグソー法」というのが紹介されていた。グループで課題をやり、別の課題をやった人で次の課題ミックスグループにして、共有するというやり方である。
■『We203号』に、石川晋さんが書いている。「学びからの逃走」が都市部ではないここでも起きている。コミュニケーション、コミュニティからの逃走だ。行事で子どもたちの関係性が育たなくなった。団結力を高め、信頼関係を醸成し、学級づくりに直結した姿はもうない。
子どもたちの生活の大半が授業であることを考えれば、授業と学級づくりとの連動を真剣に模索しなければならないというあたり前の結論に到達する。
授業改善に本気で取り組むしかない。
[PR]
by eric-blog | 2016-09-09 11:42 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

アクティブ・ラーニング数え歌

アクティブ・ラーニング数え歌
CALL  Creative & Active Life-long Learningアドバイザー製作

■ひとつとせ
ひとつのことを一つずつ


アクティブ・ラーニングは作業や活動をともないます。一つの作業をする時の指示は一つずつ。
全体の見通しは、アルゴリズム化し、板書、プロップなどで示すこと。

■ふたつとせ
ふたり作業を取り入れる


グループ作業ばかりをやっているとグループの中の人間関係が固定化し、「仲間崩し」ができません。
二人作業を取り入れることで、人は誰とでも対話することのできる力をつけていきます。
「傾聴」などのコミュニケーションのスキル・トレーニングと合わせてやると効果的です。

■みっつとせ
三つの手だてで支援する

コンテンツの習得
参加のスキルの習熟
学びあいの環境づくり

■よっつとせ
四つの活動形態を組み合わす

個人作業
ペア作業
グループ作業
全体作業

■いつつとせ
五つの学習モードを刺激する

諸感覚を刺激する
話しことばで聞かせる
文字言葉を視覚化する
具体と抽象のM型学習
アルゴリズムで整理する

■むっつとせ
6つのリアリアを掘り起こす

1. 実物[       ]
2. 実地[    ]
3. 実話[ ]
4. 実感[   ]
5. 実態[ ]
6. 実存[   ]

■ななつとせ
集中分析発見のななつのアイデア

(1) 「問う」こと
(2) テーマを絞り、ハウを示す
(3) 時間を区切る
(4) 数字を使う
(5) 諸感覚やスキルの一つずつを刺激する
(6) 共通のルールを創る--オーナーシップ
(7) 目標・評価・達成を共有する


■やっつとせ
八つのツールを使いこなす

連想図
対比表
XY軸表
マトリクス表
関係図
因果関係図
ランキング
行動計画づくり

■ここのつとせ
これまでとこれからを整理して、ここから始める

■とおとせ
遠く、近くの目標設定で見通しを持つ

https://www.dropbox.com/s/xnxg2ssbmvk2nd7/AL%E6%95%B0%E3%81%88%E6%AD%8C.mov?dl=0
[PR]
by eric-blog | 2016-06-29 11:28 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)

CALL 創造的アクティブ・ラーニングをすすめるための原則

Creative
Active
Life-long
Learning
Life/League/

https://www.dropbox.com/s/7zite0pxiccmrie/CALL.mov?dl=0

KTさんが見つけてきてくれた「澪標」

「アクティブ・ラーニング」は、生涯学習の力であり、創造的な人生のための学びと実践力のこと。

子どもたちが学校で生き生き生きることができるために、
わたしたちができることは何か?

よりよい質の教育をあらゆる機会にあらゆる場所で。
[PR]
by eric-blog | 2016-06-03 11:47 | ☆よりよい質の教育へBQOE | Comments(0)