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居酒屋社会の経済学

かくたです。
                         2003年9月5日配信
まとめて送ります。「共同体」「公共」というキーワードで本を探して読んでいます。

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居酒屋社会の経済学−スモール・イズ・ビューティフルの実現をめざして
コール,レオポルド
ダイヤモンド社、1980年
The overdeveloped Nations-The Diseconomies of Scale-

「共同体」の適正規模とは何だろうか、ということについて、ずばり問題提起してい
る。中でもおもしろかったのが、「社会規模」というのは、人口と人口密度、統合化
の度合とスピードで決まるという考え方。そして、そのような考え方に立ちつつ、社
会の機能別適正規模としして「親睦」「経済」「政治」「文化」という人間のニーズ
と、そしてそのニーズが満たされるということは、その裏返しとして社会的な恵でも
あるという。個人としての人間が社会関係に求めるもの、それが「社会的有利性」と
イコールなのだろうが、それは「交際」「繁栄」「安全」「文化」だという。『自由
の構造』では「知識」「権力」「利益」だったが、「権力」を政治と読み変えれば、
よく似たものか。
個人的な人間のニーズが満たされやすい「適正規模」を越えた「臨界規模」の社会で
は、個人にどれだけ働きかけても犯罪や事故などは低下しないという。

以下、ノートです。シューマッハーも読まなければね。
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14
社会の実質的な規模の決定要因
人口
密度
統合化の度合(行政的)
移動速度
しかし、人口の数量的な内圧が、高密度化、統合化、移動速度の促進につながるので
あれば、数量的な規模が社会的規模と同一化することになる。
「臨界規模」に達すると「どのような行政措置、良心への呼びかけ、教育政策の改善
等をもってしても、犯罪件数の低下は期待しえない。

24
社会の役割と規模の関係
■親睦的社会(交際) 恒常性と飽きない程度の多様性が求められる。=居酒屋が維
持できる人数=80-100人の成人
■経済的社会(余暇と富) 専門性の分業とそれで成り立つ生産性・余暇の確保が課
題。成人で1000人、全体で4000-5000人。
■政治的社会(安全保障) 平和維持、裁判、防衛などの職業の成立。成人で1500人、
全体で7000人から12000人。
■文化的社会 5万人から20万人か

技術、教育、組織の3つの変数から考えて、20-30万人を、1200-1500万人の範囲が拡
大できる絶対的な限度。

38
社会を構成することによって得られる4つの恵とは「交際」「繁栄」「安全」「文化」
であり、技術進歩、教育、組織の3つの要因を考慮にいれれば、1500万人にまでの成
長が可能かもしれない。,,,この限界点を越えると、適正規模は臨界規模へ。克服す
る人間の能力以上に、社会的困難は加速的に増幅される傾向をみせる。
4つの恵を求める「個人主義的諸目的」を「集団主義的諸目的」に変質させる。「福
祉、軍事、宇宙、神性などの集団主義的社会」「社会的健全性、権力、栄光、制覇、
帝国、スプートニクその他集団主義的エゴ」

「この社会は、居酒屋を提供して親睦的機能を、工場と市場を供給して経済的機能を、
裁判所、市役所、武器庫の便宜をはかって政治的機能を、そして最後に、劇場、協会、
博物館、大学、競技場を設置することで文化的機能を」

55
社会的消費財と個人的消費財
必需品 生物学的、文化的、技術的・密度的(社会的密度に対して支払うもの)
ぜいたく品

213
合理性
個人の合理性
集団内の個人の合理性
集団自体の合理性

231
専門分野の基本原理と他の分野におけるそれとの間の相互関連性を討論する必要があ

不鮮明な相互関連性の存在をつきとめ、それを統合化手段として利用できるように、
カリキュラムを編成することが求められる
by eric-blog | 2004-08-10 10:05 | ■週5プロジェクト03
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