かくたです。
2004年2月23日配信 昨日見た映画の紹介です。 ぜひTESTの時にも見ましょう。 小川町でも、上映会をしたいなーーー。 ---------------------- たべる・たがやす・そだてる・はぐくむ 食農保育 映画 50分 大木小林企画制作 社団法人ユーカリ福祉会企画 2003 東村山市立第八保育園は、公設民営の保育園として、ユーカリ福祉会が、6年前から 受託して経営している保育園である。園児は、0歳児から5歳児までの6クラス 約100名。二階建ての建物の上が乳児、階下に幼児たちのクラスがある。そのクラス のすぐ前が、ほっくりかえされた畑、というか、命が育つことのできる土がある場所 だ。 1998年、平成9年、副園長として赴任した倉田 新は、園を最初に見たとき、「人間 の生きる場所じゃないな」と思ったと言う。それがすべての出発点であったと。そし て、スタッフの保育士だった野村 明弘とふたりで、園庭をほっくり返し始めた。緑 のそよぐ、土のかおりと、ひやけさが、人を包み込むような、そんな庭のビジョンを 抱いて。 撮影が始まったのは、2001年、取り組み始めて4年目のことだ。いま、2年間の撮影 を終えて、ほんとうに、短く編集された映画は、それでも、子どもたちの育ちをたっ ぷりと映し出してくれている。それは、「共に生きる」命の姿だ。 懐かしい泥汚れの服に、土がすりこまれたほほ、日焼けた手の甲と、しっかりとした 指先。5歳で、これほどの「働く手」を獲得できるのかと驚くような姿なのである。 園庭で野菜や稲を育てるのは、3歳児になってからだが、乳児たちも、そのワイルド に、野生のものを口にする文化にはどっぷりだ。異年齢集団とわざわざ呼ぶのもおか しいような、交流がある。 子どもが一日の生活時間のほとんどをすごす「生活共同体」である保育園だからこそ の「育ち」なのだと思う。風にゆれる命、太陽に育てられるめぐみ、水を吸い上げる 成長、そんな営みに四六時中ふれ、そこから学ぶ、そんな「経験学習」を大人も共有 している。保育士たちも慣れないものだから、すべてが「実験的」にならざるを得な い。だから、真摯に経験から学ぼうとする。なんたって、どの保育士だって、たかだ か5年の先行経験があるだけだ。子どもにえらそうな顔はできない。本の通りにはい かない自然相手にとまどい、挑戦し、「もっとおいしいもの」「もっと大きなもの」 と目標を持って、工夫していく。子どもと共に。 この保育園の食農保育と、農業教育や、理科の栽培指導との違いは重要だ。 農業教育は、生業としてすでに成立している農業における栽培・飼育の方法論と経済 効率を、いまの社会に通用するレベルまで習得することを目標としている。それは農 作物を「食べる」ことや「売る」こととして完結する。目標にしばられた教育である。 理科の栽培指導(あさがお、稲など)には、科学的思考と調査法などの科学教育の要素 ははずせない。栽培経験から学ぶ「経験学習」ではあるが、その経験を積み上げるた めの「ふりかえり」「一般化」の方法論が、「科学的」であることが求められ、その 習熟が目指される。よくいけば「ものの見方・考え方」「論理的思考」の育成、ひょっ とすると、形だけ、ということになりかねない。 あるいは、安全な食べ物を食べるための農業を、教育現場(保育園、幼稚園、学校な ど)が併設している場合もあるだろう。その場合も、農業は「作物づくり」という目 標にしばられたものになってしまうのだ。 東村山市立第八保育園が実践している食農保育は、「生きる」ことを共有している教 育なのだ。 では、それが「自然」の中で命に触れるという教育であってもいいのではないか。そ んな仮説をたててみよう。 やはり、違う。自然は、複雑にすぎるのだ。里山は確かに人工のものだし、人が手を かけている自然だ。しかし、その営みですら、見えにくい。自然がどのように生き物 を育み、互いを支え合っていること、そしてその中で「生活し続ける」ことは、かな り大変。 保育園で、「育てる」自然の中で生活することに、乳幼児の発達段階ではとても意味 があるのだと思う。乳幼児もまた、種であり、苗であり、保護が必要な存在だからな のだろうか。立派に鍬をもって稲刈する子どもに対して、失礼な言い方かもしれない が。 来年度からは、残パンの堆肥化をすすめ、循環型食農保育の実践をめざすとか。「実 験的であり続けること」、保育士が「挑戦し続けること」「失敗すること」が大切な、 子どもたちに見せたいことなのだろうな。 「失敗」「反省」など、最近ERICでは聞かなくなった表現が、気になったが、「ちく しょー、うまくいかないなー」と大いに悔しがることもいいではないか。それが次の 工夫や挑戦につながるのであれば。 命に絶対的な安全保障はない。傷つくから命、であり、回復するから命、生き続ける のが、そして死ぬのが命、そんな命がつながっていくのが、また、命。平和教育のベ ティ・リヤダンが、「合理的なレベルの人間の安全保障」と言っていたのを思い出す。 けがや病気を乗り越えて、食農保育が続いていくことが、わたしたちの社会の健全さ のバロメーターであろう。 0歳児から食農保育で育まれたからだを持つ5歳児たち。同じように小学生になって も、きっとちがうんだろうな。6歳から始める方が、よほどこわいな。倉田さんが言 う「心の中の(禁止)テープ」が取れるのに要する時間が、小学生の方が長そうだし、 そして、心の葛藤がからだに響く程度もきついように思うからだ。 今後、食農保育が、どのような広がりを持つか、とても楽しみ。安全な食べ物を子ど もたちに、という「食」を超えて、安全な食べ物が育つ環境で子どもたちが育つ、と いう実践が、広がってほしい。保育園っていいなー。
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