298-2(1334)太郎が恋をする頃までには・・・
栗原美和子、幻冬舎、2008
先に『ボロを着た王子様』を読んでいなければ、とてもではないが読めない展開だ。私小説と銘打たれたフィクションなのではあるが、結婚差別についての記述がなまなましい。
読み進めてドキドキしてしまう。インパクトをねらっての結末なのだろうし、実際著者の親も反対したようなのだが。
こういう度量の広いところが好き、などの表現はけずり、読者の判断に任せた方がいいのになと感じる「新婚ほやほや」の私小説ならばこその、違和感がある描写もままあったけど、おのろけ本には終わっていない。問題提起につながるよい本だ。
インターネット情報によれば、著者の出身は福岡県で、実家は日蓮宗の寺院とある。であれば、できれば、地域を特定しないで欲しかった。フィクションなのだから、B県でもC市でも良かったのではないだろうか。「東京から3時間。介護に通えない距離ではない。」というような表現でも良かったのではないか。
この本を読んで、「地域差別だ」と抗議した団体はないのだろうか。ちょっと勘ぐりました。